MemoryStamp   作:彩波風衣

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ということで、今回はツーソン到着編です。
早く次の仲間を登場させたいですね。


04.ツーソンの少女のウワサ

 

 旅立ち初日に、オネットで激闘を繰り広げたネスはそれだけで疲労してしまったことで家に帰り一晩ゆっくり休んだ。 その夜、不思議な夢をみながら。

 

「あの夢……絶対に仲間になる子のことだ……」

 

 ネスが見た夢というのは、暗い中に桃色の光が現れて自分の名前を呼ぶ夢のことである。 光は、自分に強く呼びかけていたのが、強く記憶に残っている。

 

『まだ会ったことのない、わたしの友達。 ネス……ネス……あなたに呼びかけています。 わたしはポーラ、あなたの運命を共にして、一緒にたたかうものです……。 会いたい、あなたに、会いたいです……。 ツーソンで、あなたがくるのを、待っています』

 

 そう、ポーラと名乗る少女が自分のことを呼ぶ夢だった。 その夢を見たことで、ネスは元から活動範囲を広げるためにツーソンへいこうとしていたのを、本気でその町へいく理由をみつけたのだった。

 

「こんどこそ、冒険の旅にいくぞー!」

「いってらっしゃーい!」

 

 そう、初日の朝のように、ネスはママやトレーシーに見送られながら再び家を旅立っていった。 こうして自信を持って旅立つことができるのは、この家にはいつでも帰ってきていいという安心からくるものだ。

 

「あ、あの道!」

 

 そうしてオネットの道をひたすら先へ、先へと進んでいった先に隣町gツーソンへ続く道はあった。 ネスは家族と共にツーソンにある大型デパートへお買い物にいくこともあったので、オネットとツーソンの道はしっかり覚えているのだ。

 

「よかった、本当に警察がいなくなってる……」

 

 この道は隕石が落ちた日あたりからずっと、封鎖されていたのだ。 だが、今は警察はあくまで見張りのように立っているだけで、封鎖はされていない。 その警察官に自分がネスであることを伝えると、署長から話を切いていることやシャーク団問題を解決させたことをかわれ、すんなりと通して貰えた。

 

「警察相手に本気で戦った甲斐、あったなぁ」

 

 と、ネスは勝ち誇った表情を浮かべながら、ツーソンの町に足を踏み入れたのだった。 途中であるくキノコにおそわれるという珍現象がおきたのだが、特に大きなダメージはなく無事に撃退できたのでよしということにした。

 

「とかやってるうちに、到着したぞ!」

 

 ツーソンの町は、オネットより広くて色んな施設が建っている。 大きな幼稚園とデパート、そして有名人が多く集まるカオス劇場、町の中にはにぎやかな市場があるというウワサだ。 久しぶりにくるツーソンの町をじっと見つめたネスは、早速この町にいるであろう少女を、探しに行ったのだった。

 

 

 ツーソンで彼女を捜すネスはまず、町の人に話を聞いて、ポーラという少女の情報を集めていった。 そうしたら、色んなことがわかった。

 

「……そういうことになってたんだ……」

 

 ポーラの家は幼稚園を経営しており、そこにいる子ども達から慕われていること。 そしてちょっと不思議な力が使えるらしいこと。 そんな彼女のウワサを聞いたテレビ局が、幼稚園に取材にきて大騒ぎになったこと。 それらの要素が絡み合い、この町でポーラという少女はちょっとした有名人になっているらしい。

 

「あの子はいつでも、誰かのために祈ったり行動したりしてくれる。 とっても優しい女の子なんじゃよ。 あんないい子なら、神様が気に入って力を貸してくれるじゃろう」

「そうなんですね」

「だから、テレビ局なんかにいいようにされたらダメじゃ。 そうなったら、あの子はけがれてしまうからのう」

 

 そう、おじいさんと話をしたネスは、彼女がいるであろうポーラスター幼稚園に向かった。 ところどころにマスコミがいるが、ネスの存在には気付いていないらしい。 ネスは、幼稚園の裏にある彼女の家に入っていった。

 

「あの、ごめんください」

「おぉぉぉっ!!」

「おぉぉぉっ!?」

 

 そう言ってドアをノックすると、扉が開いた。 同時に、箒をもった男が現れ、ネスに向かって怒鳴り散らす。

 

「またテレビ局の人間ですか!? 私の娘を、あんたらの荒稼ぎの道具にさせてたまるか!!」

「え、あの」

「こんな子どもを利用してもムダだ、我々はいっさい取材に答えたりはしない!! お引き取り願おう!!」

 

 どうやらこの男はポーラの父親であり、立て続けにテレビの取材のために人が押し寄せてきているので、精神的に追いつめられているようだ。 この行動も、彼らから娘を守るための行動なのだろう。 だから、ネスにも攻撃的になっているのである。

 

「あの、ボクはテレビ局の人間なんかじゃないです!」

「そんなこと言ってもムダだ! カメラは、どこにかくれて」

「いい加減にしなさい」

 

 そんなとき、女性の声がしたと思ったらポーラ父の頭に巨大なハリセンが降ってきた。 その一撃にひるんだポーラ父の後ろから、一人の女性が現れる。 そして、女性はネスに謝罪をする。

 

「ごめんなさいね。 娘が注目されてからというものの……この人、四六時中こんな調子なの。 これも、あの子を守るためにやっていたことだから……許してくれるとうれしいわ」

「は、はぁ」

「ところであなたは? なにか御用なの?」

 

 どうやらこの女性はポーラの母親らしい。 ネスは、自分の名前を名乗ることにする。

 

「ボクはオネットからきた、ネスっていいます」

「!」

「ネス!? あなたが……ネスっていう男の子なの!?」

「は、はい」

 

 何故この二人がネスを知っているのだろうか、戸惑うネスに、ポーラの両親は説明をした。

 

「テレビで注目されるようになってから……娘はずっと、家の中にこもりっきりになってたの。 まるで、あえて誰とも接することをしないかのように」

「………」

「ただ、自分が会うのはネスという少年だけ。 あの子はそう言っていたわ。 だから、あなたを……ポーラはずっとここで待っていたのね」

 

 そう語り、ポーラ母は納得をした。 一方ポーラ父はこうしていられないと焦りながら、彼女の部屋に向かっていった。 だが、すぐにもどってきた。

 

「あの子は?」

「それが、部屋にいないんだよ。 いつのまに出かけたんだろう? ネスくん、悪いけど出直してきてください」

「そうなんだ、じゃ、しょうがないですよ」

 

 なにか、引っかかるものを覚えたが、ネスはそれ以上なにも言わなかった。 そんなネスに対し、ポーラ母は彼に告げる。

 

「ネスくん、大丈夫よ」

「え?」

「あの子には神様がついている……だから、あなたとポーラは必ずあえるわ」

 

 そう伝えてくるポーラ母に対し、ネスははぁ、と微妙な返事だけをした。 そして、その日はツーソンのホテルに泊まることになったので、そちらへ向かう。

 

「………なんか、ひっかかるんだよなぁ……」

 

 ベッドの上で、ネスはずっと胸に引っかかっていたものについて考えていた。 それは、ポーラが家にいないことに対してだ。

 彼女はテレビ局の取材を拒んでいた、だから部屋にこもり自分以外の人物と会わないと告げていた。 にも関わらず、テレビ局のマスコミがどこかにいるであろうこの状況で外にでるとは考えにくい。

 そう考えていると、ネスの脳裏に町の中の噂話がよぎった。

 

「……まさか、本当に誘拐された……?」

 

 ポーラが姿を見せなくなったのは、ポーラの力をねらった悪党にさらわれたからだ。 そう思いこんだ人々がウワサを流しているらしい。 ネスも小耳に挟んだだけだが、どうも気になるものがあった。

 

「……よし、明日本格的に情報を集めてみよう」

 

 そのためにも、今日は早めに寝るべきだ。 そう思ったネスは、そのまま眠りについたのであった。

 

 

 その夜、ネスは不思議な夢をみた。 この夢にはネス自身も既視感を覚える。 これは、とネスは声を絞り出した。

 

「昨晩も、みた夢だ……」

 

 ネスがこのような夢を見たのは、昨晩のことである。 オネットで一日の激務を終え、オネットにある自分の家で一晩休んだときにみた夢だ。

 

「あっ!」

 

 なにもない、真っ暗闇の世界。 そこには3つの光が存在していた。 白い光は激しく動き、緑の光はしばらく動かないと思ったらそこから光線のようなものをとばす。 そして、その二つの光はネスを横切る形で彼の意識から消えていき、そこには大きな桃色の光だけが残っていた。

 

『……しは、ポーラ。 わたしは、ポーラです』

「……え?」

『感じますか、感じますか……私の呼びかけを、感じますか? ネス』

「……ポーラ!? ホントに、ポーラなの!?」

 

 ネスはこの声がポーラのものであると、彼女の名乗りを聞いて確信する。 前に聞いたのと同じ声だった。 ポーラは自分と会う前から、ずっと名前を呼んで会いたがっていたのを、感じた。

 

『お願い……助けて! 助けにきて!』

「えっ!?」

 

 だが次の瞬間、ポーラの声は切羽詰まったものに変化した。 それを聞いたネスは、必死にポーラを助けるために彼女の居場所を訊ねる。

 

「教えて! キミは今、どこにいるんだ!?」

『ここがどこなのか、わからない……』

 

 ネスの声に答えるかのように、ポーラは自分の今の居場所の手がかりを必死に伝える。 ネスは精神を集中させて、その声をつかむ。

 

『……遠くから、水の流れる音が、聞こえる……』

「水?」

『ネス……わたしは、待ってます……だから、どうか、お願い。 わたしを、助けて……! 助けにきて……!』

 

 その声は徐々にフェードアウトしていく。 ネスはその声をもっときこうとしたが、桃色の光は徐々に薄くなっていき、距離が遠くなっていった。

 

「ポーラッ!!」

 

 そうネスがポーラの名前を口にしたのは、目が覚めたとき。 自分が今いるのはツーソンのホテルの一室、そこに備え付けられたベッドの上。 ネスは、さっきの夢が決してただの夢でないことを悟り、毛布をぎゅ、と握りしめる。

 

「……くそっ! あのウワサはウワサなんかじゃなかったんだ!! ポーラは……」

 

 あの夢、送られてきた声。 ネスはあれが本当のポーラの声であると確信し、同時にウワサが本当であることを知る。

 

「何者かに、さらわれたんだ!」

 

 その犯人を捜し出して、ポーラを絶対に助け出すべきだと決断したネスはホテルを出て、ポーラの行方をつかむ手がかりを探しに行った。

 

「ああ、ネスさん!」

「パパさん!?」

 

 そのとき、ネスの前にポーラ父が現れた。 その顔には疲弊の色が浮かんでいて、昨日会ったときよりやや老け込んでいた。 この変貌ぶりは、昨日が初対面であるネスですら、驚くほどだった。

 

「ど、どうしちゃったんですか!?」

「ぽ、ポーラが帰ってこないんだ! 町中を探してもどこにもいなくて……町の人が言うには、ゆ、ゆ、誘拐されたんじゃないかって言われてて……」

「……!」

「だから、私心配で心配で……!」

 

 どうやら彼は、一晩中ポーラを探してこんなにヨボヨボになってしまったらしい。 ここまで心配して、自分の身がボロボロになろうとも娘を助けたいと思っている…そんな彼の、父親としての心を受け取りたいとネスは強く思い、彼に強く宣言をする。

 

「大丈夫、ボクが必ずポーラを助けます!」

 

 そういいきってネスは、ポーラを探すために旅立ったのだった。

 

 

 町の人から聞いた話だと、怪しいウワサ話や情報は、ツーソンの中心にあるというヌスット広場にあるらしい。 名前といいウワサや情報が集まりやすいことといい、正直不穏ではあるものの、ほかにポーラの行方を探す手段はそこしかないのでそちらに向かうことをきめて実行する。

 

「う~~~~ん……」

「ん?」

 

 その途中、ネスは赤い服に赤い帽子の、ふくよかな少年がうずくまっているのを見つけた。 彼はおなかを押さえていて哀しげなうなり声をあげていた。 彼のことが心配になったネスはその少年に駆け寄り、話しかける。

 

「大丈夫?」

「おなか、すいた……」

「はっ?」

 

 この少年がうずくまっていた理由にたいし、ネスは思わずきょとんとしてしまう。 彼は空腹に苦しんでいたのか、と。 その間にも少年の腹の虫がぐぅぐぅと音を立てており、音が鳴るたびに少年の顔色は悪くなる。 その顔や音がやや痛々しく思えたネスは、あらかじめ買っていたハンバーガーを、少年に差し出す。

 

「このハンバーガーでいいなら、あげるけど」

「どうか、お願いします」

「じゃあ」

 

 そう言ってネスがハンバーガーを差し出すと、少年はハンバーガーをとても美味しそうに食べていた。 食べることが大好きなんだな、とネスがすこし顔をほころばせていると、少年は元気を取り戻したらしい。 ネスに向かってお礼を口に出した。

 

「ふぅ、あなたのお陰で餓死せずにすみました! ありがとうございます!」

「餓死て」

「ああ、ぼくはアップルキッドといいます。 一応、発明家をさせていただいてます」

「発明家……ああ、そういえば」

 

 ネスはツーソンでもう一つの話を聞いたことがあった。 このツーソンには二人の発明家がいる、と。 この目の前にいるアップルキッドというのが、二人のうちの一人なのだろう。 とりあえずアップルキッドが名乗ったので、ネスの自分の名前を名乗る。 名前を聞いたアップルキッドは、うんうんとうなずいた。

 

「ネスさんですね……あの、恩着せがましいとは思いますけど」

「うん?」

「発明の支援金も、もらっていいですか? 200ドルくらいでいいので」

「えっ」

 

 アップルキッドにいわれ、ネスは財布をみた。 財布の中には500ドル入っているのだが、これをアップルキッドにあげていいものかと少し悩む。 だが、不思議とアップルキッドは信用できそうだと思ったので、彼に支援金を出すことに決めて、差し出す。

 

「まぁ200ドルでいいなら……あるからいいけど……」

「ありがとうございます」

 

 食べ物だけでなくお金も貰えて、アップルキッドは笑顔になった。 そして、ネスにこのお礼は必ずすると、彼に約束をする。

 

「お礼に、なにかいいものが出来上がったら貴方にプレゼントします。 少し発明を頑張ってみますね」

「ああ、うん! 楽しみにしてるね!」

「ではでは」

 

 そう答えてアップルキッドの発明を密かに楽しみにしていると、アップルキッドと一緒に暮らしているらしいネズミが、ネスに話しかけてきた。 その手に、なにやら電話の子機のようなものをもって。

 

「これは主人を助けてくれたお礼だ、持って行ってくれ」

「これは?」

「それは、受信電話。 誰かからの電話を受信し、通話するための電話機だ。 今はまだそちらからかけることはできないが、ないよりマシだろう。 もし主人が何かを作ることができたら、それに電話するから楽しみにしててくれ」

「うん、ありがとう」

 

 ネスはネズミからその電話を受け取り、なにか心強い味方が出来たような、そんな気持ちになって自信がわいてきた。

 

「よし、いってくるかな!」

 

 そういってネスは、ヌスット広場に向かっていったのであった。 すべては、ポーラを探す手がかりを得るために。 ポーラを、助けるために。




途中でのポーラパパの言動は、私内心楽しみながら文章を打ってました。
あと、最初はオレンジキッドにお金を出して腹が立ったので、彼は小説で登場させないことを決めました。
というわけで次回は、ポーラ探し編です。
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