勇者部部員は壊れている 作:岩切 蓮夜
私達だって、思春期なんだよ…?
人を虐めてなにがわるいの…?
■■ ■■
俺の通う讃州中学は至って普通の中学校だった。
朝登校して、昼飯食って、放課後に遊んで…
……でも、中学生活にも慣れてきた頃、俺は気づいてしまった。
明らかにおかしい部活が出来ていた事を。
気づいた時はすでに遅かった。
どうして、誰もあんなに怪しい部活が出来る事を疑問に思わなかったのか。
どうして、先生は誰一人としてあんな部活を作ることを止めなかったのか。
…なにより、なぜよりによって『あいつら』が部員となってしまったのか。
考えたって、もうどうにもならないのだが。
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「友奈、東郷はいりまーす!」
朗らかで、騒がしい声とともに勇者部部室に来たのは「結城友奈」と「東郷美森」。
二人は俺と同じ、讃州中学2年のいわゆる美少女だ。
今日も可愛い。
「あっ!『和道
うるさいくらいの声で「結城友奈」は俺を見つけてはしゃぐ。
(来てたんだ、じゃねえよ…こっちは早く帰りたかったのに…)
「あぁまた風先輩に『捕まった』のね、あなたもあなたよ。部活しないで帰るなんて『有り得ない』のだから」
車椅子にすわる、年齢にそぐわない巨乳の持ち主、「東郷美森」は俺を軽く諌める。
…俺は別に、この部活に入りたかったわけではない。
そもそも、部活自体するつもりなんてなかったんだ。
…それがなんで…
思考を遮るように、「結城友奈」が俺に近づく。
「よく『3日間』も頑張ったね!もう『二度と』部活サボろうとしちゃダメだからね!風先輩が帰ってくるまで、反省するんだよ!」
あまりにも近すぎる至近距離でしばらくニコニコ笑っている友奈の顔は部室の電気が逆光となり、影で隠れている。
そう、それはまるで闇の中で悪魔が嘲笑うかのように。
「それじゃ、今日の見回り行ってきまーす!」
俺を見るのに飽きたのか、颯爽と部室を出ていってしまった。
俺は…なんとも言えない感情になって俯いた。
しばらくの間があった後だった。
急に近くでバタン、という音がした。
何かが、落ちるような音だった。
顔を上げる。
その刹那、東郷のドロップ缶を投げる姿が目に映る。
直後、激痛が走っている事に気づく。
(ガッッッッッ!??)
『物理的に』声の出せない俺は、声にならない悲痛の叫びを余儀なくされる。
「貴方如きの人間が友奈ちゃんに近づくな、って前にも言わなかったっけ?」
そんな酷すぎる言葉と彼女の所持物が多数飛んでくる。
頭の中では彼女の言葉の意図を探っていた。
しかし、そんな間も与えないくらいにペンやはさみが飛んでくるのだ。
なんで、、、こんな目に合わなければならないのか…
彼女が近くにある物をほとんど投げ終えたあと、静かにノートパソコンを持ち上げる。
(さすがに、、シャレにならないっ、、!)
と思うも彼女を静止する力は、今の『無力』の自分にはない。
恐らく、この打撃で俺は最低でも意識を落とすだろうと予測した。
もうダメだと感じた、
その時、勢い良く扉が開いた。
「はーいみんなちゅーもーく!部長の『犬吠埼 風』先輩がやって来たぞー!」
「…………」
大きな声で入り込んできた、この部活を作った張本人「犬吠埼 風」と
弱々しく風のあとをついてくるように、入ってきた可愛らしい「犬吠埼 樹」が佇んでいた。
「犬吠埼 風」は3年生で「犬吠埼 樹」は1年生の姉妹だ。
「あ、あちゃ〜取り込み中だったぁ?ごめ〜ん…」
「別にいいですよ、ちょっと『教育』を施していただけですから」
いきなりのことで、東郷も手を止めた。
一命をとりとめたのだ。
不意に安堵の表情を見せた俺は、運悪く「犬吠埼 風」の目に止まる。
「へぇ〜生きてたの。びっくりした〜、死んじゃってたらどうしようかと思った〜」
すると、「犬吠埼 樹」はどこからともなくキャンパスブックを取り出し、
【ゴキブリと張り合える生命力なんじゃないかな】
と書いてあるページを見せた。
すると、「犬吠埼 風」は爆笑する。
「ハハハッ!樹、その説面白すぎ!今度試すか!こいつとゴキブリだけ部屋に入れて、何も与えず一週間暮らさせてみるとか!」
さすがの俺もしびれを切らして、抗議しようとするも唸る事しかできない。
「あぁあぁ、忘れてた忘れてた、『喋りたくても喋れない』し、『動きたくても動けない』もんね〜」
風は『片目しかない』目をウインクさせながら、俺の体を縛る『ロープ』と口を塞ぐ『ガムテープ』を外す。
「ぷはっ!ゴブッァ!」
「汚え息吐くなよ、実際3日歯ぁ磨いてねえだろ」
「ッッ……!!」
息しただけで、金曜の放課後から何も食ってない空の腹に風の白いニーソックスを履いた美脚がぶちこまれた。
「結局、ロープ解いたって動かないじゃん、こいつ」
おもんねぇなぁ、と風が呟いている間に扉が開く音がまたひとつ。
それと同時に「はっ…」と悲哀に満ちた呼気のような声が響く。
それに気づいた風が声をかける。
「おっーす!『夏凛』!おつかれ〜、遅かったじゃない!」
樹も
【お疲れ様です】
と書かれたページを見せている。
入ってきたのは「三好 夏凛」。ちっさなツインテールと前髪が地味に特徴のあるスポーツ系女子だ。
そして、勇者部の中で『唯一』のまともな思考回路を持った部員。
…いや、正確には唯一思考回路が『狂わなかった』『勇者』である。
今は、俺の相談役にもなってくれている。
そんな『まとも』な人間がこの有様を見れば、どういった反応が正しいか
目に哀しみの涙を浮かべながら、重い口を開いた。
「あ…っ、おいっ!、、」
「?」
「何やってるんだよ、風!」
「なにって見ればわかるでしょ。サンドバッグ君で遊んであげてるのよ」
半笑いで答える。
樹が隣で
【それをいうなら、サンドバッ君でしょ】
なんて書いているが、「夏凛」は笑わない。
「こんな…こんなことして、ほんとに何も感じないの!?」
「?夏凛が何言ってるか分からないんだけど」
「前は『こんな』んじゃなかったじゃない!!」
「……?」
夏凛の、そんな悲痛な言葉は届かない。
夏凛は涙を流しながら、東郷の方を見る。
「東郷ッ…!あんたも何も感じないの!?人が困ってるなら、それを助けるのが『勇者部』じゃなかったの!?」
そんな悲痛な叫びに、冷静に風が答える。
「ええ、そうよ。私達は人を、四国を助ける為に勇者に変身して戦うの。それは大赦から直接、派遣されてきた夏凛が一番よくわかるでしょ?」
「じゃあッ…!じゃあ、和道はどうなのよ!みんなとおんなじ一人の人間でしょ!!」
「人を助けるのに、犠牲なし、なんて綺麗事聞くと思う?」
「犠牲って…、バーテックスと直接戦ってるわけじゃないのに、そんな言い訳通用するとでもおもってるの!?」
「誤魔化すつもりなんてサラサラない。こいつは私達の『ストレス発散方』なの。そういう意味での犠牲よ。」
「ッッ...!!」
あっ、という間に夏凛が風に殴りかかろうとする。
その瞬間、友奈が部室に帰ってきた。
「ただいm!……、、、」
友奈の明るい表情がどんどん曇る。
それを見た風も夏凛も動きが止まる。
「えっ…どうしたの、にぼっしー…」
「友奈…!!」
友奈の苦い表情を見た東郷が口を開く。
「今日はもうこの辺にして、解散しましょう。」
「そ、そうだよ!明日にはまた仲良くなれるよ!」
樹も苦笑している。
風がただ一人、夏凛を怒らせた理由を考え続けているようだった。
「さよなら、、」
誰も出ていこうとしなかった部室から先陣を斬って出て行こうと行動したのは、俺だった。
たとえ、俺が被害者だとしてもこういう場にはいい思いはしない。
なぜなら、『元の』彼女たちを知っているから。
これは彼女たちの『本心』であって、『本心』ではない。
その事を『唯一』知っている俺だからこそ、申し訳なくも感じる。
(多分、俺の『せい』で俺の『おかげ』なんだな)
そんな事を考えながら、ドアの前まで歩いて来た所で振り返り…
「夏凛、いつもの場所で…」
とだけ言い残して、学校をあとにした。
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ここは夕方になると、夕日が海と合わさるようで、とても綺麗だ。
昔、妹とよく遊んだ場所でもあった。
恐らく、生きていた間の中で一番綺麗だ。
学校とは違い、とても落ち着く場所。
それは今でも変わらない。
「ごめんッ、ちょっと遅くなった。」
ハァハァ、と息を切らしているのは夏凛だ。
恐らく、走ってきたのだろう。
そこまでしなくていいのに。
「なんかごめんな?」
「いやいや、和道の方がずっと苦しんでるし」
お互いに笑いあう二人。
だが、ここに来てるのは幸せを分かち合う為だけではない。
「…今日は、何を『された』の?」
俯き加減で、嫌な記憶を抉り出しながら話す。
「今日というか一昨日あたり、いや、もっと前か?」
「先週の金曜日、もう嫌になって部活をサボろうとしたら体をロープで縛られ、口をガムテープで止められ、部室に放置された…」
「!!………」
声にならないくらい夏凛は驚く。
「…ごはんは?」
「ろくなものなんてない。水も飯も、その前に何も出来ない。さっきちょっと食ってきたばかり。」
「そんな…そんなのって…!!」
「でも、大して動いてなかったからなんとか生きてたよ。」
笑ってみせる。夏凛まで、辛い思いをさせたくない。
「…………なんで?」
しばらくの間があってから、問われた。
「何が?」
「なんでそんなに笑ってられるの…?私だって、風たちに何かされたわけじゃないけど、怒りで殴りかかろうとしたわ。でも、なんで和道はなんにもしないの!?何も言い返さないの!?」
ああ、
夏凛は今、俺のために怒りや悲しみを露わにしてくれているんだな。
そう感じるだけで、涙が溢れる。
だから、
だからこそ、強がらなくてはならない!
男はそうであるべきと、そう思ったから。
「俺はな、俺には妹がいる」
「そいつは病弱だけど、いつか幸せになってほしいと思っている。だからだ。」
キョトンとした顔で夏凛が俺を見つめる。
「……妹?それが勇者部に関係するの…?」
「ああ、するさ、」
その時同時に、『大赦』からも言われた言葉を思い出す。
(これだけは『絶対に』勇者様達には申し上げないでいただきたい、か)
知らん。
俺は夏凛を信頼している。
だから全部話す。
俺がなぜこんなに嫌な『勇者部』に『黙って居座っている』のか。
全て、ばらしてやる。
はじめまして、作者の「岩切 蓮夜
こんな感じで胸糞キャラ崩壊クソIF描いていきます。
のちのち、官能的な所も出していこうかなと考えています。
尚、めっちゃくちゃ投稿頻度遅くなる予定(リアルな都合上)ので理解していただきたい…