今回でようやく3人パーティが復活します。
モノトリービルに突撃したネス達は、トンズラブラザーズの助け合って、ついにモノトリーと合間見えた。 ところが、とうのモノトリーはこのフォーサイドを牛耳るといわれてるとは到底思えないほど、弱々しい老人だった。
そんなモノトリーの実態に驚きつつもネスは、このビルに入った真の目的である、仲間のポーラの救出をはたした。
「……さて、と。 ポーラは見つけられたし……あとは……」
モノトリーをなんとかするべきだ、そう思いモノトリーをにらむネスを、ポーラは声をかけて阻止しようとする。
「でもネス、モノトリーさんは……悪い人なんかじゃないわ」
「バカなことを言うなよ!」
「とにかく、話を聞いてあげてっ」
「ぽ、ポーラ……」
「ネス、平静を保てよ」
「ジェフまで……」
正直ネスとしては、簡単にモノトリーを許せる気がしなかった。 フォーサイドを牛耳ることにたいしては他人事なのだが、自分達からポーラを連れ去り引き離し、ポーキーを取り入れて彼を有頂天にして、手下をけしかけてトンチキを消した。 そのことが許せなかった。
だがポーラとジェフにいわれて、ネスはモノトリーに近づき話を聞くことにする。
「……この、細い腕をみてくれ……ほら、薄い胸。 頭は白髪で、真っ白だ……」
「……」
そういって、モノトリーは自分の弱々しい老人の姿をネスに見せてきた。 沈黙を続けるネスに、モノトリーはさらに己の弱さを告げる。
「あの、マニマニの悪魔がなくなってしまった今では、私になんのパワーもない! ポーラをさらったのは悪かった……だが、なんの危害も加えていない」
モノトリーはポーラが、自分の本当の弱さに気付いてくれたことを思い出し、語る。 自分をさらった悪人である事実は変わらないはずなのに、ポーラは何度も、モノトリーを慰めてくれたことを。
「なによりも……ポーラは、本当に、優しい子だった……危害を加える必要がないほど……にだ……」
「……」
そんなポーラに、モノトリーは部屋に閉じこめる以外はなにもしなかった。 外傷を与えたりすることや、彼女の目の前で非情な行為に出ることはどうしてもできず、不自由ない処置を施していたのだ。 それは、彼女の慈愛に気付いていたから出来たことである。
「さぁ、ポーラちゃん。 ネスくんたちの元にお帰り。 いろいろ、心配をかけて……怖い思いをさせて、本当に、申し訳なかったね……」
「え、ええ……」
モノトリーに言われて、ポーラは改めてネスの仲間として彼のそばに行った。 そして、未だに無表情で黙ったままのネスに、ポーラは声をかける。
「……ネス……」
「………」
必死に彼を許すように説得するまなざしを向けるポーラ、黙っているが本筋を忘れないようにと視線を向けるジェフ。 そんな2人の目線に負けたネスは、はぁ…とため息をつきつつ結論を出した。
「あーもう、わかったよ……!」
「!」
「ボクは力のない人を殴るほど、落ちぶれてないし、そんな人間にはなりたくない。 憎しみに任せて、好き放題するような弱い人にも、ならない。 それに、ボク達がここにきたのは、ポーラを助けるためだ。 目的さえ果たせれば、ここにも、あなたにも、もう用はないよ」
「ネスくん!」
「ネス!」
ネスは、結果としてモノトリーを許すことを決めた。 それにたいし、ああはいったものの心のどこかでネスによる報いをうける覚悟をしていたモノトリーや、彼を許すことを願ったポーラは顔を明るくさせる。
そしてネスはモノトリーにたいし、しっかりとこう注意もした。
「だけど、次に同じようなまねしたら……今度こそボクはあなたを許さないからね!」
「……うむ……約束しよう……もう権力を手に入れようなどと……バカなまねはしない……」
「ならよし、約束だよ!」
そう約束を交わし、この敵対関係の一件はここで終わりという事にした。
話がすべて終わったところで、モノトリーは意を決してあることを彼らに語る。
「……君達への償いの証として……私の知っていることを、すべて、話そう」
「うん、お願いします」
モノトリーは彼らに、マニマニの悪魔を通して知ったことを、すべてネス達に打ち明けることにしたのだ。 あの像の力も、何故それを手にした自分が変貌したのかも、すべて。
「マニマニの悪魔は、人に幻を見せる。 そして、邪悪な心を増し、悪魔のパワーをもたらすのだ。 私はその力が怖くて……ボルヘスの酒場の倉庫に、あれをかくして、時々拝みに行っていた……」
「……」
幻影を見せる道具、その威力は自分達も体感した。 ネスとジェフは、あの幻の世界のことを思い出しつつ、モノトリーの話に引き続き、耳を傾けた。
「幻の中には、謎のような言葉が含まれていて……その中には、ネスくん。 君達の名前もあった」
「なんだって!?」
「ということは……やっぱりマニマニの悪魔は、あいつが作ったものと言うことか」
今ネスと敵対し、彼のことを疎ましく思う存在といえば、例のあいつぐらいなものだ。 自分達が最終的に戦い、打ち倒すべき巨悪。 その存在のことを改めて感じるネスに対し、モノトリーは像の言葉をそのまま伝える。
「……ネスをお前の手でくい止めろ、とか……サマーズへゆかせるな、ピラミッドをみせるな……」
「どういうこと?」
「私にはよくわからんが、君達をサマーズにゆかせないようにしたいらしい。 あくま……も、ギーグ……も、聞こえたが……」
「!」
はっきりと巨悪…ギーグの名前が出たことでネス達は顔をあげた。 やはりあのマニマニの悪魔は、ギーグが生み出したものなのだ。 疑惑が確信に変わった。
「悪魔の方は、君達がサマーズにゆくと、困るらしい」
「ということは、逆に言えば……僕達はなんとしてでも、サマーズに向かうべきなんだろうね」
そして同時に、次に自分達が向かうべき場所も知る。 サマーズとピラミッドが、カギとなっていることにも。 サマーズに行くのが、自分達の新たな目標であることを認識したネス達に、モノトリーはある援助をおくる。
「サマーズは海の向こう。 私のヘリコプターを使ってくれ」
そういってモノトリーは、ヘリポートへの道をあけてくれた。 まさかヘリコプターを貸してくれることに、ネスたちは驚く。
「いいの?」
「私は……もう、疲れた。 君達自身の力で、きっとなんとかなるだろう。 そんな運命を……ネスくん! 君は持っているらしい」
「うん」
「じゃ、ポーラ。 さよなら。 気をつけてくんだよ」
「はい!」
そう彼らはモノトリーに別れを告げてその道を通り屋上のヘリポートに出た。 そこには一機のヘリコプターが止まっており、実物をこんな近距離で見たこともなければ乗ったこともないネスは、思わず興奮する。
「おっ、かっこいい!」
早速乗りたい、と思い近づこうとしたネスだったが、急にヘリコプターのプロペラが動き出し、宙に浮かび上がった。
「え、ちょ、ボク達まだ乗ってないです! そのヘリコプター乗ります!」
「バスかよ……わっ!」
「きゃあ!」
ヘリコプターが宙に浮かんだときにおこる急な突風に驚くネスたち。 空に浮かび上がったヘリコプターから、金髪で太った少年が顔を出して、高笑いをした。
「はっはっは!」
「ぽ、ポーキー!」
「とんまやろうのネス! じたばたしてもおそいぜ!」
ヘリコプターは一足先に、ポーキーに乗られてしまったのだ。 目を丸くしているネスに対し、ポーキーは見下しながらここに用はないことを告げてくる。
「お人好しに戻っちまったモノトリーじいさんには、もう用はないね! おれいま、ヘリコプターに乗れてうれしいぜ!」
「なにいってんだ! それはボク達がモノトリーさんから託されたものだぞ! お前のものじゃない! 返せ!」
ネスは必死にポーキーに向かって叫ぶが、そんなネスに対しポーキーはさらにバカにするような言葉を向けてくる。
「おしりペンペーン! あっかんベロベロベー!」
「このクソガキッ……」
「じゃ、バイバーイ!」
「まてっ!」
そうネスはポーキーを止めようとしたが、ヘリコプターの動きは早く、あっという間に彼の姿は見えなくなってしまった。
「ク、クソッ! 逃げられた!」
ネスは悔しげに、拳を強く握った。
いずれにせよ、ヘリコプターを奪われた以上、本来の移動手段はなくなった。 ここは別の方法を見つけだすしかない、と考えたネスたちは、まずモノトリーの元へ向かい、事情を説明する。
「なんと、ポーキーが……ヘリコプターを……大丈夫かな」
「別の意味で不安なことをいった!」
どうやらモノトリーがポーキーを利用したと言うより、ポーキーがモノトリーを利用しようとしてたらしい。 いずれにせよ、ポーキーが一人でヘリコプターを操縦していったことに対し、モノトリーは不安を見せているだけであった。 ポーキーは何とかしなければならないものの、自分達は別にサマーズへいく手段を探すことになったので、今はそちらに意識を向けなければならない。
「ボク達は、また別の方法を探します」
「そうか」
力になれなかったモノトリーを安心させるようにそういって、ネス達は一度モノトリービルを出ようとした。
「……!」
「ポーラ?!」
「………」
突然ポーラが立ち止まり、無表情で黙ってそこで立ち尽くした。 ポーラの異変に焦るネスだったが、すぐにポーラは我に返る。
「ちょっとめまいがしただけよ。 大丈夫」
「本当に? 無理をしないでよ?」
「うん、本当に大丈夫」
そう返しつつポーラは、先ほどの自分の身に起きたこと…もとい、自分が読みとったことをネス達に伝える。
「でも、サマーズに行くためには……スリークに戻る必要があるわ。 今、強くそれを感じたの」
「そうなんだ」
「じゃあここはポーラの言うとおり、スリークに行ってみよう。 そうすれば、突破口が見つかるだろうし」
ポーラの予言は的中する。 今までそのおかげで自分達は危機をかいくぐれたのだから。 だから、ネスもジェフも、ここはポーラの言葉に従い、サマーズへ行くための手段を得るためにスリークへ向かうことを決める。
「よぉう!」
「わぁ!?」
「あら!?」
そう次の目的地をいったん決めたところで部屋を出たとき、彼らに向かってトンブラが駆け寄ってきた。 そういえば彼らがいたことを思い出すネスとジェフ、なぜここに彼らがいるのかがわからないポーラ。
そんな彼らにお構いなく、トンブラはテンション高く話を続けてくる。
「トイレに行っている間に大活躍しやがって! ハッハハハ!」
「「トイレ行ってたのかよ!!」」
「なになに、ポーラちゃん、今からスリークに行きたいって?」
「え、ええ」
「OK! おれたちのトラベリング・バスでスリークまで送るぜ!」
「わ、ラッキー!」
トンブラのバスにもう一度乗れることにも、スリークに楽に行けることにも、ネス達は喜んだ。 そうしてトンブラはバスの準備を行うために、一足先にビルを出ていった。
「よし、早速ビルの外に出てトンブラにあおう! そんでもって一緒に、スリークへいこう!」
ネス達もそれに続こうとしたとき、ネスが持っていた受信電話が誰かからの通信を受けた。
「こんなときに、誰だろ?」
「もしもし、久しぶり。 アップルキッドです」
「あ、アップルキッド」
電話の相手は、アップルキッドだった。 アップルキッドはどこか自信満々に、ネス達に電話越しに自慢をし始めた。
「やっぱりぼくは天才です。 天才だってことが、はっきりしましたよ。 ネスさん達と、全ての人類の敵がなんであるかがわかりました」
「あぁ、そうなんだ!?」
「それでですね」
「うん」
アップルキッドの言う敵というのは、おそらくギーグのことだろう。 それに関する話がまさか彼から来るとは思わなかったネスは、戸惑いつつアップルキッドの話を聞いた。
「なんとか、この敵との戦いに勝たなきゃいけないわけで、スペーストンネルというものを作る必要があるんです」
「スペーストンネル?」
「だから、ぼくはこれから、さすらいの科学者・アンドーナッツ博士を捜して、一緒にスペーストンネルを造るんですよ」
「あ、アンドーナッツ博士?!」
そこに出てきた名前に対し、ジェフが驚く。 そんな彼らのリアクションをアップルキッドは流し、彼らに重要なことを告げる。
「つまり、しばらく留守にするんでよろしく!」
「あ、うん、またね?」
そういい残して、アップルキッドは通信を切った。 一方的だし自慢話を主にされた気がするものの、実際にネスは今まで彼の発明のおかげで先へ進むことができたことがあるので、彼の優秀さを疑う理由がないのも事実。 ここは、アップルキッドが天才であることを受け止めることにした。 彼の行動がまた、自分達の助けになると信じて。
そうアップルキッドとの電話を終えたネス達は、モノトリービルを出て、バスをスタンバイさせていたトンブラと合流した。
「オーケー! ノリノリでバスに乗れ!」
「オーケー!」
そう声を掛け合い、ネス達はトンブラのトラベリング・バスに乗って移動し始めた。 そのノリのいい音楽と共に彼らはフォーサイドと、砂漠と、トンネルと橋を通って、スリークの町に戻ってきた。
「そういえば、ツーソンからスリークに行った方法も、このバスだったわね」
「そうだね」
「君達は二度目だったんだ、ちょっとうらやましいな」
「でしょ!」
懐かしい話も交えつつ、トラベリング・バスはスリークの町に到着した。
「ついたぜ! イェイ!」
「ありがとう!」
目的地に着いたので、ネスとポーラとジェフはバスから降りた。 今となってはスリークの町も、久しぶりで懐かしさも感じる。 フォーサイドで様々なことを経験したからだろう。
「おれ達、大したことはできなかったけど、お前達の味方さ」
「苦しいときは、おれ達の歌を思い出してくれよ。 どっか遠い空の下で、トンズラブラザーズがコーラスをつけてると思って!」
「うん!」
実際にトンブラには救われたし、彼らの存在そのものがネスにとっては大きな支えになる。 元々彼らの曲が大好きだったというのもあるが、それでも自分達の味方だと言ってくれた彼らの曲は、自分達にとってさらに大きな力を持つ応援となる。 その喜びが、ネスにさらなる勇気をあたえ力となるのだ。
「……ところで、どうしてこの町に戻る必要があったんだ?」
「なにかこの町のどこかに、大事なものを置き忘れてきた……どうだ? おれの推理、当たってるだろ?」
「ああ、えっと」
「オーケーブラザー! 答えなくっていいぜ!」
このスリークに忘れ物がある、それがサマーズへの手がかりとなる。 それを感じたネスがどう返答しようか考えていると、彼らはそう返事を返して、言葉は不要であると伝えてきた。
「じゃあな、グッドラック!」
「ばいばーい!」
「ありがとー!」
「またねーっ!」
そうネス達は、トンズラブラザーズに別れの言葉をつげて、彼らのバスが見えなくなるまで、彼らの音楽が聞こえなくなるまで、その方向を見てひたすらに手を振った。
「……いっちゃったわね……」
「うん、でも……心はとってもスッキリしてるよ……」
「うん、確かに」
世界が平和になったら、また彼らのライブを聴いて、またいっぱい話がしたい。 3人はそう思いながらも、スリークでの忘れ物を探し出そうと思った。 ここまで力を貸してくれた彼らのためにも、自分達は先へ進んで応えたいと思ったからだ。
「とりあえず、今日はもうホテルで休もう」
「そうだね……もう日が傾いちゃってるし……」
「久しぶりに3人で、ホテルに泊まって眠りたいわ」
そう語り合い、ホテルで一泊して今日の疲れをとることにした3人。 日数などの時間で言えば僅かな数字かもしれないが、彼らにとっては離れていた時間は長いもののように感じていたのだ。
だから、この夜は離れていた時間の埋め合わせをしたく思っていたのである。
「そうだ、ポーラ、いってなかったことがあったね!」
「そうだったね!」
「え、なぁに?」
ネスとジェフは顔を見合わせてうなずいたあと、ポーラに笑顔を向けて言った。
「おかえり!」
「……ただいま!」
そしてポーラもまた、ネスとジェフに対し笑顔を向けつつ、そう告げたのであった。
あそこでポーキーが出てくるとはなぁ…と初見プレイ時思いましたね。
しかも憎たらしいのなんのって。
そんなことはどうでもいいか。
ようやく3人でまた冒険ができるようになったところで、
次回はウィンターズ・サマーズ編をお届けします。