MemoryStamp   作:彩波風衣

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ついにネスの悪魔登場。
この一対一の戦いをどう表現すればいいかわからないままに突っ込んでいった結果を、じっくりとみて嘲笑ってくださいませ。


31.心の悪魔との戦い

 

 自分の中に生まれたというこころの国・マジカントを突き進みエデンの海にたどりついたネス。 そこには、自分のこころの中心があるというので、その正体を確かめるためにネスは、エデンの海を越えて中心の位置にたどり着いた。

 

「ま、マニマニの悪魔……!?」

 

 だがそこにあったのは、今まで旅の途中で何度も遭遇し、多くの人の心を惑わしたという金色の不気味な像…マニマニの悪魔だった。 ギーグが生み出したという邪悪な像が自分の中心だという事実に対し、ネスはショックを受ける。

 

「こ、ここでへこんでたまるか!」

 

 だがネスは、ここでへこんだりなんかしたら敵の思うツボだと判断し、そのマニマニの悪魔らしきものに向かい合う。 自分の前にネスが立ったことに気づいたらしい金色の像は、言葉を放つ。

 

「ホウ、ココマデキタノカ……。 ワタシハ、オマエノココロノナカノジャアク……オマエノアクマ、ネスノアクマトイウイベキモノ……」

「ボクの、悪魔……!」

「タオスコトハデキマイ。 オマエガソダテタワタシナノダカラ……オマエノナカデヒソカニソダッタ、ジャアクナココロナノダカラナ……」

 

 悪魔はネスにそう高らかに告げると、ネスは相手を強くにらみつつ、帽子をかぶりなおしてバットを構える。

 

「それっぽく適当なことを言うな! お前みたいなのが育つほど、ボクはそんなに悪いことをした覚えはないんだよ! だから……お前がボクの悪い部分だというなら、それにだって勝ってやる! お前を、倒す!」

 

 そういってネスは開口一番にPKキアイを放つが、相手はシールドを張っていたらしくそれを無効にした。 だったら、とネスは今度はバットを片手に突っ込んでいき、目の前にたってバットを振り回し攻撃をする。

 

「うぐっ!」

 

 だがその一撃では、悪魔に対してはさほど大きいダメージではなかったようだ。 簡単に耐えられた上に悪魔は黄金の腕を振り回し、ネスを殴り飛ばした。 短い悲鳴を上げつつネスは吹っ飛ばされて地面にたたきつけられる。 立ち上がろうとしたネスに対し、悪魔はさらに蹴りを入れて別方向にとばしていき、ネスはそれになんとか耐えて体勢を立て直しつつ、追撃がくる前にヨーヨーをとばして攻撃した。

 

「えぇいやっ!」

「グォ!」

「スキができたな、たぁっ!!」

 

 ヨーヨーの一撃が不意打ちすぎたらしい、悪魔の攻撃は一度止まりそこにスキができた。 そのスキをねらってネスは相手の足にむかってバットを振るい転ばせるが、それでも大したダメージにはなってないようで、ネスは悔しげに歯を食いしばる。

 

「くぅ、やっぱり堅いっ!!」

「フンッ」

「ぐはぁ!」

 

 そのまま悪魔はネスの腹部に蹴りを入れて、ネスに大きなダメージを与えてきた。 水中に落ちたネスはなんとか呼吸を整えつつ、ライフアップで回復をはかる。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……っ!」

「ククククク、イイナガメダ」

「くそ、悪趣味だ……!?」

 

 この悪趣味な悪魔を、なんとかしなければとネスが体勢を立て直そうとしたときだった。 今までより強力な念波が、悪魔の周りに集まってきていたのだ。 その念力の正体をネスは、誰よりも知っている。 だからこそ、危険だと恐怖を覚えた。

 

「PKキアイΩ」

「うわぁぁぁぁっ!!!」

 

 まずい、と思った次の瞬間のことだった。 強力なPSI攻撃がネスに襲いかかり、彼を吹き飛ばしてしまったのだった。

 

 

 PKキアイΩという、自分の持つPSI攻撃の中でももっとも強力な技を食らったネスは、エデンの海の深い部分に沈んでいた。

 悪魔があのPSI攻撃を使えるのは、悪魔もまた自分自身だからだ。 そこはわかっているが、この威力を自分で食らうとなると、破壊力がとんでもないものになる。 ネスは、それを強く痛感した。

 

「……」

 

 まだ戦闘不能にはなっていないものの、海の中にいるせいか、体に受けたダメージのせいか…意識がだんだん遠のいていく。 体が思うように動かず、海には底がないのか深く深く沈んでいく。 このままではいけない、すぐに浮かび上がって戦わねばならない。 そのことはネスにもわかっていることなのだが、体が言うことを聞かない。

 

「ごぼっ」

 

 やがてネスは海の中で口を開いてしまい、呼吸ができなくなった。 このまま自分はどうなってしまうだろうか。 海に沈んでいて、力つきたら、現実の自分はどうなってしまうか…考えただけで恐ろしい。

 

「……っ……」

 

 だが、この現状を打開できない。 自分の無力さをネスが感じたときだった。 突然、ネスの心臓に当たる部分が光を放ち、その光がネスを包み込んだ。 それと同時に息苦しさがなくなり、ネスは目を開ける。

 

「……こ、これ……は……?」

 

 何故自分が海の中で呼吸ができるようになったのか、目を覚まして意識を取り戻せたのだろうか。 自分の身になにが起きているのかついていけないネスは、光がある一カ所に集まっているのに気づいて、そちらを見た。

 

「り、リストバンド!?」

 

 光が集まっているのは右手の手首。 そして現れたのは、あのリストバンド。 ネスがフォーサイドで購入して4人でわけあってつけていた、お揃いのリストバンドだった。

 

「ポーラ、ジェフ、プー……!」

 

 そのリストバンドをみて、ネスは一気に仲間のことを思い出す。

 優しいポーラ、冷静なジェフ、真面目なプー。

 自分は彼らと共に旅をして強くなった。 ここにくるまでも、彼らがいたからすべてのパワースポットを巡れたし、これからも友達でいようと誓った…。 そして、まだ自分達には、ギーグを倒して平和を守るという役割も担っている。

 

「……そうだ……! ここで負けるわけには、いかないんだっ!」

 

 そうして彼は、自分がここで負けられない理由を思いだし、自分の力を解き放つ。 その威力でネスは、エデンの海から空中へと浮かび上がり、再び悪魔の前に現れる。

 

「ナンダト!?」

「ボクは、お前なんかに負けない! 独りなお前に負けたりしない! 絶対に勝つ……いや、勝てるようにできてるんだからな!」

「クダラン、オマエハココデシヌノダ! オノレノジャアクニマケルノダ! PKキアイΩ!!」

「そんなの、こっちだってやってやる! PKキアイΩ!!」

 

 ネスは自分の力を振り絞り、相手のPKキアイΩを同じ技で相殺し、その衝撃波に耐えながらバット片手に突っ込んでいく。 途中で相手がPKキアイαなどを放ってきたが、ネスはそれにも耐えて、悪魔の眼前にたち、バットを振るう。 伸びてきた腕がそれを防ぎ弾き飛ばそうとするが、ネスはそれを回避してはじき、黄金の腕とバットの殴り合いに発展させていく。 途中で殴られることもあったが、ネスは反撃していき、互いにダメージが交互に行き渡る。

 

「PKキアイ・β!」

「うごぉぉぉぉっ!!」

 

 互角の戦いの中、途中で放たれたそのPKキアイにも耐えて、ネスは大声で叫びながらさらに力を入れてバットを振るう。 その一撃を受けた悪魔は短い悲鳴を上げ、そこにネスはとどめの一撃を食らわせようと、大きくバットを振りかぶる。

 

「ボクは目覚めて、これからやりたいことも、やるべきこともあるんだ! それを投げ出して、たまるかぁぁぁぁっ!!」

「グォォォォオガァァ!!!」

 

 ネスのその言葉と同時に振るわれたバットがスマッシュヒットして、その力に押されたあくまはまっぷたつに割れ、そこからさらに砕け散っていき、消滅したのだった。

 

「……か、てた……!」

 

 ネスの悪魔がいなくなり、ネスは自分の邪悪に打ち勝てたのだと確信する。

 

 

 

 そうして自分の邪悪さの根元と言われる悪魔を打ち倒したネスは、エデンの海の中心で、聞き覚えのある声を聞いた。

 

「ネス! ギーグのねらいは、キミを抹殺することにある。

いいか、よく聞け!」

「!?」

「銀河系宇宙全てが、ギーグという奴の手に落ちるかもしれないんだ。 でも、奴らは困っている。

ギーグの持っている予言マシン……"知恵のリンゴ"は、ギーグのたくらみが失敗に終わると告げたんだ」

「……知恵のリンゴの……予言……?」

 

 前に聞いたことのある、知恵のりんごという存在。 それは本当になんなのだろう。 そんなことを考える余裕はなく、聞き覚えのある声はさらにネスに告げてくる。

 

「その理由が……ネスという名の、じゃまな少年の存在なんだ」

 

 そういいながら、ネスの前に光が現れ、そこから自分とうり二つの少年が現れた。 それは紛れもなくネスだった。 この声と目の前の少年は、紛れもなく自分自身だ。

 

「そう、ボクだ!」

「……ボク……」

「いいかい。 こころを研ぎ澄ませて、今キミがどうするべきかを”わかる”んだ!」

 

 そう呼びかけてくるネスにたいし、ネスは答える。 いまここは、二人のネスが向かい合って語り合ってる状態だ。

 

「既に運命は決まってる。 キミは……ボクは、どこにいけばいいのか?」

「……ボクは、どこにいけばいいのか……心の奥で、わかっているんだ……」

 

 ネスはネスに従って精神を集中させる。 彼の脳裏に浮かんだのは、どこか見覚えのある景色。 かつて冒険の途中で立ち寄った、あの場所。

 

「……サタ……サターン……サターンバレー……」

「そうだ」

 

 それは、どせいさんという不思議な生き物達が暮らしている谷の合間にある小さな村・サターンバレー。 そこに、ギーグに打ち勝つための道が存在している。 ネスは、それを強く感じたのでだ。

 

「どせいさん達のいた、あの谷に向かうんだ。 そこで、新しい何かが、つかめる」

「もうすぐこのマジカントは……消滅する。 急がなければ!」

 

 ネスは確かに自分自身の声を聞いたのである。 サターンバレーへ行かなければ、という次の目的地を。

 

「さぁ、ボクの力を受け取って」

 

 そういいながら、二人のネスの体は重なり合った。 一方は光となってネスの中に入っていき、 それと同時に、今まで巡ってきたパワースポットのパワーが、代わる代わるにその景色をネスに見せながら、ネスの中にみなぎってきた。 それによりネス自身の隠れた力が目覚めていき、彼の中のサイキックパワーが飛躍的に大きくなったのである。

 

「みんなのところへ、帰ろう」

 

 隠された力の全てをネスは自分のものにし、それによりこころの中の国・マジカントは消えた。 その国に対し、ネスは密かにお礼を言う。

 

「マジカント……ありがとう……」

「さぁ、目を覚ましてもいいぞ。 仲間が待っている。 さぁ、目を覚ますんだ」

 

 誰かが、ネスに対しそういった。 ネスがうなずいた瞬間、ネスの意識は飛んでいった。

 

 

 ポーラとジェフとプーが、眠っているネスを守るようにとりかこっている現実世界。 ファイアスプリングのそば。

 パキン、という音がネスの手の中から聞こえ、全員の視線はそちらに向いた。

 

「音の石が……」

「砕け散った……」

 

 ネスが堅く握りしめていた、音の石が音を立てて砕け、消えていったのだ。 それと同時にネスの体と瞼が動き出し、全員の顔は今度はネスの顔に向く。

 

「……ん……」

「「「ネスッ!!!」」」

「ポーラ……ジェフ……プー……」

 

 ゆっくりと、ネスは目を開けてネイビーブルーの瞳を彼らに見せる。 そして、自分の名前を呼ぶ声に答えるように、視界にはいった3人の仲間たちの名前を次々に口に出す。

 

「ネスッ!」

「わっ……!?」

 

 ネスが目を覚ましたことに安堵したらしい、ポーラがその目に涙を浮かべながらネスに抱きついてきた。 突然の行動に対しネスは赤面し、ポーラは泣きながら告げてくる。

 

「どうしてしまったのよ、ネス……! あなたずっと、気を失っていたのよ……!」

「……ぽ、ポーラ……」

「あなたになにがあったのか、ぼんやりとしかわからなくて……でも、大変なことになってるって……わかって……祈るしかできなかった……。 あなたになにかあったら……わたし……。 目を覚ましてくれて、意識が戻ってきてくれて……よかった……」

「僕も、無事に戻ってきてほしいって願ったよ。 なにもできなかったけど、待ってたよ……。 とりあえず、キミが戻ってくるのを信じてみたんだ。 叶ってくれてよかったよ」

「おれも、祈ってみたんだ。 お前に回復を施すことを試しながらな……。 だから、お前がこうして起きあがってくれて、安心したよ」

 

 3人とも、それぞれのやり方でネスを心配し、目を覚ますのを待っていてくれたのだ。 誰も、決してネスから離れようとしなかった。 それを聞いたネスは、うなずいて告げた。

 

「急にへんなことになって、ごめんね。 ボクも、ビックリしちゃった。 でも、ボクもちょっと大変なことにはなったけど……こうして戻ってこれたよ。 それに、前より強くなったと思うんだ」

「……言われてみれば、ネスの力が前より強まった気がする……」

「ほんとに?」

「だろっ」

 

 プーの分析に対しネスはからっと笑って見せつつ、今も自分に抱きついて泣いているポーラを慰める。

 

「だから、ポーラも泣きやもうよ。 ボクがここにいるのがわかったんだろ? 大丈夫だって、わかったんだろ?」

「……うん……」

 

 ネスに言われて、ポーラはネスから離れつつ涙を拭った。 その目にはまだ少し涙が残ってはいるが、口元にはほほえみを浮かべていて、これがうれし泣きであることを表していた。

 そんな二人の姿を見てほほえましい気持ちになりつつも、ジェフはネスが気を失っている間に彼が口にしていた譫言についての話をする。

 

「……そうそう、ずっと譫言を言っていたよ。 なにか、いかなきゃとか……どこになにがある、とか……」

「ああ、そうだ!」

 

 ジェフの言葉にたいしネスは、自分の中でこれから行くべき場所が見えたことを告げる。 サターンバレーという、予想してなかった地名に対し仲間たちは驚きつつも、そこへ向かう決心尾する。

 

「サターンバレー? なにが待っているのか……とにかくテレポーテーションで行ってみよう!」

「うん!」

「あ、でもちょっと待って!」

 

 そうして行動を起こそうとしたとき、急にポーラに呼び止められる。

 

「どうしたの、ポーラ?」

「うん。 ネスが目をさましたら、言いたいことがあったのよ」

「なに?」

 

 首を傾げるネス。 ポーラははにかみつつ、ネスに言う。

 

「ネス」

「うん?」

「おはようっ! あなたが戻ってきてくれて……ホントによかった!」

 

 そう笑って言うポーラに対し、ネスは心臓が跳ねそうになった。 そして、少し照れながらネスもおはようと返すと、ポーラは満足したようにうなずいた。 どうもこの会話を通して、改めてネスが無事に戻ってきたことを確認したかったようだ。

 

「……ふぅっ! これで満足だわ……。 さぁ、みんなで、いきましょう!」

「うん、いこう!」

「サターンバレーへ!」

「いざ、向かうぞ!」

 

 そう互いの再会を喜び合い、確かな強さを身につけたネスは、仲間たちと共にサターンバレーへ飛んでいったのだった。

 最終決戦へのルートを、この目で確かめるために。

 

 




ここからがラストスパート、頑張ってますよこれでも。
一気にすすめられたらいいのになぁ。
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