遊戯王SATELLITE   作:江西

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連星 結 VS 静間 のどか 後編 私と心

 ……引いたカードは……魔法カード。これは───

 

 

「カペラぁぁあああ!!!」

 

 

「!?」

 

 

 びっくりした、やっぱり人間は大声に弱い。

 

 

「テラ、うるさいよ」

 

 

「叫ばずにいられないでしょ!?あのバカこんなとこまで撮ってたのね!」

 

 撮ってた……?遅ればせながらイラストの確認。

 

 ……なんだろ、テラがとんでもなく慌ててるイラスト……いや、写真、なのかな?

 

 

「我々のカードはな、今は別任務中の奴が撮った写真を使っているのだ」

 

「じゃあ、この写真を撮った人がカペラ?」

 

「そうゆうことだ」

 

 なるほど。つまりこれはテラにとって恥ずかしいシーンってわけかな。 

 

 だとしても今はそれほど大事な事じゃない、それよりも……

 

「このカード、1枚じゃ意味がない……」

 

 少なくともあと1枚、しかも条件にあったカードが必要。

 

 手はある、あと1枚ならカードが引ける。

 

「あーもう仕方ないわね。とりあえずこれを使うしかないみたいだし……」

 

 ブツブツと言いながら、テラは隣に帰ってくる。

 

「テラ、私はちょっと不安だよ」

 

 不思議な感覚。

 さっき流した涙よりも簡単で、無意識のうちに言葉はこぼれる。

 

「不安?何が?」

 

「多分、うまくいかないのが。成功する確率の方が低いって、分かっているのに不安だよ。負けや失敗が怖いって分かったから……不安だよ」

 

「そう、仕方ないことね。それでもあたしたちの答えは変わらないわ。何度でも、信じてるわよ、そんで信じなさい」 

 

「本当に、出会ったばっかりなのにありがたいよ。うん、頑張ってみるよ」 

 

「大丈夫、簡単よ。欲しいカードを引き当てて、その後もう1枚奇跡起こして。そしてあたしが初めての同調を成功させる。それだけよ?簡単じゃない」 

 

「奇跡奇跡奇跡、随分と都合がいいね」 

 

「そりゃそうよ。いつだって、どこだって、都合のいい奇跡が時代をつくってきたのよ。大丈夫、きっと良いことあるわよ」

 

 うん、悪くない、悪くないよ、いい言葉だね。

 

 

「結、まだ不安?」

 

 私を見据えて、口の端を釣り上げる。

 少しシニカルな表情、答えが分かりきってる表情。

 

「ううん、もう大丈夫」 

 

「そ、なら行きましょ」 

 

「うん、私は墓地の『反撃の咆哮』の効果を発動。カードをもう1枚ドロー!」

 

 

『反撃の咆哮』 

 

通常罠 

 

①:自分のモンスターが相手によって破壊されたターン中、自分のライフポイント以上の戦闘ダメージを受けるとき発動できる。

その戦闘ダメージを0にし、このターン自分のLP以上の攻撃力をもつモンスターは攻撃宣言を行えない。

②このカード名の①の効果を使った次の自分のターン中、墓地のこのカードを除外して発動できる。

 

自分の手札が1枚以下なら、カードを1枚ドローする。

 

 

「アレを引き当てるだけね」

 

「うん、アレを引き当てるだけだね」

 

「あ?あー、あれな、アレを引き当てるだけな」

 

「えぇ!あ、アレ……?アレですね!アレ!」

 

 約2名、おそらく分かってないだろうけど。 

 

 大丈夫大丈夫、確率ってのは不思議なものだね。

 

 およそ7分の1って考えると、あと4枚しかないカードって考えると難しく感じるけど。

 

 引くか、引けないか、2分の1なら上等だよ。

 

 

 ドロー!……枠はオレンジ、カードは…

 

 

「あの……もしかしてわたし……じゃない?」

 

 おずおず手をあげるイオ、引いたカードも同じく。

 

 

「いえ、良くやったわイオ!待ってたわよ!」 

 

「うん、テラ以外のチューナーが必要だったんだよ」 

 

 引いたカードを手札に加え、最初に引いたカードを発動する。

 

「魔法発動『エマージェンシーコンバート』!」

 

 

『エマージェンシーコンバート』

 

通常魔法 

 

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

 

①:手札から『SATELLITE』チューナー1枚を公開して発動する。

デッキから公開したカードとカード名の異なる『SATELLITE』チューナー1枚を手札に加える。

その後公開したカードをデッキの1番下に戻し、自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送る。

 

 

「結、分かってるわよね?」

 

「うん、分かってるよ」 

 

 アイコンタクト。

 呼吸も、考えも、同調していく感覚。 

 

 デッキからカードを引き抜く、あと1つ。 

 

「『SATELLITEコネクター テラ』を手札に!『イオ』をデッキの下に戻して、デッキ上から1枚を墓地へ!」

 

 デッキで見たあのカード、おそらくあれが…… 

 

「……あってる?」 

 

 カードを墓地に送る。そのカードを見てテラは一言。 

 

「やっときたわね、このポンコツ」 

 

 またもニヤリと笑う。面白くなってきたとでも言わんばかりに。

 

 墓地に送ったカードには、テラがぞんざいな扱いをしていた黒い球体。

 ……見かけないと思ったら、今も半分ほど地面に埋まっている。

 

「『SATELLITEコネクター テラ』を召喚!」

 

「やっと出番ね、任せときなさい!」

 

 

『SATELLITEコネクター テラ』

 

チューナー・効果モンスター

 

星3/風属性/戦士族/攻 1300/守 500 

 

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

 

①:自分のメインフェイズに手札から、このカードとカード名の異なるレベル3以下の『SATELLITE』モンスター1体を特殊召喚する。

②:このカードが墓地に存在し、フィールドに『SATELLITE』Sモンスターが存在する場合、このターンこのカードの①の効果を使っていないなら、手札を1枚墓地へ送って発動できる。

このカードを特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、墓地に送られる場合に除外される。

 

 

 なんと言うか……うん、すごく優秀。雑に言ってしまえばパワーカード。

 最初に手札にあった時も思ったけど、そりゃのどかも優先して捨てさせるよね。私もそうするし。

 

 どこからでも、誰とでも、コネクターの名に相応しい繋がりっぷりだよ。 

 

「そして墓地の『SATELLITE─コア オブリヴィオン』の効果発動!このカードは、墓地から手札に加える事ができる!」

 

 宣言したカードが取り出され、手札に加わる。

 未だにテラとこのカードで呼び出せるカードは、EXデッキに存在しないけど。

 

 

 信じろと言われたら信じてみる───うん、悪くない。

 

 

「『SATELLITEコネクター テラ』の効果発動、手札からモンスターを特殊召喚!」

 

 黒い球体はふよふよと、ふわふわと、やる気なくフィールドへ。

 …………そういえば、この球体……『オブリヴィオン』はテラの持ち物じゃなくって、独立した存在だったんだね。

 

 

「今聞くのもどうかと思うんだけど、この球体はなんなの?」 

 

「ん?あー、まぁ、今度説明してあげる。今は力が入ってる球体とだけ思っときなさい」 

 

 そうだね、それより大事な事もあるしね。 

 

 

「さぁ、結。格好良く頼むわよ!」

 

「うん、頑張るよ」 

 

 本当に、本当に久しぶり。

 なにか思い出せるだろうか、なにか変わるだろうか。

 

「…………ううん、なにか変わるかじゃない。変えるんだ」

 

 胸に手を当て、目を閉じる。

 

 相変わらず、自分のものみたいに活動的な心臓。それと連動するようなドキドキとした感情。

 

 不安と期待。大丈夫、信じてるし、信じられてる。

 

 心は決まった。今まで会話から察するに、人の感情……私の感情を繋げて、同調を成功させようとしてるんだよね。

 

「さ、あんたも行くわよ。ポンコ……いや、オブ」

 

 あだ名、かな?これまでさんざんな扱いをしてきたのに、同調の相手に選んだってことは、あれはテラなりの信用の現れだったりするのかな。

 

「行くよ、私はレベル2の『SATELLITE─コア オブリヴィオン』にレベル3の『SATELLITEコネクター テラ』をチューニ…………」 

 

 ング……まで言おうと思ったんだけど………… 

 

 どうしよう、テラがS召喚の際にでるエフェクトのようなものを出してるのに、全く球体が反応してない…… 

 

「…………しょ」 

 

 うん?聞き取れなかった。

 でも……多分、怒ってる。ううん、多分じゃない、怒ってる。

 

 

「同調だっていってんでしょ!いい加減にしなさいよ!このポンコツがぁぁーーー!!!!!」

 

 とんでもない声量と共に、テラは球体を蹴り上げる。

 カチリ、なにかスイッチのようなものが入る音がした。

 

「あ!きた!きたわね!結、もう一回お願い!」 

 

 

 蹴り上げた球体に追いつくように、テラは飛ぶ。

 感覚で分かる、この同調は成功する。

 

 

「私はレベル2の『SATELLITE─コア オブリヴィオン』にレベル3の『SATELLITEコネクター テラ』をチューニング!」

 

 

 

 輝く輝く、最初にみた一等星のように。

 並んで、重なって、連なって。コネクターの名前に恥じない、繋がりがそこにある。

 

 

「連なる星が願いの矢となり空を駆ける、シンクロ召喚!これが私の最初の一歩!『SATELLITEアーチャー テラ』!」   

 

 

 カードに浮き上がる、テラの新しい姿。

 球体から取り出されたエネルギーは、弓の形になってその手に握られている。

 

 

「やった!同調成功!2人ともちゃんと見てる?」

 

 テラたちは、3人で喜びを分かち合う。手を合わせて、声を合わせて。 

 

 良かった、良かったよ本当に。EXデッキから取り出した白いカードは、デュエルディスクの上で淡く光を発している。

 

 

「やったわね!結!」

 

「わぶっ!」 

 

 後ろからテラに抱きつかれ、おかしな声が漏れる。

 私よりもいろいろと大きな身体に押しつぶされ、骨が軋む。 

 

「……重いよ、テラ」

 

「レディに重いは禁句よ?」

 

 不満そうなテラをどかして、立ち上がる。

 

 

「サイコーの気分、今なら何でもできそうよ」

 

「うん、私も悪くないよ」

 

 差し出される手に、私も軽く手を合わせる。そして……

 

 

「ごめん、のどか。たびたび待たせるね」

 

「ホントだよ」 

 

「うん、あと……待たせてごめんね。このターンでちゃんと終わらせるよ」

 

「??」

 

 分からないかな、デュエルの遅延だけじゃない。

 そのもやから開放するのが遅れてごめんね。 

 

 希望は繋がった。このターンで決着をつける。

 

 

「まずは『SATELLITE─プラクティスルーム』の効果で1枚ドロー、そして新しいテラの効果発動!墓地から『SATELLITE』モンスターをこのカードに装備する!」 

 

「あたしは墓地から『SATELLITE─コア オブリヴィオン』を装備するわ」

 

  残りの説明をテラが行う。ちょっと楽。

 

「そのままもう一つの効果発動、装備されたカードを墓地に送って、表側表示のカードを破壊する!…………なんで1度装備するの?」

 

 普通に墓地のカードを除外なりで発動じゃだめなのかな、なんだかスキが大きいと言うか。

 相手に妨害される工程が多い気がするんだけど……

 

 ううん、良くないね。きっとテラの考えが、ある程度反映してこの効果になってると思う。

 

 つまり、これには大事な理由があるんだよね……?

 

「そりゃ、このポンコツをもう1度墓地に叩き込んで……いや、大事な相棒に活躍の場を与えるためよ」

 

 

  ……回りくどい効果の理由は私怨でした。 

 

「うん、ま、いっか。それじゃあテラ、お願いするよ」 

 

「任せなさい!目標はあの黒いモンス「うん、永続魔法だね」 

 

「…………そうね」

 

 黒い球体……オブリヴィオンを投げつけ、のどかの永続魔法を破壊する。これを破壊しないと戦闘破壊ができないからね。 

 

 ……あ、弓使わないんだ。 

 

「っ!だけど、そのモンスターじゃ『イービルユニコーン』は倒せない!」

 

「うん?それはどうかな」

 

 テラの効果はこれで終わりじゃない。

 障害を破壊して、想いを願いを届かす。そんな力がある。

 

「テラがこの効果でカードを破壊したなら」 

 

「攻撃力は800ポイントアップよ!」 

 

「なん……でっ!」

 

 

『SATELLITEアーチャー テラ』

 

シンクロ・効果モンスター

 

星5/風属性/戦士族/攻 2300/守 1300 

 

『SATELLITEコネクター テラ』+チューナー以外のモンスター1体以上

 

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。 

①:このカードがS召喚に成功した場合に発動する。

自分の墓地から『SATELLITE』モンスター1体を選び、装備カード扱いとしてこのカードに装備する。

②:このカードの効果で装備した『SATELLITE』モンスター1枚を墓地に送って発動できる。

相手フィールドの表側表示のカード1枚を破壊する。この効果でカードを破壊した場合、このカードの攻撃力は次のターン終了時まで800ポイントアップする。

 

 

「なんでと言われても……そう願ったからだよ」

 

 これで攻撃力は3100。

 自己強化された『イービルユニコーン』も倒せる数値。 

 

「テラ、いくよ!」 

 

「了解!今度も格好良いやつ頼むわよ!」

 

「うん、頑張るよ」

 

 届きますようにじゃない、届かせる。

 想いとか、願いとか。 

 

「『SATELLITEアーチャー テラ』で『偽りの絆獣 イービルユニコーン』に攻撃!ウィッシュ・アロー!」

 

 テラが弓を引く、星が駆ける。

 眩い閃光のような矢が、偽りの絆獣を貫く。私の願いものせて。

 

「っ!うっっ!!」

 

 まだ、足りない。

 もやを消し去る光量も、LPを削り切る攻撃力も。

 

「ちょっとだけ驚いたけど、残念だったね、むすび。全然足りないよ!」

 

 そうだね、足りない。

 でも足りないなら増やせばいい、何度でも。

 

「もうできることはないよね!楽しくなってきたけど、次のわたしのターンで……」

 

「……次なんてないよ。言ったでしょ。このターンで終わりだって!」

 

 久しぶりに、本当に久しぶりに私も楽しくなってきた。

 でも、楽しいことならいつも通りの友達と分け合いたい。 

 

 やれやれだね。たった1日で随分と変わったもんだ、悪くない。 

 

「手札から速攻魔法!『SATELLITE MISSION─COMPLETE !』発動!!!」

 

「「「おぉ!!!」」」

 

 3人から驚きの声があがる。

 うん、私も驚いてる。同時にこの奇跡が必然だとも思ってる。

 

 

『SATELLITE MISSION─COMPLETE !』

 

速攻魔法

 

①自分フィールドのSモンスターが、相手フィールドの攻撃力3000以上のモンスターを戦闘で破壊した時、戦闘を行った自分モンスターを対象に発動できる。

そのモンスターは続けてもう1度だけ攻撃できる。

この効果の発動後自分の他のモンスターは攻撃できず、相手はバトルフェイズ終了時まで効果を発動できない。 

 

 

「この効果で!」

 

「うん、テラはもう1度攻撃ができる!」

 

「嘘でしょ……わたしのLPも3100……」 

 

 うん、だから……そろそろ終わりにしよう。

 

「テラ!もう1度、お願い!」

 

「任せなさい!何度でも!!」

 

「「ウィッシュ・アロー!!!」」

 

 炸裂する、さっきよりも強い閃光。

 きっとこの光はのどかに届く、確信がある。

 

  

 

「やったか!?」

 

「うん、フラグだからやめてね」

 

 砂煙が上がり、のどかの姿は見えない。

 不吉な言葉を言う、リゲルを制止して反応を待つ。

 

「あーあ」 

 

「のどか……」

 

 のどかは立っている。静かに、そして…… 

 

「負けちゃった」

 

「のどか!」

 

「って!危ないわよ!」

 

 倒れるのどかを抱きとめたくて、走ろうとしたんだけど……足がもつれてしまう。

 結局、私がテラに抱きとめられてしまう。あぁ……なんだか疲れた……

 

「結?結!?寝るな!寝たら死ぬわよ!?」

 

 うん、死なないよ。でも、ちょっと疲れたよ、久しぶりにこんなにも眠い……

 

 

 意識は落ちていく。少し無責任だけど……うん、仕方ない。あとはみんなに任せよう……

 

 おやすみ。…………あぁ、明日、遅刻しないといいなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………夢をみていた。

 

 幸せな夢だった?と聞かれると答えにくいけど。

 

 夢の中では新しい場所で、友達ができて、宇宙から来た精霊と仲良くなって。

 

 私にもちゃんと、感情とか心があって、誰かの為に頑張れて。 

 

 自分をもう少し信じてあげようと思える。ありえないとこばかりだけど…………そんな夢だった。

 

 うん、幸せな夢だったよ。ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……び!……すび!……ダメね、起…ないわ」

 

 …………声が聞こえる。 

 

「昨…はい…いろあったから仕方……な」

 

「そ…ね。イオ、カメ……わして」 

 

「はーい」 

 

 …………誰だろう、分からない。なんだか身体が疲れていて、起き上がれないし、声も聞き取りにくい。

 

「──座の皆さん!───座の皆さん!」 

 

 …………聞き覚えのある声だ。誰だろう、分からない。 

 

「──座のひとはちょっぴりバッド!」

 

 ……あぁ、夢で聞いていた声だ。

 

「そして──座のあなた!人生の分岐をしっかりと選べたかしら?何があっても大丈夫!誰だっていつだって変われるのよ、そしてきっといい事あるわよ!」

 

 

「なにか……変わるかな」 

 

 少しづつ意識が戻る。

 ゆっくりと頭が覚醒する、これでも寝起きはいい方。

 

「……夢じゃなかった」

 

 昨日の事……体感的には数時間前の事も思い出していく。

 

「あら、結。おはよう」 

 

「うん……うん?……おはよ…………なにしてるの?」

 

「なにって、仕事よ」

 

 身体を起こして周りを確認。

 

 マイクを持ったテラ、カメラを持ったイオ、偉そうに座っているリゲル。

 …………本当になにしてるの?

 

「だから仕事よ、仕事。ちっさい番組だけど『SATELLITE』印の占いを提供してるのよ」

 

「結構当たるんですよ〜」

 

「うむ、貴重な資金源だな。正直、働かないと食っていけん」 

 

「そうなんだ……」

 

 自分の他人への興味の無さが悔やまれる。

 思い返してみれば声だけじゃなくて、言葉の端々に聞き覚えのある言い回しがあった。

 

 うん、とりあえず……私は都会でも、変わらず占いをうける事ができるみたい。 

 

「夢じゃなかったんだ……」

 

 噛みしめるようにもう1度。 

 

「夢なわけないでしょ。あ、そうそう!あたしたちもここに住むから。今日からこの部屋は『SATELLITE 地球支部』ね」

 

「うーーん、いいのかなぁ……」

 

「良いのよ、許可はとってきたわ。いい管理人ね」

 

 いいのかなぁ……まぁ、いいのかな。 

 

「結だってあたしたちがいなかったら困るでしょ。デッキ的に、もやの回収とか、いろいろして……あと、あたしにデュエルを教えてちょうだい!」

 

「あ、テラちゃんズルい!わたしもお願いします〜!」

 

 うん、まぁ、簡単なルールくらいなら。

 

 

 ゆっくり天井を見上げる。なんだか……なんだかとっても賑やかになりそう。

 あんまり騒がしいのは好きじゃないはずなのに、なんでかな、悪くない。

 

「というか結。あんまりゆっくりしている暇はないわよ!早く朝ご飯食べて、支度しないと。今日は入学式なんでしょ?」

 

「うん、そうだね」 

 

「ご飯もらってきてあげる。パンとお米、どっちにする?」 

 

「うーん……パンかな」

 

「あら、気が合うわね」

 

 パタパタと駆けていくテラを見送って、ベッドから降りる。

 ここ数年なかった、賑やかな朝。

 

「うん、なにか変わるかも」 

 

 根拠はないけど、きっと良いことある。

 そんな言葉を信じたい、私の心はそう願っている。

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