銀色の悪魔…8th Stage 作:SilviaSilvermoon
(※―――ここからはレイカsideで進行します―――)
あたしは昨日のターゲットに決めたロードスターを追いかけていた。
現状の乗り方ではアクセルを入れるタイミングもブレーキのタイミングも
これ以上削れない。
って事はブレーキを離すタイミングをもっと早く、
1テンポ早く加速に移れるようにしないと今のままじゃ、
差は広がらないだろうけど前に出られない。でもその1テンポ早く加速に移る事で
車の姿勢が安定しなくなってしまう危険性がかなりある。
なるべくRの大きめなコーナーでタイミングを1テンポずらしてみるが…
ん?かえって遅くなった気もするし…
レイカ「ん~一体どれが正解なんだろ?」
追いかけながら言葉に出していた。
それをミラーで確認しながらニヤッとしてる人物が1名。
?1『ま、ここでもがき苦しんだら…乗り越えた時に一皮剝けるんだけどね。
同じ事をしてたら並ぶまでしか行かない。それを超えるには…自分なりのオリジナルを
追加するって事さ。今のレイカにそのオリジナルな追加要素を導き出せるか…だな。
そのままじゃBA1のスペックをフルに使い切れてない。何が原因か…気が付いたら
大化けするな。』
そして頂上が見えて…まずはロードスターがサイドターンして、すかさず後ろに
美奈子のS13が続き、BA1との間に入り込んだ。
ロードスターのタイヤは185/60R14と横幅も無く、直径もさほど大きくはない。
熱ダレしやすい事も考慮すれば下り切って一旦休ませる方が良いだろう。
それにこの車の持ち主は?2であることだし…
ロードスターとS13が同じタイミングで一糸乱れぬ隊列でBA1を引き離しにかかる。
ここで何となくモヤモヤしていたレイカの頭の中が1本の線で結ばれた気がした。
そして…奇妙な事にレイカの前でパラレルツインドリフト(※注1)を見せたのである。
ロードスターとS13が同じタイミングで一糸乱れぬ隊列でBA1を引き離しにかかるのを見てレイカが直感した。
レイカ「(あっ…このロードスターの動き…どこかで見た事あるかもって思ったら
やっぱり…あっ!からくりが見えた!!あのロードスターはさつきさんだぁあああ!
だからか…どういう動きで出て来るかが阿吽の呼吸で解ってるから、
姉さんが寄せて行っても動じないからラインが乱れる事も無いし、
姉さんの方もさつきさんが変な動きをしないのが解ってるから
安心して寄せて行ってるんだわ…。
何だろな…何かイライラするわぁ…あのコンビネーションをあたしに出せってか?
何十年も一緒に居るから解る事であって、それをついこの前知り合ったあたしに
あの動きにくっついて寄せて行けって?マジで?到底無理じゃね?)
マジでかぁあああああ!!それきっついってぇえええええ!!!何してくれんのよ~!!(←クソデカボイスで叫んでるレイカ)」
でも必死に食い下がる。無心に追いかけてる方が…何となくではあるけれど
流れについて行けてるような気がしてきた。
レイカ「ん?何だろな…悩んで試行錯誤してる方が遅くなって無心に追いかけてる方が
速くなるって…全然解んない^^;;;まったくこの2人ってセオリー無視なのね。
感性を信じて行けって事なのかしら???イマイチ自信無いわぁ…
誰かあたしに正解を教えてくれぇえええええ!!!」
ストレートエンドで何とか2台に追い付いた。でここから5連ヘアピンカーブを
溝落としで直線的に立ち上がるんでしょう?
その後のS字で慣性力でお尻を出して頭をインに向けるって事と…
あとは何だっけ?
初日に美奈子に教わった事を思いだそうとしてるけど、追いかけながら思いだすのは
至難の業で…下の駐車場に入っていく。
するとそこには沙雪のシルエイティと真子のS14、それとさつきのS15も止まっていた。
え?さっき来た時には止まって無かったんだから…今さっき来たって事?
しかも、仲良く?2(=沙雪のお父さん)と共に缶コーヒーを飲みながら、
仲良く談笑してる沙雪、真子に池谷君の姿が見えた…。
え?みんな揃ってどう言う事よ?それ以前に誰がS15を持ってきたの?
あ、真子ちゃんがS15に乗って池谷君が真子ちゃんのS14を運転して来たのかな…?
駐車場にロードスターを止めて…変装を外してS15のドアを開けてゴソゴソしている
さつきさんを発見。何かその姿に無性に腹が立った。
スーッとクラッチをつないで近寄ると…危険を察知したのか…
さつき『なっ!何してんの!おいっ!シャレになんないからやめてぇえええ!!』
わめきながら逃げやがった…チッ!(仕留め損ねた…)
さつき『あっ!盛大に舌打ちしたな!!性格悪すぎんだろ!!』
って言いながら逃げてった。その時あたしを呼ぶ声が…
美奈子「レイカ~!さつきを追いかけて無いでちょっとこっち来てくれる?」
姉さんに呼ばれたら行くしかない。ケッ、命拾いしたな…この次は必ず…
(ゴゴゴゴッゴ…と黒いオーラが見えたとか見えなかったとか…)
レイカ「姉さん、どうしたの?何かありました?」
美奈子「今回の練習の意味…解ったかな?って思ってさ。」
レイカ「ん~何となくこれ…かな?って言うのは見えた気がしますけど、明確には…」
美奈子「そっかぁ。じゃあ…正解の発表ね。今回のレイカのレベルアップに必要なのは…
ズバリ、”どういう状況であってもシビアなステアリングコントロールが行える技術”
を身につける事。これをうまく使うには、ロードスターみたいなアンダーパワーの車で
練習するのが1番良いんだけど、あんまりオーバーなアクションをせずに、
最小舵角でカウンターを当てながら最短距離を流していくのが正解だと思う訳ね。
すると…バトルになると自然にそのペースに乗せられてきて、
BA1のペースが上がったのね。見た目で解る位、進入時の舵角が小さくなってきた…
という事になるの。その分、タイヤの前に蹴飛ばすグリップ力が増えるから
立ち上がりに鋭さが増したという事よ。うん、その点でレイカは1歩大きく踏み出せた
のよね。ただ、この練習法って落とし穴があってね。
気が付かないうちにペースアップしてる訳でしょ…?一般のドライバーだと
自分の普段のペース以上に出すといざ、コーナーに入っていつもの様に
ステアリングを切って…ってやると、タイミングが遅くて取っ散らかって
最悪は事故になる…ってケースが考えられる訳ね。
ただ、レイカの場合はあたしと同じって事で前を走る車のタイミングに合わせて、
その分早く操舵を開始する能力があるから事故にはならないって事よ。
でね、こういうシビアなステアリングコントロールは1人で練習してたんじゃ
なかなか身に付きにくいのね。
あたしの時にはさつきって言う身近な所に練習相手が居たからさぁ。
なら、レイカにも練習相手が必要じゃないかってね…」
なるほどぉ~実はこの練習法ってかなり考えられてたのね^^;;;
姉と崇めるもう1人の自分…に言われた言葉に衝撃を受けた。
単独で練習することも大事だけど、競い合う仲間が居るから切磋琢磨して早くなるって
言う…。あたしにはさつきさんと言う親戚は存在して無かったから
確かにあたしは常に単独で行動してる事が多かったし、競い合えるような”ライバル”
らしきものも居なかったのも事実だし…。
そんな事を考えてたら更に姉さんが…
美奈子「レイカにも練習相手が必要ならさつきを出せば…ってね。
それに、あたし以外にも教える人が多いほどより多くの事を吸収できるタイプの人だと
思うからさぁ。でね、ウチの社長…まぁ、沙雪のお父さんなんだけどね。
この前皆で峠でワイワイしてから火が付いたらしくてさ、
練習用に中古で程度の良さそうなロードスターを買ったから、
ちょうど良いと思ってさつきに乗らせて、レイカの”オーバーなアクションをせずに最小舵角でカウンターを当てながら最短距離を流していく”って言う特訓に付き合せたのよ。
そのためにちょっとレイカをプンスコ状態にしておいて
わざとテンションを上げさせてても冷静で正確無比なステアリング操作を
身につけて貰うって言う狙いにぴったり当てはまったって訳。」
レイカ「はぁ~そんな事まで考えてたんですね…凄いわ…」
美奈子「何言っちゃってるのよぉ。同じ”あたし”だからこそ解る事…でしょ?
フフフ(^^♪」
レイカ「…(そっかぁ…姉さん…そんな風に思ってたのね…)」
美奈子「ああ~!その目は疑ってるなぁ?」
レイカ「イヤイヤイヤ…別にそう言う訳じゃ…ただ、姉さんはそう言う風に考えて
今回のカリキュラムを組んだんだぁ~って思ってたんですよ^^;;;
(思った事は嘘じゃ無いし。姉さんはあたしを”自分”だと認めてくれてるって思うと
嬉しかったって言うのもあるんだけどさ。)」
言い終わったレイカの顔を覗き込んで美奈子がニヤニヤっとした。
美奈子「ま、自分の事だからって言うのもあるけど…実年齢47まで生きてるとね。
色々先回りするスキルが上がるのよ?だ・か・らレイカの考えてる事も
お・み・と・お・しだぞw」
軽くレイカのおでこをツンツンする美奈子。
レイカ「ホント、姉さんには頭が上がらないわ^^;;;(メッチャ本音。)」
そこにス~ッと後ろに回り込んで来る影…美奈子は気が付いてるけど敢えて知らんぷり。
?『ふぅ~ん、レイカが頭が上がらないのは美奈子だけ…か。』
レイカ「へっ?(こ、この声はぁああ!)」
またまたぁ~、その手にゃ乗りませんよ?ヲイヲイ、悪ふざけが過ぎるぞ!
ガッツリ雅さんボイスなんだけど…絶対、今までの流れで、この辺りでさつきさんが
茶々を入れて来るって言うのしか経験して無いし今回も…っとは思うけど、
もしこれで振り返って本物の雅さんだったら…なんて言い訳したら良いやらって…
もんのすっごいビミョーな顔で振りむいてしまった。
振り返ってみても目に入ったさつきさんは結構遠くに居て…
沙雪さんとか社長さん達と話してる!?うげっ!ま、マジか!(; ・`д・´)
え?あ、待って…あたしやらかしたんじゃ…視線を目の前に戻すと…
な、何で居るんですかね?ちょ、腕組みをしてプンスコ状態の師匠(雅さん)が目に飛び込んで来た。あ…しかもうわお…3人揃ってるじゃん…(orz)あ、やべっ!やらかした…。
レイカ「あ、あの、み、雅さん?あのぅ~これにはものすご~く…海よりも深い訳が
ありましてですね?」
なぎさ「ふぅ~ん、じゃあその”海よりも深い訳”って言うの…
聞かせて貰おうかしら?」
ちょ、なぎささん?指をポキポキ鳴らしながら言わないで…メッチャ怖い!
メッチャ怖いからぁあああ!!(大事な事なので2度心の中で言ったよ?)
優子「まさか、あたくし達がここに居るなんて想像できなかった…って
レイカの顔には書いてあるけど?」
イヤイヤイヤ、全くその通りなんですけどもぉおおおお!(誰か助けてくれって!
姉さ~ん!!きゃああああ!!!なんちゅ~状況ですか、これって。)
いや~な汗が止まらない…。蛇に睨まれた蛙状態ってこの事を言うんじゃないだろうか…
レイカ「海よりも深い訳…って言うかですねぇ。そこまで深くも無いかも知れませんけど^^;;;実は、声に関してはさつきさんに何度かいたずらされてて、
今回もいつものさつきさんの悪ふざけなんじゃないかと思ってしまったって言うのが…
あははははっ^^;;;で、車のドライビング技術に悩んでた時に”姉さん”と呼ぶ
もう1人の自分、美奈子さんの考えてくれたプログラムをこなした後で種明かしされて…衝撃を受けたんですよ。単独で練習する事も大事だけど、競い合う仲間が居るから
切磋琢磨して早くなるって言う…ね。
こっちの世界のあたしにはさつきさんと言う親戚は存在して無かったから、
確かにあたしは常に単独で行動してる事が多かったし、競い合えるような
”ライバル”らしき人が居なかったのも…じ、事実ですし…。」
いやぁ…怖っ!!(滝汗)
(※―――side change ここからは美奈子sideで進みます―――)
冷や汗ダラダラで恐縮し切っているレイカ…ま、師匠に睨まれたらこうなりますわなぁ
^^;;;って事で、ここであたしがフォローしないとねwって事で、助け舟を出してみる。
美奈子「皆さん、そこまでウチの妹を虐めないでくれます?」
優子「うははwそれをあんたが言う様になった訳ね(^^♪」
手を叩きながら笑い転げてる優子さん。
なぎさ「へぇ~、なつきぃ~あんたがちゃんと”お姉さん”してるのが
もんのすごく意外って言うか…新鮮。」
雅「あれ?確か…なつきってさぁ、3人姉弟の末っ子だったよねえ?何時から
”お姉さんキャラ”出来るようになったん?」
美奈子「やだなぁ…皆さん忘れてません?こんな見てくれですけど
中身47歳のおばちゃんですよ?いい加減それ位の甲斐性は出せると…」
優子、なぎさ、雅「「「あんたねぇ…もうこっちの世界に居るんだからさぁ…
中身とか実年齢とか言わないの!23らしくもっとはっちゃけてて良いの!!」」」
3人からさっきレイカにしたのと同じようにおでこをツンツンされた…。解せぬ。
レイカ「あははw姉さんにされたのと同じ事されてるぅうう~!そっか、この諭し方…
師匠達の直伝だったんですねw」
雅「ん~多分、優子姉さんから始まって代々教え方が継承されてったんじゃ
ないかしらねぇ?」
優子「……あ、思いだした。多分、あたくしも受け売りだわ。あたくしの教育係の師匠もこんな感じの教え方だったはず。」
美奈子「え”っ?じゃあ…結構歴史あるんですねえ…知らなかった。」
雅「レイカ!あんたも師弟関係の中にしっかり入ってるわよ。
だから下の者にもちゃんと教えて行くのよ?それが、キャバ嬢のお仕事であろうと、
車のドラテクであっても…ね。」
レイカ「うわぉ…責任重大^^;;;」
優子、なぎさ、雅、美奈子「「「「そりゃ、そ~でしょう!!!立派な師弟関係だもの。
(キッパリ)」」」」
レイカ「確かに。師匠達が居なかったら、今の…この感じでのキャバ嬢のあたしは
居ませんし…ねぇ。」
美奈子「あ、そ~言えばお姉様達今日仕事だったんじゃ…レイカ、今晩出勤だって
言ってたからてっきり…」
雅「あ、そうそう。その事なんだけどね…あのビルが昨日の大雨でさ、
電気設備が漏電しちゃって中のブレーカーとか配線関係がショート(=短絡)
しちゃったらしくてさ。10日位復旧にかかるらしいよ^^;;;」
なぎさ「思わぬ休みが出来ちゃったって訳よ。」
優子「どうせなら群馬に遊びに行こうって話になってね。」
(※―――ここからレイカsideで進行します―――)
ま、マジですか…そんな理由が?って言うか、最近建物関連のトラブル多くない?
そんなにボロかったん?ちょっと思いつくだけで2、3回あったよねぇ?
思いがけずバイトが10日も休みになってしまい…本業の有給休暇もまだ15日あるし…
って事で10日間バッチリ休むことにして、小長井家に引き続きお世話になってる
レイカです^^;;;
ちなみに師匠達はこっちに別荘を共同で買おうかとか横浜でも話してたけど…
いつの間にやら沙雪さんのお父さん…社長さんと話し込んでる。
え?何時からこんなに仲良くなったの?何か聞こえてきたので聞き耳を立ててみる。
社長「へぇ~、こっちで別荘を共同で買う気になったんだ。なら、学生時代の友人が
不動産屋をやってるから聞いてみるかい?」
優子「ええ、それはもう、あたくし達も前向きに考えていましてね。
相場とか調べ始めてますし。」
え?あ、ま、マジなんだ…。いずれ引退する時が来たらきっと3人共こっちに
移り住んじゃうんだろうな…そしたらあたしも家族連れてこっちに出て来るかな…
そんな事をぼんやり思って居た。そしたら急に耳元で…
なぎさ「お~い!レイカ、思考が止まってるって…」
おでこをツンツンされて我に返る。やばっ意識が遠くなってたわ^^;;;
レイカ「あはは。ちょっと師匠達の話を聞いてたら魂が抜けかけた感じで…」
なぎさ「別荘を買う=引退したら3人ともこっちに軸足を移して、
横浜に来なくなっちゃうんじゃないかって思ってたんでしょ?」
レイカ「あぁ。それも思いましたけど、もう1つ、沙雪さんの御実家の洋菓子店の
株主になったりとか、製品を使った新規事業を立ち上げるとか…
そんな将来に向けての構想を立ててるんじゃないかなって…」
雅「レイカ…あんた、結構鋭い読みをするようになったじゃない。
キャバ嬢をするのもリミットはあると思うからさぁ…先の事を考えだす時期に
来てるんじゃないかなってさ。”箸にも棒にも引っ掛かる様にしておく準備”って
必要かなって思い始めてる訳よ。何なら沙雪の実家だけじゃなく、
スタンドの経営強化にも協力しても良いかな…とかさぁ。」
美奈子「何ですか?その構想…グループ企業にして、”ファミリー”でも
築こうとしてます?3人の師匠の経験と財力と人脈を使えば、ほぼ可能だとは
思いますけども^^;;;」
※この人達、冗談を言ってるかのようでも、実はホントにやりかねないから
ホント、怖いんだよね…
―――――(ここで作者からの解説~(^^♪)――――――――――――
(注1)パラレルツインドリフトを見た事が無いとか何かわからない方の為にYou〇ube
で参考になりそうな動画を見つけました。Linkを貼っておきますのでこういう物って
見ていただけると理解が深まるんじゃないかと…
(URL)→ https://www.youtube.com/watch?v=0vrePQj2gJI&feature=emb_logo
頭文字Dでよくロータリーの高橋兄弟がギャラリーを沸かせるためにやってた技…ですね。ただ、ここではいわゆる”限界領域”での速度でそれをやってるという事。
それにこれは後ろ側に居る美奈子のS13の方がより難易度的には難しくなります。
だから、レイカは唖然としたんですね。以上、解説でした。