ルイージマンション ~ オバケホテルと吸血鬼 作:アヤ・ノア
地下2階のメンテナンスフロアにいたのは、整備士のオバケ、モップラーだった。
エレベーターボタンを持っている彼を追いかけていくも、
アヒルボートの操作に苦戦する。
そしてようやくモップラーを追い詰めるが、ルイージは慣れない操作で攻撃を食らい続け、敗北する。
しかしミロ、ユミル、アデルの協力があって、
黄金のホネを失いながらも何とかリベンジに成功するのだった。
エレベーターの中で、三人は会話する。
「……それで、一回時間を戻しちゃったんだね?」
「ええ」
実際のところ、モップラー自身はそれほど強いオバケではなかった。
しかし、アヒルボートの操作がとにかく難しく、ルイージはそれで苦戦してしまった。
そのため、ミロとユミルは初めて時の歯車を使って時間を巻き戻し、
アデルに攻略法を教えてもらったというわけだ。
「ところで、アデルって一体誰なんだい?」
「あ、それはね、あたし達の担当のエスパーなの」
「凄い力を持っていますけど、ほとんど戦いません」
「だって、戦ったらそれで話が終わるもの。だからこそ、司令役に徹しているのよ」
ミロとユミルは、冴えない男が異世界に転生してチート級の力を振るいハーレムを作る、
という展開を極端に嫌っている。
アデルもまたチート級の力を持っているが、自らの力を理解しているがために、
ミロとユミルを代わりに行かせているわけだ。
「君達の話を聞いてたら、アデルがどんな人なのか、ちょっと興味を持ってきたな~」
「……そもそも、アデルは人じゃないけどね」
「? 何か言った、ミロ?」
「よし、着いた!」
三人が次にエレベーターで行った場所は、10階のデザートフロアだった。
念のために言っておくが、
デザートは食後のおやつという意味ではなく、砂漠という意味である。
「あら、今度はアラビアンな部屋ね」
ミロがデザートフロアを見渡して感想を言う。
すると、ルイージの両端にある燭台に火が灯る。
驚きながらも歩いていくと、三角の床を踏んで、大量の弾丸が飛んできた。
「うわっ!」
「あたし達を本気で殺しにかかってきてるわね。
……ここは、キャッスルフロア以上に罠が多い。気を付けた方が良さそうね」
「う、うん……」
ルイージが壁画をオバキュームで吸い込むと、オバケと戦っているルイージの絵が出てきた。
「なんだ、これは?」
ルイージがその絵をもう一度オバキュームで吸い込むと、
なんと、中から本物のオバケが出てきた。
「うわぁぁぁっ!」
「ほら、戦え戦え!」
ルイージは驚いて腰を抜かすが、すぐにオバキュームを構え直す。
ミロとユミルも彼に続いて、戦闘態勢を取った。
「ふう……」
三人の活躍により、オバケはあっさりと倒れた。
「それじゃ、次はここだね」
蛇が描かれたドアの前にある砂をオバキュームで全て吸い込み、三人はドアを開けた。
すると、屋内とは思えないほど砂が広がっており、中央には蛇の像があるピラミッドがあった。
部屋もだだっ広く、ここは今まで以上に慎重に進まなければならない。
宝箱を開けようとするとオバケが出てきたため、ミロとユミルが二人で倒した。
「ここから先はどうやって進むんでしょうか?」
「う~ん……分からないなぁ。あれ」
ルイージ、ミロ、ユミルの三人は、デザートフロアに何か仕掛けがないか探した。
すると、ルイージが何かを発見した。
「何?」
「石像があるよ」
「あ、ホントだ!」
ルイージが指差した先には、蛇を持っている女性の石像があった。
「ぬ~~~~~っ。……閃きました!」
ユミルがその石像を目星すると、スイッチがある事が判明した。
その石像の左手を提げると、石像の目が光り、蛇の形をしたピラミッドの扉が開いた。
「な、なんだか怖かったね」
「でも、ここからが本番よ。さあ、入りましょう、ルイージ!」
「うん」
ミロがドアを開け、三人が祭壇の間に着くと、女性のミイラが眠りについた棺があった。
棺に近付くと、突然、周囲の灯火に火がついた。
「うわっ!!」
「落ち着いてルイージ、ただの演出よ。でも、この棺だけはどうも……」
「ちょっと、僕が調べてみるね」
ルイージが目星してみると、触れてはいけないと感じた。
「……なんか、嫌な予感がする。ミロ、悪いけどちょっと調べて」
「え、ええ……」
できれば、オバケに呪われたくない。
ルイージは代わりにミロにミイラを調べさせた。
「……もしかしたら」
ミロがゆっくりと棺を開けてみると、中でクレオパトラ風のオバケが眠っていた。
彼女――サーペンティスの顔をじっと覗くと、サーペンティスはかっと目を見開いた。
「誰よ、こいつ……!」
ミロは彼女を見て、嫌な気分になる。
サーペンティスは宙に浮かびゆっくりと舞を舞う。
「そちがわらわを目覚めさせたのじゃな?」
「……」
ミロは黙して語らない。
オバケに本心を許すと、何をされるか分からないからだ。
しかし、サーペンティスはくすくすと笑っている。
「語らずとも、わらわには御見通しじゃ。何しろ、数百年ぶりに光を見たからな」
「……!」
サーペンティスに見破られ、ミロは動揺している。
対し、サーペンティスは自身を目覚めさせたミロを光る眼でじっと見つめている。
「長きに渡る眠りより目覚めさせた礼だ。そちに褒美をくれようではないか!」
サーペンティスがミロに手をかざすと、ミロの足元にあった床が抜ける。
「え……」
「危ないっ!」
「きゃあ!?」
ミロが穴に落ちる、まさにその瞬間。
ルイージがミロを突き飛ばし、彼女の代わりにサーペンティスの前に立った。
「うわああああああああああああ!!」
「「ルイージーーーーーーーーー!!」」
そして、仕掛けが作動して、ルイージは穴に落ちてしまった――
「……褒美はあの男が奪ったか。じゃが、その褒美は何だと思う?」
サーペンティスは一瞬不愉快な表情になったが、すぐに元の微笑みに戻った。
「……死ぬの」
「ですか……?」
ミロとユミルは、落ちてしまったルイージを見て、不安な表情になるのだった。
~ここからはルイージの一人称視点で書かれます~
「いたたたた……」
また、僕は落ちてしまったのか。
床は柔らかかったので、大事には至らなかった。
でも、ミロとユミルとはぐれてしまった。
四方には蛇の石像があり、まるで僕を睨んでいるように見える。
ここはピラミッドの中なのか……。
「えっ? う、うわああああああああああ!!」
さらに、僕が座っていた床がぐるぐると回り、またまた下に落ちてしまった。
下には砂がたくさんあり、このおかげでクッションになった……が、
頭から落ちてしまったので急いで引っこ抜いた。
口は閉じていたので砂は入らなかったが、
四方八方に蛇の石像があるし、蜘蛛だってたくさんいる。
こりゃ、簡単には抜け出せそうもないな……。
「どうしたら脱出できるんだろう……」
僕が困っていると、VBの着信音が鳴る。
『ル……ジ君、聞こ……かね? 急に通信状態が悪くなったが、どうしたんじゃ?』
すぐに通信に出ると、オヤ・マー博士の音声が途切れ途切れに聞こえてくる。
そりゃ、こんなところにいたら、通信状態がおかしくならないわけがない。
「実は、サーペンティスの罠にかかって、ミロとユミルとはぐれちゃったんです」
『何っ? はぐれたじゃと?』
僕はこれまでの事情をオヤ・マー博士に話した。
すると、オヤ・マー博士は予想通り、そこがピラミッドの仕掛けである事を説明した。
『ルイージ君、何とかして脱出ルートを探すんじゃ!
くれぐれも仕掛けには気を付けて進むんじゃよ!』
「はい、分かりました」
僕はVBの通信を切った後、ミロが言った通り、今まで以上に部屋の探索を慎重に行った。
まず、閉じ込められた奈落の間から脱出しなければならない。
この部屋を目星すると、左側に砂に埋もれたスイッチがあるのを発見した。
スイッチになっている左腕を倒すと、右側の窓が開き、同時に上から砂が落ちてくる。
僕はオバキュームを使って砂を右側まで押し出し、隠し通路を通っていった。
途中で蛇に遭遇したが、そいつはオバキュームで吸い込んだ。
「うわあ……」
しかし、隠し通路にも罠があった。
蛇型の装置から、たくさんの矢が飛んでくる。
僕はグーイージを出して代わりに進んでもらい、奥の紐を引っ張って装置を壁で塞いだ。
その後、何とか梯子を登り切って奈落の間を脱出、僕は中央の間に辿り着いた……って、
いきなり棺型のドアが動くなよ……。
「ここが、中央の間か」
中央には王を象った石像があり、蛇の石像がある。
上にはドアがあり、そこから地上に脱出できる。
でも、一体どうやって、あそこのドアに行けるんだろうか……。
「まずは、ここに……」
左のドアに入ろうとすると、いきなり光の柵が落ちてきた。
同時に、棺が開いてミイラが襲ってくる。
「ひぃぃぃっ!」
僕は怯えながらもオバキュームを構える。
まず、壺を吸い込んでミイラにぶつけて怯ませ、ミイラから出てきた長い紐を引っ張る。
すると、中からオバケが出てきたので、
僕はすぐにオバキュームで吸い込み、スラムをし続けて倒した。
「大丈夫かな?」
一安心した僕だったが、突然、テレサ型の岩が転がってきた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
あれは、間違いなく僕を潰そうとしている。
僕は、急いでテレサ型の岩をかわし事なきを得た。
やっぱり、ここは危険な場所だった。
「はぁ、はぁ、何なんだよアレは……」
どこもかしこも、罠だらけじゃないか。
とにかく、一刻も早くミロとユミルと合流しなくちゃな……。
僕はオバキュームを持ち直して、ピラミッドから脱出する決意を固めた。
初見殺しトラップがたくさんあるフロアでしたね。
次回はサーペンティス戦です。