伏黒甚爾は冒険者ではない 作:続かない
金と快楽が集まる街、繁華街ではとある噂が流れていた。
曰く、大賭博場の経営者テリー・セルバンティスが護衛を雇った。
曰く、敵対や不正をしたものを秘密裏に消している。
曰く、金を積めばどんな仕事でも完璧に完遂させる。
曰く、Lv7のオッタルにも勝る。
などと言った真実かどうかも疑わしい噂が蔓延していた。
繁華街にある競馬場。そこは大賭博場には劣るもののコアなギャンブラーが集い、汚い野次をとばしていた。そんな熱狂している人々より少し離れた席から観ていた男がいた。その男は正に浮浪者といった身なりで、金を持ったように見えなかった。その男の名は伏黒甚爾。つい最近この世界に転生した男だった。そして、伏黒に話しかける男がいた。
「またここに来てたのか」
伏黒は競馬新聞を顔に乗せたまま返事を返すことも無く無視する。話しかけた男は元から分かっていたようで気にせず話し続ける。
「調子はどうだ?収入の殆どを賭博に費やしてるのだろう?」
伏黒は話す気になったのか、競馬新聞を取り返事を返す。
「今日はツいてないみたいだ全然当たらねぇよ」
「いつもの事だろう。お前は圧倒的な戦闘力はあるのに運が絶望的に低いからな。まあいいさっさと本題に入ろう。お得意様からの依頼だ」
男はそう言って羊毛紙を渡してくる。そこには今回の依頼の詳細が書かれていた。伏黒がざっと目を通す。内容は定期的に視察にくるガネーシャファミリアやギルドの連中がいい加減面倒くなったらしく、ガネーシャファミリアのホームに侵入してそこそこの被害をだしてこいといったもの。大方ガネーシャファミリアが立て直す間に黒い所を隠蔽しようといったところだろう。
しかし、この攻めに行く時間も酷いものだ。
この時間は神々が集まって神会が開かれている。つまり神々に喧嘩を売りに行くようなものだが、雇い主はそのことをわかっているだろうか?いや分かった上でやっている馬鹿かもしれないが、それは流石に自惚れすぎだろう。伏黒は神々についてある程度のことを知っていた。この下界にいる神は決して強くない。しかし、神が人間に与える神の恩恵は別だ。あれは人間としての限界を越えさせるもの。非呪術師であっても呪術師に対抗出来る程の力を与えることができる。それは、伏黒にとっても驚異であった。故に神に対して油断をしない。
だが、伏黒は金払いさえ良ければ受ける人間だ。そして、この依頼の報酬もそれに見合ったもの以上であったため受けることにした。
「丁度路銀も尽きたところだろう?」
競馬場に目を向けると既に結果が張り出されていた。そこに伏黒の選んだものは無く、男の言う通り賭ける金も無くなった。
伏黒は徐ろに立ち上がり、別れの挨拶も無しに競馬場を出ていったが、依頼書を持っていたということは受けるという合図だということを男は依頼を頼みに行くのは毎回自分だったため知っていた。
男はホッと息をつき安堵する。伏黒の相手は毎回疲れるのだ。何を考えているか分からず自堕落に過ごしていてるが、戦闘力はずば抜けて高い。それも、本当に都市最強のオッタルに勝ってしまうんじゃないかと思える程に。
男は伏黒が依頼を受けたのを依頼主に伝えにその場後にした。
伏黒甚爾 無主属
五条悟に殺された後に怪我が治った状態でダンまちの世界に転生した。そのため、武器庫代わりの呪霊を腰に括りつけたまま転生してきた。この世界に呪霊はいないことがわかってる。Lv3以上の冒険者には自分の武器庫の呪霊は見えるらしく、伏黒はスキルの一つだと誤魔化している