ルイージマンション ~ オバケホテルと吸血鬼   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

ついにエレベーターボタンを全て取り戻し、残っているフロアは二つとなった。
14階でミロのチカラが戻ったのは、アデルがこの世界に干渉していたためだった。
ミロはいつでもアデルに連絡できるように携帯通信機を作成する。
そして、三人はいよいよ、パウダネス・コナーが待つペントハウスに乗り込むのだった。


18章-1「Into Penthouse」

 15階へ行くためのエレベーターが動く中、ユミルは覚悟を決めたような表情をした。

「ユミル、どうしたの?」

「……なんだか、嫌な予感がするんです」

「嫌な予感?」

「もう後戻りできないような……」

 ユミルは薄々ながら、自分達に待ち受ける危機感を感じていた。

 ルイージとミロは頭に?マークを浮かべている。

 何故なら、コナーを倒した後、最後に待ち受けているのは――

 

 不穏な雰囲気の中、エレベーターは音を立てて15階に到着する。

 エレベーターの扉にはこれといった装飾はなく、

 内装も今までに行ったフロアとは異なるものだった。

 キングテレサの装飾が施された筒があり、コナーがキングテレサのファンである事が分かる。

「えいっ!」

 左にある筒にバーストして金品を回収した後、三人が東に進むと、

 大きなソファが二つかけてあった。

 床にはテレサの絵が描かれてあり、中央の絨毯はチェッカーになっている。

 三人がソファのある方に向かって歩くと、コナーの姿が映ったモニターが点灯した。

「「「コナー!!」」」

 三人の顔を見たコナーが驚くと、慌てて化粧品を自身の顔に塗りたくる。

 そして、すぐに表情を怒りの色に染める。

キーッ! まったく、なんて無能な手下どもなのよ!

 ルイージと招かれざる客をここまで辿り着かせるなんて!」

「そ、相当怒ってますね……」

「手下、って事は……」

 三人はここで気付いた。

 ルイージ達が吸い込んだボスオバケは、全員がパウダネス・コナーの手下だと。

 コナーは髪を整えると、ゆっくりと立ち上がる。

「でもまあ、あんた達とあの博士のことを少し甘く見ていたってことは認めるわ。

 それに、あんた達がこうしてここまで来るなんて、

 考えようによっちゃ悪い話じゃないってものよ。

 だってルイージ、あんたはね、あの方にお届けするまさに最高のプレゼント!

 そして招かれざる客は、絶望させ甲斐のある奴ら」

「……あああ……」

(あたし達の名前……覚えてないのね……)

(こういう奴は……面倒くさいですね)

 ルイージは顔が引きつり、ミロとユミルは脂汗をかく。

 コナーは微笑み、左手を平らにして三人に戦線布告する。

「招かれざる客を絶望に落とした後、彼をあたしの手でとっ捕まえてお届けすれば、

 キングテレサ様に気に入られること間違いなしよ!」

(……どれだけあたし達を敵視してるのかしら)

「そのプレゼントの方からわざわざやって来てくれたんだから、なんてありがたいことかしら!

 もっとも、招かれざる客は邪魔でしかないけどね」

 「プレゼント」とは、もちろん「絵になったルイージ」の事だ。

 コナーは左手を握り締め、険しい表情になった後、両手を開いて満面の笑みを浮かべた。

「そうね、お礼にキングテレサ様にお願いして、

 あんたをこの絵の隣に飾ってもらうことにするわ!」

 急にモニターが広く映る。

 コナーの上にいたのは……絵になったマリオだ。

「に、兄さん!!」

「なんという悪趣味な!」

「キングテレサ、どうかしてますね……」

 ルイージとミロは目を見開いて驚き、ユミルは不快感から胸を押さえて苦しむ。

「さあ、ルイージ! マリオを助け出したければここまで辿り着いてみせなさい!!

 そして招かれざる客は、ルイージを守れずに絶望する顔を見せなさい!!

 途中でやられてあたしをがっかりさせるんじゃないわよ? 楽しみに待っているわ!」

 化粧品を顔に塗りたくるコナーを最後に、映像はぷつりと途切れた。

 

「あ、あわわわわわわ……」

 コナーもキングテレサも、ルイージを額縁に封印しようとする野望をまだ捨てていなかった。

 それを聞いたルイージは、強い恐怖に襲われ、身震いする。

 ミロとユミルはルイージに呆れていた。

「また震えてる……戦場の鉄則、忘れたの?

 あいつは所有物(コレクション)には多分一切手を出さないと思うわよ」

「変な人のところに渡りませんし、死にもしません」

「……冗談でもきついよ、それ。

 そもそも、君達は僕が絵になる未来を変えるために来たんでしょ?」

「あ、そうだった」

 ミロが指を顎に当てていると、VBの通信が鳴る。

『ルイージ君、ミロ君、ユミル君、見たかね! あれは、ルイージ君の兄さんじゃ!!』

「兄さん……」

『ついにホテルオーナー自らお出ましというわけじゃな! さあ、奴との対決の時じゃぞ!

 マリオ君を助け出すため、ホテルオーナーの居場所を突き止めるぞい!!』

「はい!」

 

 まず、西の排水溝にグーイージを入れ、エレベーターの裏に落ちて紫の宝石を入手。

 次に、テーブルの上にルイージとグーイージが乗り上から箱を出して緑の宝石を入手。

 東の木からはネズミがたくさん出てきたため、ストロボを使ってコインに変えた。

「どうやってここに入るのかしら」

「グーイージに任せて」

「ええ」

 ルイージはグーイージを東の排水溝に入れ、ぶら下がるように紐を引っ張る。

 すると、モニターが上昇し入り口のドアが現れた。

 三人はドアを開け、廊下に辿り着く。

「かなりセキュリティが厳しいわね……」

 15階、ホテルオーナーのパウダネス・コナーが陣取る

 ペントハウスの警備は三人の予想以上に厳しかった。

 それを物語るように、どの通路の上にも監視カメラがある。

 また、西側にも東側にも、コナーやキングテレサの絵が飾られている。

 ふと、ルイージは西側の絵に違和感を気付く。

 オバキュームで上手く石像と影を合わせると、絵に扮した棚の中から白い宝石が出てきた。

 次に、東の通路に行って、違和感のある場所にダークライトを当て、応接室に行くドアを出す。

 そのドアを開けると、そこにもキングテレサの絵があった。

 グーイージが通れそうな排水溝もあるが、火が邪魔していて先に進めない。

 とりあえず、ルイージは応接室の風車をオバキュームで回し、部屋を回転させて鍵を取り出す。

「やった、鍵だ!」

「待ってください!」

 そして、ルイージが鍵を取ろうとすると、ユミルが止めに入る。

「え、どうして?」

「よく見ると、罠が仕掛けてありますね。ミロさん、チカラをお願いします」

「おっけー! なみよ!」

 ミロが<なみ>のチカラを解放すると、レーザーの罠を見破った。

 どうやら、宝とみなす物には全て仕掛けられているようだ。

「うわぁ、罠だらけじゃないか……。どうやって止めるの?」

「あ、グーイージを使えばいいんじゃない?」

「それだ!」

 

 グーイージが裏側に回ってレーザーを止めた事で、鍵に繋がる道が開いた。

 ルイージは緑の鍵を手に入れ、応接室を後にした。

「!!?」

 応接室を後にすると部屋が砂だらけになっていた。

 不穏な気配が漂い、ルイージは怯え出す。

 ミロとユミルは気付いた、オバケが襲う証だと。

「……来た!」

 ミイラオバケが這い上がってきて、ミロは不快な気分になる。

 ルイージはミイラをオバキュームで剥がし、ミロが弓で急所を突き一撃で倒す。

「まだなの!?」

 ミイラオバケを倒しても、不穏な気配は消えない。

 ミロは感覚を研ぎ澄まし、残っているミイラオバケを探知した。

「そこね!」

 ミロは弓から二本の矢を放ち、ラウストとトリストを中から出して撃ち抜いた。

 すると、光の柵は消え、三人は再び探索できるようになった。

「ホント、嫌な気分になるね」

「そうね……」

 

 三人が書斎に入ろうとすると、ドアに化けたエリストが襲ってきた。

 多少の傷を負ったが、ルイージとグーイージが協力してエリストを倒し、三人は書斎に入る。

 奥には黄色い鍵があるが、例によって罠が仕掛けられているだろう。

うわぁぁぁぁぁ! レーザーだ!!」

「こんなのどうやって進めばいいのよ!」

「グ、グーイージに任せよう」

 たくさんのレーザーが飛び交う場所を、ルイージが行くのは危険だ。

 ルイージはグーイージを呼び出し、レーザーに当たらないように慎重に進んでもらう。

 そして装置をキューバンショットで止め、本棚を本に嵌めて赤い宝石を手に入れた後、

 三人は黄色い鍵を手に入れた。

「これで二つ目だね」

「あ、でも思い出してください。戦場の鉄則、謎を解いたら」

「邪魔が入ると思え、だろ?」

 

 幸い、特に邪魔が入る事なく三人は先に進んだ。

 奥の通路には、キングテレサの石像がたくさん置かれていた。

 裏側にあるコインの絵画をダークライトで照らして金品を稼いだ後、

 鏡の隣にある見えないドアもダークライトで実体化させる。

 三人はドアを開けて、コナーの寝室に入る。

 寝室にはドレス、キングテレサのクッション、キングテレサとコナーの絵などがある。

 どれだけキングテレサに狂っているんだろう、と三人はほんの少し不快になった。

「ちっ、ここにもレーザーが!」

 案の定、寝室にもレーザーの罠があった。

 ルイージはグーイージを呼び出して左右のドレスを吸い込んだ後、

 キューバンショットで丸い部分を引っ張る。

 すると、装置がぐるりと回転し、装置が動いて左上に紫の鍵、

 右上にトラップを止める装置が見えた。

 グーイージは上手くシーソー床を動かし、無事に右上に辿り着いてトラップを止めた。

 鍵を取る前にグーイージは一番右上まで行って黄色い宝石を手に入れ、

 その後に紫の鍵を手に入れた。

「ご苦労様、グーイージ」

 ルイージは、グーイージが手に入れた鍵を拾い、寝室を後にするのだった。

 が、ドアを開けると同時に光の柵が落ちる。

「うわぁぁぁぁっ!」

「謎を解いたら邪魔が入ると思え! 戦場の鉄則!」

 三人の行く手を阻むように、武装したオバケが大量に襲ってくる。

 ミロ、ユミル、ルイージは身構えてオバケに立ち向かった。

 幸い、三人とも致命傷には至らず、全てのオバケを撃退する事に成功した。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 ルイージの体力と精神力はかなり擦り減っている。

 このまま進んでいけばルイージは戦闘不能になる。

 それを支えるのは、ミロとユミルしかいない。

 二人はルイージを守る決意を固めるのだった。

 

 右奥の部屋に左側からダークライトを当て、ドアを実体化させる。

 三人はそれを開けて、浴室に入った。

 ここはクリーニングの部屋なのか、たくさんのシーツが積まれている。

 風呂には青い鍵があるが、やはり罠はあった。

「わっと!」

 レーザーをタイミングよくバーストでかわし、

 奥に進んでグーイージがバルブを回してシャワーを止め、

 下水道に入って板の上に乗り、最後の青い宝石を手に入れた。

 その後、三人はレーザーを避けながら奥に進み、グーイージでトラップを止める。

 そして、風呂にお湯を入れて中から青い鍵を出し、ついに三人は全ての鍵を手に入れた。

「これで、コナーのところに行ける……」

 ちなみに、風呂にはキングテレサ型の浮き輪が浮かんでいた。

 その後、オバキュームでシーツを全て吸い込んだ後、三人は浴室を後にするのだった。

 

「待って!」

 しかし、先に行こうとすると光の柵が落ちてきた。

 さらに、三人を待ち受けるように大量のオバケが襲い掛かり、

 左からはレーザートラップが迫っていた。

「これが最後の試練ってわけね……。いくわよ!」

「怖いけど、戦うよ!」

 

「これで終わった……か」

 ルイージが最後のオバケを吸い込むと、立ち塞がっていた光の柵は消えた。

 そして、全てのオバケを倒した三人は、キングテレサの舌の彫像に手に入れた鍵を嵌め込む。

 すると、鍵は吸い込まれるようにキングテレサの舌の中に入っていき、

 彫像の目と宝石が光り出し、鈍い音と共にコナーに繋がる道が開かれた。

「いよいよね、ルイージ」

「……パウダネス・コナーと兄さんが、待っている」

「絶対に、負けてはいけませんよ」

 この中に、パウダネス・コナーと、絵に閉じ込められたマリオがいる。

 彼女を倒せばもう引き返せなくなるかもしれない。

 三人は覚悟を決めて、メイン監視室の中に入った。

 

「……コナー」

 ルイージは震えながら、コナーに声をかける。

 コナーは後ろを向いたままだ。

「ふっふっふ……なかなかやるじゃない。

 あんたみたいな怖がりと、あんた達みたいな強がりがここまで辿り着くだなんて、

 本当に生意気ね」

 怖がりとはルイージ、強がりとはミロとユミルの事を指すだろう。

「確かに、僕は怖がりだよ。でも、兄さんを助けるために、オバケ達を倒してここまで来たんだ。

 褒めてくれよ、コナー」

「強がり、だなんて不適当な言葉ね。あたし達は本当に強いのよ」

「あなたを倒し、マリオを救います」

 ルイージ、ミロ、ユミルは、真剣な表情でコナーを睨みつけていた。

 コナーはゆっくりと振り向くと、怒りの表情を三人に見せつける。

「それどころか、あたしの手下を次々とそのおかしな掃除機で吸い込んで……

 いや、矢や魔法で攻撃したこともあったかしら?

 そして、挙句の果てに、あんた達はあたしの大切な……オバケネコまで捕まえやがって!!」

 いよいよコナーが本性を露わにする。

 三人は震えたが、ここで逃げるわけにはいかない。

「それが、あなたの本当の性格なんですね。

 荒っぽくて、粉ばかり顔にかける、名前通りの『粉まみれ』……」

「おかげで分かったわ。あなたと心置きなく戦う事ができるって!」

 そう言って、ユミルは杖をコナーに向ける。

 ミロも魔法の弓を構えて戦闘態勢に入った。

こんなはずじゃなかったのよ!!

 コナーは怒りのあまり、顔から粉をボロボロと落とす。

 三人は彼女のただならぬ様子にごくりと唾を呑む。

 そして粉が全て落ちると、コナーの素顔が見える。

 なんと、コナーのあの顔は、化粧品によって仕上げられたものだったのだ。

 化粧品の下の素顔は、鉤鼻に皺だらけの顔と、まるでお伽噺に出てくる悪い魔女のようだった。

 ミロが以前にベースラボで考えていた事は、的中していたのだ。

「こ、こんな顔だったなんて……!」

「醜いわね……」

(色んな意味で、こういう人は恐ろしいですね……)

 コナーはヒステリックに机を叩き壊すと、三人を指差して叫んだ。

あんたが、その女二人のせいで

 キングテレサ様から逃げ出すなんて卑怯な真似するからいけないのよ!

「あわわわわわわ……コ、コナー……そ、それはだね、え、え、えっと……」

「みんなをホテルに閉じ込める方が卑怯じゃない?」

「ていうかボクは男です!」

 ルイージは恐怖のあまり、震え上がっている。

 ミロとユミルは武器を構えながら、コナーに叫ぶ。

「あたしは今頃ね!

 本当だったら、キングテレサ様からお褒めの言葉と信用を掴み取ってたはずだったのよ!」

「確かに、本来の時間軸ならね」

「本来の時間軸?」

「皆さんを絵に閉じ込め、残るはルイージ一人になった時。

 本来、ルイージはキングテレサに捕まり、絵に閉じ込められてしまいました」

「でも、あたし達を送り出してくれた人は、それをあらかじめ予知していた。

 だから、あたし達はそれを止めたのよ」

 ミロとユミルは、コナーに自身の行動を説明する。

 二人の言葉を聞いたコナーは、さらなる怒りに打ちのめされる。

キィィィィィィィィ! これだから招かれざる客は嫌いなのよ!!

 あんた達のせいで、キングテレサ様からの信用を全て失ってしまったじゃないの!!!」

 しばらく叫ぶコナーだが、

 やがて、自身の素顔を見て恥ずかしく思い、再び化粧品を顔につける。

 コナーは落ち着きを取り戻し、三人に向き直る。

「コホン……。さあ、それじゃあ始めるとしましょうか。

 あたし自らの手で、あんた達を片付けてあげるとするわ。そして、

 あたしはキングテレサ様から認められるのよ!

 覚悟はいいかしら、ルイージ、招かれざる客。少しはあたしを楽しませてみせなさい!!」

 コナーが指を鳴らすと、後ろのドアが閉まる。

 ルイージは怖がるが、やがて決意したように立ち上がる。

「いいだろう……。勝負だ! パウダネス・コナー! 兄さんは返してもらうぞ!!」

「ルイージの未来は、あたしが守る!」

「覚悟してください!!」

 そう言って、ルイージはオバキュームをコナーに向ける。

 ミロとユミルも彼と共に戦う事を決意する。

 今ここに、パウダネス・コナーとの決戦が始まろうとしていた。




次回はいよいよパウダネス・コナーとの決戦です。
マリオを救出する事ができるのでしょうか。
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