よし、立て直そう   作:ストレスたまるん

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こういう系、書いてみたかったんや・・・ええやんな・・・?


1-困りました

 

 

「くっ! こうなれば死なば諸共! 拙者を撃て!」

 

「駄目よ! 艤装を付けてないのに! それに姉妹を撃てないわ!」

 

「あ~・・・どうしよ」

 

 

 本当にどうしよ・・・この『特殊』な基地にユニオン上層部からのお達しで着任して初日早々、突然執務室の扉を蹴破ってきたと思えば覚悟! と怒鳴り声と共に刃物――よく見たら刀――で切りかかってきたKAN-SENを長年使い、身に染みた近接戦闘術で流し、後ろから締め上げればご覧の有様。周りは騒ぎを聞きつけ、現状を見て『勘違い』し俺に殺気を向けるKAN-SENに溢れ、逃走ルートは無し。勿論援軍もなしで味方もなし。よく言う詰んだ、という状況だ。

 

本当、どうしてこうなったのやら。

 

 長年陸地で対テロやらなんやらで鍛えられたこの図太い精神で今だ冷静を保ち、打開策を練るも・・・やはり・・・無理ですね。

 

後ろの窓から行きます? 

アホか。二階だぞ。避難の時ならまだしも、殺意半端ない奴らがいる前で飛び降りたら着地狩りされるのが目に見える。

 

真正面から? 

まだシニタクナーイ!

 

あぁ、指揮官よ、ここで死んでしまうとは情けない!

 

 

「こいつ・・・っ! 離せ!」

 

「艤装が無ければちょっと強い女性なんだから、バリバリ鍛えた軍人に勝てるわけないだろ!!」

 

  

もちろん現状逃げれるわけでもないけどな!!

 

 

「艤装さえあればこんな男など・・・っ!」

 

「艤装関連の管理権は一応指揮官の俺にあるからな、仕方ないね」

 

 

無かったら今頃死んでる。あぶねぇ。

 

 

「いやとりあえずだ。まずはいきなり襲ってきた理由をしりt――」

 

「人間など信用できるか!! 我々を汚れた目で見、ただの捨て道具として扱い! 私利私欲のために扱おうとする人間など!!」

 

 

 女性がするものではない程の怒りの形相を浮かべ、怒鳴る高雄。

 

 いやまあね? 君らが『そういう人間』に『そういう屈辱』を味わされて人間に対して抱いた嫌悪感を隠し切れずに俺を見てきたのは知ってるよ? もうこの執務室に着くまでにどれだけ悪態つかれたか。でもね、いきなり切りかかるのは良くないと思うんだよ俺は。

 そういったケアと信頼回復に来たのよ? 君らにも事前に本部から通達来てたよね? それをいきなり切り捨て御免はいかんと思うのよ。いやだって最悪ここを潰しに来る可能性だってあるんだぜ? まあそれしたら後がヤバいからしないと思うけど。だからそうしない為にも俺が派遣されたんよ。分かる? だからな?

 

 

「俺の話を聞け~」

 

「舐めた口調を!! 安心しろ! 聞くまでもなく今すぐ切り捨ててくれる!!」

 

 

 必死にもがき、俺の拘束から逃れようとする高雄。でも残念ながらそう簡単には離さんぞ? こちとらまだやることやってないのにシニタクナーイのでな。

 

 

「えぇい! もがくな馬鹿たれ!」

 

「あっぐ・・・!」

 

 

 やむを得ず拘束を強め、少し静かにしてもらう。大丈夫、意識は飛ばない程度にしたから。

 

 

「とりあえず真面目に聞けよ。な?」

 

「き、貴様ら人間の話など・・・聞くわけなかろう・・・」

 

 

 締めが聞いたのか、先ほどよりもかなり勢いの無くなった高雄。それでも未だに目に殺意の炎を宿してる当たり、相当闇が深いと見る。

 

 

「頼むよ、本当に話だけでも聞いてくれって。な?」

 

「何度も言わせるな・・・我らは誰も貴様ら人間の話など聞くものか・・・」

 

 

 困った。これだと本当にどっちかがシビレを切らすまでこの状態が続くぞ。

 

はぁ・・・仕方ない・・・後がきついだろうが、一度『悪役』になるか。

 

 

「この場にいる者に告げる! こいつを救いたくば今すぐ武器を放棄し、その場に跪け!! さもなくばこいつの首をへし折る!!」

 

「あっぐ・・・!」

 

 

 演技といえど結構強めに締める。高雄もかなり苦しそうだ。

 

 

「た、高雄ちゃん!! 止めて!!」

 

「おいおい、こっちは武器を捨てろと言ったんだが? 聞こえてないのか?」

 

 

 さらにほんの少しだけ力を入れ、殺す気でいることを見せる。

 

 

「さぁ、どうする! このままだとこいつは窒息か、はたまた首折りか・・・どちらかで死ぬことになるぞ!」

 

「・・・!」

 

 

 肩越しに見える愛宕の顔が物凄く恐い。悔しさと俺への殺意で凄いことになってる。

 

 しかしそう思ったのもつかの間、愛宕は唇を強くかむと何も言わずに刀をゆっくりと地面に置いた。そして周りにいるKAN-SEN達も、自身が持つ得物を地面に置き始めた。

 

 おいおいおいおい・・・刀に拳銃に鎖に・・・なんだここ、いつの間に世紀末な基地になってたんだよ。

 

 

「さぁ、置いたわよ」

 

「よし、腕を後ろにして跪け」

 

 

 愛宕も含めたKAN-SEN達は指示通りに動く。まるで悪人だな、俺。

 

 

「で、どうしたいのかしら? このまままた『楽しむ』のかしら?」

 

「アホか。両者合意によるもの以外禁止されとるわい!」

 

 

 軍の規定事項にも書かれてた。

 

 

「そうなの? てっきりそういうものは表面上なだけで、見て見ぬふりだと思っていたわ」

 

 

 舐めた口調で挑発をかましてくる愛宕だが、そんな分かりやすい挑発に乗るほど俺も若くはないぞい。三十路なんだからな!

 

 

「事例の内容的にもアズールレーンの印象的にも世の中に出せないから内部でも一部しか知られていないだけ」

 

「へぇ」

 

 

 心底どうでもいいと言いたげな愛宕。いや本当なんだって。まあ一部、本当にごく一部にだけど、逆の事例もあるけど・・・。

 

 

「で? そんななんでも知っている貴方はこんな事してどうしたいのかしら?」

 

「いやそれ俺が言いたいわ」

 

 

 むしろ君らのせいでこうなってんのよ!? 分かるか!?

 

 とりあえず俺は高雄への拘束を少しだけ緩め、愛宕の目をしっかりと見る。

 

 

「あらぁ? 私を見つめてどうする気なのかしら?」

 

「どうもしないわ。とりあえず話を聞いてくれよ」

 

 

 俺は高雄が拘束から逃れないようにしつつ、ゆっくりと執務机に引き出しから指令書を取り出し、愛宕の前に落ちるように紙を飛ばす。

 

 

「それ読んでみろ」

 

「・・・」

 

 

 俺への不信感と憎しみを隠さずに俺をじっと見つめると、あきらめたのか愛宕は膝下に落ちた紙を黙読し始めた。

 

 

「嘘はついてないぞ」

 

「・・・そうね。この指令書に書かれている内容と貴方の言っていた内容は合っていたわ」

 

 それを読み終え顔を上げた愛宕は先ほどよりも冷静に、しかし物凄く不満気に納得する。そして俺はとりあえず安堵の息を漏らした。

 不満気に答えてくれただけまだマシだ。理性の無い奴だったらそれ見ても絶対来てたからな。

 

 

「それで? 貴方はどうしたいの?」

 

「まあそりゃぁ、まずは話合いからh――」

 

「無理よ」

 

 

 しかし物凄い不満顔もつかの間。鋭い声と共に拒絶する愛宕。俺を見るその表情は怒り、哀しみ、そして本当に小さいながらも疲れも見て取れる。

 

 

「見てわかるでしょ? ここに所属する皆は貴方達人間と交渉なんてしたくないのよ」

 

「そんなに?」

 

「そんなによ」

 

「どうやっても?」

 

「どうやってもよ」

 

 

 固い意志を目に宿し、この基地に所属するKAN-SEN達の総意として明確に拒絶する愛宕に俺は考える。

 

 押してダメなら退く?

 アホか。そのままこんな状態が続くだけじゃないか。

 関係修復を押し通す?

 今のままだと1ミリのミスで死にます。

 このまま人質を使って押し通す?

 はい無理げー乙。

 

なら選択肢はとりあえず

 

 

「ならどうすればいい?」

 

 

聞くのみだ。そっからどうするかは結果次第で考えよう。

 

 

「関わらないで。この基地に。ここにいる私達に」

 

 

が、返ってきた言葉は関係を断ちたいという拒絶の言葉。

 

あ~、まいったなぁ・・・これは前途多難どころじゃないぞぉ? 

 今回の異動も俺のある恩人から直接頼まれたのもあって俺としてはどうしてもその願いを叶えたい所存。なのでこちらも折れる気は微塵たりともないんだけど・・・

 

 

「・・・・・・分かった」

 

「?」

 

 

 俺はまだ弱っている高雄を愛宕の前に連れて行くと、ゆっくりと拘束を解き、愛宕に預ける。愛宕は高雄を優しく抱き留めると、不信感と小さいながらも困惑の籠った目と表情で俺を見上げてくる。

 

 

「どういう事かしら?」

 

「深い意味はない。ただ純粋に離す気になっただけだ」

 

 

俺はそのまま執務机の椅子に腰を掛ける。

 

 

「お前らの意思はよく分かった。だがな、それを踏まえた上で俺からも言いたい。関係を断つつもりはない」

 

 

 そして明確に、愛宕達の意思を真っ向から拒否する。

 

 

「あ、貴方・・・!!!」

 

 

 その言葉にキレたのか、愛宕は高雄を床に優しく寝かすと素早く自身の刀を拾い上げ、執務室の上に乗ると俺の喉元に刀の先を突き付ける。

 

 

「聞こえなかったのかしら?」

 

「聞こえてたって」

 

「なら警告も含めてあえてもう一度言うわよ? 二度と関わらないで」

 

「ベプシマン並みの勢いの答えでNOだ」

 

 

突き付けられた剣先は俺の喉にわずかに刺さる。地味にいてぇ・・・。

 

 

「貴方馬鹿なの?」

 

「まあこんなところに来てるんだ。ある意味馬鹿だろうな」

 

 

 俺と愛宕は睨み合う。お互いの目を見つめ、ひたすらに。

 

 

 そして・・・

 

 

「・・・はぁ」

 

 

 折れたのは愛宕だった。

 

 

「もう、いいわ・・・勝手にして」

 

「・・・」

 

 

 愛宕は軽くため息をつき、刀を鞘に戻すと踵を返し、高雄に肩を貸すと優しく立ち上がり、ゆっくりと扉に向かっていく。

 

 

「ただし、命令も、その他一切しないで。私達は何も聞かないし、勝手にするから」

 

 

 こちらに向くこともせずに一言述べると、そのまま執務室から出て行った。そして周りも皆、俺への敵意を隠さずについて行き、とうとう執務室は俺以外誰もいなくなった。

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁ・・・」

 

 

 俺は緊張が解けたこともあって、溜め込んだものを出すように大きく息を吐くと深く椅子に座りなおす。

 

 

「前途多難だぞい、元帥・・・」

 

 

 窓の外には青い空と海、そしてカモメが飛んでいる。いいねぇ君らは・・・俺も自由に飛びたいぜ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ギャグもありますが、ヘビーもありますよ。もう一個の方と比べてかなりヘビー。
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