MemoryStamp   作:彩波風衣

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スリーク編から砂漠へ移行します。
ここでちょっとした、オリジナル展開があります。
砂漠での冒険を違和感なくするためにいれてみました。


13.砂漠を越えて

 

 スリークの町に戻ってきたとき、スリークの町は明るく、澄んだ空気に満ちあふれていた。 ゲップーを倒したことでゾンビや化け物もいなくなったうえ、空が晴れたようだ。

 

「うわぁ、最初に訪れたときとぜんぜん違うや!」

「これが、この町の本当の姿なのね!」

「空気がおいしい……!」

 

 そのすがすがしい空気と晴れ渡る空を全身で感じて、3人は自然と心地よくなり自然と笑顔を浮かべていた。 その本来のスリークを彼らが感じ取っていると、一人の女性がネス達に気づいて近寄り、声をかけてきた。

 

「聞いたわ! あなた達がゲップーを倒してくれたんですってね!」

「え、なんで知ってるの!?」

「あいつらの味方についてた奴らが教えてくれたのよ、ネス達にゲップーが倒されたって! 人間側がゾンビ達に勝ったんだって、あなた達をたたえているようだったわよ!」

「……」

 

 それってそいつがゲップー側から人間側に寝返っただけじゃないのか。 そうつっこみたかった3人だったが、この空気を壊すのもアレなので、黙っておくことにした。

 そんな女性の言葉で、ネス達の存在に気づいたらしい。 スリークの人たちがこの場に集まってきて、全員ネス達に声をかけてきた。

 

「ああ、あの人達がゲップーを倒してゾンビ達を根元から断ち切った人たちだよ!」

「わぁ!」

「君たちがそうなのか……ああ、ありがとう……!」

「感謝してもしても、感謝の気持ちがあふれてくるよ!」

「あなた達のおかげで、私たちはふつうの日常が送れるようになったのね!」

「ありがとう、ありがとう!」

 

 彼らが3人に告げてきたのは、平和が戻った喜びと、取り戻してくれた彼らへの感謝の言葉。 誰もが今帰ってきたこの明るさと空気を、喜んでいる。 突然多くの人に詰め寄られ、戸惑うネス達だったが、その顔はまんざらでもなかった。

 

「でも、感謝されるのも悪い気はしないね」

「ふふ……たしかにちょっと、くすぐったいかも」

 

 そう3人はそれぞれで照れくささを感じていると、地元のカメラマンが是非3人の姿を撮影したいと言い出してきた。 この話にはネス達もノリノリでOKし、記念に一枚撮ってもらった。

 その後、3人はスリークが元に戻ったお祝いの席にも同行し、豪華な食事と楽しいサーカスを見て、ひとときの平和で楽しい時間を過ごした。 その夜は、特別にタダにしてもらったホテルにもとまり、3人は自分達の行動が無駄でなくよい形で結果を生み出せたことに喜び、この勢いのまま次の町に向かい、再び巨悪に立ち向かう決心を固めたのだった。

 

「僕達一人じゃ立ち向かえないけど」

「仲間がいるから平和を取り戻せた」

「この気持ちを忘れずに旅をしよう」

 

 

 そして翌日、ネス達はスリークの町の人たちに別れを告げて、バスにのって次の町へ向かうことになった。 大騒ぎにならないうちに、町を立ち去ることにしたのもあるし、早めに次の町に行きたいというのもあった。

 

「ねぇ、ジェフ。 次の町の情報ってなにか持ってる?」

「えっと、確か……」

 

 そのバスの中、ガイドブックを持っていたジェフにネスは興味を示し、ジェフから次に自分達がいくであろう町の情報にかんする話を聞こうとしていた。 その話には、ポーラも耳を傾ける体制に入っており、ジェフはガイドブックを開きながら次の町の話をする。

 

「次に僕達がいく町の名前は、フォーサイド。 イーグルランドの中でも高層ビルの立ち並ぶ大都会らしいよ。 いくつもの大企業が集っていて、高層のデパート、大きな劇場に博物館、毎日にぎわう酒場などがあるみたいだ」

「わぁ、大都会! なんだかあこがれちゃうな!」

「今この町を取り仕切る有権者は……モノモッチ・モノトリーという人なんだってさ。 突然名前を挙げたことから、希代の能力者って言われてるらしい」

「突然出てきて大都会のトップ!? すごいねっ!?」

「………」

 

 モノトリーなる人物の情報にネスは素直に感心するが、ポーラだけはなぜか浮かない顔をしていた。 それに気づいたネスは、ポーラに声をかける。

 

「どうしたの、ポーラ?」

「えっ……ううん、なんでもないわ」

 

 ポーラはそういってネスに笑いかける。 そんなポーラに対し、ネスは首を傾げた。 正直ポーラには、ネスが深く追求をしなかったことがありがたかった。 自分は彼に対し不穏な感情を察知したのだが、その原因が自分でも分からなかったので返答に困るところだったからだ。

 

「どっちにしろ、大都会は私も行ったことがないから……楽しみね。 特にデパートが楽しみだわ」

「買い物か、やっぱりポーラも女の子だね」

「いいじゃない」

 

 ジェフの台詞にたいし、ポーラは頬を膨らませる。 そんな彼女に対しジェフが笑うと、突然バスが止まった。

 

「わっ!?」

「なにがあったんだ!?」

 

 急ブレーキを起こしたバスに驚き、3人は開いた扉から降りた。 すると、バスの進行方向の先に、数体のバッファローの群が屯していた。

 

「バッファロー?」

「このバッファローがここにいるせいで、車がまったく進まないんだ!」

「じゃまだし……こいつら、さっさと殺しちゃおうぜ」

 

 そういって一人の男が猟銃を構え、その銃口をバッファローに向ける。

 

「だめだっ!!」

「あ、ネス!」

 

 そのとき、とっさにネスが飛び出してバットを振り回し、猟銃を弾き飛ばした。 猟銃の持ち主である男性は驚き、ネスに向かって怒鳴る。

 

「なにしやがる、このガキ!」

「あなたがバッファローを殺そうとしたからだよ!!」

「なにぃ!?」

 

 男は怒りを込めてネスをにらみつけるが、ネスは臆することなく、男に反論する。

 

「この子達にも、動けない理由があるんだよ! 何で人間は一方的に殺されるのをいやがるのに、人間からは一方的に殺せるの!?」

「うっ……うぐっ……」

「このバッファロー達が動くように、ボク達が解決するから……彼らの命を奪わないで!!」

 

 ネスの言葉に言葉を失った、男性を含めた人間一同。 誰も、ここでバッファローが銃殺されても顔色一つ変えなかったであろうことが、ネスの言葉に対する反応で伝わってくる。

 

「すぐに解決してみせるから、誰も彼らに手を出さないで」

 

 そういいながら、ポーラとジェフはネスに合流してきた。 彼らを巻き込んだと思ったネスは、2人に謝罪の言葉を告げる。

 

「ごめん! ジェフ、ポーラ!」

「いいよ、君の気持ちは分かるからね!」

「さぁ、バッファローが動けない理由を探しましょう!」

 

 ジェフとポーラの言葉を受けたネスはうなずき、バッファローに事情を尋ねた。 なんとなくではあるものの動物の気持ちや言葉がわかるネスは、バッファローに事情を聞くことに成功する。

 

「……そうなんだね、わかったよ!」

「なにかわかったの?」

「この子がボスで、この子の子どもがこの砂漠で迷子になっちゃったみたいなんだ! その子が見つからないと安心して動けない……てさ!」

「子どもが……それは、心配ね」

「早く見つけだしてあげよう」

 

 理由がわかればこっちにものだ、とにかくネス達は人々にバッファローの群をここから動かすことを約束させ、はぐれたバッファローの子どもを探し出すために行動を開始したのであった。

 

 

 

 砂漠の捜索は難しい。 広いし熱気で3人が日射病にかかりかけるし、砂のせいで動きにくい。 日射病はあらかじめ買っておいたぬれタオルで冷やすことでなんとか防げているが、動きや視界は中々改善されない。

 だが、あの場所にいるバッファローや道路に立ち止まっている人々のためにも、一刻も早く目的を果たさなければならない。

 

「ふぅ、たすかったぁ……」

 

 その途中で、砂漠で何かの発掘作業をしていた作業員を発見し、その作業員が餓死しかけていたので、あわててネス達は自分が持っていた飲み物や食べ物をわけてあげた。 そのおかげで、作業員の男性は無事に回復することができた。

 

「大丈夫ですか?」

「ああ、君の分けてくれたもののおかげで満腹だよ。 これで埋蔵金発掘の続きが出来る」

「ま、まいぞうきん?」

 

 テレビの企画でやっていることを実際にやろうとしている人が実在するのか。 自信満々に埋蔵金を捜し当てると言い切っている彼に疑問はあるものの、ネス達は自分達がバッファローの子どもを探していることを伝える。 少しでも情報があるのなら手に入れたいから。

 

「小さなバッファロー……そういえば」

「なにか心当たりがあるんですか?」

「この近くに小さなオアシスがあるんだけどね、そこで小さなバッファローがじっとしてるんだよ。 不自然だなって思ってたんだけど、迷子だったんだな」

 

 そう作業員の男性の話を聞いたネスは、その場所に向かった。 その時に助けてくれたお礼は必ずすると、彼に言われて。

 

「あ、ネス! あそこ!」

「いたっ、あの子だ!」

 

 発掘現場に近い位置にある小さな池…小さなオアシス。 そこにはひとまわり小さなバッファローがいたのだが、その周囲にふわふわと浮く不気味な生命体がおり、そのバッファローを取り囲んでいた。 バッファローは怯えており、生命体は攻撃的な体制に入っているのが、目に見えてわかる。

 

「やめろ、その子に近づくな!!」

 

 今まさに生命体がバッファローに攻撃を仕掛けてこようとした、その時だった。 ネスはPKキアイを放ち生命体を攻撃、倒すことはかなわなかったものの、敵の注意をこちらに向けることに成功した。 こちらに敵が向かってきたので、ジェフが電子銃で攻撃をしている間にネスとポーラがPSI攻撃を繰り出して、敵の生命体達を一掃する。 そうして恐怖が去ったことでバッファローは安心したらしい、しっぽをふってネス達に近づいてきた。 ネスも、バッファローをそっと撫でてやる。

 

「よしよし、怖かったね」

「キミの仲間が待ってるから、いこう」

「ぶぉもう」

 

 そう声を掛け合い、3人は急いでバッファローの群の元へ向かった。 いそがねば、しびれを切らした人々がバッファローを攻撃するかもしれないし、その逆のケースもありえる。 だから、双方に被害を一つも出さないようにと、3人はとにかく急いで帰ってきた。

 

「よかった、まだ誰も殺されてない!」

「約束だからな、それにまたあんな屁理屈言われちゃ、たまったものじゃない」

 

 道路にいる人は皆無事で、バッファローも皆無事だった。 まずはそのことにネス達は安堵し、その後で子どもを彼らにかえした。 仲間…その中にいる親を見つけたバッファローは迷わずそちらへ向かい、無事を確認しあって再会を喜んでいた。

 

 

 そうして子どもを見つけて安心したバッファローの群は、ここに居座る理由もなくなったという事で、道路から立ち退いた。

 

「ばいばーい!」

「元気でねー!」

「もうはぐれちゃダメだぞー!」

 

 ネス達はバッファローの群に対しそう別れを告げ、その姿が見えなくなるまで見送った。 もう道を妨げるものがない、と知った人々は再び車を走らせていく。 ネス達も、バスの運転手に促されバスの中に乗り、そのバスはネス達の搭乗を確認してから再び動き出した。

 

「ふぅ、砂漠って動くだけで疲れるね」

 

 バスの中でミネラルウォーターを飲みながら、のどを潤し疲れをとる3人。 もうこの砂漠の冒険だけで、ミネラルウォーターを何リットル飲んだだろうか。 それほどまでにこの砂漠の道は、人を熱で苦しめるものなのだ。 おまけに足下も砂しかなく動きにくい。 今は人に容赦なく襲いかかる敵もいるから、よけいに渡っていくのが難しい。

 

「でも、わたし達が頑張ったかいはあったと思うわ。 あのバッファロー達も、人々も……みんな無事だったんだもの」

「ま、それもそうだよね」

 

 ネス達は無闇に戦うことは好まない。 だから自分達からは攻撃はせず、あくまでも向かってくる敵を迎え撃つだけだ。 必要のない戦いはしない。 それができてこそ、自分達は世界を救う資格と、それを可能にする力を得られると考えているからだ。

 

「これからも、このスタンスを出来るだけ保ちたいね」

「うん。 そのためにも……もしそれが崩れそうになったら、例えわたしであっても……全力で攻撃して止めてね」

「うーん……そういうことには絶対になりたくないなぁ……」

「まぁ、それが一番いいんだろうね」

 

 そんな話をしている間にバスは、トンネルにさしかかろうとしていた。 そのトンネルにはいり、奥へ進んで後少しででると言ったところで、ジェフはその先にあるものをネスとポーラに告げる。

 

「この先が大都会・フォーサイドだ!」

「おぉ……!」

「いよいよ……!」

 

 トンネルを抜けたらそこは、大都会だった。

 




既に勢いだけでやってます、この長編。
今更ですけど。

そんなわけで(?)次回はフォーサイド編に突入します。
大都会でネス達がどんな難事件に巻き込まれるのか…お楽しみに。
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