仮面ライダー電王 incompletesong 作:火野ミライ
どこまだも広がる砂浜。空には多色に輝きオーロラが広がる。荒野の中、砂が風により舞い上がり、見渡す限りこの世とは思えない幻想的な光景が広がる。
その中で一番の異質を放つのが電車にレールといった人工物。駅でも何でもない道中で停車している赤と白の電車に向かって迷いなく私を引っ張っていく。先程の傷から今だ赤黒い血を流し、砂を染色しながら足を進めるめいに心配と困惑の感情を胸についていく私。
先頭車両の扉がひとりでに開き、めいは気にも留めずにそのまま入っていく。私が車内に入ると扉は自動で閉まり、ゆっくりと走り始めた。
「大丈夫か、めい!」
「ッヒ!」
客席への扉をくぐっためいは緊張が途切れたのか、急に倒れこむ。慌てて近寄ろうとしたその時、血のような赤い皮膚をした腕が彼女を抱きかかえる。恐る恐る視線を腕の持ち主に向けるとそこには鬼がいた。赤い鬼がいた。
さっきのコウモリやモグラの様な異形の怪物は見た目に反して、優しくめいを抱きかかえ近くの長い椅子に寝転がす。困惑する私よそに救急箱を持った2メートル近い身長持つ怪物が手慣れた手つきでめいを手当てしていく。
「めい!めい!」
必死に彼女に呼びかける声。その声の持ち主も当然の如く人でなく、紫の怪物。そいつはテーブルから身を出し少年のように声を荒げる。
「毛布持ってきたで!」
毛布片手に奥の扉からやってくるんは黒と金のずっしりとした怪物。毛布を受け取った赤鬼が、血がべっとりと染みついた制服を脱がされ半裸となっためいを包み込むかのように毛布をかぶせる。(半裸といって包帯がいたるところに巻き付いているため、露出している部分は無い)
(めい……………)
思い浮かべるのは服を脱がされた直後のめい。既に包帯を巻かれていた彼女の身体、手当ての為右腕の部分だけ外されていたが、私を時のかばった傷以外にもやけど傷や打撲痕などが一瞬だったとは言え見えた。
「いろいろ気になると思うどけ、今は君も寝よう?」
震える私の体を抱きしめ、優しく声をかけてくる青い影。
「夜更かしは美容の敵だよ。それに君みたいに可愛い子には涙なんかより、笑顔の方が何倍も似合っている」
気づかないうちに流れていた涙を親指を拭ったこいつは、優しく私の手を引き後方車両の方へ歩き出す。扉まであと少しというところで待ったをかけるずっしりとした体形の怪物。私に差し出されたその手には二つ折りにされた和紙が握られている。
「怖い思いさせてすまんかった!家族も助けてあげられなくてすまんかった!」
私と視線?があった瞬間、ものすごい勢いで頭を下げるずっした怪物。口から出たのは謝罪の言葉。
「喋られへんめいの代わりに謝らせてくれ。家が燃やされるまでに助けられなくてすまんかった!」
こいつの言葉に車両内は静かになった。こいつはめいの代わりと言っているけど、私は別にめいを責める気は無い。むしろ怪物に襲われた時、怪我をしてでも助けてくれたことに感謝してる。
……………なんでこいつが知っているのかは気になるが。
「なによりめいの為に涙を流してくて、おおきに!涙はコレで拭いてくれ」
謝罪の後に感謝の言葉。立ち上がったこいつは私の手に二つ折りの和紙を持たせてくる。
なんとなく視線を合わせるのが辛くて、後ろを振り向くとどいつもこいつも優しそうな瞳をしてた。(表情に一切の変化はないのに……………)
次回からいよいよ、無印編開始。