ルイージマンション ~ オバケホテルと吸血鬼   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

ガトレーを退け、1階と5階のエレベーターボタンを手に入れたルイージ、ミロ、ユミル。
一行はベースラボを拠点としてオヤ・マー博士の今までの事情を聴く。
大切なオバケコレクションを失い、
悔しがるオヤ・マー博士をルイージは見捨てる事はできなかった。
そしてルイージは、オヤ・マー博士からVB(バーチャルブー)という特殊な機械を手に入れ、
モニターデバイスを持ってエレベーターに向かうのであった。


2章-1「Find Bag」

 ルイージ、ミロ、ユミルの三人は、オヤ・マー博士に頼まれてエレベーターを探した。

 理由は、モニターデバイスをエレベーター内に取り付けるためである。

「えっと、確かここに……あった! エレベーターは確か、こっちにあったはずだよ」

 三人はVBのマップを頼りに、エレベーターがある東に行く。

 ルイージはエレベーターのボタンを押した後、ボタンが外された場所に行った。

「これを取りつければいいのね? きゃあ!」

 ミロは、モニターデバイスを見ながらそう言った。

 しかし、うっかりボタンを触ってしまい、モニターデバイスは飛び出してしまう。

 ルイージはギリギリのところでモニターデバイスをキャッチし、壊れる事はなかった。

「な、何やってるんだミロ。危ないじゃないか」

「ごめんごめん……あたし、機械が苦手だから」

「……とにかく、これは僕が取り付けるからね」

 そう言って、ルイージはモニターデバイスをミロから取り、エレベーターに取り付けた。

 すると、ピコピコという音と共に青や緑に光り、エレベーターの中に映像が映った。

 

「わぁ~! すご~い!」

 モニターデバイスには、「地下1階」「パーキング」という文字が映っている。

 すると、「地下1階」という文字が映った場所に、オヤ・マー博士の姿が映った。

『ハロー、ルイージ君、ミロ君、ユミル君! どうやら上手く取り付けてくれたようじゃのう!』

「ハ、ハロー」

 ルイージは怯えながらオヤ・マー博士に挨拶する。

『このデバイスはのう、エレベーターからフロアの地図データを吸い出して

 モニターに表示する事ができるんじゃよ。便利じゃろう!』

「はい」

 これさえあれば、ルイージ達が遠くにいてもいつでもオヤ・マー博士と連絡を取れる。

 ミロとユミルはこれを見て、チキュウにある「てれびでんわ」を思い出した。

『ほれ、早速さっき手に入れたエレベーターボタンをパネルにはめ込んでみるがよい』

「分かりました」

 ルイージはガトレーとの戦いで手に入れた2つのエレベーターボタンを取り出す。

 すると、エレベーターボタンはひとりでに動き、特定の位置に回りながら嵌った。

『これで新しいフロアのマップも見られるようになったぞい!』

おお~!

『さらに、驚くなかれ。

 このデバイスはVBと連動しておってのう、地図データは自動的にVBへと転送され、

 キミ達はいつでもどこでもマップを見られるのじゃ!』

「「おおお~~!!」」

 ルイージとユミルはその高性能さに声を上げる。

 一方で、ミロは知っているかのように頷いた。

『VBのメニューからマップを選ぶと詳しい地図が確認できるから覚えておくんじゃぞ?』

「「「分かりました!(分かったわ!)」」」

 三人はオヤ・マー博士から一通りの話を聞いて、笑顔で頷いた。

 

「まあ、要するに、僕達はこのホテルのフロアを探索しながらエレベーターボタンを見つけて、

 みんなを助けるんだよ」

「あたしのチカラも取り戻したいしね」

「チカラを取り戻す?」

「実はね……」

 ミロは一度額縁に入れられかけたが、ユミルが引っ張ったおかげで何とか脱出した。

 しかし、脱出の際に力を使ったのか、特殊能力がこの世界では使えなくなってしまった。

 というより、額縁にミロの力を吸い取られた、というのが正しい、と説明した。

「じゃあ、今のミロは、僕と同じなんだね」

「情けないけどね……」

『おーい、三人ともー』

 忘れられたオヤ・マー博士が三人に話しかける。

「あ、オヤ・マー博士、すっかり忘れてたよ」

『……キミの恩人だというのに……。まあいい、探索の前にキミ達にちょっと頼みたい事がある。

 VBの通信テストをしておくとするかのう。

 ルイージ君、VBを覗き込んでからそこの通信機能を選択してくれんか? よろしくの!』

 オヤ・マー博士の通信はここで途切れた。

 ルイージはVBを取り出して覗き込み、通信機能を選択してオヤ・マー博士に連絡した。

 ちなみに、通信中はミロとユミルは介入できない。

 

『あー、テステス。こちら天才オヤ・マー博士……』

 ルイージが通信機能を起動させると、モニターにオヤ・マー博士が映った。

「オヤ・マー博士、これでいい?」

『通信はばっちりできておるようじゃのう!

 これで、キミはいつでもわしに連絡できるわけじゃ!』

 オヤ・マー博士は連絡手段をルイージに教えた。

『さて、テストはこれぐらいにして、探索へ向かうキミとミロ、

 ユミルの女子二人に早速一つ、仕事を与えるとするかのう』

「あの、オヤ・マー博士、ユミルは男の子だよ」

『なんと! これはびっくりじゃ! これが俗に言う男の()じゃな!』

 オヤ・マー博士はユミルの性別を知って驚いた。

 ユミルは頭に?マークを浮かべていた。

『ごほん、気を取り直して……ほれ、キミ達はこれで5階へ行けるようになったじゃろう?

 わしはその5階の客室に泊まっておったんじゃ。

 わしの部屋に鞄が置いてあるんじゃが、そいつを取ってきてくれんかね?』

 オヤ・マー博士が忘れてきた鞄の中には、一体何が入っているのだろうか。

 ルイージは珍しく、興味津々そうな顔をしていた。

 しかし、オヤ・マー博士の部屋は、目星をしなければ分からない。

『それではルイージ君、健闘を祈っておるぞ! 生きて戻ってこいよ? フェッフェッフェッ!』

 

 ルイージは通信を切った後、先程嵌めた「5」のエレベーターボタンを押した。

 三人を乗せたエレベーターは、ゆっくりとゲストルームフロアへ向かっていく。

「確か、5階ってルイージ達が泊まってた場所よね。ピーチ姫の悲鳴から始まったのよねー」

「うぅぅ……」

 全てが始まった場所、5階。

 そこにまた行く、と知ったルイージは身震いした。

「それで、ボク達はルイージを助けるために」

「ルイージを案内したのよねー」

 ミロとユミルは相変わらず明るく話している。

 本当に怖いもの知らずだな、とルイージは思った。

 

 数分後、エレベーターは音を立てて5階に着いた。

 外は雨が降っていて、雷が鳴りそうだった。

 震えながらゆっくりと歩くルイージに、ユミルは少し呆れていた。

「あわわわ、あわわわわわわ……」

「ルイージ、怖いのは分かりますけど、オヤ・マー博士の鞄を取るのがボク達の仕事です」

「そ、それはそうなんだけど……うわぁぁぁ!

 ルイージが壁を見ると、彼の絵が貼られていた。

 先程まではなかったのに……ルイージは驚く。

「もう、だらしないわね。行くわよ、ルイージ」

 そう言って、ミロがルイージの手を引いて部屋に行こうとすると、VBの着信音が鳴った。

「あら、着信? 出なさい」

「うん」

 ルイージが通信に出ると、オヤ・マー博士がモニターに映った。

『おっと、ルイージ君。そういえば、一つ大事な事をキミに伝え忘れておったわい』

「大事な事?」

『その新型オバキュームじゃがのう、実は新しい機能を付け加えてあるんじゃよ』

「新しい機能?」

『キミの新たな武器となる、キューバンショットというものじゃ!』

 キューバンショットとは、

 ゴム製のキューバンを飛ばし平らでつるつるした場所にくっつける機能だ。

 そして、オバキュームで紐を吸い付け、強力に叩きつけて物を破壊する事ができるのだ。

 ルイージは使い方をオヤ・マー博士から教わり、VBの通信を切って探索を再開した。

 

「ルイージ、何かあったの? って、部屋に行きたいのにバッグが邪魔してるわ」

 ミロは、右に積まれたバッグを指差して言った。

 すると、ルイージはオバキュームからキューバンを飛ばし、家具にくっつけた。

「わ、凄いわ! 何これ?」

「キューバンショットっていう、オバキュームの新しい機能だよ。

 重いものを動かす事ができるんだ」

「……ふーん」

 ミロが見守る中、ルイージはキューバンをくっつけたバッグを思い切り叩きつけ、

 中から金品を出した。

 もちろん、もう一つのバッグも同じ方法で破壊し、中の金品を全て回収した。

 三人は廊下を通って右の小部屋に行く。

 ここにも、ルイージの絵が二枚貼られている。

「……ここに光を当てれば……」

 ルイージは、黒電話の隣にある棚の中に金品が入っていると目星し、ストロボを照らした。

 すると、彼の目星通り、中から金品がたくさん出てきた。

「なんだか不気味なポスターね。吸い込んで」

「う、うん」

 ルイージがオバキュームでルイージの絵を吸い込むと、壁の穴が見えた。

 ユミルが聞き耳を立ててみると、小さな声と音が聞こえてくる事が分かった。

「一体、どんな音なんでしょう。覗いてみましょう」

「……ちょっと、怖いけど……」

 ルイージ、ミロ、ユミルは、壁の穴を覗いた。

 すると、信じられないような光景が広がっていた。

 

―キャハハハハハハハハ!

―アハハハハハハハハハ!

 リネン室の中では、洗濯物がひとりでに空を舞っていた。

 さらに、誰もいないのに、オバケの声が聞こえてくる。

 壁に穴は開いていてぼんやりと光る明かりがあり、ちらちらと金品が見えていた。

 この異常に三人は正気を失いそうになるが、何とか理性で耐え抜いた。

 

「「「……」」」

 ルイージ、ミロ、ユミルは言葉を失っていた。

 やはり、このホテルはただのホテルではない。

 しかし、立ち止まるわけにはいかない。

 三人はこの部屋を後にして、廊下を歩いていく。

うわぁぁぁぁぁっ!?

 すると、近くにあった掃除用具の入った台車がひとりでに動き出し、廊下の方へ去っていった。

 さらに、雷が鳴ったのか、窓が白く光り、大きな音が鳴る。

 立て続けに起こる怪奇現象に、流石の三人も軽い混乱状態に陥った。

「……はあ、心臓に悪いわよ」

「ミロさんもボクも、心臓は動いてませんよ」

「えっ」

 ミロとユミルが人間ではない事を知ったルイージは軽く驚いた。

 しかし、今はそんな事は関係ないので、オバキュームを駆使して宝石を回収しながら、

 一番東の508号室に入ろうとした。

 すると、台車が音を立てて砕け散り、中から三体の掃除屋の姿をしたオバケが姿を現した。

「うわぁっ! ま、また不意打ち!?」

「オバケっていつもこうなのよね。……ルイージ、オバキュームを用意して」

「わ、分かったよ!」

 光の柵が全てのドアを塞ぐ――戦いが、始まった。

 

「うわぁっ!」

「せいっ!」

「ド・ゲイト・デ・テラ……」

 オバケがルイージに体当たりを仕掛けた。

 ミロはオバケを魔法の矢で射抜き、ルイージはオバケに向けてストロボを放ち怯ませた。

 ユミルは呪文を詠唱し、魔法の発動に入る。

 ルイージはすぐにオバキュームを使おうとしたが、その前に別のオバケが体当たりしてきた。

「うわぁっ、囲まれるのは不利だねぇ」

 そう言いながらルイージはオバキュームでオバケを吸い、釣りのように引っ張って叩きつける。

 ミロも魔法の矢でオバケを射抜くが、オバケを倒すまでには至らない。

「マ・ギ!」

 ユミルは拳大の魔力をオバケに向かって放つ。

 だが、明後日の方向に飛んでいき、オバケには当たらなかった。

「やっぱり、ここだと魔力が落ちるんですかね……」

「えいっ!」

 ルイージはストロボでオバケを怯ませた後、再びオバキュームでオバケを吸い込む。

 そして、力を溜めて何度も、何度も、オバケを叩きつけて倒した。

「今度こそ、ド・ゲイト・デ・テラ・マ・ギ!」

 ユミルは再び詠唱に入り、その隙にルイージがオバケを光で怯ませ、

 ユミルが魔力をオバケにぶつける。

 そして、ルイージはオバキュームでオバケを吸い、これで全てのオバケを倒すのだった。

 

「結構、強かったわね、こいつら。といっても、距離が離れているからね」

 戦闘を終えたミロが、ぽつりと呟く。

 オバケ同士の角度が遠いため攻撃を巻き込みにくく、ルイージは何度か傷を負ってしまった。

「ボクの魔法もあまり当たりませんでしたからね」

「……やっぱり、ミロとユミルが攻撃したら?」

「あのねえ、あたし達の攻撃はこの世界ではオバケにとどめを刺せないの!

 現に、全力で矢を撃ったんだけどオバケは倒れなくて……」

 ミロの表情は真剣で、嘘は全くついていない。

 オバケにとどめを刺せるのは、オバキュームを持っているルイージのみなのだ。

「じゃあ、僕がやるしかないのかな……」

「そうですよ。あなたは幽霊掃除屋(ゴーストスイーパー)ですから」

「……ユミル。……ありがとう」

 ユミルがルイージを応援したおかげで、ルイージの中に勇気が湧いてきた。

 ルイージは、ミロとユミルの期待に応えなければと思った。




次回はメイドオバケとの対決です。
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