「(・_・D フムフム…外でもローストビーフできるんだ~今度やってみようかな?」
病院ですることがないから、お母さんにキャンプの本を持ってきてもらったけど
見れば見るほどキャンプをしたくなるし、お腹が空いてきちゃった
コンコン
「どうぞー」
「失礼します」
今日の面会に来たのは意外な人物だった
「いらっしゃい珍しいね。千聖さん」
「日菜ちゃんからここにいること聞いたわ。それに私だけじゃないわ」
「え?」
千聖さんがカーテンをめくると彩ちゃんが俯きながら立っていた
「彩ちゃん…」
「あ、あのね…白夜ちゃん。この前はごめんなさい!」
彩ちゃんは急に頭を下げた
「彩ちゃん。なんのことで謝ってるの?」
「私…この前のライブで…白夜ちゃんを…みんなを騙して」
ああ…そのことね
「彩ちゃん。私は怒ってないよ…彩ちゃんや千聖さんも騙されていたんだよね?」
「白夜ちゃん…」
楽器に触った事がない人に直ぐにライブをするっておかしなこと
大人の目的は分からないけど、とにかく彩ちゃん達も被害者
「彩ちゃん、千聖さん。今度のライブ楽しみにしているからね」
「どうしてそのことを?」
「日菜から聞いた」
「日菜ちゃん…まだ決まってないのに…」
「日菜は独特な感覚でやっちゃうからそのあたりは大目に見てね」
「えぇ、そのあたりは気を付けるわ。ところで白夜ちゃん」
「なに?」
「貴女は昔、羽丘に居たって本当の事かしら?」
「どこでそのことを聞いたの?」
「え⁉」
「学校で噂になっているのを小耳に挟んだだけよ」
私が羽丘から花咲川に転校した理由を知っているのは数名だけのはず…
一体だれが…
「そっかー確かに私は元は羽丘の生徒だったよ。でも、色々あって花咲川に転校したんだ」
当時、羽丘も花咲川も中高一貫学校だった。そのおかげで簡単に転校することが出来た。
私は勿論、紗夜も…日菜だけ羽丘に残し、私達は花咲川に転校した。
いや、正確にはそうするしかなかった…
「――やちゃん!白夜ちゃん!」
「え?な、なに?」
「大丈夫?急にボーっとしてたけど?」
「大丈夫だよ。すこし、疲れてるだけだから」
「それならいいのだけど…」
「彩ちゃん。そろそろ…」
「う、うん!それじゃあ私達は練習にいくね」
「うん。二人共頑張ってね」
二人が出て行くのを見送り深呼吸をする
彩ちゃんのライブもう一度見てみたいな。今度こそ録音じゃなく生の音で…
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「ま、まて!氷川!あぐっ!」
飛び散る赤い液体
「こんなことをしてただ…うぐっ!」
体がふらつくほどの反動がバットで打ち込んだ強さが伝わる
少女の後ろには妹の姿。目の前は血まみれの虐めっ子の女子生徒が横たわっていた
「お、おねーちゃん…」
「逃げるわよ!」
「う、うん!」
ある程度学校から離れてから少女は言った
「あなたはこのまま家に帰りなさい!」
「でも、おねーちゃん…」
「速くいきなさい!」
姉は雨の中降りしきりる中でそう妹に言い放つ
「う、うん…」
二人の姉妹は各々別方向に走っていった
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「あれ?私寝ちゃってた…」
「あ!ようやく起きた!」
「日菜…今何時?」
「午後の5時だよ。ぐっすり眠ってたね」
「面会がないとただ暇だからね。あれからどう?紗夜と話せてる?」
「うん!少しづつだけど話せるようになったよ!再来週の七夕祭りにも一緒に行こうと思ってるの!」
「七夕まつりか…いいなぁ~私も行きたいな~」
「その日は抜け出せないの?」
「う~ん…まだ分からない。手術自体何時になるか分からないし…」
「どうしてハクちゃんの手術はそんなに遅いんだろう?」
「こういうのは色々手順があるんだよ。私は重症じゃないし…」
「じー…」
「な、なに?」
「ハクちゃん嘘ついてるでしょ?」
「え⁉う、嘘なんてついてないよ」
「ふぅ~ん…ところでハクちゃん。どうしてまだ右側の前髪だけ伸ばしてるの?」
日菜が今言った通り、私は右前髪を顔の半分が隠れるくらいに伸ばしている
「それは…」
「あの日の事…まだ気にしてるの?」
「うん。でも、あの時…私は二人を助けたかった!」
「分かってる…分かってるよ。おねーちゃんもわたしも…」
「それに···この顔は好きじゃないし···」
「?いま、なんて言ったの?」
「ううん!何でもないよ」
「面会時間終了しましたので、お帰り下さい」
「もう時間か…もっとお話ししたかったのに」
「また今度来たらいいじゃん…日菜」
「なに?」
「頑張ってね」
「うん!ハクちゃんも頑張ってね!」
「ありがとう」
日菜が帰ったあと、手洗いに向かう。
洗面台付属の鏡を見つめ、前髪を上げ鏡に映った自分の姿に嫌気がした
右目の下に切り傷の跡。それに···
傷を指で隠し鏡を見る
「ホントに忌々しい顔…」
…どうしてこんなにも似ているのだろう