ルイージマンション ~ オバケホテルと吸血鬼   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

ジョーノーズ監督の映画を撮影し、エレベーターボタンを手に入れるも、
オバケネコに盗まれてしまう。
8階と7階を行き来して、オバケネコからエレベーターボタンを取り返したが、
オバケネコを吸い込む事はできなかった。
オバケネコとの再戦を誓い、三人は次のエリア、9階・ミュージアムフロアに向かうのであった。


9章「Night Museum」

「……次は、ここですね」

 ルイージ、ミロ、ユミルの三人は気を取り直して、

 とりあえず取り戻したエレベーターボタンをエレベーターの中に嵌める。 

 がこん、と動くエレベーターの中で、ルイージ、ミロ、ユミルは会話する。

「オバケネコは今までここで出会った中で最低のオバケだったわ。

 吸い込んだと思ったら蜥蜴みたいに尻尾を切るし、頭を使わなきゃ何にもしないし」

 ルイージは、分かる、分かる、と頷く。

 オバケネコはかなり狡猾で、複数のフロアを行き来しなければならなかった。

 しかも、捕まえたと思ったら、尻尾を切り逃げる。

 これを何度も繰り返したのだ。

 ミロのストレスは、相当に溜まっているだろう。

「そのストレス、ここで思う存分発散してください」

「……はいはい。さて、どんなフロアかしらね」

「それは僕にも分からないよ……」

 

 エレベーターは音と共に、9階・ミュージアムフロアに着いた。

 そこはまるで、博物館のようだった。

「おおっと、ここは博物館ですかな?」

 ユミルはまるで考古学者のような口調で言う。

 すると、ミロが胸を押さえて苦しみ出す。

「うぐっ……」

「ミロ!?」

「こ、ここに、チカラの反応があるわ」

「あ、そっか!」

 ルイージは、4階での探索と激闘を思い出した。

 あそこであかキノピオを救出し、ミロは「ひかり」のチカラを取り戻したのだ。

 つまりこのフロアに仲間が捕まっている事になる。

「はあ、はあ、はあ……」

 ミロの発作が治まった後、三人は探索を再開する。

「ここには誰がいるんだろう……わわわっ!」

 9階は、博物館のようなエリアだった。

 骨や恐竜の化石が展示されており、コインや宝石も透明な箱の中に入っている。

「あのコインと宝石、取れるかしら?」

「う~ん……あれ?」

 ルイージは、柱の裏側に緑のスイッチがある事に気づいた。

 そこに向けてストロボを当てると、コインの近くにある恐竜の壁画が上がった。

 その中から、また緑のスイッチが出てきた。

 ストロボを当てると中から金品と、恐竜の足の形をした青い宝石が出てきた。

「やったね!」

「いぇーい!」

 ルイージとミロは、互いにハイタッチして喜んだ。

 

 次に、三人は恐竜の卵が展示されている場所に行った。

 しかし、左側の卵だけが見当たらない……。

 ルイージがそこにダークライトを当てると、案の定のろい玉が現れ、

 それを全て吸い込むと卵が割れて金品が出てきた。

 その後も金品を回収し続け、トリケラトプスの壁画がある場所に行こうとすると、

 無数の鴉が現れた。

「光よ!」

「うっ……」

 ミロは“ひかり”のチカラを使い、ルイージの正気を保つ。

 代わりに自身の正気を削ったが今は探索が重要だ。

 ルイージはグーイージを呼び出し、一緒に紐を引っ張ると、

 巨大な恐竜の化石と、絵に閉じ込められたキノピオが見えた。

 絵の中には、雨が描かれた玉が入っている。

 あれが、ミロの失ったチカラの一つなのだろう。

 

「……!」

 三人が近づくと、雷鳴が鳴り、ぴかっと光る。

 何とか正気を失わないように、三人は慎重にキノピオの絵に近付く。

「あれは、ティラノサウルスかしら?」

「プテラノドンもいますね」

「仲間を助けてチカラを取り戻すんでしょ? ほら、ダークライトを当て……あれ?」

 好奇心旺盛なミロとユミルは、ティラノサウルスの化石をじ~~~っと見ている。

 ルイージはやや呆れながら、キノピオの絵に近付いてダークライトを当てようとすると、

 三人の背後からティラノサウルスの化石が忍び寄る。

「……な、なんか、いる……?」

「いますね……」

 ティラノサウルスの化石に気づいたのは、ユミルだけだった。

 三人がゆっくりと振り向くと、ティラノサウルスの化石が唸り声を上げる。

 ルイージとミロは固まってしまうが、ユミルは動じていない。

「どうやら、チカラを取り戻すのにはまだまだ時間がかかるみたいですね。……あっ!」

 なんと、ティラノサウルスの化石はキノピオの絵に噛みつき、腹の中に飲み込んでしまった。

 ユミルは急いで、ルイージとミロに知らせた。

「ふ、二人とも大変です! このままではキノピオが死んでしまいます!」

えええええええ!?

「とにかく、急いで化石を倒さないと……!」

 ルイージは慌ててオバキュームを構え、ミロとユミルも武器を構える。

 ティラノサウルスの化石との戦いが始まる。

 

「あの光るコアに攻撃を当てられないでしょうか?」

 ティラノサウルスの化石の腹は、赤く光っている。

 そこが、化石の弱点なのだろう。

「まずはこいつを口の中に入れて……」

 ルイージは落下してきた卵を吸い込み、ティラノサウルスの化石の口に入れる。

 夢中で食べようとしている隙にもう一つの卵を吸い込み、赤く光る部分にぶつけた。

 化石の一部分が崩れ、化石は暴れ出し、

 口から衝撃波を吐き出してプテラノドンの化石を破壊し、尻尾で柱を薙ぎ払い、破壊する。

「攻撃が激しくなってるわ! しかも、あたしの攻撃が届かない!」

 ミロが放った魔法の矢も、ティラノサウルスの化石には届かなかった。

「ド・ゲイト・デ・テラ・マ・ギ!」

 ユミルは初級呪文を唱えて、ティラノサウルスの化石を攻撃する。

 それでも、二人の攻撃の威力は微々たるもの。

 しかも、卵は一個しか落ちてこない。

 どうすれば、ティラノサウルスの化石を攻撃できるのだろうか。

「卵の代わりになるものがあればいいんだけど」

「……卵の代わり? 分かったぞ! うわぁ!」

 ルイージが卵の代わりにある「アレ」を呼び出そうとした途端、

 ティラノサウルスの化石が衝撃波を飛ばし、ルイージを吹っ飛ばした。

 

「ちょっと、ルイージ! 何やってるのよ! 卵の代わりになるものといえば、アレでしょ!」

「わ、分かってるけど……隙ができちゃって。

 ……よし、気を取り直して。ゆけっ、グーイージ!」

 ルイージはミロに言われてグーイージを呼び出す。

 グーイージはティラノサウルスの化石を上手く引きつけて、自身を食べさせる。

「今よ!」

「それっ!!」

 そして、ルイージがオバキュームで吸い込んだ卵が赤い光に命中し、

 ティラノサウルスの化石が崩れる。

 すると、ティラノサウルスの化石は地団太を踏み、今度は左のプテラノドンと卵を破壊した。

 

「今度はあいつが直接襲ってくるんだね……」

「口から衝撃波も吐いてくるから、気を付けて」

「う、うん!」

 卵はもう使えないため、ルイージは骨を赤く光る部分にぶつける。

 ミロとユミルは、遠距離から攻撃して牽制した。

「あいつは足が遅いけど、一歩一歩が広いです。できるだけ距離を取って戦ってください」

 ユミルの助言でルイージは距離を取り、オバキュームで骨を吸い込む。

 骨がある間は動きが鈍るため、より慎重に戦わなければならなかった。

「それっ!」

 そして、ルイージは赤い光に骨をぶつける。

 ティラノサウルスの化石はどんどん崩れ落ちる。

「うわぁぁっ!」

 ティラノサウルスの化石は怒り、口から衝撃波を吐き出した。

 ルイージ、ミロ、ユミルは攻撃をかわし、それぞれの武器で反撃に出る。

「とどめだ!」

 そして、ルイージが当てた骨が赤い光に命中し、ティラノサウルスの化石は完全に崩れ落ちた。

 

「やった……か?」

「それ禁句!」

グオオォォォォォォォォォォ!

 すると、化石の中から原始人姿のオバケ、ホネスキーが姿を現した。

 しばらくふらついていたホネスキーだったが巨大な骨を持ち出し思いっきり地面に叩きつけた。

 広範囲に衝撃波が広がり、辺りの物が壊れていく。

 桁外れの威力を見たルイージとユミルは、あれを食らうと力尽きる……と理解した。

ウオオオオオオオオオオオオ!!

「あ……あああああ……」

うわあああああああああああ!!

 ホネスキーは怒り狂い、三人に襲い掛かった。

 ルイージはパニック状態で逃げ出し、ユミルは恐怖でその場に釘付けになる。

 

「急いで助けなきゃ!」

 今、この場で戦えるのはミロだけだ。

 こちら側の劣勢なのは明らかである。

「ユミル、この光を見て!」

 ミロはまず、発狂しているユミルに<ひかり>のチカラを使った。

 だが、ユミルは固まったままだ。

「あ……あああああ……」

「あなたがそれだと、チカラを取り戻せないわよ! ほら、ユミル、正気に戻りなさい!」

 ミロはユミルをビンタした後、もう一度<ひかり>のチカラを使った。

 これにより、ようやくユミルは正気に戻った。

「後はルイージを助けないと!」

「危ない、ミロさん!」

 ミロとユミルは、パニック状態のルイージを正気に戻すべく、彼に向かって走る。

 だが、ホネスキーが骨を持って襲い掛かってくる。

 二人は攻撃をかわしてルイージを探す。

「ルイージ、正気に戻ってください!」

 ユミルはルイージに馬乗りになり、逃げないようにする。

「仲間を助けてよ! あなたがこんなんじゃ、あいつに負けちゃうわよ!!」

 ミロはルイージに<ひかり>のチカラを使った。

 光を浴びたルイージの目が、正気に戻る。

「はっ! ここはどこ? 僕は何をしていた?」

「落ち着いたみたいね。あなたは今、ホネスキーと戦っているのよ。

 ピンチの時ほど落ち着け。戦場の鉄則よ」

「そ、そうか。ボスオバケと……」

「ルイージ、悠長に話している時間はありません!」

 ミロとルイージが会話をしている時、ユミルがルイージに警告する。

「なんで……うわぁぁっ!

 その警告通り、ホネスキーが骨を振り下ろして攻撃してきた。

 ルイージの足は遅いので、ミロとユミルが手を引いて何とか攻撃をかわす。

「相手は必ず隙を作ります。それまでは逃げてください!」

 ユミルがルイージにアドバイスする。

 ホネスキーの攻撃は確かに強力だが、必ず、付け入る隙はあるはずだ。

 ミロは前に立ち、魔法の弓を構える。

「あたしが奴を引きつけるわ。ルイージは回避に専念して」

「分かった!」

 ミロは魔法の弓から矢を連射し、ホネスキーの顔面を撃とうとする。

 だが、ホネスキーは彼女の攻撃を骨で防いだ。

「今です!」

「それっ!」

「!?」

 それは、ミロの作戦であった。

 ルイージはその隙にホネスキーを怯ませ、オバキュームで吸い込んで叩きつける。

 ホネスキーは身体が大きかったが、オバキュームには関係がなかった。

「ありがとう、ミロ」

「まだまだ、油断大敵よ!」

 ミロはもう一度ホネスキーから距離を取り、魔法の弓を構え、ホネスキーを撃つ。

 ホネスキーが顔を押さえて動きが止まる。

 ルイージはすぐにオバキュームを使い、ホネスキーを吸い込んで叩きつける。

 瀕死になったホネスキーは骨を振り回して三人に襲い掛かるが、もう三人は怯えない。

 仲間を助けるためにも、最後まで戦い続けた。

ウオオオオオオオオオォォォォォ!!

「負ける……ものかぁ!

 ルイージはホネスキーが逃げないように引っ張る。

 身体は大きかったが、ルイージは諦めない。

 オバキュームはどんどんホネスキーの体力を削り、やがて、ホネスキーは力尽きる。

グオオオオオオオオオオオオォォォォォォ!!

 ホネスキーの手から骨が離れ、そのままホネスキーは吸い込まれる。

 顔だけオバキュームから飛び出したホネスキーの頭に自らが投げた骨が当たり、

 完全にオバキュームの中に吸い込まれた。

 そして、オバキュームの中から、キノピオの絵が飛び出した。

「……おめでとう、ルイージ。あなたの勝ちよ」

「……ありがとう、ミロ……」

 ミロとルイージは、勝利を称える笑みを浮かべ、お互いに手を握り締めた。

 先程まで発狂していたとは思えなかった。

 

「あの……ボクは?」

「「あ」」

 忘れられたユミルがぽつりと呟いたのは、それから数分後の事であった。

 

「うんせ、うんせ、っと」

「ミロ、力が強いんだね」

 横になったキノピオの絵を、ミロが縦向きに戻す。

 ルイージはミロの力に苦笑しつつも、キノピオの絵にダークライトを当てた。

 すると、額縁の中からあおキノピオが現れ、さらに雨が描かれた青い玉も落ちてきた。

「やった……!」

「チカラも取り戻したわ!」

「おめでとうございます、ミロさん!」

 二人目の仲間・あおキノピオを救出し、ミロは<あめ>のチカラを手に入れた。

 このチカラは攻撃を広範囲にするもので、攻撃役としてさらなる磨きがかかった。

「あ、ああああ、あ、こ、怖かった、です」

「もう大丈夫だよ、キノピオ」

 あおキノピオは怯えてルイージの後ろに隠れる。

 ルイージはあおキノピオを落ち着かせるため、優しくあおキノピオの頭を叩く。

「あ、ありがとうございます、ルイージさん!」

 あおキノピオは大喜びでジャンプする。

 よく見ると、あおキノピオは地下2階のエレベーターボタンを持っていた。

「それ……エレベーターボタンじゃない?」

「あ、確かに!」

 その時、オヤ・マー博士から連絡が入る。

『おお! また一人、キノピオ君を助け出せたようで何よりじゃわい!』

「はい、ミロもチカラを取り戻したみたいです」

 ルイージは笑顔でVB越しにオヤ・マー博士と連絡を取っている。

 大きな敵を倒した喜びは、ひとしおなのだ。

『さあ、キノピオ君はベースラボで預かってやるぞい。

 ルイージ君、エレベーターまで案内してあげるのじゃ!』

「分かりました」

 

 ルイージ達は救出したあおキノピオを無事にエレベーターまで送り届けた。

「さようなら、キノピオ」

「ありがとうございました! この調子でみんなを助けてくださいね!」

「ええ! 朗報を待っててね!」

 ルイージはあおキノピオを送り届けた後、ミロとユミルと共に次の探索に備えるのだった。

 ふう、とルイージは一安心し、ミロとユミルは満面の笑みを浮かべる。

 

 ――が、その様子を“彼女”が見逃さないわけがなかった。

「おのれ、ルイージ……あの女達と共に、

 キングテレサ様の絵を、次々と奪うとは……許さない……許さない!」

 コナーはさらに苛立ちながら、オバケ達にルイージを追跡するように言った。

 相変わらず、ユミルの性別には気付いていなかったが――

 

『さて、ルイージ君よ。これで、まだ見つかっていないのは……』

「きいろキノピオ、兄さん、ピーチ姫。ミロのチカラもこれと同じだけありますね」

『まだまだ道半ばといったところじゃろう? 頑張るんじゃぞ? フェッフェッフェッ!』

 

 ルイージは地下2階のエレベーターボタンを嵌め、オヤ・マー博士のベースラボに戻った。




次回はルイージ、ミロ、ユミルの交流パートです。
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