MemoryStamp   作:彩波風衣

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今回からいよいよ3人で行動を起こします。
さっそく仲良くなって行動できる彼らのコミュ力が欲しい。


10.3人で一緒に、ゆけ

 ネスとポーラはスリークの町で敵のゾンビ軍団に捕まってしまい、地下に幽閉されてしまっていた。 脱出の方法を考えたとき、ポーラはテレパシーを使って遠くにいる仲間に救助を求めた。

 

「な、なに?」

「なんか落ちてきた……」

 

 その結果、2人の目の前に壮大な爆発音と共に奇怪なものが現れた。 あの爆発により破壊されたであろう何かの乗り物のようなもの、それが、上から降ってきたのだ。 呆然とするネスとポーラの目の前に、煙に包まれたなにかが動き出して言葉を発した。

 

「いてててて……やれやれ、スカイウォーカーのやつ……着陸したのか? それとも墜落したのか? ふぅ……!」

「誰かいる!」

 

 声は人間のものであり、驚くネス。 そんなネスの目の前に現れたのは、金髪とそばかすの、めがねをかけた少年だった。

 

「君が、ネスとポーラだね」

「えっ!? ボク達を知ってるのか!?」

「君たちが、僕を呼んだんだろう?」

 

 そう告げて、少年…ジェフは自己紹介を行う。

 

「説明はいらないよ。 僕はジェフ。 君達に呼ばれてきたんだ!」

「キミが、ジェフ……!」

「力は弱い。 目は極度の近視、恐がりで無鉄砲……こんな僕だけど、仲間に入れてくれるかな?」

 

 やや自虐的なのが気になるものの、ジェフは彼らとこれからの旅路を共にしたいと言っているのが伝わってきた。 いずれにせよ、あのテレパシーを聞いただけで自分達を助けるために駆けつけてくれたのだ。 そんな彼の勇気を称賛しないわけには行かない。

 

「ボク達の返事はひとつだよ! ね、ポーラ!」

「ええ!」

「一緒にいこう、ジェフ!」

 

 だから、ジェフの言葉に対しネスとポーラは頷いて答えた。 2人はジェフが仲間になることを受け入れ、ジェフも2人の仲間になる決意をあらたにする。

 

「よし、じゃあ早速ここを脱出しようぜ!」

「うん!」

 

 そういって3人は早速行動を開始する。 まずはこの洞窟を脱出することが最優先であり、この洞窟の入り口の扉は今も堅く閉じられている。 だが、ジェフの前ではそんなものは無力と化す。

 

「ここで、これの出番だ! ちょっとカギマシン!」

「不思議な名前だね」

「いや僕が名付けた訳じゃないから」

 

 ジェフはそういいながら、ちょっとカギマシンを使って洞窟の扉を開けた。 そうして奥へ進み、階段を上へ上っていき、2人はようやく外にでることができた。

 

「久しぶりに外にでられたぁ!」

「ああ、外の空気がおいしく感じるわ!」

「急いで助けにきた甲斐があったよ」

 

 確かに、ジェフがあの呼びかけに答えてなかったら、ネスとポーラはあのまま閉じこめられていたのかもしれない。 そうなってしまったら、世界をギーグから救うという使命も果たせない。

 

「そう考えたら、やっぱりジェフも選ばれた少年、なんだね」

「なんで僕なの、と思うこともあるけど……そう考えたら納得もできるね」

「私の予知は、こういうことを示していたのね」

 

 

 そうして久しぶりに外の空気を味わうネス達。 スリークの町は相変わらず暗く重い空気が包み込んでいるものの、洞窟の中と屋外では雰囲気がまるで違うのだ。

 

「さてと、ボクとしちゃボク達を幽閉した奴らに、仕返しをしたいところなんだけど」

「その相手がどこにいるのか、わからないね」

 

 次にドコへ向かうのがいいのだろう。 恐らく奥にある道も、まだゾンビが見張っているに違いない。 また手がかりを探さなければならない、と思っていたネス達は、何かを考え込んでいる少年に気付く。

 

「うーん……」

「どうしたの?」

 

 ネスが声をかけると、少年は自分が抱いていた疑問を素直に打ち明けてきた。

 

「あの町の真ん中にあるテントは、昔からあるけど……南側にあるあのホテルは、いつからあるんだろう?」

「え?」

「しかもあの場所は、テントを建てることを禁止にしてるはずなのに……変なの」

 

 そうつぶやきつつ、少年は近所の母親からすぐ家の中に入れと言われたのでそれに従い、家に帰っていった。 そこにのこされた3人は、少年が抱いていた疑問に気を向ける。

 

「なんか、くさいな」

 

 ジェフの言葉に対しネスとポーラはうなずき、準備を整えてからそのテントのある場所へと向かう。 町の南側、そこには確かにこの場所にテントを立てることを禁止するという規制の看板が立っており、これに反してテントが立っているのは、確かにおかしい。

 

「あのテントになにか、秘密があるかもしれない! 確かめよう!」

 

 ネスの言葉に対し、ポーラとジェフは頷いた。 そうして3人でテントの前に立ったとき、現象は起こった。

 

「うわ!」

「きゃあ!?」

 

 なんと、テントに鋭い目と鋭いキバが浮かび上がってきた。 つまり、テントに顔が浮かび上がっている。

 

「テントに顔が浮かび上がってきた!」

「化け物だわ、化けテントだわ!」

「しかも、こっちをにらんで牙をむけてきている!」

 

 3人は驚きのあまり目の前に起きたことを具体的に説明し、ばけテントがこちらに攻撃する体制に入っていることにたいし身構えた。

 

「えいやぁ!」

 

 ネスはバットを振り回してばけテントに攻撃をしかけるが、布一枚の体を持つばけテントには手応えがなく、あまりダメージが通っていないように見えた。

 

「き、きいてない!」

「相手が柔らかすぎるんだ、だから物理攻撃も受け流される。 無闇に物理攻撃をするのは効率的じゃない……ここは、別の戦い方をしたほうがいいかもしれない」

「だったら、これは?」

 

 ポーラはそういうと、力を集中して解き放つ。

 

「PKファイアーッ!」

 

 ポーラがそう叫ぶと、彼女から強い熱気が放たれ、それがばけテントに命中すると、激しく燃え上がる。 それにたいし、ばけテントは悲鳴を上げた。 それにたいし、ジェフはこの攻撃が有効だと気付いた。

 

「どういう原理かはわからないけど、効いているみたいだ!」

「へへ、超能力ってやつだよ! でもこれが効くなら、なんとかなるかも!」

 

 そういいつつ、ネスもまた同じように超能力のエネルギーを攻撃に変換して放つ。

 

「PKキアイ!」

 

 ネスのはなったそれも、ばけテントには刺さるようだ。 ダメージが通っている。

 

「やったわ! ネスの攻撃も効いてるみたい!」

「す、すごい!」

 

 まさか超能力が実在し、それを使いこなすことができるとは。 自分にない能力を持つ2人に、ジェフは関心していた。

 

 そうしてネスとポーラが主軸となり戦っていたものの、ばけテントもやられっぱなしというわけではなく、時折攻撃を仕掛けてきた。 それに耐えながら攻撃をしてきた2人だったが、突然ばけテントは口を大きくあけると、そこからネバネバした謎の液体を吐き出した。

 

「きゃあ!?」

「危ない、ポーラ!」

 

 ばけテントの狙いはポーラだと気付いたネスは、彼女をかばう。 だから、そのネバネバの液体を自分が受けてしまった。 それは動きを制限する作用でもあるのか、ネスはまともに動けない。 ポーラも再びPKファイアーを放ってばけテントを攻撃するが、その顔には疲弊が見える。 ばけテントも、それに気付いているようでポーラにもあの液体を吐き出そうとしていた。

 

「ダメだ、このままじゃ2人とも危ない!」

 

 任せっぱなしだという現実にジェフは気づき、素早くバッグからあるものを出してそれに火をつけて放つ。 彼が放ったのは鉛筆の形をしたなにかであり、それはロケットのように火を噴きながらばけテントめがけて飛んでいく。

 

「ウギャァァァ!!」

「!?」

 

 それが命中した途端、ばけテントは断末魔をあげ、爆炎と共に消滅していった。 その場に黒い煙が立ちこめ、はえみつのネバネバから脱出したネスと、おそわれそうになったポーラはジェフの方をむく。

 

「ジェフ、あれって……」

「ペンシルロケットだよ。 学校で密かに作っていた、ちょっと危ないアイテムなんだ。 もしかしたら役に立つかもと思って持ってきたんだけど、正解でよかった」

 

 そういいつつ、ジェフはネスに駆け寄って無事を確認する。 それにたいし、ネスは大丈夫だって笑って返す。

 

「キミのおかげで助かったよ、ありがとうジェフ」

「そんな、途中まで僕はいてもいなくても同じだと思ってたし……超能力を使える君達のほうがすごいよ」

「なにを言ってるのよ、ジェフだってすごいじゃない! あんなの、わたしじゃ使いこなせないわ」

 

 今回のばけテント戦で主軸となったのはネスとポーラだったが、もしジェフがいなければあのまま敗北していただろう。 3人が無事でいることは、3人が揃ったからこそ、敗北から逃れることができた証拠なのである。 そう思ったネスは、はっきりとした結論を出した。

 

「じゃあ、3人で一緒につかんだ勝利ってことにしようよ!」

「ありきたりだけど、それがいいかもね」

 

 結果オーライと言うことでその場は丸く収まり、3人はそこに残されたビンをみる。

 

「なにこれ?」

「わぁ、それはえみつじゃん!」

「はえみつ?」

 

 ビンを手にとって見つめていると、近くにいたボサボサ頭の少年がそれを指摘してきた。

 

「そのはえみつは、蠅が集めた蜜と言うことではえみつと名付けられたんだ! それは、ボスであるゲップーの大好物なんだよ! だから、おれにくれよ!」

「えぇ、なんであなたに渡さなきゃ行けないの!?」

 

 ゲップーといえば、ゾンビを生産しているボスだ。 そんなヤツの好物を渡そうとしてるヤツに渡して何のメリットがあるのだろうか、ポーラの言葉に少年は返答する。

 

「だっておれ、死にたくないし……ゾンビの味方になっていれば負けないし、人間につくより確実に生き残れるだろ」

「「「………」」」

 

 それをきいた3人は、白い目で少年をにらむ。 その圧に押された少年はビビって、そこから逃げていった。

 

「まぁ、持っていればゲップーと戦うときに役に立つかもしれないし、切り札的な感覚で持っていよう」

「そうだね」

 

 そういってネスははえみつのビンをリュックに入れ、これを使う時を待ち望む。 そうしてばけテントが消滅した跡地から離れたとき、ネスが持ち歩いていた受信電話がなにかを受信する。 それに気付いたネスはそれに応じる。

 

「もしもし?」

「もしもし、ネスさん? アップルキッドです」

「アップルキッド!」

「実は、変なものができたんですが、役に立つかどうか……」

 

 そんな前置きをしつつも、アップルキッドは自分が作ったアイテムについての説明をする。

 

「『ゾンビホイホイ』って言って、これを使うとゾンビが集まるマシンです」

「!」

「このゾンビホイホイは、テントのような場所の真ん中に置きます。 テントは、どこかにありますよね。 ……置いておけば、おもしろいようにゾンビどもがくっつきますから、いっぱいとってください。 地上にいるゾンビは、多分これで全部、退治できると思います」

 

 その説明を聞いた3人は目が輝きだし、ネスは興奮してアップルキッドに告げる。

 

「ナイスだよ、それは!」

「えっ」

「今スリークにいるから持ってきて、大至急! お急ぎ便で!!」

 

 興奮しているネスに対しアップルキッドは電話越しで戸惑いつつ、わかりましたと伝え、大至急でネス達の元に届くように手配すると伝えてきた。 そして、ほぼ数分後にマッハピザの配達員がそれを届けにきた。

 

「キターッ!」

「これがあれば、なんとかなるわね!」

「なんの目的があって作ったのか、どういうテクノロジーなのか、全くわからないけど! 今はこれを有効活用させていただこう!!」

 

 そのマシンさえあれば、あの奥の道を見張るゾンビもいなくなって、あの奥の道へ進める。 それに、地上ではびこるゾンビを一カ所に集めてしまえば、ゾンビの対処も簡単になるし、少しはスリークの町も居心地がよくなるかもしれない。

 

 

 

 ネスは早速、テントの中にいたスリークの町の人達にゾンビホイホイの説明をし、明日の朝にはゾンビがこのテントに集まるということを伝えた。 それを聞いたスリークの人々は半信半疑ではあったものの、ほかに手だてがないということで、このテントにゾンビホイホイを設置することを許可し、ネスはそれを実行。 ゾンビホイホイをテントの床に設置できた。 町の人達も、明日に備えてそれぞれで帰宅し、これによりゾンビが捕まることを祈っていた。

 

「じゃあボク達は、ホテルで一晩休むか」

「たぶん、大丈夫よね」

 

 そう相談しているのは、ネスとポーラが地下に幽閉される原因となったのがホテルだったからだ。 おそるおそる入ってみると、そこにはふつうにスタッフがおり、一時的に敵に占領されていただけのようだ。 3人は話をしホテルにチェックインすると、用意された宿泊室に向かう。

 

「明日の朝、テントがどうなっているのか……みたいようなみたくないような、不思議な気分だよね」

「ええ、でもそうすれば私達は目的が果たせるかもしれないわ。 そのためよ」

 

 そう話をしつつ、3人は晩ご飯としてコーラ片手にハンバーガーを食べていた。 明日になれば事態が進展すると考えながら、ネスはふとジェフに話題を向ける。

 

「にしても、ジェフってすごいよね」

「え、なんだよ突然?」

 

 突然話題を降られて驚くジェフに、ネスは笑顔で話をする。

 

「だって、ボク達の助けをテレパシーできいて、遠くから駆けつけてくれて、ボク達をあの地下牢獄から出してくれて……おまけにばけテントからボク達を守ってくれたじゃないか! キミはとても勇敢だと思うよ!」

「……」

 

 ネスの言葉を聞き、ジェフは彼らの能力に気付いたときに感じたことを伝える。

 

「ボクは超能力とかの不思議な力はない、だからキミ達の力になれるのかと一瞬でも不安を覚えたんだ」

「そんな」

「だけどね」

 

 あのとき劣等感と同時に、ジェフは感じた。 超能力を使いこなす彼らと共に運命を共にすることになったのは、特別な意味があることなのだろうと。

 

「君達の役に立てるんだったら、僕は僕にしか出来ないことで敵に立ち向かって、君達を助けようって思ったんだ。 だから、僕は得意なメカや知識で、君達の力になろうっておもう」

「そうだね、ボク達は機械とかはチンプンカンプンだけど」

「ジェフならきっと、大丈夫ね」

 

 超能力とて万能ではない。 これからは、それぞれの役割分担が重要となってくるだろう。 だから、自分になくて相手にあるものを重点的に考えていく必要がある。

 

「これからも、3人で力を合わせて一緒に頑張っていこう」

「うん!」

 

 3人は手を重ね合って、これからの旅路を共にすることを誓い合った。 そうして、スリークの夜が過ぎていき、朝日がのぼっていく。

 

 




スリークの話は、途中で別視点にはいるのもあって割と長いですよね。
そしてアップルキッドはとんでもないものを作りますねほんとに。
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