MemoryStamp   作:彩波風衣

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今回はゲップー戦をお届けします。
あと、色々省略したり、ネスのホームシックに触れたり。
そしてわたしはどせいさんに囲まれたい。


12.ゲップーとの戦い

 

 ゾンビを生み出しスリークの町を占領し、どせいさんを連れさらい働かせているという、ここ一帯の諸悪の根元・ゲップー。 ネス達はそのゲップーを倒すために、敵のアジトである工場へ乗り込んだ。

 

「なんだおまえ!」

「悪いけど、瞬殺させてもらうよっ!」

 

 そして、今彼らがいるのは最奥部へ続く部屋。 ぐちゃぐちゃした臭い生物が、ゲップーの居座る部屋へ続く扉を見張るように塞いでいたので、ネス達はそれにたいし攻撃を仕掛け、一瞬で倒した。

 

「もう邪魔者はいないよね」

「ああ」

「ええ」

 

 この奥にゲップーがいる。 ネスはポーラとジェフと戦う準備が出来たことを確認しあうと、意を決して扉を開ける。

 

「……ッ!!」

 

 その先にいたのは、ぶくぶくと泡を吹いている緑色のどろどろの液体に、触角みたいにとびでた目と、キバがそろった大きな口。 恐らくこいつがゲップーだろう。

 

「やいっ! お前が、ゲップーだな!!」

 

 意を決してネスがそのゲップーに向かってそう大声を出すと、ゲップーも大きなゲップをしながら口を開いた。

 

「うげぇーーーっぷ!」

「うわっ」

「おまえが、ネスか……そうか……ゴゲゴゲゴゲ」

 

 しゃべる度に悪臭がする。 これは口臭だろうか体臭だろうか、ネス達には判別がつかない。 それほどまでにこの怪物は、この世のものとは思えない悪臭を漂わせているのである。 青い顔をしているネス達に対し、ゲップーは話を続けてくる。

 

「おまえが、ギーグさまをたおすと、よげんがあったらしいぞ。 ゲハゲハゲハ!」

「なにがおかしい!」

「わらわせるなぁ。 こんなくそったれを……ギーグさまがすこしでも、おそれているとしたら……よのなか、おにもあくまもないものか……ゲヒヒヒヒヒヒ……」

「さっきからなにを言ってるんだ、この汚物は」

 

 ジェフはゲップーを汚物といいきり、まさに汚いものを見る目でゲップーをにらみつけた。 ポーラも鼻ごと口を覆い、ネスも彼女を守るように前にでて身構える。

 

「おれさまがいまから、さいあくのたたかいでおまえをしまつしてやる!! グッグッグッグッグッグ!!」

「くるわよ、こいつ!」

「へどろまみれになってくるしめ!」

「苦しみを味わうのはおまえの方だ、ゲップー!!」

 

 そう言葉が交わしあったことで、戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

「ぐげぇぇ!」

「PKキアイ!」

 

 ゲップーが吐き出してきた液体を、ネスはPKキアイで相殺する。 そのままゲップーは続けてポーラに攻撃を仕掛けようとしたが、ポーラがPKファイアーを放つとその炎に畏怖したらしい、距離をとって彼女に近づかなかった。 そこでジェフは電子銃を放ってみるが、効果はあまりない。

 

「うぅん、このままじゃ防戦一方だ!」

「グゲグゲグゲッ! このままおまえたちを、ゲロまみれにしてやるっ!」

 

 ここまでどちらかといえば、ゲップーがネス達に一方的に攻撃をしかけており、ネス達が行っているのはゲップーの攻撃の回避や相殺程度のものだった。 ゲップーは今自分が優勢だと思いこんでいるようだ、このまま勢いのままにネス達を押していき、倒そうとしている。

 

「なーんてねっ! こいつが目にはいらぬかぁぁ!!」

 

 だがそのゲップーのおごりこそ、ネス達の狙いでもあった。 ネスは得意げにリュックから例のはえみつが入ったビンを取り出すと、それをゲップーより向こう側へ投げた。 ボールで言うなら、剛速球だろう。

 

「はぁぁえぇぇぇみいぃぃつぅぅぅううーーーー!!」

 

 そのはえみつに気付いたゲップーは、ネスのことなど忘れてはえみつの方へ意識を向けそちらに飛びつく。 そして、ビンをあけてそこにあるはえみつをむさぼるように食べ始めた。

 

「バーカ! スキだらけよっ! PKファイアーッ!」

 

 そうポーラは強気に言い放つと、そのまま熱気の超能力を放ちゲップーの体を燃やした。 それによりゲップーの体は蒸発するように気体になっていく。

 

「PKキアイッ!!」

 

 そこでネスはPKキアイで追い打ちをかける。 その連続攻撃により大ダメージを受けたゲップーはネス達のことを思い出し、彼らに再び敵意を向けて襲いかかる。 まずは手始めにと、ゲップーはネスに飛びかかろうとしていた。

 

「させないわ! PKフリーズッ!」

 

 ポーラは今度は冷気の超能力を放ち、ゲップーを凍り付けにした。 それによりゲップーの体は固まり、動けなくなった。 そんなゲップーに対し、ネスとポーラはある人物を差し向ける。

 

「いまだ、ジェフ! 決めちゃえ!」

「いいよっ! ペンシルロケット・発射!」

 

 ネスとポーラに対しジェフは迷わずうなずいて返し、構えていたペンシルロケットを発射した。 このペンシルロケットはゲップーに命中しそこに爆炎が舞い上がり、この部屋に断末魔が響きわたる。

 

「グギャアアァァッ!!?」

「やったか!?」

「ネス、それはフラグだ!」

 

 ネスの言葉にジェフはツッコミをいれる。 その間に煙がはれる。

 

「グブグブ……」

 

 ゲップーはまだ生き残っていた。 だが、かなり弱っている。 その中でゲップーはネスに向かって言う。

 

「ゲーゲ……おれとのたたかいは、じじつじょうひきわけってことだな」

「うそこけ!」

 

 ゲップーの強引な勝負の結果を告げられたネスは迷わずそうツッコミをいれる。 だがまだゲップーは勝ち誇ったような態度が消えず、それにたいし警戒を強めていると、ゲップーはある情報を漏らす。

 

「だが、ギーグさまがしゅうとうにしかけた、マニマニのあくま、のせいで……だいとかい・フォーサイドは、ゲロゲロいじょうのひどいことになるはずさ」

「なんだって……!?」

「くるしみにいくがいいさ!」

 

 そう捨てぜりふを残してゲップーは逃げていこうとする。 それを、ネスは追いかけようとしていた。

 

「待てっ……」

「ネス、あぶないよっ!」

「ゲボゲボゲボゲボ……ゲボゲボ……ゲローーップ!!」

 

 だがその際、自分を追いかけてくるネスに向かってゲップーは口からドロドロしたものを吐き出し、ネスはそれをモロに食らってそれに埋まってしまった。 直前で帽子が飛んでいってポーラがそれをキャッチしたので、完全にきれいなままなのは帽子だけだった。

 

「うげぇ……」

 

 ドロドロの液体にまみれたネスは、その液体のベトベト具合とそこから漂うにおいのせいでグロッキーな状態になる。 この液体の正体はわからないというか考えたくない。 そんなネスをよそにポーラとジェフはゲップーを探したのだが、すでにゲップーの姿はなかった。

 

「逃げられちゃったわね」

「まぁでも、あれだけのダメージを受けたんだ。 しばらくは動けないだろう。 今はそれよりも……」

 

 そういって、ジェフはネスをみた。 今はゲップーの行方よりも、ネスの容態のほうが重要だ。 彼をなんとしてでも、今の状態から救わなければならない。

 

「この汚れたネスを、なんとかしないとね」

「汚れたネスって言い方はヒドくない!?」

「さっきどせいさんが教えてくれた抜け道を使って、サターンバレーに帰りましょう」

「……うん……」

 

 ジェフにサラリとひどいことを言われ、ポーラに冷静にいくべき場所を言われつつ、ネスはポーラとジェフの後ろについて行くかたちで、この基地を後にしたのだった。

 

 

 抜け道を通ったおかげで、彼らは無事にサターンバレーに帰還することができた。 どうやらゲップーがいなくなったことで敵の勢力が一気に落ち、工場もストップしたらしい。 とらわれて働かされていたどせいさん達もここに帰ってきているようだ。 そんなどせいさん達にお礼を言われながらも、彼らの体が臭いことを指摘してきた。

 

「ふぅ……どせいさんの温泉で、すっかりリフレッシュできたわね」

「うん」

 

 そんな彼らは、どせいさんに勧められて、この村にある温泉に入れられた。 ちゃんと男女別にしてあり、2人はのんびりと温泉でゲロのにおいを落とし、さらに気分までスッキリさせることができた。

 ネスにいたっては、服まで汚れてしまったのでどせいさんにより今選択しているので、いつもと違う格好になっている。

 そうして彼らは、風呂上がりにもう一つのリラックス方法としてどせいさんに、コーヒーを入れてもらってそれを飲んでいた。

 

「ネスは、ミルクや砂糖はいる?」

「うん、流石にブラックはまだ無理」

「わたしも同じ」

 

 そう話をしつつ、ネス達はミルクや砂糖を自分の飲みやすい味になるようにコーヒーに入れた。 そうして自分の飲める味になったコーヒーを、3人でそれぞれ飲んでいく。 そのおかげで、さらにリラックスできた。

 

「おいしいわね」

「うん」

 

 そうしてコーヒーを飲んでいるとき、ネスはふとある記憶を思い出し、ぽつぽつと語り出す。

 

「……むかし……」

「?」

「ボクがまだ、ちっちゃい頃に……パパが飲んでいたコーヒーを、ココアと間違えて飲んじゃって、それがすっごく苦くて、コーヒーを床にブチまけたことがあるんだ」

「あらら」

「あのころは苦くて飲めなかった……今も、ミルクや砂糖が入っているとは言え飲めてるんだよな、って思って……」

 

 そう、コーヒーにまつわる思い出話をしていく中で、ネスはふと思うことがあった。 それが、彼の口から淡々とあふれてきている。

 

「……そういえば……ボクにとって、家族と一緒は当たり前だったんだなぁ……。 パパは仕事で忙しくてなかなか帰ってこないけど、ママがいつも家にいて、トレーシーもチビもいて……みんなでよく、ボクの大好物のハンバーグを食べて……」

「ネス?」

「……家を出てから、かなりの時間が……経っちゃったんだな……もう、ずいぶんと帰ってないな……」

 

 語るにつれて、ネスは自分が今は家に帰ることがなくなっていることを自覚した。 いつもなら毎日帰っていた家、その当たり前は突然変わってしまった。 家を旅立っていったのは、家族の声を聞いたのは、ハンバーグを食べたのは、顔を見たのは、いつ以来なのだろうか。 急に、そんなことを考える。 同時に胸が締め付けられるような、冷たい空気が心臓や脳味噌を包んでそのまま凍りづけにしてしまうかのような、そんな感覚になり、意識がぼーっとしてくる。

 

「どうしたの、ネス」

「……え……」

「もしかして、ホームシックになっちゃった?」

「!?」

 

 ジェフに心配され、ポーラからの指摘を受けたネスは驚き戸惑う。 彼女の言ったホームシックというものに、抵抗を覚えたネスは反発する。

 

「ち、ち、違うよ! そんなんじゃないよ!!」

「なーに、恥ずかしがる必要はないと思うわよ?」

「だ、だって」

 

 ネスは自分をホームシックだと認めたくないのには、理由があった。 自分は大手を振ってあの家を旅だったのに、まさかホームシックになってしまうことが一人の男として恥ずかしいのはもちろんのこと、ポーラやジェフだって本来の日常をなげうって自分と同じ使命を背負って旅だってて、今もがんばっているのだ。 なのに自分だけ、自分の家庭を思い出すのはワガママなことだ。 そうネスは考えていたのだ。

 

「もう、ネスってば変にかっこつけちゃって……そういうの、逆にださいわよっ!」

「うっ」

「そうだね、無理しないほうがいい。 僕達もそのくらいのことで失望するほど、器が小さい人間に生まれてなんかいないからね」

「ポーラは図星をしっかりついてくるし、ジェフは細かくて難しいことで指摘してくるっ!」

「だから、遠慮しないで、そうなっちゃったならなっちゃったっていっていいのよ! わたしはあなたのママさんには会ったことがないけど、きっとネスがホームシックになっても受け止めてくれるとおもうわ」

「そうかな」

「きっとそうよ。 だから、会ってもいいし……なんなら電話でもいいからお話をしたらいいわ」

 

 そうはなすポーラに対し、どせいさんは電話があると伝えてきた。 ジェフもポーラの案に賛成しているようだ、うんうんとうなずいている。 ネスは、それでも強がろうとする。

 

「……そう、するよ……」

 

 だが、強がりはできなかった。 自分の本心には抗うことができなかった。 だから、ポーラとジェフの言葉に甘え、どせいさんの電話を借りて、実家に電話をかけた。 すると、ママがでて、ネスの寂しそうな声を聞いた彼女は元気づけるために明るい声でネスにエールを送った。 その声を聞いたネスは、心が温かくなり気持ちが軽くなり、自然とその顔に笑顔を浮かべていたのだった。

 

「よし」

 

 こうして、ネスはホームシックを克服するのであった。

 

 

 翌日、体力が完全に回復したネス達は、どせいさんの情報を頼りに、ミルキーウェルという場所に続く洞窟を攻略した。 その洞窟は植物系の敵が多く、奥には例の光の塊が存在していた。 その光もまた、ちょうねんじゅのめという、土の塊に目玉と唇と芽が生えたような生物に変化して、ネスがこの場所に進む力があるかどうかを試してきた。 苦戦を強いられ、命中した相手をダイヤモンドにかえるという恐ろしい技をなんとか回避して、ネス達はなんとかその敵に勝利することができた。

 

「ここが、キミの場所なんだね」

「うん」

 

 そこは、小さな噴水のようなものが潮吹きしているような、甘い香りのする場所だった。 心が穏やかになり、3人は先ほどの戦いの疲れが一瞬で消えるのを感じた。 これもまた、パワースポットの力のようだ。

 

「……うん、これでこの場所の音は無事に音の石に入ったよ」

「目的は果たされたのね」

「うん」

 

 音の石をおでこに当てると、新しい音が聞こえてきた。 これで、ミルキーウェルの音が音の石に記憶されたことになる。

 

「ねぇ、ネス」

「ん?」

「これからは、ホームシックかもって思ったら迷わず、わたしやジェフに相談してね」

「えっ」

 

 唐突にホームシックの話をされ、ネスは赤面して戸惑う。 ジェフは確かに、と頷きつつポーラの話をつなげていく。

 

「昨日も言ったけど……キミがホームシックになったとしても、それだけで失望するような人間じゃないよ、僕達は。 だから、今後はもしそうなったとしても、僕達を信用して、そうなってしまったと正直に伝えてくれ。 そうしたら、僕達も協力するよ」

「……ジェフ……」

「そうよ、電話がしたいなら電話まで連れて行くし、なんなら一緒にオネットまで帰ってあげるわ。 だから、かっこわるいとか迷惑だとかは、一切考えないで」

「……ポーラ……」

 

 2人の励ましを受け、ネスは今後は自分がホームシックになっても弱気にならないで、正直にそれを伝えることを決める。 その証にネスは、ジェフとポーラに対して力強く頷いた。 彼のその顔を見たジェフとポーラは、にっこりと笑う。

 

「ふく、ぴかぴかいいにおい、もどりました」

「あ、ありがとう!」

 

 そうしてミルキーウェルを出てサターンバレーに帰ってきたとき、どせいさんはネスに、あの服を返してきた。 帰ってきたネスのいつもの服は、汚れやシミが一つもなく新品のような美しさになっており、においも柔軟剤のさわやかなにおいになっている。 あの悪臭漂う汚い戦いの痕跡など、なにひとつ残っていないのが、ネスには嬉しいことだった。

 

「この服をもう一度着れるなんて、ありがたいよ!」

「よかったわね」

 

 その服は一旦リュックに入れておいて、また別のホテルで一晩寝てまた旅立つときに、再びその服を着ようとネスは決める。 そうして、ネス達はサターンバレーに居座る理由がなくなったことで、再び旅立つことになった。

 

「またくる、いいです。 おれいします、ぽえーん」

「うん、またいつでもくるよ! ばいばーい!」

 

 そう声を掛け合いどせいさんに別れを告げ、ネスとポーラとジェフは、サターンバレーを旅立っていったのであった。

 




ミルキーウェルも省略しました。
くどいかなと思ったので…あまりこういうのはかかないですね…。
終盤は本当に戦いをかきたいと思います。
そしてホームシックも、話をスムーズに進めるためにかかないことにしました。
文章に出してないだけで、実際はよくかかります。
触れたのは、ある意味マザー2では重要な要素なのかもと思ったからです。
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