「いや・・・本番なんだけど・・・」
「冗談だよね?アキクン?」
恵がジト目になる。マイクをスタンドに置く。
「あれだけオープニングセレモニーで煽っておいてさぁ! 音楽は鳴らないし、衣装は変わらないし、アドリブは下手だし・・・ それにあのオチなんて聞いてないんだけど? 人には怖い役やらせておいてさぁ! 自分は可愛くなるわけ? わたしのイメージを下げるだけ下げて、英梨々や霞ヶ丘先輩のねんどろいどは宣伝するんだ? そのためのわたしなんだ? わたしはまだいいよ、わたしは。 わたしだってポンコツだよ。ぜんぜんメインヒロインなんかじゃかもしれない。でもさ、『加藤恵』に悪いなって思わないの?ずっと頼りきりじゃない。もう少しさー、ちゃんと真面目に精いっぱい加藤恵らしさがでる舞台でさ、しっかりやろうよ。結局安芸くんの作った話はさー、逃げてるんじゃないのかな? もっと信用して、なんでもやらせてみたらよかったんじゃないかなぁ? ・・・あと、だいたいね、前から言おう言おうと思ってたのを我慢していたんだけどさー! わたしがこの作品内で安芸くんを好きになる要素ってあった? なんかずっと怖がられてて、優しくなんてされたことないんだけど? もう少しさぁ、わたしが安芸くんを好きっていう話にするならさー、そういう細かいイベントをはさんでいかないと納得いかないんだけどなっ! そんなんで原作のわたしが安芸くんを好きだからって、こんなにひどい扱いをされて、それでも好きだっていうのは無理があるんじゃないかなぁ? あーそうかー。わたしに嫌われて、それで英梨々を選ぶんだ? あーごめん。そこは気が付かなかった。今、気が付いた。じゃーしょうがないなー。安芸くんに好きになってもらえなかったわたしがいけないんだもんねー、英梨々が可愛いんだもんねー、だったら好きにすればいいんじゃかなっ!わたしなんかの意見を聞かずに、自分のやりたいようにやったらいいんじゃないかな?でもね、わたしだって副代表だよ?サークル内でNO2の立場なんだよねぇ!? 7部構成でさー、三カ月も毎日連載しててさー、これで終わりって、おかしいんじゃないかなー。それで新作発表してもさー、もう読んでくれないんじゃないかな?」
英梨々が壇上に声をかける。
「恵~!1000文字いきそうよ」
恵がうなずく。スタッフがかけよってペットボトルの水を渡す。
恵は水を一口飲んで一息ついた。
そして、恵は会釈してから、土下座してる倫也の首根っこを捕まえて、裏へと連れていった。
※※※
伊織がでてくる。
「というわけで、もう少し時間かかりそうなので、続きはまた明日」
「澤村先輩・・・あの恵さんって、セリフ覚えているんですよねぇ・・・?」
「当たり前じゃない、そういうところがクソ真面目だからあたし達が支えてもいいかなって思うんでしょ」
「そうかもしれないわね・・・リテイクを記憶している私の身にもなって欲しいけど・・・」
「わたしに勝ち目ってあったんでしょうか?」
「眼中になかったんじゃないの?」
「ですよねぇー」
(つづく)