ルイージマンション ~ オバケホテルと吸血鬼 作:アヤ・ノア
マリオが囚われていたのは、15階のペントハウスだった。
ルイージ、ミロ、ユミルの三人は、
マリオを救うために数々の罠を乗り越え、メイン管理室に辿り着く。
パウダネス・コナーは怒りのあまり、自身の醜い素顔と本性を見せる。
三人はレーザーに苦戦しながらも、
グーイージと魔法を駆使してパウダネス・コナーを追い詰めていく。
そして三人は激闘の末、ついにパウダネス・コナーを撃破する。
残すホテルのフロアは屋上のみ。
三人はピーチ姫を救出し、皆でホテルを脱出する事ができるのだろうか。
三人は覚悟を決めて、いよいよ屋上に乗り込んだ。
消火器を吹いてコインを出しながら、落ちている食べ物を吸い込んでいく。
「よっ!」
ある程度道なりに歩いていくと、マリオがいきなり姿を現した。
「に、兄さん!」
「ほらほら、俺についてこい!」
マリオは素早く階段を駆け上がっていく。
ミロとユミルも彼に負けないスピードで階段を上っていく。
「兄さん、待ってよ~、うわわぁっ!」
「キングテレサ……!」
途中でキングテレサが横切り、ルイージは若干、不快な感情を抱く。
正直、マリオやミロより足は遅いが、ルイージも彼らに一生懸命ついていく。
マリオとミロは、狭い足場を華麗な大ジャンプで飛び上がる。
「二人とも、運動神経が良いなぁ……」
「そうですね……」
ルイージとユミルは慎重に、狭い足場を歩く。
しかし、歩いていくごとに足場がボロボロと崩れていく。
「足場が……!」
ルイージは思わず振り向き、身震いする。
もう後戻りできなくなっている、という証だ。
「よぉ!」
「おっそ~い!」
「もうすぐですよ、ルイージ」
ルイージが階段の一番上まで上がると、
マリオとミロが飛び出してきて、ルイージは驚いてくるくる回る。
「まったく、だらしないなぁ、ルイージは。何度もオバケを退治してきたんだろ?」
「で、でも……」
「ほら、ついてきな! ピーチ姫が待ってるぜ!」
「は~い……」
ルイージとユミルはマリオとミロの後を追って、蜘蛛がたくさんいる場所を潜り抜ける。
四人は、屋上までの道を辿ろうとしていた。
空にはたくさんの蝙蝠が飛んでおり、徐々に危険度が増している事が分かる。
先に進むと、高い壁が見えてくる。
「な、なんだよここ……」
「俺ならこんなところ、ひとっとびだぜ」
「あたしもよ!」
マリオとミロは、高い身体能力を生かして壁キックとバク転をしながら屋上へ上がる。
だが、ルイージとユミルには、壁を登れるほどの身体能力は持っていなかった。
というより、ルイージはオバキュームを背負っているので身軽ならぬ身重になっている。
「ボク達は別の道を探しましょう」
「そうだね」
ルイージとユミルは、遠回りしてマリオとミロと合流する事にした。
東に行って、落ちないように慎重に進む。
キングテレサの舌のオブジェを通ると、大量の蝙蝠がルイージとユミルに襲い掛かる。
「わ、わわわわわわっ!」
「頑張ってください、ルイージ」
「わ、分かってるよ」
二人は東に行った後、梯子を上っていく。
そして、四人はついに屋上に辿り着き、ピーチ姫の絵画を発見した。
「やっと見つけたぞ、ピーチ! ……でも、どうやって助けるんだ?」
先にピーチ姫の絵画に辿り着いたマリオとミロ。
しかし、二人には彼女を助ける方法がなかった。
ルイージとユミルはぜえぜえと息をする。
「はあ、はあ、はあ……」
「ぜえ、ぜえ、ぜえ……」
「お帰り、ルイージ。ピーチがこうなったんだが、どうしたら元に戻るんだ?」
「あのねえ、兄さん……こうやって助けるんだよ」
そう言って、ルイージはピーチ姫の絵画にダークライトを当てる。
すると、額縁の中からピーチ姫が飛び出し、ゆっくりと降りてきた。
「まあ! 手も足も自由に動かせるわ。私、元に戻ったのね。……本当にありがとう、マリオ」
「いや、助けたの僕だから……。でも、これでみんな助かったんだね」
「ああ。……もう、長い悪夢は……」
マリオとルイージは、絵画から元に戻ったピーチ姫に抱き着く。
ミロとユミルは、全ての仲間を救出した事で満面の笑みを浮かべていた。
――だが、背後から“彼”が迫ってくる――
「……終わっていない!」
「「「え!?」」」
ルイージは、背後にいた“彼”に気づいて叫び、ミロとユミルと共に振り返る。
屋上に現れたのは、全ての元凶・キングテレサだ。
「グワッハッハッハッ! ここまで辿り着くとは生意気だぞ、ルイージ、イレギュラー!!」
「キングテレサ……!」
「また姿を現したわね……!」
「大人しくこのホテルから逃げ出してりゃよかったものを……。
この俺様に歯向かおうとは、ふざけた真似してくれるじゃねーか!」
キングテレサは自身の策が打ち破られた事で、怒りの表情をルイージ達に見せる。
「いや、そもそも、このホテルから逃げられなくしたのはお前だろう。
それを差し引いても、僕はお前に絵にされたみんなを助けるためにここに来た。
……ああ、そういえば、お前にイレギュラーの名前を教えていなかったな。
銀髪のイレギュラーはミロ、金髪のイレギュラーはユミル・ハーシェルだ」
ルイージはいつもと違う、真剣な調子でキングテレサを挑発する。
何度もやり合った因縁の相手、だからこそこんな事が言えるのだ。
「貴様という奴は、今回もこのホテルのオバケ達を
スポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポ
次から次へと吸い込みまくりやがって!
しかも、あのホテルオーナーの奴も、せっかく捕まえたお前の仲間を逃がしやがってよ!
ぜんっぜん役立たずだったじゃねーか!! どいつもこいつも俺様を舐めてんのか!?」
「なっ……!」
「な、なんという事を……。
コナーはあなたを解放した恩人、じゃなくて
「許さないっ! あんたみたいな奴は、絶対に許さないっ!」
自身に尽くしたコナーを切り捨てたキングテレサにミロとユミルは怒りを露わにした。
ミロとユミル、この二人の絆は非常に強い。
だからこそ、あんな事を言ったキングテレサには我慢出来なかった。
「今すぐにあんたをここで仕留めるわ!」
「覚悟してください、キングテレサ!」
ミロとユミルがキングテレサを撃とうとすると、キングテレサはルイージ達に大きく近づく。
「イレギュラー、その威勢もここまでだ!
もう、ほんっと頭に来たもんだからよ! 俺様も手加減なしだぜ!」
「手加減なし……?」
キングテレサはルイージ達から離れると、
ルイージ、ミロ、ユミル、マリオ、ピーチ姫にこう告げた。
「俺様が本気を出せば、こいつらを取っ捕まえるぐらい、なんてことねーんだよ!
みんなまとめて額縁に収めてやるぜ!!」
そう言って、キングテレサは宝石から何かを浮かび上がらせた。
それは、オヤ・マー博士のベースラボだった。
「あれは、ベースラボ……!」
ルイージは目を見開いて震え上がる。
しかし、ミロとユミルは笑みを浮かべている。
「ミロ、ユミル……?」
「おらぁ!!」
キングテレサはベースラボを破壊するが、ベースラボの中には誰もいなかった。
予想外の事態に、キングテレサは驚く。
「何っ!? 誰もいないじゃねーか! どういうことだ!?」
「残念だったわね、キングテレサ!」
「ボク達が事前に、オヤ・マー博士とキノピオを別の世界に逃がしたんですよ!」
「な、なんだってぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
ミロとユミルは、大声でキングテレサに自らの作戦が成功した事を話す。
ルイージはそれを聞くと、ガッツポーズをした。
「これだからイレギュラーは……まあいい。お前らを閉じ込めれば絵の完成ってわけだ!
待たせて悪かったな、お前達! さあ、覚悟しやがれー!!!」
「まずいぞ、逃げろ!」
ルイージ、ミロ、ユミル、マリオ、ピーチ姫に、
キングテレサが生み出した巨大な額縁が徐々に迫る。
逃げ出そうとするが、五人は全く動けない。
オヤ・マー博士とキノピオを異世界に逃がした代償なのだろうか、
ミロとユミルはいつにない恐怖で震えている。
五人の後ろでは、オバ犬が蝙蝠を追いかけていた。
「ううぅぅぅ……」
「動けないぜ……!」
「マリオ……ルイージ……!」
「あたし達はこのまま……」
「絵になっちゃうんですか……!?」
ミロは恐怖のあまり、気を失ってしまった。
五人に額縁が迫る、まさにその時。
「ワンワン!!」
「オバ犬!?」
偶然にも、オバ犬がルイージを庇って突き飛ばす。
その後、ばたん、と額縁が四人の前に倒れ、キングテレサは勝ち誇ったように笑う。
ルイージがゆっくりと起き上がると、
マリオ、ピーチ、ミロ、ユミルを封印した額縁が浮かんだ。
ミロは気絶しているのか、眠るような姿勢になっている。
彼女の右腕には、時の歯車が光っている。
「み……んな……」
「1、2、3、4……やはり、足りない……」
キングテレサはルイージを捕らえ損ねた事で、ルイージに最大限の怒りの表情を見せる。
最後の最後まで、彼は幸運に恵まれているのだ。
「ふざけやがって、ルイージ!! もう、絶対に許さんぞ!!!
そんなに俺様に痛めつけられたいのか!!」
「ああ!」
「いいだろう! お望み通りにしてやるよ!!」
「僕の未来は、お前なんかにいいように使われるようなものじゃない事を、
このオバキュームで教えてやる!!」
時の歯車が無い以上、キングテレサに負ければ回避不能の
だが、ルイージは不思議と恐怖心が出なかった。
何故なら――みんなは、ルイージが勝つ事を信じているからだ。
「今度こそこれでお前もおしまいだ! 観念しやがれ! ルイージ!!!」
「さあ……来い! キングテレサ! お前もそろそろ観念するんだな!!!」
ルイージとキングテレサの、正真正銘の一騎打ちが始まろうとしていた。
ミロとユミルが一緒に戦えなかった理由は、裏での「判定」です。
次回はついにルイージとキングテレサの一騎打ちです。
最後まで見届けてください。