私の名前は夜桜葵。今日から高度育成高等学校に通う普通じゃない女子高生だ。今は学校に向かうバスの中にいる。
何が普通じゃないかって?それはホワイトルーム生であり、転生者という事だ。
「葵、学生ってどうやって過ごすんだ?」
っと、今はこれからの高校生活について隣に座っている綾小路清隆と話し合ってる途中だった。一応言っておくと清隆もホワイトルーム生だ。
「うーん、いつも通りでいいんじゃない?」
「分かった」
「まあ楽しめればいいんじゃない?」
私は清隆より優秀だからね!清隆は私の意見をかなり聞いてくれる。
私の目標は無双をすること、ただそれだけ。
それが神とした約束。
『夜桜葵さん、あなたは死んでしまいました』
視界がしばらく暗くなっていたのが急に明るくなった直後、そんな透き通った女性の声が頭に響いてきた。そして、その声の主の2つの情報が頭に入ってくる。
【声の主は神】
【最近は主人公最強系ライトノベルにハマっている】
・・・ん???
『私の情報は理解できましたか?では葵さんのこれからについてお話ししていきます。葵さんは私と同じようにラノベにハマっていますよね?私はその中でも主人公が無双する作品が好きなんですよ。なのであなたに好きなように転生して無双していただきます。では希望をどんどん言ってください』
「まってまってまって!!」
色々と理解が追いつかない!!
『では追いつけるようにしますね』
さっきまでどこから理解すれば良いか混乱していたのが嘘のように簡単に理解できていく。今神が求めているのは私がどんな世界でどんな生まれ方をし、どんな生活をしていくかの希望を伝えることだろう。
頭の中に思い浮かべるだけで希望が伝わるようだ。
最近私がハマっているのは『ようこそ実力至上主義の教室へ』。この世界に行くことは確定として、その世界で無双するのならば綾小路や高円寺のような知力、身体能力は必須。あと原作知識も。
だから記憶を持って転生。その記憶を生かすためには綾小路達と同じ学年になること。
綾小路より実力が高い一般市民だとおかしいからホワイトルーム4期生になるように転生。ついでに綾小路×高円寺ぐらいの知力、身体能力にしてもらう。こんな感じでいいかな。
『分かりました!ではどう無双するのか期待してますね!!』
なんとなく神の声が弾んだような感じがしたが気のせいだろう。
そういえばなんで死んだか教えてもらってなかった。まあいいか!
そんな回想をしていると、OL風の女性が歩き出した。
「席を譲ってあげようって思わないの?」
そういえば最初のイベントってバスの中だったか。原作ではここで綾小路は隣に座る堀北鈴音を見ることで後にイベントが発生?するはずだが、その隣には今は私がいる。後ろを振り返ると無表情の少女と目が合ってしまった。
しばらく見つめあったあと、会釈だけして前に向き直る。
まさか堀北が真後ろにいるとは思わなかった......
「なっ・・・・・・!あなたは高校生でしょう⁉︎大人の言うことを素直に聞きなさい!」
「も、もういいですから・・・・・・」
そんな事をしている内にお姉さんは高円寺に言い負かされていた。
そこで一つ、私はいい事を思いついた。最初の無双はこれぐらいでいいだろう。
「ちょっと行ってくるね」
私がそういうと、何をするのか理解した清隆が足を引き、通れる隙間を作ってくれた。
「あの、私もお姉さんの言う通りだと思うの」
今発言したのは櫛田ではなく私。櫛田は少し腰を浮かせていた。多分私が言わなかったら原作通り動いていただろう。
「今度はビューティフルガールか。どうやら今日の私は思いのほか女性運があるらしい」
「余計なお世話かもしれないけど、社会貢献になるんじゃないかな?」
少し・・・いや、原作で櫛田が言ってた言葉を借りさせてもらった。
パチン、と高円寺は指を鳴らした。
「社会貢献か。なるほど、中々面白い意見だ。確かにお年寄りに席を譲ることは、社会貢献の一環かも知れない。しかし残念ながら私は社会貢献に興味がないんだ。私はただ自分が満ぞ」
「譲る気が無いなら仕方ないね」
私はそう言って優先席に座る高円寺の腕を掴み、一気に引っ張る。高円寺は私の横に伏せる形で倒れそうになるが、踏み堪えたようだ。私は高円寺の頭を揺さぶるように横から高円寺の顎を殴り、脳震盪で気絶させる。
「はい、お婆さん。どうぞ!!」
満面の笑みを浮かべてそういうと、お婆さんは少し震えながらも「あ、ありがとうねぇ」と言って席に座った。
・・・取り敢えずこの高円寺どうしよ?
バスが学校に着いた時、高円寺も下ろして、ビンタをして意識を起こさせた。
「やっと起きた?」
「・・・ビューティフルガール。君は何者だい?」
「答える気はないよ。たださっきのは私の実力を周りに見せるためにはあなたが一番いいと思ったから」
「今は何も聞かないでおくよ。君がすごいのはわかった。だからと言って私の行動は何も変えるつもりはないからね」
「それでいいよ。あなたに対して興味はない」
嘘です。めっちゃ知りたいです。だって高円寺の正体が明かされる前に死んでんだもん!!
「そんなこと言うのは君が初めてだ。気に入ったよ」
高円寺はそう言いながら学校の方へと向かった。
私は清隆が来るのを待ってから学校へ向かうことにした。