パワースポットは、省略させていただきました。
かいてたら半端な内容になっちゃうので…。
ネスの活躍により、ハッピーハッピー村を脅威に陥れていた教団はまたたくまにおとなしくなった。 首謀者であるカーペインターはネスとの戦いに敗れたことで今回の自分の行いを反省し、一方ネスは誘拐され監禁されていたポーラを救出することに成功した。 これがキッカケであり、またもとより運命をともにする関係であった2人は、今後の旅路をともにすることになる。
「でもまさか、こんなところにパワースポットがあったなんて……」
「ビックリよね」
そのハッピーハッピー村で、ネスは心が強くひきつけられるものに遭遇した。 それは、木や草や建物、果てには牛まで青く染めていった信者達が、唯一青に染められないと恐れて、近づかなかった場所…通称・リリパットステップだった。
その場所はもしかしたら自分だけの場所かもしれない、とおもったネスはポーラの了承を得て、ツーソンに帰る前にそのリリパットステップを攻略することになった。
結果、洞窟の奥にはやはり光がとどまっており、ジャイアントステップで言っていたことと同じことを言っていた。 ネスとポーラが戦う体制に入ったことを察知した光は、巨大なモグラの姿に変わり、ネス達に襲いかかってきた。 その大きさや鋭い爪に驚きこそしたが、ネスがPKパラライシスで動きを封じたところで、ポーラがPKフリーズやPKファイアで攻撃を仕掛け、きょだいモグラを倒した。 どうやらポーラの得意な超能力は、炎や冷気を生み出すものだったらしい。 そうして力を合わせて勝利を収めたネスとポーラは、奥にあるパワースポットを訪れることができた。
「これからそういう場所を巡るのも、わたし達がギーグに打ち勝つのに必要なことなのね」
「うん、そう聞いているよ」
その場所でネスは、二つ目の音を、音の石に記憶した。 その時、赤い帽子をかぶった赤ちゃんの幻も同時にみた。 またも不思議な現象に遭遇しながらもネスは、目的を果たしたということで本来の目的に戻る。
「よし、ここでの目的も果たしたし……そろそろ本当にツーソンの町へ帰ろうか」
「ええ。あの谷も2人でなら、乗り越えられるわよね」
「もちろんだ」
そうして、ハッピーハッピー村に長居は無用ということになり、ネスとポーラは再びグレートフルデッドの谷を越えていった。 その途中で落とされた橋を発見したが、元教団の人が罪滅ぼしのために橋をなおしてくれていたので、近道で帰ることができた。
「かえってこれたわ……ツーソンの町に……」
そして、洞窟を越えるとそこは、ツーソンの町。 連れさらわれてからそんなに日数は経過していないはずなのに、不思議と懐かしくなる。
「さぁ、パパとママに無事を知らせて、旅立つことを伝えなくちゃ」
「あ、待ってポーラ」
「えっ?」
実家に一度帰ろうと促そうとしたポーラを、ネスは一度呼び止めると、自分の帽子を脱いでポーラにかぶせた。 きょとんとするポーラにたいし、ネスは自分の意図を伝える。
「どこにテレビ局や新聞社の人がいるかわからないからね、この帽子でカオを隠しながらいこうよ」
「……ええ、そうね。 ありがとうネス、少し借りるね」
「うん」
ポーラはネスの帽子に手を添えつつ笑い、そのポーラの顔を見てネスも笑ってうなずいた。 そうしたネスの機転がきいたのもあって、ポーラは自分の家に帰ってくることができた。 家の扉を開けたポーラは前にでて、その家の中にいた父親に向かって言う。
「ただいまっ」
「おお、ポーラ!」
「パパ」
「無事に帰ってきたんだな! よかった、ああ、よかった!!」
ポーラの無事をしった父親は、ポーラに抱きついて大泣きしながら娘の無事を全身で感じ取り喜んだ。 その勢いには隣にいたネスは若干引いたものの、同時にここまで父親に愛されている彼女を助けることができたのだと実感する。 そんなネスに、父親は改めてお礼を言う。
「ネスくん、ありがとうよ。 確かにきみは、ポーラが夢でみた通りの……世界を救う少年かもしれないぞ」
彼にそういわれて、ネスは自分がそんな大きなことができる人間とは思えないというのを伝える。
「世界を救うかぁ……ホントにできるのかな?」
「大丈夫よ、あなたは一人じゃないもの!」
少し自信をなくしかけていたネスに対し、ポーラは強気にそう言い切った。
「あなただけがそんな重い使命を背負う必要がないわ! わたしがいるもの! だから、わたし……ネスと一緒に冒険の旅にでるわ!」
「……ポーラ……」
そんな彼女の強い決意を受け取った父親は、少し複雑な顔をしていた。 本心を言えば、かわいい一人娘には危険な旅にでてほしくないのだろう。 だが、自分の心配を上回るほどにポーラの決意は固いのだと、父は娘の言葉を聞いて感じた。 だから、父はポーラに言う。
「……ポーラ、ネスくんの力になってあげなさい。 パパは喜んで、お前を旅に出すつもりだ」
「ええ、もとよりそのつもりだもの、大丈夫よ。 パパ……心配しないでね。 わたしだけじゃなくてネスもついているもの……ね、だから、涙を拭いて、笑って送ってちょうだい」
「そうよ、あなた」
そう言ってきたのは、ポーラの母親だった。 いつの間に、と驚くネス達にたいし、彼女は告げる。
「心配じゃないわけじゃないけど、それ以上に信じてる。 あなた達は自分の運命を果たして、笑顔で帰ってくるって」
「……ありがとう、ママ」
そういって、ポーラは母と強い抱擁をかわしたのだった。
そしてその後、ネスはポーラの家にお泊まりすることになった。 そのときネスはオネットにいる自分の家族のことを話しつつ、夕食をごちそうになり、一晩を過ごした。
「さらばだポーラ! パパは、泣いてなんかいないぞ!」
そして、翌朝。 ポーラとネスはポーラの両親や幼稚園の子ども達に見送られて旅立っていった。 特に大きな声をあげていた父の目には涙がたまっていて鼻からも少しなにかが出かけていたのだが、ネスとポーラはなにも気づいていないフリをしていた。
「よし、新しい旅立ちに向かっていこう!」
「ええ!」
そう気合い十分と言った様子の2人に、ガタイのいい男が声をかけてきた。
「もしもし、ネスさん、ですね」
「ん?」
「トンチキさんの使いの者です。 差し上げたいものがあるから是非……と、トンチキさんがお呼びです。 ヌスット広場に、是非きてください」
以上です、とだけ告げてその男はさっさと立ち去っていった。 ガタイや風貌の割には礼儀正しい人だったなと、やや失礼な感想を胸に抱きつつネスは、トンチキのことを思い出した。
「そういえば、そんなことを言ってた気がするな」
「忘れてたのね」
「そりゃあ、あのときはトンチキさんの話どころじゃなかったし……。 って、そんなことはどうでもいいや。 待たせたら後がメンドーだし、いこうよ」
「面倒くさがったわね、さらっと」
ポーラのツッコミを受けながら、ネスは約束通りにヌスット広場へ向かい、トンチキの家を訪れた。 そこにはちゃんと、トンチキの姿があった。
「トンチキさん、きたよ」
「おお、ネス! 待ってたぜ。 ポーラも一緒か」
「はじめまして」
一応初対面なので、しっかりと挨拶をするポーラ。 そんなポーラに対しトンチキはにやっと笑った後、ネスの方をみた。
「さて……ホントならお前を仲間にしたいものだが」
「っ!」
「断る、って顔に書いてあるな」
「とーぜんだよ、ボクはそのために強くなりたくない」
そうネスはポーラをかばうように前にでつつ、ネスはトンチキに強い目つきでそう言い切った。 そんなネスの態度に対しトンチキはおもしろい、と思ったようであり、一つのトランクを差し出す。
「これは、子分になったら渡そうと思っていた金だが……引っ込めるわけにもいかねぇから、このトランクはお前にやる」
「えっ」
「その中身は、1万ドルの札束だ」
「「い、いちまんどるぅぅ!?」」
その金額に驚いたネスとポーラは、同時に大声を上げる。 その後も絶句する2人のリアクションにたいしトンチキはにやついていると、この1万ドルの使い道は2人に任せると言った。
「いいことにも悪いことにも、思い切り使ってくれ! あきらめてもっていきな!」
「………」
「というわけだ、縁があったらまたあおう! 今後の活躍を祈るぜ! じゃな!」
「「は、はい」」
もうこれは無理矢理突き返せないと感じた2人は観念してそれを受け取ることにし、トンチキの家を後にした。
「ふぅ」
そして、ネス達がここを立ち去ったのを確認した後、トンチキはサングラスを光らせる。
「さぁってと……おれはこれから、オネットでライヤー・ホーランドとかって小悪党が掘り出した、マニマニの悪魔とやらを頂きにでかけるとするかな」
トンチキが行動を起こそうとしている、ちょうどそのころ。 ネスとポーラは公園のベンチに腰掛けて、トンチキからもらった1万ドルの使い道について考えていた。
「1万ドル……」
「ネス、どうするの?」
一応ポーラは、ネスにその札束の使い道を確認する。 自分はお金に困っていないものの、ネスはどうだろうか。 それを気にしているのだ。 そんなポーラの思考を読みとったかのように、ネスは自分が大金を必要としていることを打ち明けた。
「実はボクの家、家のローンとか色々あって、借金背負ってるんだ」
「え、じゃあまさかその1万ドルを?」
その借金の返済にあてるつもりだろうか、そう思っていたポーラだったが、それにたいしネスは首を横にふった。
「そうともいえないんだよ」
「どういうこと?」
「そりゃ、一瞬でも1万ドルを借金返済にあてようと思ったよ」
だけど、とネスは自分の家族が借金している相手がどんな一族なのかを思い出しながら、語っていく。
「ボク達が借金してる相手、どうも計算ができないみたいで……ボクも算数は苦手なんだけど、それでも頭が痛くなるというか……たとえ完済したとしても、まだ貸してるってウソついてきそうなんだよね。 いくら返していくら貸したかすら、忘れてそうな……」
「あなた、苦労人なのね」
「そうかもしれない」
ネスは悲しげに笑いながら、むなしい結果におわるであろうことを告げる。
「だから……この1万ドルもどうせ使ったところで、水の泡になるんだろうなって思ってるんだ……」
「……ネス……」
切ない顔をするネスにたいし、ポーラはかける言葉が思い浮かばずその場に冷たい空気が流れる。
「カネ、それはほしいもの♪」
「え?」
「カネ、とてもほしいもの♪ カネ、おれのほしいもの♪ カネ、みんなほしいもの♪」
2人の間に流れた冷たい空気を打ち壊すように、歌が流れてきた。 2人はそれに気付くと、そこには黒い帽子にスーツ、そしてサングラスをつけた男が立っており、歌っていたのである。 同じような姿の男は、彼以外にも複数いた。
「だけど、自由はもっとほしい!♪」
そう歌詞を歌い上げた男の姿と、彼の歌を聴いたネスは、彼らが何者であるかに気付いた。
「と、トンズラブラザーズ!」
「え、この人達が!?」
「こんなちびっ子にも知られてるとなれば、オレ達も立派な有名人だなぁ~! うれしいぜっ!」
この男達は、トンズラブラザーズというブルースグループだった。 彼らの歌は各地に知れ渡っており、ネスやポーラも彼らの歌を聴いてそれを歌う彼らの姿をテレビで見たことがある。 ここでそんな有名人に会えるとは思っていなかったネス達は歓喜する一方、トンブラはネス達に目を向けた。
「しかも、あの有名なポーラちゃんとカップルになってるなんて、なかなかのプレイボーイだな、坊主!」
「え、あの」
「えっ!」
「はっはっは、照れなくてもいいじゃないか! よしよし、そんな2人にこのプラチナチケットをあげちゃおう!」
そういってトンブラはネス達に、バックステージパスをプレゼントした。 これがあれば、ステージを見られるだけでなく舞台裏まで行って、トンブラに会うことができるというシロモノなのである。 さっきの1万ドルの札束だけでなく、こんな高級なものまで手に入れてしまったことに、2人は戸惑いを隠せなかった。
「い、いいんですか?」
「いいっていいって。 そのくらいのもの、おれ達の悩みに比べればやすいものなんだ」
「悩み?」
ネスの言葉にたいし、トンブラ達は自分達の身になにが起きたのかを語る。
「実はオレ達、このカオス劇場のオーナーに騙されて、1万ドルの借金を背負わされているのさ。 だから、死ぬまでここに止まって、延々とショーをやり続けることになってるのさ」
「悲しいな、歌ってても悲しいな」
「ああ、悲しい借金ブルース……」
「1万ドル……」
その数字には、ネスもポーラも聞き覚えがあった。 トンブラは、そろそろ出番が近いのでといいのこして立ち去っていき、そこに残されたネスとポーラは、顔を見合わせてうなずきあう。
「ネス」
「うん、これはここで使うべき何だよ! きっと……いや、絶対に!」
そう、例の1万ドルの使い道を決めた2人は、カオス劇場に入っていった。 すぐにでもオーナーのところへいって、この1万ドルを使いたいところだが、その前にどうしてもやっておきたいことがあった。
「せっかくだし、ライブもみていこうっと」
「もったいないもんね」
チケットをもらったのだから、これは本物をみないとソンしてしまうと思い、2人は席についてトンブラのショーを見た。 しばらく待っていると、部屋の中は暗くなり、ステージにスポットライトがあたった。 そしてステージにトンズラブラザーズが現れ、軽やかな動きと歌声、そして演奏をその会場にきた人たちに披露した。
「うぅーん! いつもテレビでみてるけど、やっぱ生は違うなぁ!」
「本物に勝るものってないのね! わたしも、感動して盛り上がっちゃった!」
そのステージをみたネスとポーラは、ただ感動した。 そして、こんな素晴らしいステージを提供できる彼らなら、助けるに値するものがあると感じ、改めて彼らをここから解放するためにあのお金を出そうと決意したのであった。
「よし、オーナーと話をして、この1万ドルで解放しよう!」
「ええ!」
そのために2人はいったん劇場をでて、オーナーのいるところへ向かった。
ネスとポーラはオーナーのところへ向かい、トンブラをここから解放してほしいと頼みにいった。 オーナーは2人がトンブラの借金の肩代わりをするのかと鼻で笑うような態度をとってきたので、2人はむすっとしたが、逆にその言葉を待ってたといわんばかりに、あの札束を出してみた。
「これをみても、そんなこと言えるのかなぁ~?」
ちょっとだけ嫌味っぽくそういってヒラヒラさせてみると、オーナーは驚いて前のめりになった。
「ま、まさかそれは……1万ドルの札束、かぁ……っ!?」
その札束をみたオーナーはたらり、と汗を流したが鼻息を荒くして札束の札をペラペラめくって数えている。 そして、鼻息の荒いまま宣言をする。
「い、いいだろう! 確かに1万ドルはここにある! 金さえもらえれば文句はない! これでトンズラブラザーズは自由の身だ!」
「やったね! これでトンブラの曲をもっと広い世界に届けられる!」
これでトンブラを救うことができたと、ネスはとびはねて喜んだ。 そんなネスにつられるように、ポーラも笑った。
「ネス、うれしそうね」
「うん! ボク、正直なことを言っちゃうと音楽のことはよくわからないけど、それでもトンブラは大好きだもんね!」
「そっか」
本当にいいものは、いいと感じるもの。 そこに領域も知識もあまり関係はない。 素直な気持ちを言葉に出しているだけだ。 それを当たり前に言えるネスが、ポーラにはまぶしく見えた。
そんなとき、部屋にトンブラのメンバーが次々と流れるように入っていった。
「なんてこったい!」
「トンブラのみんな!」
「こんなチビスケのおかげで、地獄から天国だ!」
「ブラボー! これでこの町をでられる」
「わし、車の運転得意じゃけん、まかせてくれんかのう!」
「次の町へレッツゴー! さぁオンボロ車でいこう」
「おれ、ステージであんまり目立たなかっただろ?」
そう次々にネス達にお礼の言葉をつげて、トンブラは劇場を出て行った。 ネス達も彼らに続いて劇場をでてみると、トンブラがバスをスタンバイさせていた。
「さて、助けてくれた礼に、行きたい場所へつれてってやるぜ!」
「だったらわたし達、スリークって町にいきたいの!」
「ポーラ?」
真っ先にポーラが前にでて、いきたい場所を指定してきた。 それをきいたトンブラは、頷く。
「そうか、スリークか! たしかあのトンネルにはお化けでるって噂があるけどよ」
「わしらのトラベリング・バスには、お化けとやらもうるそうて、出る幕がないわ」
「というわけで、レッツゴー!」
そうスリークにいく気満々な彼らの横で、ポーラは次はスリークへいくべきだという理由を伝える。
「たぶん次のスリークの町で、もう一人の仲間にも会えるはずよ」
「そうなの?」
「ええ」
これもポーラの予知能力によるものだろうか。 次の目的地には、自分達と運命をともにする存在がいるとなれば話は早い。 早く、その仲間に会いたいという気持ちになる。
「その人を含めて3人で力を合わせれば、きっとどんなことにも負けないわ」
「そうだね!」
その気持ちが前にでて、全身から溢れてきた。 だから、トンブラのバスに乗った後、トンブラの波長にあわせるようにノリノリになっていった。
「さぁ、ノリノリでいくぜぃ!」
「おぉーっ!!」
そうしてトンズラブラザーズと、ネス達を乗せたバスは軽快な音楽と明るい空気とともに走っていった。 そのまま例のトンネルにも突っ込んでいき、その周囲を不気味ななにかが存在してとり囲おうとしても、誰も彼らに手出しはできなかった。
彼らのノリは、不気味な何かにとって、眩しすぎたのである。
トンズラブラザーズの曲とライブシーンは地味に好き。
次回はスリークです。
初めて訪れたときのあの不気味さ、出せるように頑張ったので、お楽しみに。