立花白夜…私の幼馴染。
彼女は私達と同じ病院で、一日遅れで生まれたと母に聞かされた。
初めて出会ったのは…幼い時、彼女はいつも公園で一人ベンチに座っていた。
来る日も来る日もずっと一人で…
そんな姿を見かねた日菜が話しかけたことがきっかけで私達は仲良く遊ぶようになった。
でも、次第に日菜は天才と呼ばれ、私と比べられるようになる。それでも彼女は…
「どうしてみんな紗夜と日菜を比べるのかな?」
「日菜に出来るのに私に出来ないから…」
「それがどうしたの?人には得意不得意があって当たり前じゃない!」
「白夜…」
「私は何があっても二人の味方だよ。何があっても裏切らないから」
私は彼女の前向きなところが羨ましかった。
「どうして…あなたは私達を…」
「そんなの決まってるよ。私は二人の――」
彼女だけは違う。彼女だけは私達と変わらず接してくれる唯一存在。
私は彼女の言葉で救われた。だから、彼女には私の音を聴いてほしい…
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「う~ん…わかんない!」
白夜は参考書と問題集を広げて考え込んでいる
「立花さんどうかしたのですか?」
「あ、紗夜ちゃん…実はこの前の宿題が難しくて…」
本当にこの子は世話が焼けるわね
「仕方ないわね。丁度、私も分からないとこがあるので一緒にやりましょう」
「やったー!ありがとう!紗夜ちゃん」
「どの問題ですか?」
「えっと…ここなんだけど…」
問題集を見てみると、基礎から間違っていることに気が付いた
「は~」
「な、なに?」
「立花さん。基礎から色々間違っています」
「え!嘘!どこどこ!」
「まず、二次関数は…」
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~羽沢珈琲店~
「いやぁ~さっきはありがとう」
「別に…復習になったから、それより早く帰って練習したいのだけど…」
「まぁまぁ、ここのコーヒーとケーキ美味しいから。なに呑む?」
私にお茶をしている時間なんてないのに…この子はいつも強引だから仕方ないわね
「あ、つぐみちゃん!!」
「こんにちは!立花先輩」
こんなところにも、本当にこの子は顔が広いわね
「コーヒーと季節限定のケーキをお願い!紗夜は?」
「私は何でもいいわ」
「じゃあ、私と同じもので!」
「かしこまりました!」
ウェイターの子が厨房に向かっていくのを見送り、白夜と向き合う
「あの子は…」
「つぐみちゃん?あの子はこの羽沢珈琲店の看板娘だよ。それにキーボードが上手なんだよ」
「なんですって⁉」
「あ!つぐみちゃんは勧誘できないよ。もう彼女は彼女でバンド組んでいるから」
「そうなのね…」
このままでは…メンバーが…
「大丈夫!多分もうすぐメンバー揃うと思うよ!そんなに焦らないで…」
「焦っていません!」
「ゲホッ…ゲホッ」
「大丈夫ですか⁉」
「う、うん…変なところに水がはいちゃっただけだから」
一瞬だけど白夜の手に赤いものが付いているのが見えた…
「それならいいのですが…あ!季節限定ケーキとコーヒーです」
「ありがとう!」
「ありがとうございます」
さくらんぼのベイクドチーズケーキ…とてもおいしそうね
「じゃあ!さっそく…」
「つぐ。こっちにも季節限定ケーキ!」
「ごめんね…ひまりちゃん、さっきので売り切れちゃった」
「そんなぁ~」
「ひ~ちゃんどんまい」
「明日、また来ればいいさ」
「巴の言う通り、明日の練習の後に来たらいいじゃん」
「今日食べたかったの!」
「騒がしいわね」
「紗夜、ちょっとごめんね」
白夜はケーキを持ち、羽沢さん方に向かっていった
「白夜さんこんにちは~」
「モカ…知り合い?」
「この前、新しく入ったバイトさん」
「立花 白夜です。花咲川女子の二年生です。お近づきにこれあげる」
白夜は限定ケーキを彼女たちの前に置いた
「いいんですか!」
「いいの!いいの!みんなモカちゃんと同い年?」
「そうですけど…本当にいいんですか?」
「うん…私の好きでやっているから。あ!お代は私が払うからね」
「そんな!お代まで!」
「お言葉に甘えればいいじゃないか!」
「何かお返しに…」
「それもいいの!じゃあ!またね」
白夜が戻り、珈琲を飲み干す
「私の一口食べる?」
「ううん…それは紗夜の分だからいいよ」
「貴女が食べたくて注文したのでしょ?ほら…」
ケーキを白夜に差し出す
「じゃあ…一口だけ…うん!おいしい!」
この子は本当においしそうに食べるわね
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~夜~
「ゲホ…ゲホ…!!」
洗面台に赤黒い血が飛び散る
「はぁ…はぁ…これは…少しヤバいかも」
胃のあたりがキリキリ痛む
「みんなにバレないようにしないと…特に、あの二人に気づかれないようにしないと…」