勇者部部員は壊れている   作:岩切 蓮夜

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多分、彼女は
「三好 夏凛」は■■の■■■について教えられたんだと思う。
きっとそれは、勇者に知られてはいけないことだったのかもしれない。

でも、私は神様だから。
見守ることは出来ても、話し合うことはできないんだよ。
■■ ■■


Episode 1:それでも地獄を選ぶ理由

俺は話す。

「三好 夏凛」という一人の勇者に。

なぜ、『勇者部』に居続けるのか。

なぜ、なにも抵抗『できない』のか。

 

その根端にある『俺の過去』について。

今の『勇者システム』について。

 

思い返して見れば、少し恥ずかしい話だなと感じる。

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俺の名前は「和田 和道(わだ かずみち)」。

名前に「和」が2個つくが、そこまで平和主義者というわけでもなく和風好きというわけでもない。

 

まぁ、喧嘩っ早いわけでもめっちゃ洋食好きというわけでもない。

 

俺はどちらかと言えば平和な方で、どちらかと言えば洋食が好きな

そんな、『普通』の人間だ。

これといった目立つ特徴があるわけではないが、強いて言えば家系に問題がある。

 

俺は神世紀123年の勇者、『和田 綺波(わだ きなみ)』の子孫であると聞かされた。

 

それがどうだから、『勇者部』に関係あるとかそういうわけではないが。

 

話が逸れた。元に戻そう。

 

そんな普通な人間にも、『妹』がいる。

名前は「和田 友奈(わだ ゆうな)」。

3歳年下の妹だ。

今、思えば馬鹿みたいに「結城 友奈」に似ている。

ずっと元気で、誰にでも優しい。

そんな子だった。よくこの港近くで、はしゃぎあったな。

 

そして、俺は別にシスコンというわけではない。

『妹』のことが好きでも嫌いでもない、普通の「兄妹」だった。

 

でも、そいつが小学4年生に上がる頃、つまり俺が中学入学する直前、

 

重い病にかかった。

 

あれだけ元気だったのに。

明確な思春期も訪れる前のことで、俺はまだ嫌われてもいない、そんな時で

 

うるさいくらいはしゃいでたあいつが、ベッドの上で24時間眠っているのを見て、、、

 

かなりショックを受けた。

信じられなかった、ずっと見てたからこそ、心の底から、

 

さらに追い打ちをかけるように、俺の家は貧乏だった。

何故か、

俺の父親が勇者の血筋を継いでいて、幼い頃は大赦からの恩恵もあり『裕福』だった。

 

しかし、問題は母親にあった。

こんなに母親の事を恨む息子はいるだろうか。

 

子孫代々、永遠に与えられる大きすぎる恩恵『目当て』で父親に近づき結婚したからだ。

 

俺が小学生になる頃、母親の不倫が発覚した。

今までにもいくつかそういった事があったが、俺の父親は馬鹿みたいに甘すぎるので大目に見てきたらしいが、流石に我慢の限界だったらしい。

 

それっきり、母親は大量の金を持って相手の男と逃げて帰って来なかった。

 

その3日後、父親が苦しみの果て自殺。

 

両親を失ったと同時に、俺と妹の本当の血筋が発覚。

父が亡くなる前に、DNA検査を依頼していたのだ。

俺はその母親と父親の子供であったものの

妹は母親と一晩遊んだ男のもので、俺と妹は父親違いの兄妹という事実。

 

周りからも散々蔑まれ、馬鹿にされ『呪いの血』だと言われる。

 

俺は怒りで、どうしようもなかった。

そんな時、貧乏であるが優しい老父母に拾われる。

 

大赦も冷たいもので、

「勇者は四国の人々の救いであらなければならない。それを揺るがす者には恩恵を与えられない」

という理由で俺達を冷たく突き放し最低限度の恩恵しか与えてくれなくなったのである。

 

そして、収入源は『そこからのみ』なのである。

じっちゃん、ばっちゃんの年金も俺達「兄妹」を育てるには少なすぎた。

 

俺が小6になる頃、じっちゃんが死んだ。

ばっちゃんは認知症がひどく、老人ホームに送られていたため、じいちゃん家を借りて2人で暮らすことになった。

 

その1年もしないうちに、妹が寝たきりになった。

俺は病院に妹を預け、訳もわからないまま学校に通った。

 

そんな時、大赦は俺に『こんな』取引を持ちかけてきた。

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「…大赦?」

 

「ああ、大赦だ」

 

「もしかして、和道は大赦の存在を知ってるの?」

 

「そういうことだ」

 

「私達が勇者として、どんな戦い方をしているかも…?」

 

「…ああ、そして最近はもっとひどい。」

 

夏凛が悲しそうに俯く。

答えそうにないので、俺から口を開いた。

 

「『満開』…だろ?」

 

「…!!そのことまで知ってるのね…。」

 

「そして、『唯一』お前がその『満開』とやらを使っていない。だろ?」

 

「!!なんで!?なんで知ってるの!?」

 

「気付かないのか?大赦はお前らに『隠し事』をしているんだよ。」

 

「!!」

 

沈黙が流れる。

 

「ハハハッ!こんな勇者もクソも関係のないような、一般人が知ってんだぜ。」

 

夏凛は、何も答えない。

なので、続ける。

 

「そして大赦はこう持ちかけて来たんだ。『お前に尻尾を握らせてやる。しかし、それは尻尾を守るためだ。約束を守れば妹の命も助かる。しかし、もし約束を破り、尻尾を抜けば妹はどうなるか』ってな」

 

「…どういうこと?」

 

「つまり、」

 

切り出す時、迷った。本当に言っていいのか。

もしこの事が『勇者』に知られてしまえば、役目を捨てて戦わない道を選んでしまうのではないか。

 

しかし、もう心に決めて喉まで出かけていた。

戻すことは不可能だと。

 

「満開の副作用について、だ」

 

「満開の…副作用?」

 

「そうだ、そしてそれは…」

 

 

 

「精神の不安定さだ。」

 

 

 

「…!!」

 

「満開を使えば、精神がおかしくなる。それを勇者に伝えれば、誰かを知らず知らず傷つけないように満開を使わなくなる。そうなれば、バーテックスに勝つことが難しくなるってことさ。だから、大赦はそのことを隠していたし、そうなると『後始末』も必要になってくる。」

 

「…『後始末』?」

 

「そう、それが俺のお役目。彼女達の膨大に膨れ上がった不安や怒りを全て受け止める役。彼女達の世間体を悪くしないためにもな。」

 

「…でもなんで和道なの?」

 

「俺は四国の人間に嫌われている上に、妹の友奈が病弱っていうのがある。つまり、立場的に一般人より下の俺を勇者達のクッション代わりにする事で、人間世界に悪影響を及ぼさなくていいんだとさ。あと、この役目を果たすたびに恩恵を与え、妹の手術代になるという条件付きで。」

 

「……」

 

「ま、だから仕方ないんだよなぁ。そう、、分かっていても辛かったから、お前に相談してた。」

 

「そうなんだ…」

 

「弱いよな、俺。」

 

「違う!!」

 

夏凛が急に大声を上げた。

 

「それは違うと思う…和道は妹のために必死に頑張ってるだけじゃない!それなのに、親の血とか周りの目のせいで、不幸な事になって…そんなの、そんなの苦しんで当然よ…!なんで今の今まで相談してくれなかったの!?もっと早く言えば…言えば…」

 

「言えば?」

 

俺は最低だと思いながらも、尋ねる。

 

「言えばどうにかなった、って次元じゃない。今、言ったからってどうしようもないだろ?」

 

「ッッ…!」

 

ぐっと涙を堪えてる夏凛の姿は可愛かった。

 

「でも、やっぱり苦しくなった。だから、言っちゃいけないと思ったけど、お前に話した。ありがとな」

 

夏凛がこっちを見て、キョトンとした顔になる。

 

「これから、戦いが増えるたび俺への虐めも酷くなってくると思う。それでも、お前らは俺の味わってる苦しみより大きいんだよな。この事はあいつらには言わないでくれ。根は優しい奴らだって知ってるから。それで俺がクッション役になれなくなって犯罪者になってもらっても嫌だし。」

 

「…うん。」

 

「あと最後に、夏凛。これは、俺のわがままなんだけどさお前は『満開』を使わないでくれよ。俺の相談役がいなくなっても嫌だしな。」

 

夏凛の表情が曇る。

…なぜだ?素直に頷いてくれるものと思っていたのに。

まるで『満開を使っていないことを恥』と感じているような…?

 

「?おーい、夏凛おーい?」

 

「!う、うん…」

 

「?大丈夫か?」

 

「な、何でもないわよ!!」

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帰り道

 

「あんたが理由があって、この部活にいる事が分かったわ。でも、苦しかったら相談する!すぐにね!たとえ、遅かれ早かれどうしようもないと分かっていても、早く報告すれば何かしら出来ると思う。気持ちを分け合うだけでも、早い方が絶対いい!これだけは譲らないんだから!」

 

「…ああ、これからはそうするよ。」

 

「はいっっ!!!」

 

「ングっっ!!なにこれ…?」

 

「にぼしよ、これ食って元気出しなさい!……こんな事しか出来なくてごめん。」

 

今度は俺がキョトンとしてる間に

 

「じゃあね!!」

 

と走り去っていった。

なにか、心にずっしりと乗っていたおもりが外れたようだった。

 

もう、こんなに距離が離れてしまったから叫んでも夏凛には届かないだろう。

 

だから、心の中で言うよ。

 

「夏凛、ありがとう。」




どうもです、岩切 蓮夜です。

今回はオリ主について深く掘り下げたつもりです。
結局、最終回で使うべきネタとかバンバン注ぎ込んでしまって次回のネタ探しに時間がかかりそうです(笑)

まぁ、ざっくり言うと過去編(早すぎたかな?)になるわけですが、如何だったでしょう?

気ままに書きたいこと書いとけばいいやーってな感じで書いていきます。

次回更新はかなり遅くなると思いまs(殴

モチベアップのためにも是非是非、ご評価ご感想お寄せください!

あっ…えー、ありがとうございました。(締め方が分からない)
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