MemoryStamp   作:彩波風衣

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MOTHER2もペースは亀より遅いですがやっていきます。
今回はオネットでの不良撃退作戦を描きますよ。


02.不良軍団をやっつけろ

 

 ブンブーンの言葉に従い、ネスは意を決して冒険の旅に出ることを決めた。 昨日遭遇した殺し屋の宇宙人におそわれたとき、ブンブーンは教えてくれたのだ。 自分は普通の少年と違う能力を持っていることを、それは自分の心が強くなることで目覚めていくことを。

 ブンブーンは不幸にも命を落としてしまったが、それがネスの旅立ちに発破をかけ決意を固めさせた。

 

「というわけでママ、信じられない話かもしれないけど……ボクは旅にでるからね」

「そうなの、じゃあママはネスを応援するわ! ファイト! ファ・イ・ト♪」

「わたしもお兄ちゃんの味方だよっ」

「わん!」

 

 ネスは家族に旅立ちを伝えたところ、家族は反対すると思ったのだがノリノリで自分を送り出すことをきめた。 だから話を聞いた夜は、ネスの大好物であるハンバーグを用意して、家族でで食べた。 自分を信じてくれてるのだろうか、とネスは思いこみ、この家族のためにも自分は冒険をクリアしなければと思うのであった。

 

「はいこれ、パパのキャッシュカード」

「え、いいの?」

「ええ。 パパにこのことを話したらね、貴方にこれを渡してほしいって言われたの。 旅の助けになるように、お金を使わせてくれって」

「……パパ……」

 

 ネスの父親は仕事が忙しすぎて、滅多にかえってこれない。 このキャッシュカードは、今も会えない自分が息子にしてあげられる精一杯の援助なのだろう。 ネスは、そのキャッシュカードを受け取り、父の思いを確かめる。

 

「ママ。 パパとの電話で伝えて。 ボクがありがとうって言ってたこと。 そして、お金を大事に使うってこと」

「ええ、もちろんよ」

 

 ネスが決して無駄遣いをしないことを知っていたみたいだ、ネスの言葉を改めて聞いた母は、笑顔で息子に激励を贈る。

 

「なにかあればいつでも帰ってきていいわ、だから安心して冒険に行ってらっしゃい」

「はい、いってきます!」

 

 そう母に励まされ、ネスは、いきおいのままに家を出て冒険の旅に繰り出したのだった。

 

「あ、そうだ」

 

 家を出てちょっと歩いたところで、ネスは家の庭にこっそりと作ったブンブーンのお墓のことを思い出し、そちらへ向かった。 それは、小さい土の山の上に枝をつなぎ合わせた十字架を刺しただけの簡単なものだったが、なにもしないよりはマシだろうと思い、ネスはこれを作ったのである。

 

「いってくるね、ブンブーン」

 

 ネスはブンブーンの墓にお祈りをしながらそう言った後、笑顔で立ち上がり歩き出した。 ブンブーンの最期の願いを無駄にしないために。 そして、これ以上の犠牲を出さないために。

 

「……」

 

 そして、そんなネスの姿を、ポーキーはじっとみていた。 もちろん、ネスはそれに気付いてない。

 

 ネスはブンブーンのお告げに従い、自分だけの場所のひとつである、ジャイアントステップへいこうとしていた。 それは、オネットの町中にあることはなんとなく知っていたので、そこへ向かう。

 

「えぇ、カギがかかってる!?」

「そうなんだよ」

 

 その近くに秘密基地を持っているネスの同級生達の言葉に、ネスは驚愕する。 ネスは旅のことは言わず、ただジャイアントシテップにいきたいとだけ伝えたところ、そこへ続く道は市長によってカギがかけられてしまっているそうなのだ。

 

「今までそんなことなかったのに、なんでそんなことを……」

「なんかウワサだと、シャーク団という奴らが町で悪さをしていて、そっちの方を解決することに集中したいからと言ってたな。 だから、ジャイアントステップどころか、隣町のツーソンにいく道も封鎖されてるみたいだぜ」

「そのせいでオレ達も、ツーソンにいけないんだよなぁ」

「なー」

 

 オネット警察のすぐ道を封鎖するクセにたいする不満は、ここでもたまってきているようだ。 今ネスがいくべきところはジャイアントステップではあるものの、これから冒険を続けるためにはツーソンにもいく必要があると感じた。

 

「ツーソンにいくにしても、ジャイアントステップにいくにしても、警察が邪魔だなぁ」

 

 まさか町を守ってくれるはずの警察の存在が、こうも邪魔に思える日がきてしまうとは。 呆れながらもネスはなんとかカギを開けて貰えないかと、警察に直にお願いしにいった。

 

「ジャイアントステップへの道をあけてください! ボクはどうしても、そこにいかなきゃいけないんです!」

「あぁ、ダメダメ。 今こっちはシャーク団の始末で忙しいんだ。 道をあけている暇はないんだよ」

 

 だが、ネスがどれだけ懇願しようとも、警察は道をあけるつもりなどない様子であり、またネスが目的の場所に行かなきゃいけないことに関しても興味がなかった。

 

「それとも君が、シャーク団をおとなしくさせてくれるっていうのかい!?」

「おいおいなにいってんだ、こんなガキに無茶ぶりするなよなぁ!」

「あっはははっ!!」

 

 それどころか、警察官達はネスを挑発する。 その煽りを受けたネスは、ピキっと頭に青筋ができる感覚を覚えた。

 

「……そんなにいうんだぁ……へぇぇ?」

「え」

「上等だよ! そこまで言うんだったらボクが、シャーク団だかシャリ団だかシャコ団だか知らないけど! その悪い奴らとっちめてやるんだからな!! あんた達の出来ない仕事、やってやるよ!!」

 

 そうネスは警察に啖呵をきり、そこを飛び出していった。 そこに残された警察達は口々に狼狽える。

 

「お、おい……さすがに挑発しちまったか?」

「な、なぁ……あの子になにかあったら、あのこの親からクレームとかくるんじゃないか?」

「し、知らん知らん!」

 

 自分たちには出来ないんだから、あんな子供にできるわけがない。 そう警察達は思いこみ、先ほどのネスのことは忘れようとしていた。

 

「よし、バットも新調したし……それに……」

 

 だがネスも無策ではない、シャーク団と大喧嘩を繰り広げるための準備を、彼は彼なりに整えた。 まずは新しいバットの購入。 これで小柄な自分でもシャーク団と互角にやりあえる。 そして、ネスにはシャーク団に勝てる、ある秘策があった。

 

「ブンブーンはこっそりボクに教えてくれた、ボクの中に特別な力が目覚めようとしてるって……!」

 

 その特別な力が自分の中に現れつつあることは、ネスにも自覚があった。 この力を使えば、自分はシャーク団を倒せるという確信を得たとき、前から人がぶつかってきた。

 

「おう、何ぶつかってきてんだ坊主?」

「!」

 

 黒い服に黒いマスク、これは紛れもなくシャーク団。 彼はネスに喧嘩を売ってきているのが、その目つきから伝わってくる。 彼は笑みを浮かべながらネスに殴りかかってきたのだが、ネスはそれを瞬時に見切り、回避した。

 

「おらぁぁーっ!!」

「うごぉ!」

 

 殴りかかる勢いでそのまま前に転んでしまったシャーク団の背後をとり、ネスはその尻に向かって思い切りバットの一撃を食らわせた。 その痛みによりシャーク団は耐えきれなくなり、泣き叫びながら走り去っていった。

 

「よし、フルスイングで一発、スマッシュヒットだね!」

 

 今のは最高の一撃だったんだ、とネスは達成感に満ちた笑みを浮かべた。 そして、同時に自分の中に力がわき上がってくる感覚も覚える。

 

「なんだあのガキ! 仲間をぶっとばしやがったぜ!」

「みんなでぶっつぶすぞ!」

「おっと! 勝利の余韻にひたれなーい!」

 

 だがそのわき上がった力の正体を確かめる暇もなく、他のシャーク団がネスに喧嘩をふっかけてきた。 ネスは持ち前の運動神経や直感力、そして負けん気の強さでシャーク団を次々に相手をしては全部倒していく。 そうして自分に襲いかかってきたシャーク団を一掃し、ネスはようやく戦いの勝利を感じる。

 

「さて、この調子でいくかぁ!」

「おい」

「んっ?」

 

 ネスは後ろから声をかけられた。 するとそこには、金髪にサングラスをかけた、赤いスーツの男がたっていた。 いかにもワルだという風貌のその男は、ネスの顔を見て名乗りを上げる。

 

「オレはシャーク団ボス・フランクだ。 お前は?」

「え、ボス!? キミがボスなのか! なんでこんなことを」

「さっさと名乗れ、ふざけんなーっ!!」

「せっかちにもほどがある!?」

 

 自分はただ、シャーク団の悪事の理由を聞いただけなのに。 そりゃすぐに名乗らないネスにも非があるかもしれないが、それでも攻撃的になるのはおかしい話にもほどがある。 ちょっと名乗りが遅れただけでフランクはネスに向かってナイフを向けてきた。

 

「ひぇぇ!?」

 

 間一髪でネスはそのナイフを回避し、バットでフランクの腕を殴りナイフをその手からはなさせた。

 

「うぁ!」

「よし!」

「この程度で、おわらねぇよ!」

 

 ネスはすぐにフランクの持っていたナイフを回収したが、フランクはナイフをもう一本隠し持っていた。 そのナイフでネスは腕を切られ、血が流れる。

 

「い……ったぁ……!」

「シャーク団に逆らうからこうなるんだ、わかったか!」

 

 ナイフで切られた痛みで苦しむネスに対し、フランクは勝ち誇った笑い声をあげた。 それでネスも怒りを覚えたらしい、その腕の痛みをこらえながらバットを勢いよく振り回し、フランクの股間にスマッシュヒットさせる。

 

「いでぇぇぇぇえ!!!」

「倍返しだっ!!」

 

 ネスはこっそりと、腕の傷をある方法でなおして、もう一本のナイフも拾い回収し、フランクにバットを向けた。

 

 

「うぐぐぐ……くそぉぉ! このまま、負けられるかぁ……!」

「なにをするつもりだっ!?」

 

 フランクはネスに殴られた股間をおさえ、ネスにうたれた腕を使って植木をあさっていき、奥にある謎の機械のスイッチを押して動かした。 それにより機械は動きだし、ネス達の前にその姿を現す。

 

「な、なんだこれー!?」

 

 それは、顔のついた戦車のようなものだった。 予期せぬ兵器の登場に、ネスは驚く。

 

「はっはっはっは!! これぞ、我々の秘密兵器だ! さぁいけ!」

 

 戦車はフランクの指示の元に動き、ネスの方につっこんでいった。 ネスはそれを回避したが、戦車の突進の威力はすさまじく、塀を破壊した。 その威力を目の当たりにしたネスは顔を青ざめさせ、あれを食らったらひとたまりもないとふるえる。

 

「うごぉぉ!?」

 

 だがおびえているネスに戦車は容赦なくつっこんでいく。 ネスはそれを今度は素早く木の上に上ることで回避したが、その木は戦車がつっこんだことでおれてしまった。 それで地面に落ちてしりもちをつくネスに、戦車はさらに攻撃をとばす。

 

「このぉ!!」

 

 戦車の砲台から飛んできた鉄球をバットで打ち返し、その鉄球は戦車の顔にクリーンヒットしひるんだ。 そのとき、ネスは自分の胸の内になにか、力がわき上がるのを感じた。

 

「そうだ……この胸の内があつくなる、この感覚!」

 

 その感覚の正体を、ネスはすでに知っている。 今、それを形にするときだと、直感が教えてくれている。

 

「いくぞ……」

 

 ネスは相手が鉄球の一撃にひるんでいる隙に、自分の集中力を一気に高め、己の中心部分に力を集めていく。 そして、戦車が我に返りつっこんできたところで、その力を一気に解放する。 その力の名前を、大きく口に出しながら。

 

「PK・キアイ!!」

 

 ネスから放たれた、強大な念波のようなものが戦車に襲いかかる。 その力はすさまじく、フランクはサングラス越しに目を見開かせ、自分の作った戦車が念波により木っ端微塵にされていく様子を、ただただみているしかできなかった。

 

「やった、戦車を壊したぞ!」

 

 ネスはただただ無邪気に、戦いの勝利を喜ぶ。

 

「……なんてことだ……」

 

 普通の人間にない力を見せられ、その力で戦車は破壊されてしまった。 あの謎の力を目の当たりにして、呆然としてフランクはこの少年に勝てる気がしなくなり、彼に告げる。

 

「こいつを破壊されたってなれば……オレの……完敗だ……」

「じゃあ、ボクの勝ちでキミの負けでいいの?」

「ああ、男に二言はねぇ」

 

 フランクはもうネスに自分はかなわないと悟り、負けを認めた。 正直相手が悪かったのだが、いいわけにしかならない。 自分がこんな子供に負けたことの屈辱がのしかかっているのだ。 これではもうシャーク団を続けるなんて出来ないし、今までその地位に立っていたことや続けた意味をなくしていた。 そう、ネスに殴られた部分を抱えていると、彼の元に光が舞い降り、痛みが消えていった。

 

 

「えっ?」

「はい! これでキミもよくなったと思うよ!」

「!?」

「普通の人にはヒミツだけど、ボクちょっと普通じゃないんだ。 だから、キミの傷もこうやって治せるんだよ」

 

 自分のカラダの痛みが一瞬で消えたこと、そしてそれはネスの仕業であったこと。 戸惑うフランクにネスが説明を入れても、それでもフランクの戸惑いは消えない。

 

「な、なんで」

「うーん、生まれつきかな。 自覚したのは最近だけど」

「そこじゃねぇ」

 

 だがフランクがもっとも気になっていたのは、ネスの使った特別な力ではない。 彼が自分の痛みを消した、その行動のことだ。

 

「なんで、オレを助けようとした?」

「なんで……って」

「オレ達がシャーク団で、オネットのあちこちで悪さを……自分勝手に好き放題していたこと、忘れたワケじゃないだろ!? 知らないわけがないだろ!? お前にケガさせて兵器も向けた! そんなヤツ、助ける価値もねぇだろうがっ!!」

 

 フランクはシャーク団の行いが悪であると自覚していたのだ。 わかってて行いを行っていたのだ。 自分は思い罰を受けても当然だと思っていた。 だから、それを責めないネスに違和感を抱いたのだ。 そんなフランクに、ネスは自分の考えを伝える。

 

「たしかに、ケンカをふっかけられたけど、ボク自身にはついさっきのことだ。 それまではシャーク団の噂はいっぱい聞いてたけど、ボクは被害に遭ってなかった。 さっき、キミもボクは傷つけられたしね」

「だったら」

「だけどね」

 

 ネスは少し怒ったような声で、フランクに言う。

 

「だからといって、ケガしたまま見捨てる理由にはならないよ」

「……っ」

「もうキミもボクがやっつけたことで痛い目にあったし、負けは認めたんだろう? だったら、もうケンカする必要はない。 キミもボクも、これ以上戦う必要はないってことだよ。 第一、ここでキミをケガさせたまま放置したら、ボクはキミ達以上の悪者になる」

 

 ネスは真剣な目でフランクに、言った。

 

「そんなことになったら、ボクは家族を裏切ることになる。 それだけは、絶対にいやなんだ」

 

 そう告げてくるネスの表情も目も、まっすぐで嘘もかげりもない。 彼は本心を伝えている。 それでフランクは、己の小ささを思い知り、落ち着いた態度でネスに名前を尋ねる。

 

「なぁ、名前、ちゃんと教えてくれ」

「うん。 ボクの名前はネスだ」

「ネス、だな」

 

 ネスの名前を聞いたフランクは、自分達の戦いの理由をネスにたずねる。

 

「仮にもオレ達は町の厄介者としておそれられてるシャーク団だ。 いくらお前が特別な力を持っているとはいえ、わざわざオレ達に喧嘩を売りにいくとはおもえん。 なにか理由があるんだろ?」

「うん。 ちょっと詳しい事情はいえないけど……ボクはどうしてもジャイアントステップに行かなきゃいけないんだ。 だから、市長さんにカギをもらいたい……」

「それで、市長と警察を納得させるため、オレ達に喧嘩を売ったということか」

 

 フランクの言葉に対し、ネスはうなずいた。 それでフランクは、ネスにたいし完敗を覚え、彼に激励を贈る。

 

「わかった、お前の事情はしらねぇけど、負けは負けだ。 シャーク団はオレがまとめて、おとなしくさせる。 だからお前は、市長にあってカギをもらって、ジャイアントステップにいってこい。 そして、本当の目的を果たせよ」

「ありがとう、フランクさん」

「呼び捨てでいい、お前の特権だ」

「……うん、わかったよ。 フランク」

 

 年上なのに呼び捨てを許されるということは、相手に心を許してもらった証だ。 そのフランクの誠意をネスは受け取り、彼と手を合わせる。

 

「じゃあ、ボクはもういくよ。 またね、フランク!」

「ああ!」

 

 そうネスとフランクは言葉と握手を交わし、ネスはジャイアントステップに入るためのカギを手に入れるため、市長の元へ向かったのだった。

 

「ネス、か。 面白いヤツだな」

 

 そんなネスの後ろ姿をみて、フランクはにやりと笑ったのだった。

 




ネスの強さとやさしさ、意外にも潔いフランクとか、色々かけたとおもいます。
次回は話の流れ通り、ジャイアントステップの冒険をお届けします。
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