ボルト時々プレスのちプログラムくん   作:凍り灯

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筆が乗ったので続き書いてシマッタ。
そしてお気に入りが0の段階で高評価が二つあったのはナゼ ナノデショウカ…
恐ろしいですが、ありがとうございます。モチベーションに繋がっております。







イッポ ススンデ ニホ ススメ

今日も今日とてプロ-g(ジ―)くんとジャンクマンと共に()()を処理する日々。

時に拳を血に染め汗に染め、"キヨクタダシク"仕事を果たす。

 

だがそれは―――

 

「こりゃダメだね、数年後にはこいつ(ジャンクマン)はさっぱり消えちまうよ」

「…何ぃ…?」

 

そんなばーさんの声によって、無い知恵を絞りだす日々へと変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『一先ズ 整理 シマショウ』

 

プロ-g(ジ―)くんが言うのは、"ジャンクマン長寿計画"における問題点だ。

ここ数ヶ月でばーさんとプロ-gくんが調べ上げてくれた。

 

『ヒトツ―――』

 

五年かそこらでデリートしてしまうってこと。

 

ジャンクデータから偶然生まれたネットナビがジャンクマンだ。

それはほぼ、奇跡と言っても過言ではない程の確率の元で起きた現象。

しかしナビへの"誕生"は上手くいっても、その"後"が上手くいくわけじゃぁない。

 

そもそもジャンクマンはネットナビたる"核"に様々なジャンクデータが貼り付いて形を成している歪な状況らしく、それぞれが絶妙に作用することで成り立ってるとか。

幾つか抜き取ればすぐにでも崩れる、危ういバランスらしい。

そして同時にそれは経年により摩耗し続け、どんどん欠け落ちる。

 

そのデッドラインが恐らく、五年。

 

『フタツ―――』

 

他者がジャンクマンのメンテナンスをするのが困難らしい。

 

複雑すぎ且つ、法則も何もないせいで迂闊に手を出せねーと。

少なくともここのスラムのメンツではムズカシイらしく、ばーさん曰く国の膝元のトップ集団ぐらいじゃないとダメとか。冗談だろう?

ばーさん自身もお手上げだった。

 

『ミッツ―――』

 

その"寿命"に対してバックアップはできないらしい。

 

"寿命"まではいい。それまではバックアップが効く。"寿命"は縮むが。

一つ目の話でもあるが、メンテナンスができず慢性的に構成情報を摩耗、欠損し続け、ある一定値を超えた時…突如崩壊、完全に修復不可能なデリート、となるらしい。

 

しかし、要はこいつをメンテ(修復)できる奴がいればいい話ではあるわけだ。

だがそれは当然の如くひどくムズカシイ…何故なら―――

 

『ソシテ ヨッツ… ソレ ハ ―――』

 

金がない。

 

「金がない」

『オカネ ガ アリマセン』

『………………』

「バカっ!そんな落ち込むなよジャンクマン!金ぐらいどうにかなるって、なぁ?」

『子供タチ ノ "食費"、教会 ノ "維持費"、後ハ…』

「わかったわかった。俺が悪かったからそんな"残念な子"を見るような目で見んなよ。どーすんだよ、アジーナってネットワーク技術がたけーんだろ?どうにかならないか?」

『アジーナ ハ世界デ 人口ガ 最大ノ 国デス……アメロッパ デスラ "スラム" ハ 多ク、国ガ "放置" シテイル ノデスヨ? コノ国 デモ 手ガ 回ワッテ イナイ……ト、 イウヨリ ()()()() ()()()() ノガ 現状……ソノタメ "スラム" ノ 人間ハ 未ダニ 差別 サレ、"表"二 協力ヲ 求メル前ニ "叩かれ"マス』

 

あぁなる程。差別は確かにあるな。()()()()だから気にしちゃぁいなかったが、ウラから出ないからこそ"気にしなくても良かっただけ"なわけだ。

オモテに出るなら動きを抑えられちまうわな。

 

「匿名の掲示板では?」

『"セキュリティ 大国ノ 面目躍如デスネ。アジーナ 国内ノ 掲示板ハ ソノ 多クガ 常ニ 監視サレテ イマス。放置サレテイル トハ言エ、我々ノ ヨウナ 存在ガ 国ノ 保有スル 技術者程ノ 人材ヲ 求メレバ 如何ナル理由デアレ 目ヲ 付ケラレル デショウ』

 

なんかやばそうな話だな。目を付けられるだって?

そういう時だけ支配者面しやが―――あぁでも、確かにここ(スラム)イカれたやつら(人の事は言えない)ばっかだな。無理もない、のか?

だがよぉたかがスラムの住人だろう?

 

「まずいのか?」

『…ジャンクマン サン ニ 興味ヲ 持ツコト ハ アルデショウ……ガ、取リ上ゲラレ、良クテ 研究対象デショウ ネ…』

「そんなに―――あー、奇跡的な確率で自然発生したナビだって言ってたもんな。それに対してどうこうするっつー法もねーだろうし、持ってる人間がスラム街の人間じゃぁ取り上げられたらどうしようもねぇな。めんどくせぇなぁ~」

『………………ツマリ…オデ ハ ドウナルンダ…?』

 

PET内、プロ-gくんの横ですっかり縮こまったジャンクマンが俺を見上げる。

まさに掃き溜めであるジャンクデータから生まれたとは思えない、純粋すぎる目(?)だった。

思わず俺も、横でフヨフヨ浮いているプロ-gくんも言葉を詰まらせる。

 

「(オイ!どーすんだよ!見ろよあの目!うちのガキどもを漂白剤の原液にたっぷり一週間漬け込んでもあんな目ぇできねーぞ!?)」

『(ツイデニ 百回 生マレ変ワッテモ 無理 デスネ!ジャンクマン サン ハ 生マレ変ワル コト ナク デリート サレル ミタイ デスガ!)』

「(そんなブラックジョークいらねぇよ!アメロッパにいたんだろ?なんかいい伝手とかねぇのかよ!?都会っ子なんだから()()()()()()な"オトモダチ"の一人や二人いたろぅ!?)」

『プログラムクン ニ 何ヲ 求メテ ルンデスカ!イルワケ ナイ デショウ!今ノ ワタシ ト 違ガッテ、"プログラムクン" ラシク 決マッタ 電脳ニ ズット 居タン デスカラ!)』

『(ゼンブ キコエテルン ダケド ナァ…)』

 

ジャンクマンがなんか言っているが今はそれどころではない。

こちとら生きることを諦めたスラムの住人共(ガキども)の"目"を叩き起こした実績があるんだ。

めんどくせーから諦めるじゃぁお話にならない!もうこいつは俺のナビなんだ!どうにかするぜ…!それに俺のモットーは"一歩進んで二歩ススメ"!

 

「(ジャンクデータ処理のプロフェッショナルなんだろ!?ジャンクマンもその寄せ集めなんだから、こう…ぐわーっとデータを吸い込んで、パゃキーンって修復完了!!みたいになるプログラムとかないのかよ!!)」

『(ソンナ 物 アルワケ―――――――――ア)』

「ん?」

『ヲ?』

 

何かを思い出したのかプロ-gくんは、深層に沈んだ記録データを懸命に引っ張り上げるかのようにしかめっ面だ。そのままクルクル回り始める。

…しばらくしてプロ-gくんは頭についた耳…のような手を嬉しそうに振りながらこう言った。

 

『―――ワタシ 二 良イ考エ ガ アリマス!』

 

 

 

 

 

「………………言ってみ?」

『ナンデスカ ソノ 間ハ!?信用 シテ ナインデスカ!?酷クナイ デスカ!?』

「だって友達いないんだろ…?プロ-gくん…」

『ココニ "ズットモ" ニ ナッタ ジャンクマン サン ガ 居ル ジャナイデスカ!』

『ズ、ズットモ…?ズット モッテ ナンダ??』

 

未だ俺たちの唐突且つ、勢いのある会話についてこれないジャンクマンだが、慣れてきたのか果敢に気になったことを聞いている。

 

「ベストフレンド ッテ コト デスヨ!」

『ベストフレンド…ソ、ソウカ、オレタチ サイコウ ノ "トモダチ" ナンダナ…』

『…喜ビ カタ ガ 足リナイ!!』

『エ、エェ!?』

「で?"良い考え"ってなんなんだ?」

 

俺もそうだが、こいつもテンション上がると勢いで話始める。

あちこち話が飛んで本題がぱっぱラッパーなんだ。

 

―――そして落ち着いたプロ-gくんの案は、確かに、現状最もウマくいきそうな提案だった。

他に策がないの間違いか。

 

 

―――――――――

 

 

――――――

 

 

―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コレデ イイノカ?」

「ソウデスソウデス。"掲示板" ハ 上手クヤレバ 有益ナ 情報ヲ 得ラレル ノデ 使イ方ヲ 覚エテ オイテ 損ハ ナイ デスヨ」

『はっはぁ~、アメロッパエリアまで足を運べるようになる日が来るとはな…ジャンクマンさまさまだな!』

「エエ、マッタク!」

「ソ、ソウカ?」

 

ここは、"アメロッパエリア"、という所ラシイ。

オデのいた"アジーナエリア"とは、"クウキ"がチガウ、気がスル。

ジャンクデータ、がなくて落ち着かナイ…

 

「今日 モ 素晴ラシイ "ウィルスバスティング" デスネ」

『インストールした"ストーンキューブ"軒並み敵目掛けてぶっ飛んでくからな。電脳での質量の概念はよーわからんが、ありゃぁ恐ろしいだろうに…並みのナビは凌駕してるぜ…やはり手を組んで良かったな!』

「ソ、ソウカ…!!」

 

オデはどうやら、一応…強いミタイダ。

褒められるのは、悪くナイナ…!

 

「シカシ 構成要素二 バトルチップ、"ポルターガイスト" ガ 混ジッテ イル トハ…我々ノ "仕事(ゴミ処理)" ニ コウマデ マッチ シテル ナンテ 素晴ラシイ デスヨ!」

『ボルトの射出とプレス攻撃という必殺技…!パワー寄りではあるがバランスのいい手数だよな~』

「…ソウカ!スバラシイ カ!バランス イイカ!」

 

嬉しいナァ…!手がクルクル回るナァ…!

ついつい手首を回してると、デンノウに入ってから、見かけるナビたちが、()()ミョウな視線をぶつけてクル。

 

おい、あれ…ネットナビ、か?

プログラムくんが随伴してるし多分…ウィルスって言われた方がしっくりくるぜ

「(ギロッ!)」

うぉっ、目合わせるなっ。あのプログラムくんガラ悪いぞ!?

「ナ、ナンダカ、チュウモク サレテル () ガ スル ゾ」

 

急に不安にナル…

 

「当然 デスヨ。アナタ ノ 見た目ハ 他ト "チガウ" ノ デスカラ」

「ヤ、ヤッパリ、ソウナノカ…?」

「イイコト デスヨ」

 

"チガウ"のは良いコト、なのカ?

 

「イイコト ナノカ?」

 

プロジークンは、片耳…じゃなくて片手を赤く染めてル。その手をパタパタ動かしてオデの言葉に"コウテイ"しタ。

灰色の身体に赤いアタマ、オデとお揃いだって言っテタ。

 

「今ノ内ニ ドンドン 目立ッテ オクノデスヨ!ソレ ガ "ベスト" ナノデス!」

 

プロジークンはとても上機嫌ダ。

そうか、他と"チガウ"ことと、"目立つ"コトは良いコトなのか!

 

『いいコトなのか?』

「イーンデスー!ソノタメ ノ "オソロイ" ナンデスカラ!」

 

カチュアは、良くわかってないミタイダ。

オソロイ、だナ!

 

「オソロイ ダナ!(ジャンクマンとカチュアが)」

『んん??あぁ!お揃いだな!(プロ-gくんとジャンクマンの見た目が)』

「…ソウデスヨ!カチュア モ キャップ ヲ 赤ク 染メマショウヨ!(二人の齟齬を理解した)」

『仕事着のキャップを~?…いいねぇ!やるか!!』

 

 

 

―――カチュアは灰色の帽子の半分ヲ、赤いペンキで塗って、"ジョウシ"に怒られたラシイ。

あと、"スラム"でさらに"レッドキャップ"と恐れられるように、なったラシイ。

 

"良いコト"なんじゃなかったノカ…?

 

「イーンデスヨ、コレハ」

『あぁ。良いコトだな、これは!まだ殴られたとこがイテェ…

 

ソウナノカ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作業着のキャップを赤く塗ってしこたま上司に怒られたあの後、アメロッパの掲示板に動きがあった。

 

後で教えてくれたが、プロ-gくんのあの"オソロイ作戦"は話題を呼んで目的の探し物をより見つけやすくするためだったんだと。ほぇー。

ジャンクマンが通報とかされないためにも、同じカラーリングのプログラムくんとして横にいることで無害アピールしていた、ねぇ…あの態度でよく言う。

アジーナエリアから出たのもこの前言ってた"カンシ"を逃れるため…っつーか探し物がアメロッパにあったからだ。

 

多種多様の人種、枠に囚われないナビが混ざり合うアメロッパでも、ジャンクマンの見た目は強烈。

悪目立ちをそのまま活かすなんざよく考えたもんだ…俺がキャップを塗った意味あったか?まぁいいか!オソロイだからな!

 

「だがよ、ちょっと悪目立ちしすぎたんじゃぁねぇか?」

 

目当ての()()がそこそこ分かりやすい見た目だったせいか、思った以上にトントン拍子で見つかった。

…というかその日のうちに見つかった。

ジャンクマン&プロ-gくんのインパクトは思った以上にあったとゆーわけだ。

 

その結果、俺も目立った。

つまり、身バレした。

 

ネットワーク大国の力を舐めてたぜ…プライバシーにもセキュリティを頼む。あぁ、スラムの住人だから無理か。

 

『(°ヮ°)』

「おい、間抜け面してんじゃねぇぞ?目を付けられたらマズいんじゃなかったのか?オイオイオイオイきーてんのかぁ?"策士策に溺れる"にも程があんだろぅぉ?なぁにが"ドンドン 目立ッテ オクノデスヨ!"だよ。これでジャンクマンになんかあったらどーすんだよえぇ?」

『カ、カチュア、オチツケ…!』

『………モシモシ?ソチラ "()()()()()"サン ノ PET デ 宜シイ デショウカ?』

「すげーなこいつ。この話題に触れないつもりだぜぇ。平然とオート電話しやがった。その国際オート電話料金は俺が払うんだぜ?」

『ガ、ガンバッテ ハタライテ カセゴウナ!』

「…文句言うのが情けなくなってきたわ、しかしその意気だ!やっぱりやる気がね~となぁ」

『―――ハイ…ハイ…ア、イマ 替ワリマスネ』

 

あ?あぁ、例の"再利用"のプログラムを持つかもしれないナビ…のオペレーター。

ハイスクール生ぐらいか?若いのがきたなぁ~。

黒く太いフチの眼鏡を掛けた金髪の痩せた男だ。

 

前の職場―――アメロッパで働いてる時に、ゴミ拾いのボランティアをしてたのが印象的だったから覚えてたらしい。特にそのナビを。

 

「あ~ダストマン?のオペレーター、でよかったか?」

『Oh! Nice to meet you! I've heard so much about you!』

「翻訳機能」

『フンッ!』

『ヲッ』

 

プロ-gくんがPET内の居眠りする、翻訳担当のプログラムくんを頭の手でぶん殴って叩き起こした。

ジャンクマンは少しビビった。

 

「もう一度いいか?」

『初めましテ!拙者、"ミスタープレス"と申す!お主の噂はかねがね聞いてるでござる!』

「………翻訳機能?」

『正常 デスヨ』

『ホカ ト "チガウ" シャベリカタ…イイコト ダナ!』

 

これが、俺たちと"ミスタープレス"との最初の"デアイ"だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『で、あるからして~特にアジーナにおける貧困地域でのゴミの収集問題は未だは深刻であり~各自治体が学生を集ったボランティア、及び有償での収集員にもっと力を~…でござる』

「お、おうぅうぅぉお」

『オォ、オゥオ~ゥ』

『…二人 トモ 理解シテ イルンデスカ…?』

『…丁度いい時間なので、そろそろ休憩を入れすとするでござる!』

「オゥオゥ」

『オゥオゥ』

『ダメッポイ デスネ』

 

痛みと発熱を訴える頭を押え、大きく息を吐き出す。ジャンクマンもプシュー、と言う音と同時に自身をクールダウンさせたよーだ。

 

マッタク、嘆かわしい。

"プレスセンセイ"の言うアシーナのゴミ問題のことだ。同じ収集員として恥ずかしいことこの上ない。

 

もっと国も広く国内に手を回さないと、どんどん治安の悪化に従い劣悪な環境が蔓延(はびこ)ることになり、改善の余地がなくなって―――待て。

 

「待て待て」

 

なんで勉強会なんてしてるんだ?

 

『次はゴミ収集と健康についての関係でござる。ゴミが適切に収集されないと、衛生状態が悪化、感染症の発生、及び蔓延がしやすくなるのでござる』

「な、そうなのか!?」

『ニ、二ンゲン ッテ タイヘン ナンダナ…』

『一刻モ 早ク 改善シナクテハ デスヨ!』

 

 

 

―――しばらく続いた。

 

 

 

「いや、興味深かったのは認めるぜ?」

 

学ぶ機会なんて、てんでないからなぁ。

 

『Oh!それは嬉しい限りです!同志としては心強い限りでござる!』

 

同志。

 

しかしそう考えると今ってすごい贅沢な状況なんじゃないか?

無料で講義を受けれるわけだし。

…普通に面白かったし?

 

「…先生とか向いてんじゃないの?」

『確カニ 言葉遣イハ トモカク、トテモ 聞キヤスイ 講義デシタ…サスガ 我ガ 同胞デスネ!』

 

同胞。

 

『ありがとうでござるよ!確かに、今後この問題を口説く上で"先生"としての経験は活きそうでござるね!ジャンクマンはちゃんと理解できたでござるか?』

『ゴミ ヲ チャント "ショリ" シナイト ダメッテ コト イガイ ハ、オデニ ハ チョット ムズカシカッタゾ…』

 

しょーがねぇ。

流通してるナビと違い、一般常識のプログラムが欠如してるんだからこれはちょっといきなり過ぎたろうーよ。今後ゆっくり覚えてけば―――ってそうだよ。

 

「あんまし厚かましいことは言いたかねぇが、ジャンクマンのことについてなんだが…」

『あぁ!そうでござる!これで例のアビリティを"伝授"できるのでござるよ!』

『元々 ソウイウ 話ダッタ ジャ ナイデスカ…』

「そうだっけか」

 

そうだったかもしれない。

アタマの容量が足りなくてよぅ…

 

『そうでござるよ!学んだことには当然意味があるのでござる!今回ゴミの処理を怠ることで起きる"リスク"について教えたでござる!ではその先の話!ゴミを処理する上でより環境に配慮した方法とはなんでござるか?』

「リサイクルだろう?…あぁなる程」

 

それで再利用のプログラムの話か。

 

『その通りでごずぁぁる!ではでは!拙者が開発したリサイクル精神のたっぷり詰まったプログラム!そしてそれを活かしたアビリティをお見せするでござるよ!ダストマン!』

『待ちくたびれたゼ!ガハハハハハ!!』

「はっはぁ~…また濃いやつが出てきたな!」

 

講義を行っていた(いつからここに移動したっけ?)どこかの自動販売機の電脳に現れたのは、ガタイのいいオレンジと緑色のナビ。

顔が半ば一体化した巨大な箱型の胴体部分を持ち、その両腕はトゲのついた巨大なプラグ型の手を持ってる。

 

名前の通り、どこかジャンクマンに通ずるところのあるナビだな。

 

『コレ ハ ワタシタチ モ 負ケテ イラレマセンネ!』

「オ?オウ?ソウ、ダナ…?」

『どうした?元気がね~ぞ?ゴミ処理は体力勝負だからな!ガハハ!』

「わかるぜぇ~"ゴミ(不届き者)"の処理は大変だよなぁ!」

『分かってくれるか!同志よ!』

『「ガハハハハハハ!!」』

『ナンカ 致命的ナ 齟齬ガ アル 気 ガ シマス』

『オ、オデ モ ガンバル…!』

『イイ感じに交流が済んだ所で、本題に入るでござるよ!ダストマン!』

『よっしゃ!』

 

するとなんと!箱型の胴体がバカッと開いた!

そしてプロ-gくんが吸い込まれていく!既視感っ!

 

『ナンデ!?デジャヴュ デスヨ!?"テンドン" ハ 人ヲ ダメニスル ノ デスヨ!』

 

そして胸元の吸引口に吸い込まれ、哀れプロ-gくんのプログラム生はここで潰えた―――なんてことは当然なく、手前でダストマンが吸い込むのを止めたため事なきを得た。

 

この光景を見たジャンクマンは、目をキラキラと輝かせながらダストマンに詰め寄っていく。

ジャンクマンも、このアビリティの真価に気が付いたようだ。

俺とオソロイで鋭いな。

 

『ド、ドウヤッタンダ!?ソレ!オ、オデ モ デキル ヨウ ニ ナレバ…キエナク テ スムンダロウ!?』

 

再利用…リサイクルのプログラムだとプレスセンセイは言った。

当然、"吸い込んで吐き出す"、それだけではないはずだ。

ジャンクマンの話を聞いた上でこれを見せてきたってことは、"カンゲン"される手段があるはずなのだ。恐らく、そう、自身に。

 

しかしダストマンは口元に豪快な笑みを浮かべながらも、どこか厳しい顔を崩さない。

 

『―――と呼べ』

『エ?』

『師匠と呼べ!!ジャンクマン!!』

『エ、エエェ!?』

『師匠!!』

『シ、シショウ!』

『声ぇ!!!』

『シショウッ!!!!』

『よし!おまえはこれから!アジーナの柱になるんだ!!』

 

なんか始まったんだが………俺も混ぜろよ!!

 

「師匠!!」

『いいぞ!!』

『シショウ!!!』

『プロ-gくんも混ざるでござる!』

『エ!?…シショ―!!』

『もっとだ!!!!』

『『「シショウ!!!!!!!」』』

『まずは電脳グラウンド100周だ!!必要なのは体力だ体力!!走れぇ!!!』

『シショウ!!!!』

『エ!?ワタシ モ 走ルン―――ハイ!走リマス ノデ 吸イ込マ ナイデ!?』

「よっしゃぁ!!………………じゃぁさっきの話の続きしてくれ、プレスセンセイ」

『終わるのを待つ間ならいいでござるよ!』

『ズッコイ デスヨ!!―――ダカラ 吸イ込マナイデ!?』

『シショウゥ!!!!!!』

「そう言えばあいつら足ないけど意味あんのか?」

『………100周追加ぁ!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストマ(師匠)ンよりプログラムを受け取り、その後晴れてアビリティの免許皆伝を言い渡されたジャンクマンと俺たちは…弾けた。

 

「ゴミ収集!!」

『チンピラ 5人!!』

『デ、デンシロック ノ プログラムクン ガ ジャンクデータ 二 ウモレテルゾ…』

 

「ゲぇ!?レッドキャップ!?」なんて言葉を流しつつ、いつも通りゴミ収集のタイミングでタカリに来るチンピラを地面に沈めつつ~。

同時にジャンマンをオペレートして電脳側の処理もするぅ!

 

「見せてやれジャンクマン…!吸い込めぇぃ!!細かいことはプロ-gくんに!俺は残りとオハナシィ!」

『オ、オウ!!』

『サァ 吸イ込ム ノ デスヨ!サァサァ ヤルノデスヨ!!随時 指示 ヲ スル ノデ 聞キ逃サナイ ヨウニ…

 

そしてジャンクマンは伝授されたアビリティを披露する。

 

胸に元々あった緑色の凹み。ダストマンよりずっと小さいそこがバカッと開いてジャンクデータを引き寄せ始めた。

当然、大きすぎるデータは入らない。だから適宜、細かくプレスなどで砕きながら吸い込む必要がある。

取捨選択する必要があるのは元々やってたことだし、特に問題はない。

 

そしてぇ!

今一番知りたいのはその()()()()()()のこと!!

ジャンクマンが砕いたジャンクデータが、胸元に吸い込まれていく…第、一号だ。

これで上手くジャンクマンの摩耗、欠損したデータが回復すれば…

 

「………」

『………』

『………』

 

 

 

 

 

「………どうなんだ?」

『ワ、ワカラナイ…』

『ア、"診断プログラム"預カッテ イルン デシタ』

 

先に言え。

 

 

 

 

 

「………で?どうなんだ?」

『コレハ デスネ…』

『コ、コレハ…?』

『緑色二 光リマシタ!!』

 

 

「………………つまり??」

『ツ、ツマリ…??』

『great success!!!』

「いよっしゃぁぁぁぁぁ翻訳機能ぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」

『エ、エ、エ…ド、ドッチナンダ!!??』

『yeaaaaaaaaaaaaaaaah!!!』

「yeeeeeeeeeeeeeeeeah!!!」

『イ、イェェェェェェァア????』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「教会の空調管理システムの電脳にウィルス発見!!」

『殲滅セヨ!!』

『ボ、ボルトミサイル!』

「あんたらもうちょっと静かにできんのかね。ジャンクマンは後で不調がないか診断するからこっち来な」

『ワ、ワカッタ』

 

ばーさんは呆れ顔のまま言う。その悪い目つきはそのままにどこか微笑ましそうだった。

思わずその珍しい顔に呆けるが、ガキどもの声で意識が戻される。

 

「そこだぁ!あにきのジャンクマン!」

「ヒャァ!せんめつ!」

「っっっしゃぁ!ガキどもの声援に応えてやれ!ジャンクプレス!」

『ブッツブシテ ヤルノデス!!』

『オ、オウ!イクゾ!』

「やれやれ…忘れんじゃないよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たぜばーさん」

『オ邪魔シマス』

『ジ、ジャマスル…』

 

ばーさんの部屋。元は職員の休憩室か何かだった場所だ。

やはりこのばーさんのいる所は奇妙な静寂を感じさせる。古いデスクトップモニターが細かい英語がビッシリと埋め尽くし、細かく点滅しているにも関わらず。

 

薄汚れ、壁紙が剥がれた跡もそのままにしてある。

天井まで届かんばかりの背の高い本棚の横には、メッキの剥がれた軽い金属製の台座が置いてあり、ついさっき上の方へ置かれた本を取ったのだとわかる。

本の羅列に一冊分だけ抜けがあったからだ。

 

古い木製のデスクの上、そこに置かれた分厚い本を鼻眼鏡で読んでいたばーさんは、俺に気が付くと顔を上げ、口を開くことなく手招きしてきた。

 

自然といつも通りの木箱の上へ、腰を下ろす。

そして黙ってPETを手渡した。

 

有線用の端子にケーブルを繋げ、一世代前のサーバーのような金属の箱へと接続。ランプがオレンジ色に光るのを目にした後、モニターに向き直り、キーボードをタイプし始めた。

 

しばらく、静かな古ぼけた空間にカタカタとタイピング音だけが響く。この音が昔は好きで、よく用もないのに部屋に居座ったものだ。

ククッと懐かしさに、ばーさん(いわ)く気味の悪い笑顔を浮かべた頃、ジャンクマンの診断が終わったのかばーさんはこちらを再度振り向いていた。

 

「終わったよ」

「ありがとよ」

 

PETを受け取る。

いつもは少しザツダンして部屋を出るのだが、ばーさんの様子が少し違う。

空気感…と言うか、真面目な話をする時の顔をしていた。

 

「あんたを拾って随分と経つね」

「20だぜ、ぼちぼち経ってる」

 

胸ポケットに手を伸ばして―――戻した。

そうだ、電子タバコはすっぱりとやめちまったんだ。

 

「あんた、今ぁ楽しいしかい」

「トウゼンだろ?」

「白髪増えたね」

「老けやすいんだろうなぁ」

 

ばーさんが棚の引き出しから葉巻を取り出した。うわっ、久々に見たぞ。

ばーさんはそれを咥え、もう一本を俺にライターと一緒に放り投げる。長話になりそうだった。そういう時に、ばーさんはこれをフカすんだ。

 

吸うのは初めてだった。

めっちゃ健康に悪そうな味がする。

 

ケホッとせき込みながら、葉巻を対価に少し、正直に話す。

 

「そりゃぁ大変さ。毎度危険な場所に仕事させられに行かされるし、金が貰えるとはいえ、下手すりゃぁ大怪我か…死ぬ」

 

それぐらいしねーと、ガキどもに満足した飯がいかねぇ。

 

「そうだろうねぇ…でもあんた、最近()楽しそうだ」

「仲間が増えたからな」

 

薄っすらと笑い、PETのプロ-gくんとジャンクマンを見やる。

この時の笑みは、気味が悪い笑みじゃなかったらしい。

 

「あたしはね、あんたに今の生き方は合わないと思うんだよ。そりゃぁ金は必要さ。だけど、ガキどもも気合入れりゃぁ前より稼げるようになれる年齢だ。あんたにおんぶ抱っこじゃぁダメなのさ」

「ストレスがないと言ったら嘘になるさ」

 

白髪増えたしな。

 

「ネットバトラーになんな」

「は?」

「国のお墨付きのネットバトラーを目指すんだよ、最近二ホンを倣って市民ネットバトラーの制度が導入されただろう?ランクを上げればスカウトもある。そうすりゃぁ金に困らんさ。それまでの間ぐらい、こっちでどうにかなるだろうさ」

「…何でそういう話になるんだ?」

 

俺は思わず天を仰いだ。小さな抵抗のための質問ではあったが、最早()()していた。

 

「好きなんだろう?ネットバトル、わざわざプロ()―をPETに入れる必要なんてない。プログラムくんならぁもっと安上がりの端末でどうにかなる…ただPETを"拾っただけ"が使い続ける理由じゃぁないのはわかってるよ」

「…」

「プロヂ―にチップをインストールできるようにしたのも、何も防衛のためだけじゃないんだよ。羨ましそうだったからねぇ…」

「よく見てるこって…」

 

ミョウに気恥ずかしくなる。こりゃぁ、大分前にネットバトルの想像してチップを入れて叫んでたのバレてるな。

 

「ジャンクマンのことも大分気に入ってるみたいだしねぇ」

「そりゃぁな、だって"ジャン(ゴミ)ク"だぜ?俺と()()名前だ」

「そうだろうと思ったよ…それに、ジャンクマンの要求を即決したもの、むしろ納得したもんだよ」

「…痛く気に入ったんだよ、見た目とか、性格とかさ。コイツは、さ…まだ自信がつかねーんだ。ガキん頃の俺みたいだろ?証明してやりたくなったんだ。すげ~つえ~んだぜ?なのに"ココロ"だけがついてきてない…加えて寿命だのなんだのと………それがどうにかなった今さ、もっと相応しい場所があると思うんだよ」

 

この年になって言うことも、まとまらない。

親に怒られたガキの言い訳みたいにシドロモドロだ。

 

「知ってるよ、連れてってやんな。()()()()そうされたみたいにねぇ」

「あ~あ。ずっと、色々と、お見通しだったってことかぁ…」

 

―――久々に、"あいつ"の墓参り行っとくかぁ。

 

「トウゼンだろぅ?」

 

二カッと笑ったばーさんの顔は皺くちゃで目つきが悪くて、つまりひどく気味が悪かった。

俺と同じ笑み、叶わんよなぁ。

 

苦笑いを浮かべ、まだまだ残った葉巻を返して部屋を後にする。

ドアを閉める前、勝ち誇った顔で二本目の葉巻を吸うばーさんを見て、だけどむかつくこともできなかった。

 

仕事は止めない、現実問題、それではここのガキどもの生活はどーしても辛くなる。

だけど危険な場所への回収は、減らしてもらった。

勤務態度は良かったのと、危険の多い地域をほとんどを俺が請け負ってた実情を危ぶんだからか、店長に事情を話せば「仕方ない」と、なんとかわかってくれた。

景気付けだと、最新の電子タバコをくれたが「もう吸わない」と言えばぶん殴られ、その後に笑って見送られた。

 

俺は半分赤く塗ったキャップを被り、ツナギの作業着を上半身だけ脱いで袖を腹の前で結ぶ。

メデタイ色のワインレッドのポロシャツをそのままに、不吉らしい白いパンツを灰色のツナギで隠したんだ。

 

PETを胸元のホルダーに引っ提げて、やっぱり気味の悪い笑顔を浮かべながら試験会場へと足を運び、今、目の前まで来た。

 

緊張感は、ない。

むしろ興奮を抑えるのに忙しかった。

周りの人間はそんな俺の"気味の悪い笑み"を見て、思わず敬遠しがちに離れていく。

 

オモテに出ればスラムの人間は叩かれる?

ジャンクマンの希少性に目を付けられる?ははっ。

そーいうのを一括りに"カイケツ"する方法が、今目指すもの(強いネットバトラー)なんだぜ。

 

お前と俺は最高の"ゴミ"なんだっつーことを証明すりゃぁいい!あとプロ-gくんも。

 

相変わらず古ぼけたPET越し、相棒たちに声をかけた。

 

「いいかジャンクマン!俺はボルト(部品)だ!おまえのな!」

『ボ、ボルト?オデ ノ…?』

「そうだ!お前は一人でじゅーぶん強い!だが当然それだけじゃぁまだ足りやしねぇ…俺がお前の足りない頭のネジ(ボルト)を補ってやるぜ!」

『アナタ ノ 頭ノ "ネジ" モ 足リナイ ヨウデスガ?』

「それはお前が補え!」

『ソノ ツモリ デスヨ!』

「で、だ、ジャンクマン、お前は"プレス機"だ!全部押し潰せ!一切合切!」

『ワカッタ…!』

『ワタシ ハ 何ノ 役割 デショウ』

「………………………プログラムくんだ!」

『サポート デスネ。 伝ワリ ハ シマシタ ヨ』

 

俺はゴミヤマから適当に見繕ったボルト、それをアクセサリーにした首飾りを握り締めた。

これが俺自身だ。俺の役割。"ゴミ"の名を持つ俺にぴったしの。

 

「はっはぁ~、行くぜお前ら!」

『マ、マカセテ オケ カチュア!』

『サァサァ!サッサト 合格スルノ デスヨ!ランク ヲ "sss" マデ 上ゲナイト ナンデスカラネ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒャァッ!!そこだジャンクマン!"ボルトガトリング"!!ハハハハハハハハハハッ!!」

『オ、オウゥ!!』

『撃ッテ 撃ッテ 撃チマクル ノ デス!!遠慮ハ イリマセン ヨ!!ドーセ "シショ―" 直伝ノ "アビリティ" デ 回収デキル ノ デスカラァ!!ソラソラソラァ!!!』

「こいつらコワイ!!」

 

 

 




この小説(の序盤)…死ぬほど読みづらい…!
でも最後までこのまま行きます。というか予定では次で終わります。
もしかしたら二話に分けるかも~程度ですね。

※プログラムくんことプロ-gくんの言葉を少しだけ読みやすくしました。
 ジャンクマンは生まれたばかりなので次の話から。

■補足

カチュア:ボルトとか自称してるけど頭の(テンションの)ネジが緩んできてる。
プロ-gくん:(°ヮ°)
ジャンクマン:ゲーム本編で自律型のナビで国の代表だけど普通にやばいよね。
アジーナの監視社会:捏造です。ノリで流してください。
ジャンクマンの状態:…細かい設定は捏造です。ノリで流してください。
オソロイ:最終的に三人とも似た配色になった。
ミスタープレス:「6」の登場キャラ。その5年くらい前なのでハイスクール生かなと。
ダストマン師匠:そういうキャラではないと思う。
ばーさん:気味の悪い笑みは直伝だった。
墓参り:カチュアを導いたらしい誰か。ずっと前の事。
店長:一切台詞はないが、実質もう一人の育ての親みたいなもの。
アジーナのネットバトラー制度:………捏造です。ノリで流してください。


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