かなり長い距離を、落ちていった気がする。 それは時間の流れなのか、はたまた落ちた距離なのか、それは誰にもわからない。 そのわからない時間と空間を、ネス達はずっと感じていた。 その中の意識をなくしていたものの、感じていた。
「うわぁぁぁ!?」
そして、4人が同時に意識を取り戻したとき。 そこには未知の世界が広がっていた。 広くて大きくて、自然の多い世界だ。 これが自分達の目指していた、地底大陸というものなのだろうか。
「まさか本当に……地下にまた、大陸があるなんて……」
「きっと地上からみたら、わたし達は豆粒程度の大きさになっちゃってるかもしれないわね!」
「そのくらいの距離はありそうだ……」
自分達は本当にそれくらいの時間と空間を越えてきたのだとネス達は実感した。 とりあえず、グミ族の村で知り合った、しゃべる岩がいっていた、大きくて喋る岩というのを探してみた方がいいだろう。 そう思ったネス達は、地底大陸の冒険を早速始めた。
「きょ、恐竜ーーーっ!」
その途中でネス達は恐竜に遭遇し、その姿に恐怖を覚えてある程度PSIとかで足止めをしながら逃げていった。 途中で柵の中にいるグミ族に呼ばれてそちらに向かうと、柵の中に入って避難することができた。 グミ族が言うには、自分達がいた場所こそ、恐竜のいる檻の中らしいが。
「逆じゃないか?」
「逆だね、きっと」
そんな話をしていると、奥の方に大岩を見つけて、ネス達はここにくる前のことを思い出す。
「これが、あそこにあった岩の言ってた、もっと大きくてしゃべる岩、だよね」
「おそらくは」
そう話をしながら、ここにすむグミ族から"神秘の岩"と呼ばれている、顔のついた大きな岩の前に立つ。 すると、岩は彼らを前にして言葉を放つ。
「とうとうきたな……ネス」
「ボクを知ってるの!?」
「ついにここまできて、やっと話しかけてくれたな……いいか、ネス。 よくきくのだ。 メモを取ってほしいくらい、大切なことを教えるから、いいな!」
「は、はい!」
思わず背筋を伸ばしながら、ネスはその岩の話を聞く体制に入る。
「お前は選ばれたものだ。 お前の運命はお前一人のものではなく……宇宙全体のシステムとして作られている。 お前のすべてが宇宙のすべてと重なるときがくるのだ」
「……」
「……いまは、わからなくともよい。 オネットにあった"ジャイアントステップ"を、覚えているか」
「……もちろん」
「あれは"お前の場所"の一つだ。 お前にパワーを与え、お前のすべてを引き出すスポットなのだ。 そこには、そのパワーの影響を受けたモンスターがいて、その場を守っている。 しかし、それらをお前は倒してきたはずだ」
「うん」
ネスはここにいる仲間達とともに、それらと戦い打ち勝ってきたのだ。 苦戦をしたこともあったが、それも乗り越えられた。 それは、ネス自身が一番よくわかっていることだった。
「お前がこの世界に8つある、パワースポットのすべてに立ったとき……"音の石"がすべてのパワースポットのメロディーを記憶したとき……。
"お前の世界"が初めて見えてくる」
「……ボクの、世界」
「すべてをここに、教えよう」
そう、喋る岩はこれまでのパワースポットを語り出す。
「オネットの"ジャイアントステップ"。
ツーソンからゆくグレートフルデッドの谷の"リリパットステップ"。
グレープフルーツの滝からゆく、サターンバレーの"ミルキーウェル"。
ウィンターズでジェフが見つけた"レイニーサークル"。
フォーサイドの町外れにある"マグネットヒル"。
ランマのプーも知っている"ピンククラウド"。
……そして……あのヒカリゴケの洞窟"ルミネホール"。
さらにこれから扉が開こうとしている……ここより西南のパワースポットが"ファイアスプリング"だ」
「ファイア……スプリング……」
最後に言われたのは、まだ行っていない場所だった。
そうして今までの7カ所のパワースポットの名前を改めて聞き、また最後には初めて聞く場所だった。
喋る岩は最後に、ネスにつげる。
「この8つのパワースポットのすべての音を聞くのだ。 それをせぬうちは、ギーグの思惑を覆すことは……無理だ。
わかったな、ネス。 お前の運命が宇宙全体の運命と重なり合うときが……もうすぐ、くるだろう」
喋る岩の言葉を全部聞いたネスは、しばらく考えていた。 そんな彼を心配して、仲間達が声をかける。
「どう、ネス?」
「うーん……」
ネスは腕を組んで少し考えていたのだが、ゆっくりとうなずいた後で仲間達をみる。
「難しいことはわからないけど、今からボクのするべきことも、そしてそのさきにやらなきゃいけないことも……今、とても大事なことだっていうのは、わかるよ」
そのままネスは、次の自分達の目的地を彼らに告げる。
「ファイアスプリング……そこが最後の、ぼくの場所なんだね」
「だとすれば、ネス」
「うん、もちろんいくしかないよっ!」
そう答えるネスの表情に迷いはなく、4人は早速外の世界に飛び出す。 その広大な世界を旅する4人は途中で自分達に襲いかかる岩や恐竜を相手に戦うというワイルドな経験をしながら、彼らは途中にあった箱をあけ、その中に入っていた豪華なマントに目を輝かせた。
「プー、このマント!」
「ああ、間違いない……これは、ランマ王族のマントだ!」
「これでランマ王族の装備が全部そろったということなんだね!」
「そうだな!」
「ねぇねぇ、早速つけてみてよ」
「ああ、そうしよう」
仲間達に言われて、プーはそのマントを身につけてみた。 こうして全部そろってみると、バンダナとマントの色がそろっていて、腕輪と剣の色合いも、そして全体の装飾もそろっている。 その姿に対し、ネス達は大きく拍手をした。
「うん、なんかプーすっごく王様みたい!」
「ええ、とてもよく似合ってるわ!」
「本当だ、意外と今すぐにでも王様になれそうだよ!」
「ははは、そう言ってもらえてうれしいよ」
ネス達の賞賛の言葉に対しプーは素直に喜びつつ、ふっとまじめに自分の国の決まりを告げる。
「とはいえ、王位を受け継ぐのは20をすぎてからという規則があるがな」
「そうなんだ。 でもそのときがきたら、プーならすごいいい王様になれると思うよ!」
「……ありがとう」
ネスの言葉に対し、プーは照れ笑いをした。
そうして地底大陸を突き進んだ彼らは、目的地であった最後のパワースポット・ファイアスプリングに到着した。 火山の近くにあるだけあって、まさに灼熱地獄と呼ぶにふさわしい場所であり、そこに生息する敵も熱気を帯びたものばかりだった。 主にPSIを使った攻撃で彼らを撃退しつつ、彼らは洞窟を奥へ進む。
「よぉし、熱いのを乗り越えてここまできたぞ!」
そう苦労を語るネスの前には今、例の大きな光がたたずんでいた。 その光は再び彼らに向かって、いつものあの言葉を語る。
「よくきたな。 ここは8ばんめのおまえのばしょだ。 しかしいまは、わたしのばしょだ。 うばいかえせばいい…できるものなら」
「ここが、最後の場所だ……今更退いてたまるかっ! ここでの戦いにも絶対にかってみせる! やるぞ、みんな!」
「おーっ!」
彼らが臨戦態勢に出たのをみて、光はみるみるうちに姿を変えた。 その姿は、熱気を纏った犬のような魔物…カーボンドッグとなっていた。
「カーボンドッグか、いかにも手強そうだな」
「なに、一気に蹴散らしちゃおう!」
そう声を掛け合い、4人はカーボンドッグに一気に攻撃を仕掛けていく。 最初は全員直接攻撃を繰り出したのだが、カーボンドッグはそれを身軽に動いて回避し、ネス達に襲いかかっていく。 ネス達もシールドを使ったり回避して、相手の攻撃をなんとか食らわないようにした。
「でも、あんなに動かれちゃ攻撃の当てようがないよ!」
「じゃあ、これでどうだ! ねばねばマシン!」
そこでジェフがねばねばマシンを作動させて、そこから出てきたネバネバした凝固体でカーボンドッグの動きを封じた。 そこにさらに、ポーラのPKフリーズがカーボンドッグを凍り付かせる。
「いまよ、みんな!」
「いけぇ!」
そこにネスのPKキアイとプーのPKサンダーが突き刺さる。 その同時攻撃が決まった、と思ったその瞬間、カーボンドッグは強い光を放った。 何事かと驚くネス達の前に現れたのは、金剛の体を持つ獣だった。
「だ、ダイヤモンドになったぁぁ!?」
「そんなバカなっ!」
今までの敵も中々クセの強いものだったが、今回も本当にクセがあった。 まさか、変身を遂げるとは思っていなかった。 最初は驚いていたネスだったが、すぐに我に返ると武器を構え直す。
「って、今更びびってなんていられないよね! プー、一気に行くよ!」
「ああ!」
そうネスがプーと声を掛け合って、バットと剣で攻撃を仕掛けるものの、その堅いからだによりはじかれて、自分達が弾き飛ばされてしまう。
「わぁぁ!?」
「ぐぁ!」
「ネスッ! プー!」
「こいつ、物理攻撃を反射するシールドを纏ってるな……」
「そうなのねっ!」
ジェフはすばやく新しいメカであるシールドキラーを取り出して作動させると、ダイヤモンドドッグのシールドをはがしてペンシルロケットを放ってダイヤモンドドッグを攻撃した。 だがそれではダイヤモンドドッグは倒れず、ジェフに飛びかかって攻撃をした。
「うわぁ!?」
「PKファイアーッ!」
そこでポーラはジェフを助けるためにPKファイアーを放ち、ダイヤモンドドッグを攻撃するが、それでも倒れることはなかった。 それでもポーラはPKファイアーを放ち、攻撃を続ける。 その中でも動き続けるダイヤモンドドッグをみて、ポーラは大きな声で叫ぶ。
「ここで、負けてたまる……もんですかぁーっ!」
ポーラのはなったPKファイアーは、Ωという最高の力となり、ダイヤモンドドッグを包み込んでその体を強い熱気で包んだ。 その熱度は、ダイヤモンドドッグの動きを止めて苦しませるほどだった。
「ポーラ、そこで冷気だ!」
「ええ! いくわよ……PKフリーズΩ!!」
さっきとは一転して凍てつく空気に包まれて凍りづけになったダイヤモンドドッグはその温度の急激な変化に耐えられなくなり、そのまま崩れ落ち、消滅した。
そうして、最後のパワースポットの守り手であるモンスターを、彼らは倒すことに成功したのだ。
「なんとか、最後の敵を倒せたわね……」
「なんか、ポーラすごかったね」
「まぁ……なんかやってみちゃおうかなって思っちゃったのよね……あいつを、あなた達に近づけさせない、て勢いだけでいっちゃったわ」
そう、さっきの戦いに大きな成果をあげたポーラに対しネス達が賞賛の言葉を贈ると、自分達を光が包んだ。 プーが彼らに、ライフアップをかけてくれたのだ。
「とりあえず、これで応急処置は完了だ」
「うん、ありがとうプー」
「さて、いこうか……この先が、ネス。 君の場所だろう?」
「うん」
ジェフの声にこたえ、ネス達は最後のパワースポットに足を踏み入れる。
「ここが、最後のボクの場所なんだ」
「なにが起こるのかしら……?」
ここが、ファイアスプリングと呼ばれるパワースポットだ。 近くには火山が存在していて、溶岩も流れている。 だが、そこには予想と違うものがあった。
「にしても、ここは不思議だね。 火山の近くだというのに、洞窟の中と比べるとそんなに熱くない気がする」
「今までもよく考えてみれば、ふつうじゃないところばかりだったわね……パワースポットって。 周りの環境と違うというのかしら」
「やはり、特別な意味と力に満ちているんだろうな」
このパワースポットは、周りの環境とは違う、まるで異世界のような小さな空間なのかもしれない。 洞窟の中は本当に熱かったのに、ここは全然だ。 そんなとき、ネスと音の石に変化が現れる。
「……!」
その時ネスは、幼い頃の自分に見つめられたように感じた。 今度はハッキリと、それを強く感じたのだ。 今まで自分がパワースポットで感じたことが、ここにもでている。 また、同じことが起きたんだとネスが思ったそのとき、ネスの手の中にあった音の石が光を放った。
「音の石が……!」
「光ってる……!?」
最初はここの音が、音の石に記憶されたのだと思っていた。 だが、今回は違う。 音の石から、ひとつのメロディーが流れてきたのだ。
「………」
「曲が聞こえる……」
「これが、今まで巡ってきたパワースポットの音なのね……今までの音が今、一つの音楽となっているんだわ……」
「不思議だ、それに……なんだか、心地いい……」
どうやらこのメロディーは、この空間全体に広がっているようだ。 普段はネスにしか聞こえないこのメロディーも、今はポーラとジェフとプーにも聞こえているらしい。 これが、音の石に入っていたパワースポットのメロディーなのかと彼らが聞き入っていると、ネスの目からは光が消えていた。
「……」
「ネス?」
呆然と焦点の合わない目で虚構を見つめているネスに気付いて、彼らが様子を確かめた瞬間、ネスの体はまるで糸の切れたマリオネットのように、崩れて地面に落ちて行ってしまった。
「「「ネスッ!!!」」」
心配そうに自分達の名前を呼ぶ仲間達の声を最後に、ネスの意識は完全に飛んでいってしまったのだった。
白黒の世界に、ネスはいた。
長い道を越えて、丘の上には見慣れた自分の家が建っていたので、ネスはそこに向かった。
家のドアノブに手をかけたと思うとネスは透けるように家の中に入っていき、その家の中には小さな犬が一匹いて、舌をだしながら尻尾を振っている。
そんな小さな犬の前を横切ったネスは、階段をのぼって2階に行き、ある部屋に入っていく。
「……ネス……」
ネスの名前を呼ぶ、男性の声。
部屋の中には小さなゆりかごがひとつに、夫婦と呼ぶべきであろう一組の男女。
女性の腕の中には、まだ生まれたばかりの頃であろう小さな小さな、赤ちゃんがいた。
「うーん、やっぱりネスって名前でいいか」
「ネス……」
夫が口にした名前を、妻も口にする。
すると、赤子はきゃっきゃと無邪気な笑い声をあげた。
「この赤ちゃん、自分の名前を聞いて笑ったわよ。 気に入ってるのかしらね」
「ちょっとその……赤い野球帽をかぶらせてごらんよ」
そう夫に促され、妻はそっと赤い野球帽をかぶせる。
その姿を見て、夫は笑う。
「アッハッハ。 ぶかぶかだけど、結構似合うじゃないか」
「チビが、赤ちゃんにヤキモチやかないかしらね」
一階にいる小さな犬を、ちょっとだけからかってみる。
そんな中、父は赤子の誕生をお祝いすることを決める。
「よし、ハンバーグでお祝いをしよう」
そう今日の夕食を決めつつ、彼は赤子の顔と妻の顔を交互に見ながら、赤子の成長した姿について、口にする。
「この子も、お前に似てがんばりやになるんだろうなぁ」
そう、将来的な子どもの性格を口に出す一方で、母は自分の子どもの理想的な姿を、まるで願うように子どもに告げる。
「えらいひとや、お金持ちにならなくてもいいけど……思いやりのある、強い子に育ってほしいわ」
ただ、それだけだった。
母はそれを現実にするために、この赤子を立派な男の子として育てていくことをここに誓っていたのだ。
その子どもが、自分の願い通りの子になってくれることを願いながら。
そう願いを口にしたとき、ちょっとだけ不思議なことが起きたことにも、笑みをこぼしながら。
「あら、この子が指さしたほにゅうびん、ちょっと動いたみたいよ。 ……ふしぎだわ……」
そう、ひとつの家族が明るく笑うと、世界は白い光に包まれた。
こんな投稿の時間になってしまいましたね。
そして、最後の夢のシーンはマザー2でも特に好きなイベントシーンなので、かけてよかったなぁ…。