ボルト時々プレスのちプログラムくん   作:凍り灯

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頭空っぽの会話を描写したくなりました。







ゴミヤマ ノ オウ

 

 

『皆さま!大変長らくお待たせしました!』

 

今は静まり返った扉の先、司会の女性の声がエコーを伴い響き渡る。

絹擦れ、囁き声、そんな音すら聞こえてきそうな静寂の中、よく通る声で二人の選手のプロフィールを改めて紹介してるらしい。

何言ってるかは聞いちゃいない、それどころじゃねーんだ。

 

『まずはアジーナ代表!カチュア選手の入場です!!』

 

途端、地響きすら感じる程の大音量。

大扉を抜けた先、その四方から溢れんばかりの声援が耳を強く刺激する。

 

首から下げた、ボルトを模したアクセサリーが胸元で揺れる。

 

緊張感など、忘れた。

今はただ、燃え滾るような興奮を抑え付けるのに忙しかった…!

観客もいい加減分かっているはずだ、この"不敵な笑み"なんて言われているものは、ただ抑えつけるのに必死なだけってことを…!

 

俺と持ちナビの名を叫ぶ声すら聞こえる爆音の中で、大きく開けた"コロッセオ"、その中心へと歩み寄る。

まだ抑えなくては………あぁその時に爆発させなくては()()()()!!

 

浅黒い肌に三白眼、そしてこの笑み。さらに被ったキャップの影で最高に悪人面になっているこの顔を見ても司会の女性は顔色を変えない。

もうさすがに慣れてくれたようだ。別に気にしやぁしないが。

ついついククッ、と笑いを漏らしたタイミングで、もう一人の選手の名を呼ぼうと彼女は息を吸い込んだ。

 

俺は手に固く握り締めたPETの画面を見やる。

あぁ楽しみだ…そして証明する!!()()()自身に…!!

お前と俺は()()()()()なんだっつーことをよ…!!

 

『そして!!二ホン代表!!光熱斗選手の入場です!!』

 

()()………!

 

あぁ来た!…よし来た!…俺にはわかる!やはりそうだ、あの目っ!!

あいつも最高に熱いやつだってことがなぁ…!!!!

さぁやろう!よしやろう!!

 

俺の凶悪そのものの顔で引き攣ってはいるが戦意は以前変わらず。

そうでなくちゃぁな〜!!

 

目の前のガキと何か会話を交わした気がするが、既に内容は忘れちまった。

 

こいつを()()()()!!!

 

『カチュア VS 光熱斗!!!』

 

「っっっっっっっっっっっっっしゃぁ!!!!!!行くぜっ!!()()()()()()!!!」

『オ、オウッ!!』

『頑張ッテ下サイヨッ!!ジャンクデータ 二 変エテヤルノデス!!!サァサァヤルノデス!!!!』

 

『熱斗くん!気合負けしちゃダメだよ!』

「わかってるさっ…!行くぜ!!!」

 

『バトルオペレーション!!セット!!』

 

『『インッ!!!!!―――――――――――――――』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~~~~~~また散らかしやがってったくもうなぁなぁなぁんでこんなとこに置くかねぇ~?」

『ソレハ 今 ハッ倒シタ 人タチ 二 言ウ ノデスヨ』

「ピクリとも動かねぇけど?」

『アレマ、デハ ゴミハゴミ箱 二、トイウコト デ 放リ投ゲテ アゲマショウ…"ゴミ収集車" ノ 中二』

「はっはっは。だとよ?」

 

するとどうだろう。

気を失っていた()()をしていた三人組は慌てて起き上がり、背筋をピンと伸ばす。

 

「まじすんませんしたっっっっ!!」

「調子乗ってましたっっっっ!!」

「明日出直して来ますっっっっ!!」

「出直すなよ。俺が来るまでに今度はちゃんと分別して入れろよ?」

『次 ヤッタラ 細カク分ケテ "燃エルゴミ" デスカラネ?ウフフフフフ…』

「っっっっっっす!!!今度は間違えません!!!」

 

まだまだ元気じゃねぇか。

このゴミ収集車に血を吸わす日はまだまだなさそうだな。

二コリ…!と笑ってやれば三人組は青ざめながらそそくさとよくわからんイイワケをしながらこの場を後にした。

今日も絶好調だな!この凶悪な笑み!

 

「…で?そっちは終わったか」

『今 終ワリマシタヨ…マッタク、"電脳世界"ノ "プログラムクン"モ ヤットマシ ナ 分別ヲ シテクレルヨウ 二 ナリマシタネ』

「そいつは朗報?」

()() ナ ダケデス!ドイツ モ コイツ モ!』

「はっはぁ~、成長するだけいいじゃねぇか」

『最初 ノ 真面目サ ハ ドコ二イッタノカ!』

「ゴミ箱だろうな」

『燃エテシマエ!!!』

「次行くぞ~」

 

マスコットキャラよろしく可愛い見た目の"プログラムくん"―――"プロ-g(ジー)"くんの過激な発言を流しつつ、外付けした赤外線通信機を介して古いモデルの折りたたみ式のPETへと回収する。

ジャンクデータ処理担当の色である灰色のプログラムくんの姿を画面越し確認した後、ゴミ収集車の席へ乗り込みオートドライブシステムをオンにした。

 

車が発進するのを確認する間もなく電子タバコを咥え、大きく吸い込み、甘ったるい水蒸気を吐き出した。

 

『今時 電子タバコ ナンテ 不健康 デスヨ』

「デジタルタバコにしろって?どうしたよ、今までそんなこと言わなかったくせに」

『コノ前 ネット デ 電子タバコ ガ ドレダケ 身体二 悪イカ ノ 記事ヲ 見タノデス!』

「あ~あれ吸った気がしないんだよ。デマだろう?どーせよぉ」

『若イ 内カラ 気ヲ 使ワナイト 後悔シマスヨ!』

「はっはぁ~なる程?さてはやめさせるように()()()()に頼まれたなぁ?」

『ギク』

「分かりやすいんだよ!この子供好きめ!直接言えばいいのになぁ~…じゃ、やめるか」

 

俺はさっさと電子タバコを作業着の胸ポケットにつっこんだ。

 

『Mission complete!』

「おい、翻訳機能」

『マタデスカ!コノポンコツPETオッ!』

「流石に換え時かねぇ」

 

如何せん古い。

しかも元がジャンク品だ、いい加減限界が近いんだろうよ。

こいつはアメロッパ産だから翻訳機能ないといけないんだよなぁ、本格的に壊れたら厄介だ。

 

『オカネ ガ モット アレバ イインデスケドネ…ハッ!タバコ ヲ 止メタ分ヲ 回セルジャナイデスカ!』

「ジャンクデータから修復プログラム漁った方が早えーと思うぜ」

『ソレモソウデスネ…トホホ、居心地ノ ヨイ PETハ マダマダ 先デスネ…』

 

ずっとこのオンボロだもんなぁ〜

 

「余裕ができたらな〜いつかできんだろ」

『サッキマデ タバコ ヲ 咥エテタ ソノ口 デ 良ク言エマシタネ…』

「おうっ!それほどでもねーよ」

『…トキドキ 冗談 デ 言ッテイルノカドウカ 分カラナク ナリマスヨ』

「俺に冗談は通じないんだぜー?」

『勢イ ダケデ 適当二 喋ラナイデ 下サイ、マッタク………ア、着キマシタヨ―――ッテ、クラァ!!!クソガキドモッ!!!!ソノ リサイクルボックス ハ テメェラ ノ オモチャ箱 ジャ ネーンデスヨ!!??』

「はっはっ、お前のその説教の方がすげーイキオイだぜ―――ってオイオイオイオイオイおまえらぁ!!ゴミ収集場所はおめーらがゲロるためのオマル置場じゃぁねーんだぜェェェ!!??」

 

 

―――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日1日の仕事を終え、仕事着である灰色のツナギから掠れたワインレッドのポロシャツに着替える。色の名前は最近知った。

ほつれ、薄汚れた白色の七分丈のパンツがどうやら台無しにしてるらしい。拾ったもんだしな。

赤は幸運を呼ぶ"メデタイ色"らしいな。んでもって白は女性にとって"死"を意味する色とか。そりゃぁ合わないかもだが、俺カンケイなくね?

 

作業着と揃いの灰色のキャップを外し、ワックスで髪の毛をオールバックに整えていく。

何か白髪が増えた。まだ20なったばっかなのによ。

 

「ん~~~全然決まらんな…まぁいいか」

『帰ル ダケ ナノデスカラ 無駄ナ 気遣イデスヨ』

「馬鹿っ、こういう所で怠る奴が弾きだされちまうんだぜ?」

『誰ニデスカ』

「ダレにだろうな…」

 

そもそもそんなこと気にする奴いねーわなんて思いつつ、オンボロな職場を後にする。

挨拶を一言、建付けの悪いドアを閉めて、ついでに鉄格子のはめ込まれた窓越しに目が合った上司に会釈した。

 

PETは胸元のホルダーに収めており、差し詰めガンマンのようだがまだまだ治安が悪い場所も多い。腰の位置じゃぁちょいと不安になる。

ネットワーク技術が発達し高いセキュリティ技術を持つ国とは言っても、人口がこうも多ければそうもなるか?

マジメに働きだすまで、んなことすら気にもしなかったがよ。

 

露店で適当に目を付けた食い物―――とガキどもに頼まれていた食い物―――をカードで購入し、紙袋を抱えたまま路地裏へと足を運んだ。

 

「あ!あにき!おつかれさまっす!」

「ヒャァ!食いもんだ!あざます!」

「オーお疲れさん。今日もしばき倒したんだって?アホ共が大人しくなったってばーさん言ってたぜ」

 

わらわらと10代にすらまだなってないガキから、俺の年に近いような奴らまで奥の方から顔を出して手を振る。

強盗とか"縄張り争い"に巻き込まれる、なんてことなく特に変わったこともなかったと知って安心し、俺も手を振り返した。

 

「おーう!そっちの収穫は…良いわけないか!」

「もうちょっと"おぶらぁと"に包んで言ってくれよあにき」

「何?おぶ…?二ホン語でしゃべってくれ」

「何で二ホン語なんだよ」

『最近 ネット デ 見タ ネットスラング ヲ 言イタイダケ ミタイナンデ 気ニスル コト ナイデスヨ』

「"おぶらぁと"に包んでくれよォ…"おぶらぁと"って何?」

『ゴホン』

「…!知ってるのか!?プロ-g(ジー)くん!」

『薬ヲ 飲ム時ニ 使カウ ナンカ薄イ紙 デスネ』

「えぇ…紙っておいしくないじゃん」

 

中身のない話をしながら皆が使うこれまたボロい建物に入る。

パッと見で全然分からないが、昔は教会だったらしい…中の装飾から長椅子、十字架ですら一つ残らず剝ぎ取られちまってるが。

十字架が掛けてあったらしい場所だけ、壁の汚れが周りよりキレイなことで薄っすらと十字の()()が見える。唯一それだけがここの教会()()()所だ。

祈りを捧げる奴なんざ一人しかいないがな。

 

その唯一の人物、皺くちゃのばーさんは日没の時間の祈りを捧げている最中だった。

周りは子供たちの食べ物の奪い合いで喧しいが、そのばーさんの回りだけはえらく静かな空気が漂っているようにさえ感じる。

こうまで信心深い人間がいれば他に(なら)うやつも出てきそうなものだが、ばーさん自身が止めてたりする。

理由は知らん。

 

やがてゆっくりと顔を上げ、後ろにいる俺に振り返りもごもごと口を開いた。

 

「ふん…帰ったかい、カチュア、プロ()ー」

「おう。ただいま」

『タダイマ デス』

「ちゃんと稼いで来たんだろうねぇ」

 

振り返ったばーさんの目つきは今日も無茶苦茶悪い。人の事は全く言えねぇ。

 

「10人くらいぶっ飛ばしたから臨時ボーナスが出たよ」

「そうかいそうかい。やっぱりあんたか。最近幅ぁ聞かせてるクソガキがしこたま青痣こさえて泣きべそかいてるって聞いたからねぇ」

 

未だ治安が悪い。特にスラム近辺の"ゴミ収集"なんて命がけだ。

回収の瞬間をいつも狙ってやがる。ゴミ箱やリサイクルボックスは電子ロックがかかるから素人で解除はできねーんだ。

んなもんだから給料も比較的()()だし、ぶん殴って上下関係を刻み込めば(店長の裁量次第だが)臨時で金を貰えたりする。

運が良ければゴミから掘り出し物も持ち出せるからな~いい仕事さ。腕っぷしがあればな。

 

「はっはぁ…綺麗にゴミ収集所をご利用イタダケナカッタからな~」

「ご立派になったもんだよ…いっつも気味の悪い笑み浮かべてた陰気なガキがねぇ」

「褒めても気味の悪い笑みしか出ねぇぜ」

 

楽しいコトがあるとニヤニヤしちまうのはもう仕方が無い。

ばーさんは呆れることもなく鼻で笑いながら言葉を続ける。

 

「じゃぁあんたはいつも褒められながら生きてるわけだね」

『前向キ ガ "取リ柄" デスモノネ…タダ ノ 能天気

「そんなことより早くしねーとばーさんの分無くなっちまうぞ」

「ちっとはこのばばぁに取って来るなり何なり気をつかいなクソガキ」

 

ばーさんがガキどもを蹴り飛ばして奪い合いに参戦する光景を眺めながら、さっき買った"カオジー"を頬張る。

もち米に卵を塗って炭火で焼いたこの匂いっ、バツグンだ…。ガキどもも取っ組み合いで奪い合ってるしな!

大口開けて片手で頬張りつつ、胸元のホルダーからPETを取り出し、教会内の空調管理システムの赤外線受光部へと向けた。

 

「んじゃぁ情報収集よろしく」

『居心地 ノ 良イ オウチ ノ タメニ!』

 

そう意気込んでプロ-gくんは電脳世界へと駆けて行った。

俺もばーさんに捨てられたPETが落ちてそうな場所聞き出さないとなぁ。せめてアップデートのプログラムだけでも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電脳世界の比較的安全な地域をワタシは探索していましたが、ヤハリ収穫なしデスネ。

PETにインストールできるプログラムが落ちてること自体稀デスガ…

あちこちに落ちてるジャンクデータを整頓しながら(職業病デスネ…)物色していると、カチュアから連絡が入ってきマシタ。

 

『見つかりそうか?』

「ダメデスネェ…ワタシガ 安全ニ 動ケル範囲 デハ ヤハリ 難シイ カモ シレマセン」

『こっちもダメだぜ。まぁ初日からってのはそうそうないさ』

「ソウダッタ ナラ 今頃 ワタシ モ "最新式" ノ PET 二 居ルデショウネ」

『プログラムくんのためだけに最新式使う奴は相当物好きだろうよ』

「デモ 拾ッタラ 使ウデショウ?」

『お前しか使う奴いないじゃねーか。…せめてアップデートプログラムが一部でもあれば、ばーさんが今よかマシにしてくれるだろうな』

「…気合ガ 入イリマスネ!!」

 

もうオンボロPETは嫌デスヨ!!

 

『おっ!いいね!やっぱそういうやる気がね〜となぁ!』

 

カチュアが目の前の映像越しに笑いマス。

嬉しそうにしてる癖に、ドウシテこうも凶悪な笑みにナルノデスカ。

 

「デハ 最後ニ チョット "集積場" マデ 行ッテ ミマショウカネ」

『集積場?一応安全圏つっても、たまに山積みのジャンクデータに紛れてウィルスが出んだろ?』

「シカシ ドッチ ニ シロ 後デ行クコト ニ ナルンデスカラ サッサト 行ッチャイマスヨ」

『任せるぜ、その通りだからなー』

「レッツラ ゴー デス!」

 

マイゴージャスハウスのため妥協はしないデスヨ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トホホ…収穫 ナシ デスカ」

 

"ストーンキューブ"のチップデータがやたらあっただけで、目的のアップデートプログラムはなかったデスネ…これ、全然売れないんですよね、一体何十枚目デスカ…

 

『そろそろ引き上げよーぜプロ-gくん。ばーさんにメールしたら、そこよか"アジーナスクエア"よりの第三集積所の方が確率あるってさ』

「仕方 アリマセンネ…」

 

今日の所は諦めてやるぜデスヨ!

 

「―――――――――」

「ウン?今 ジャンクデータ ガ 揺レマセン デシタカ?」

『オイオイ…見えはしなかったが、さっさと離れた方がいいんじゃねぇか?プラグアウトするぜ―――』

 

カチュアが言い切る前に、ジャンクデータの山へワタシの身体が引き寄せられマシタ!?

踏ん張りが効かず、ゴロゴロと転がってしまいマス…!

 

『座標がずれた!プラグアウト出来ないぞっ…!こいつは…!』

「マ、"マグテクト" 系 ノ ウィルス デス!」

 

何て厄介ナ!

しかも寄りによって"ランク2"のEX(エクストラ)種!

"ウラインターネット"じゃないんデスヨ!?

 

磁石の体に虫の羽を生やしたようなウィルス、"マグテクトビーEX"はジャンクデータの山から身体を引っ張り出すと、U字磁石そっくりの両腕をコチラへと向けてきマシタ…!

ひ、引きずらレル!!

 

「アワワワワワッ」

『チップインストール、"ストーンキューブ"!』

 

カチュアの言葉と共に目の前に"バトルチップ"の"ストーンキューブ"が出現しマシタ。

引き寄せられる勢いのまま石のようなデータの壁にぶつかりマス。危なかっタデス!

 

―――本来プログラムくんにはバトルチップは非対応ナノデス…ワタシの座標に"データ"を送信するならば、エラーが出てしまいマス。

今のは強引に、しかも容量の低い"ストーンキューブ"だったからどうにかなったダケデス。

これも"ばー様"がワタシに少し手を加えてくれたからこそデキタことデス。それでも本当にギリギリデス!

現に、低容量だというのに私の身体にノイズが走りマシタ…!

そして"ストーンキューブ"すら不完全。所々データが破損し、崩壊を始めているようですが、それでも"磁力"による攻撃は一瞬、防げたヨウデス!

 

「ナ、ナイスデスヨ!座標安定!ハリーハリー(急いデ急いデ)!」

『よし!今度こそプラ―――』

 

今度こそ!と意気込んだその瞬間デス。

またしてもジャンクデータの山から"何か"が飛び出し―――

 

「ヒィ!?」

 

飛び出した幾つものスゴイ勢いの"何か"は"マグテクトビーEX"の身体を背後から強襲。

背中を押し出し、ワタシの目の前の"ストーンキューブ"に打ち付けられるようにぶつかりマス。

しかしそもそも崩壊間近のデータの塊。あっけなく砕け、飛び散りマス。そしてそのウィルスは這いつくばっていたワタシの頭上をスレスレを吹っ飛んでいき、そのまま宙で光の粒子となり消滅(デリート)しマシタ。

 

残ったのはウィルスをデリートした"何か"。その正体ハ…

 

「ボ、ボルト…?」

『…ボルトだな』

 

怒涛の展開すぎて、さすがのカチュアも呆けていマス。かく言うワタシもコシが抜けてしまいマシタ…

ッハ!色々後回しデス!今はともかく一旦退避しなくテハ!

 

『………よし!プラ―――』

「マ、マテ!!」

「ナニ者デス!」

 

反射的に強がりガ!

三度もプラグアウトを阻止されたカチュアは、今度は何だと珍しく顔が引き攣っていマス。

分かりマスヨ、エエ、トッテモ。

 

その声の主はのっそりと、ジャンクデータをかき分けながら姿を現しマシタ。

 

『…ありゃぁ、"ナビ"なのか?』

「ド、ドウナノ デショウ…会話ハ 出来ルヨウデスガ…」

 

確かに先程ワタシに呼び掛けたとは言え、見た目が見た目ナノデス。

彼は―――失礼千万デスガ、ジャンクデータの塊と言える容姿をしていマシタ。

 

胴体はずんぐりとし、足はなく、"ポワルド系"のウィルスのような分銅の形状をしてイマス。

腕も関節を模しているとは言え、出来損ないのロボットのような簡易的な構造、そして黄色い単純なアームがついているだけデス。

顔は最も特徴的で、"スウォーディン系"のウィルスのような甲冑をイメージさせますが、ギザギザと鉄板の寄せ集めのように落ち着きがないデス。

加えてその頭髪のような…まるでドレッドヘアーのように赤いケーブルが生えていて、それを後ろへと無造作に流しているのがまた"甲冑"とは程遠い見た目へとしているノデス。

 

フム…しかし何処か魅力がありマスネ…何なんでショウ、仕事柄のせいかもシレマセン。

どこか"オトコゴコロ"揺さぶる何かがある気がしマスヨ…!甲冑(?)の隙間から黄色くぼんやり光る両目も何故か巨大量産型ロボットのような愛嬌が―――

 

『おまえがウィルスをやったのか?助かったぜ、ありがとな』

「ア、アア…」

『呼び止めただろ?俺たちに何か用があるのか?』

 

カチュアの声で我に返りマス。そう言えば、先程から何もアクションを起こさないデスネ…

 

「オ、オ―――」

『"オ"?』

「オオ、オォオオォ、オオオ、ォ」

『落ち着け』

…スゥー…ハァー…

 

深呼吸っぽい動きしてマス。

 

「オデヲ!オマエ ノ "ナビ" 二 シテクレッ!!」

 

ドンッ!!!っと効果音が付きそうな迫真の言葉が辺りに響き渡りマシタ。

そう思えたのも、思考が一瞬フリーズしたからなのでショウ。

 

まるで"友達になろうぜ"と、勇気を振り絞って言ったら思った以上に声が出てしまって場の空気が何事かと凍り付くアレデスネ。

しかも世間話やら雑談やら挟んでから挑むべきそれを、緊張のあまり全部ぶっ飛ばして言っちゃったような気配を感じマス…!

これは恥ずかしいデスヨ…!カチュアが早く返事をしないと集積場中のデータがフリーズしてしまいマス…!

 

『何ぃ!?いいぞ!!』

「ホ、ホントウカ!?」

 

 

 

 

 

「―――――――――――――――………ダニィ!?デスヨ!?」

 

『だが一旦冷静にいこう…俺の名前はカチュア、お前は?』

「オ、オデ ハ "ジャンクマン" ッテ イ、イウンダ」

『ほう!"ジャンク"!いいねぇ、特技は?』

「ボルト ヲ トバシタリ、プレス ガ デ、デキル」

『なる程なる程…採用』

 

話がどんどんススムくん!!

 

「please Don't skip the process !!」

『おい翻訳機能』

「ナ、ナンテイッテルンダ…?」

『さぁ…?』

 

テメェ!こんな時にィィ!!

 

 

 

―――その後、互いに一旦もっと落ち着いて話をするべきだと、ジャンクマンとやらを連れてPETへとプラグアウトしマシタ…せ、狭いデス…

 

諸々の事情は…一旦今度にして下さい…一気に疲れましたノデ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしもぉし!聞こえてますかぁ~!?あぁ"脳みそ様"はご不在なんですねぇ!?どうりで気持ちいい音がすると思ったぜぇ!!木魚みてぇな空っぽの音がするからよォォ!!」

『スペース ガ 勿体ナイノデ セッカクダカラ 頭二 詰メ物 シマショウネェ!!アァ!!アナタ ガ "ポイ捨テ"シタ "生ゴミ" ガ アルジャナイデスカ!!丁度イ~トコロ二ィィ』

「そりゃぁいい!!カチ割って入れてやりゃ二度と同じことなんざしねーと嫌でも思えるもんなぁ!?自分の腐った頭のクッセー匂いでよォォォ!!」

『サァサァホラホラ!!何 ヲ 震エテ イルンデスカァ!?這イズッタ ママ 動イチャ ダメ ジャァナイデスカァァ!?彼 ガ 上手く "(かかと)" ヲ 落トセナイ ジャナイデスカヨォォ!!!』

 

『オ、オォオオ………コレ イイノカ…?オデ ガ "セケン" ヲ シラナイダケ ナノカナァ………??』

 

 

 

 

 






この小説…死ぬほど読みづらい…! ニヤリ (確信の笑み)
※プログラムくんことプロ-gくんの言葉を少しだけ読みやすくしました。

ロックマンエグゼの小説読んでたら、4.5でジャンクマンを使いまくった記憶が蘇ってしまったのです。
3~5話程度でさっと終わらせる予定ですのでよろしくお願いします。
尚、他の小説もあるのでかなり遅い更新…のはず。
それと、ほとんど記憶が摩耗してるのでおかしな所あったら教えて頂けると助かります。

以下キャラ紹介~

■カチュア
アジーナのスラム出身。男性では珍しい名前。
黒髪オールバックの浅黒い肌を持つ悪人面。
現在20歳、最初のシーンのトーナメント時点で25歳で、前向きが取り柄。
特に危険な地域のゴミ収集の仕事を請け負っており、その腕っぷしで見事こなしている。
勤務態度は(上司の前では)良いので評判も悪くない。
教会に集うスラムの若い人間からアニキと慕われており、一番の稼ぎ頭。
声のイメージはジョジョのギアッチョ。

■プロ-gくん【プロジーくん】
自称"ジャンクデータ処理のプロフェッショナル"のプログラムくん。全身灰色。
元々アメロッパで似た仕事で働いていたが、何故かアジーナでカチュアの相棒やってる。
そのビッグマウスに違わず腕は確かだが短気な所があり、二人してよく叫び倒す。
彼らの巡回ルートは血の雨が降ると言われている、その通りである。
ちなみにプロジ―はブロリーと同じ発音です。何でブロリーで例えた。
声のイメージはおじゃる丸の電ボ。

■ジャンクマン
ジャンクデータの集積場から突如現れた我らがアイドル。
理解できない人はエグゼ4.5でジャンクマンを使うべし。
まだ生まれたばかりなのか、策を弄することもなく感情がストレート。
カチュアは彼に対し、何かが琴線に触れたようだ。
どうか純粋なまま育って欲しい。

■ばーさん
めっちゃ目つきの悪いばぁさん。
カチュアを育て、ここに流れ着いたプロ-gくんも対ウィルスプログラムを施されたため、頭が上がらない。


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