MemoryStamp   作:彩波風衣

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投稿できるうちにやっときたい。
というわけで今回はピラミッド攻略編です。


24.ピラミッドを越えろ

 

 海上でのクラーケンとの戦いをとおして自分が調子に乗っていたことを痛感したネスは、一晩かけて反省し、翌朝には立ち直っていた。 朝起きたネスは、そのことで仲間達…とくに傷ついて倒れたポーラにたいし深く謝罪をした。 ポーラはそんなネスを快く許し、彼らは再び旅立つことになった。

 

「よし、ピラミッドを必ず越えてみせるぞ!」

 

 仲間の励ましを受けて立ち直ったネスは、二度と同じ過ちをおかすまいと心に誓い、元気な笑顔を見せる。 そんなネスの表情をみた仲間達は、ネスはもう大丈夫だと確信し、彼とともに今後も旅を続けることにした。

 

「あ、そういえば!」

「急にどうしたんだ?」

 

 そうしてスカラビのホテルを出たときだった。 ネスはあるものを思い出し、声を上げた。 何事かと首を傾げる3人の目の前でネスは、自分のリュックに手を突っ込んであるものを取り出す。

 

「あら? それって……」

「そうだよ! ボクがフォーサイドのデパートで買っておいたものだよ!」

「……そういえば、そんなこともあったな……」

 

 ネスが取り出したのは、彼がかつてフォーサイドで購入したお揃いのリストバンドだった。 4つあるそれは、ネスがこの地球を救う仲間としての形を表したくて購入し、4人で身につけておきたいという思いがこもっているのだ。

 

「本当は、仲間が4人そろったときにみんなで分け合おうと思ってたんだけど……ボクがあの有様になってたせいで、ボク自身がすっかり忘れてしまっていたんだ」

「そうだったんだな」

「うん……だから改めて、みんなにこれをあげるねっ!」

 

 そう言ってネスは3人に、リストバンドを渡した。 事前に話を聞いて賛同していたポーラとジェフはすぐにそれを自分の手首につけ、プーはそれをじっと見つめて、感想を口にする。

 

「……こういうの、もらうのは初めてだ」

「そうなんだ」

「だから……嬉しいぞ。 ありがとう」

 

 プーはネスに対しそう笑いかけながら言うと、ポーラやジェフと同じように手首にリストバンドをつけた。 そうして仲間たちが自分のあげたリストバンドを受け取りつけてくれたのを確認したネスは、嬉しい気持ちになり、自分もまた、リストバンドを手首につけたのだった。

 

「えへへ」

 

 そのリストバンドを4人は、心から嬉しそうな笑顔を浮かべて見つめた。

 

 

 そうして4人は仲間である誓いのリストバンドをつけたあと、スカラビから砂漠へ繰り出し、ピラミッドへ向かった。 入り口の前でたたずんでいたスフィンクスがしゃべり出し、ネス達に謎かけをしてきたものの、サマーズの博物館にあったヒエログリフでヒントを得ていたネス達は、その謎をクリアすることができた。

 

「入れ、勇者たちよ。 タカのめを見つけだすのだ」

「やった!」

 

 スフィンクスはそういってピラミッドの扉を開けた。 謎解きが成功したネスは強い笑顔を浮かべて、仲間たちと共にピラミッドに足を踏み入れる。

 

「ここが、ピラミッドの内部なんだ」

「本当に迷宮ね……でも、真っ暗というワケじゃないわ。 あちこちにかかっている松明に火がともっているもの」

「どういう仕組みだろう……まさか、あのスフィンクスの力か?」

 

 そうピラミッド内の松明に対する疑問は出てくるものの、真っ暗闇を進まずに済むと知ったネス達は、砂まじりな石造りの迷宮の廊下を、カツカツと歩いていった。

 

「わぁ!?」

「な、なんだ!?」

 

 そんなとき、背後に怪しい気配がしたのでネスがそちらに向かってバットを構えると、そこには線だけでかかれた蛇が、数体いた。 その姿に対し、ネスは驚愕し声を上げる。

 

「え、絵がうごいたぁぁ!?」

「これも試練か」

「んな冷静な!?」

 

 そんなやりとりをしつつ、ネス達はその動いている線だけの絵の敵……動く壁画と呼ぶべきものと戦った。 普通に戦って何とかなるのが、幸いと言うべきなのかはわからないが、いつも通りに戦闘を行い退けることができたので事なきを得た。

 

「さぁ、迷子にならないように進んでいこう。 絶対に独りだけで動くなよ」

「う、うん」

 

 こういうとき、最年長であるプーが先導していってくれるのがありがたい。 彼は先頭にたって周囲を慎重に調べつつ、正しい道を見つけてネス達を導いてくれる。 途中で敵が現れたら4人で迎え撃ち、戦いに連続で勝利していった。 心なしか、以前よりもチームワークが増している気がするのは、仲間の存在感の強さを個々で再認識できているからかもしれない。

 

「この部屋は、広いな」

「うん」

 

 長い廊下を越え、階段を下っていった先にあったのは、比較的広い部屋だった。 その中央の大きな台座の上には、これまた大きな棺があった。 その棺に対し、ネスは不思議な予感を覚える。

 

「この棺、なんか怪しいね」

「なんだろう……動きそうで動かない……そんな感じがする。 例えるならエンジンがないと動かない車、みたいな……」

「そんな独特なたとえをされても」

「とにかく、普通の力押しでは動かないから、これを動かすものを見つけたほうがいいということだろう?」

 

 別の場所に、この棺を動かす方法があるのかもしれない。 そう思ったネス達は、この棺を動かす方法を探すため、廊下と階段を通って別の部屋へ移動していった。

 

「……ここは、別格に広いな……」

「随分と深い階層にきちゃったね」

「ここが一番地下、なのかしら」

 

 そう、その部屋を個々で調べようとすると、ネスは部屋の中央にある奇妙なものに気がついた。

 

「ん? なんだろう、あれ?」

「あれ?」

 

 ネスが気付いたもの、それは積み重ねられた石垣だった。 その石はネス達の前で独りでに動き出すと、やがて巨大な人型のもなにかに変化していく。

 

「………」

 

 それを目撃したネス達は、沈黙した。 そこにあったはただ石が積み重なったものではなく、大きな動く石像だったのだ。

 

「うぉぉぉぉん……!」

「うわぁ、こいつやる気だぞ!」

 

 その大きな動く石像は、ネス達に向かってほえながら拳を突き上げた。

 

 

「わわ、シールド!」

 

 まずはネスに拳を突きつけてきたので、ネスはシールドを使ってそれを防ぐ。 そこにポーラはPKフリーズを放ち石像の体の一部を凍らせて動きを鈍らせ、その足下にプーが懇親の蹴りを入れる。

 

「ぐぅぉぉおおん!」

「おっと、僕を忘れるなよっ」

 

 そういってジェフはバズーカを構え、それを石像の顔面に向かって発射する。 その衝撃により石像はジェフの存在に気付いてそちらをむくが、途中で動きが止まった。

 

「貴方には攻撃をさせないわ」

「その通りだ」

 

 ポーラとプーが同時に、PKフリーズを放つことで石像の体を凍りづけにしたのだ。 それによりジェフが再びはなったバズーカの一撃が、左腕と右腕をそれぞれ破壊し、攻撃の手段を奪うのだった。

 

「とどめを決めろ、ネス!」

「OK! いくよ……PKキアイッ!」

 

 そこでネスが動き出し、PSIの攻撃を放ちそれを石像に命中させた。 その一撃が聞いたらしい、石像は崩壊し崩れ落ちた。 これにより、この戦いの勝利を確定させる。

 

「ふぅ、一件落着の大勝利、だね!」

「ああ、今回はみんなの息が合ってたな!」

 

 4人がそれぞれで力を出しあい、動きをあわせることで一見太刀打ちできなそうな石像を倒せることが証明できたことに、勝利と爽快感を覚えているのだ。 そうして大きな敵を倒して得た勝利を実感しつつ、石像の近くにあったスイッチに気付く。

 

「さて、このスイッチを押してみよう」

 

 おそらくあの石像は、スイッチをネス達に踏ませまいとおもい攻撃を仕掛けてきたのだろう。 ということは、このスイッチは押した方がいいものなのかもしれない。 そう考えながらネスがそのスイッチを押すと、別の方で思い何かがうごく音が聞こえてきた。

 

「なんだ、今の音?」

「もしかして、さっきのあの、動きそうで動かなかった棺が動いたのかな?」

「そうかもしれない。 戻ってみよう」

 

 ネス達は例の棺があった部屋に戻ってみると、台座に大きな穴があいていた。 あの棺は今、少しずれている。

 

「やった! 棺が動いたことで道が開いている!」

「よし、飛び込んでみようよ!」

「ええ!」

 

 そう声を掛け合った4人は喜び勇んでその穴の中に飛びこんだ。 4人は見事に着地を決め、そうしてたどり着いた先の部屋の台座に気付く。 そこには、白くてとがっていて目の模様が書いてあるなにかが、捧げものののように置かれていた。

 

「これが……タカのめ?」

「と、台座には書いてあるな」

 

 そこにかかれている文字の通りなら、これが自分達の探し求めていたタカのめというアイテムだろう。 さらに台座の文字を読んでみると、そこにはここまでたどり着いたものにこのタカのめを捧げる、とかいてあるらしい。 とりあえず、ここに目的があって到着したネス達は、このタカのめを受けとる権利があるということだ。

 

「これがあれば、魔境に入れるんだよね」

「ああ。 魔境は暗闇の世界……そのタカのめの力を使えば、道が見えるとのことだ」

「よし、今からでも道が見える気がするぞ!」

「それは気が早すぎるわよ」

 

 そう、タカのめを手に入れたことで魔境を突き進む意志を見せるネスにたいし、ポーラが冷静にそう言った。

 とにもかくにも、ここは攻略完了といっていいだろう。

 

 そうしてピラミッドで望んでいたものを手に入れたネス達は、奥に見つけた階段を上っていき、外にでた。

 

「じゃあ、あとは外にでて、魔境へいく方法を見つければいいね」

「そうだな」

 

 ピラミッドの外にでて、情報を集めたり周囲を探索したりすれば、魔境と呼ばれる場所のことも、またそこへいく方法も見つけられるだろう。 そう、これからどうするべきかを話し合って決めた、その直後のことだった。

 

「よくぞここまでたどり着いた!」

「わぁ!」

 

 突然風と共に蓑のようなものを身にまとった老人が現れて、ネス達の前に立ちふさがるようにそこに降り立った。 突然出てきた老人にネス達は驚いて少し引き気味になるものの、プーはこの老人に見覚えがあるらしく反応を見せた。

 

「あ、貴方はランマで……」

「え、プー、この人のことなにか知ってるの!?」

「ランマで会ったことがある」

 

 そうプーが軽く説明すると、老人はプーの顔をまっすぐに見つめ、彼に告げた。

 

「とうとう会えたのう……プー王子」

「おれになにか、御用か」

 

 プーは老人の前にたち、老人にそう声をかけた。 老人は、自分が星をみてある予感を感じたのだと告げる。

 

「星の位置がお前に出会うことを伝えておったが……やはり……今こそ、"星を落とす方法"を伝授するときのようじゃ」

「星を落とす方法?」

「……星を、落とす方法……」

 

 その方法というのは技…すなわちPSIのことだろうか。 そんなすごい方法があるのか、それが可能になるということはどれほどのパワーアップになるのだろうか。 星を落とす方法にたいし、プーが不思議と興味を抱いていると、老人はプーに告げる。

 

「……しばらくは仲間と離れて、わしととに暮らさねばならぬが……よいな?」

「……」

「……返事は一つ。 無理にでも引き留めねばならぬ。 しばし、ここにとどまるのだ。 よいな!」

 

 それをきいて、ネスもポーラもジェフも戸惑うが、そんな彼等の顔を見た後でプーは一度目を閉じると、彼等と距離を置き、彼等に別れを告げる。

 

「ネス、ここで一度、わかれよう」

「ぷ、プー」

「おそらく、我々にとって……"星を落とす方法"とは重要なものなのだろう。 おれはそれを覚えて、ネスを追いかける」

 

 不安の色を見せるネスに対し、プーは力強く告げる。

 

「信じて、待っていてくれ!」

「……プー……!」

 

 そのときのプーの言葉と目が真剣そのものであることを、ネスは感じた。 一緒にいるポーラもジェフも、プーの姿勢をみて気持ちが変わったらしく、ほほえんでいる。

 そんなネス達に対し、老人は言う。

 

「プーの努力次第では、早くお前たちの元に戻ることができる。 信じて、そのときを待て!」

「……わかった! プーなら絶対に大丈夫! ボク達より強くて、しっかりしているんだもん! そんなプーなら、すぐにボク達と一緒に冒険してくれる! ボク達も、キミを信じてがんばるから……だから!」

 

 今は別々の道をゆくことを、ネスも腹をくくって決めたらしい。 彼が修行に専念することを許し、力強く頷いて、彼に声援を送る。

 

「……がんばれ、プー!」

「ああ!」

 

 ネスの声援に対しプーは、笑顔を浮かべつつ仙人と共に、風となって飛び立っていった。

 必ずまた、共に旅をし戦うことを、言葉のない約束をして。

 

「……さぁ、ボク達は、先へ進もう!」

「うん!」

「ええ!」

 

 ネスの声かけに、ポーラもジェフも頷いて、3人で歩き出したのだった。

 未知の世界である、魔境を目指して。

 




次回からはプーと離れて、しばらくまた3人旅です。
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