吉井明久の野望R   作:いくや

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 今話は、尾張良晴Side。
 
 では、早速ですが……

 どうぞ♪




第16話 サルと墨俣と結婚

 

 「どうやったら美濃を攻略できるのよ!!」

 2度も負けて尾張に帰ってきたので、信奈は今までにないくらい不機嫌なのがわかる。

 

 「何か策はないの!?」

 信奈が声を荒げるが誰も反応しない。

 

 「ここは俺の出番だろ」

 「あんたは黙ってなさい!」

 理不尽すぎる。策はあるのに!

 

 「俺にだって策の一つや二つ ー 」

 「墨俣に城を築く以外でお願いね」

 「ぐぐっ……」

 「ほらみなさい。そんなことしか考えられないサルの意見なんか却下」

 ひどい言われようだ。

 

 「でも何で墨俣がダメなんだよ」

 「あそこを斎藤が渡すわけないでしょ!」

 「その無理なのをどうにかするのが俺のチカラだ!!」

 「バカ言いなさい!!」

 どうしてだろう。いつもならば無理を承知でいくはずなのに。まさか、2度も負けて弱気になってんのか?

 

 「じゃあ、俺が勝手に墨俣に城建ててくる」

 「ちょっと待ちなさいよ!! 主君のいいつけも守れないわけ!?」

 「じゃあ許可くれ」

 「そこに割く兵力はないのよ!」

 「兵はいらね。俺の家臣団だけで充分だ」

 川並衆がどれほどの役割を果たすか知らないだろ? 見せつけてやるよ。

 

 「死に急ぐつもり!? そんなの許さないわよ」

 「そんなんじゃねえ! 確実に自信があるからだ!」

 「姫様……今のところ、墨俣に城を築く以外に策はない模様。このまま採用なされてはいかがですか?」

 「万千代まで……」

 「わしも美濃におったころは墨俣は特に警戒しておったの。その警戒を打ち破れば勝ったも同然じゃな」

 「マムシ……仕方ないわね」

 よし。いいぞ長秀さん、じいさん。

 

 「六、任せたわ。墨俣に城を築きなさい!」

 「わかりました! 早速行ってまいります!」

 「ちょ、ちょっと待てよ。俺が行くって言ってんだろ!」

 「あんたなんか、怖くて任せられないわよ。マムシも言ったように墨俣は美濃の重要拠点、斎藤軍はこれまで以上にあの要所を取られないように必死になって抗戦するわ。そんな戦をヘタレのあんたなんかに任せるわけがない! ここは武勇一の六が自然ってものでしょ!」

 信奈にしては珍しく長台詞をしゃべった。確かにそうだが。俺の気持ちが晴れねえ。

 

 「これにて軍議は終わりよ」

 そう信奈が告げると、勢いよく勝家が出ていった。気合が入っているな。

 続いて長秀さんやら犬千代やらとぞろぞろ出て行って、最後には俺らだけになった。

 

 「良晴、落ち込むな。必ずお前の番が回ってくる」

 「雄二……お前も何で口論に参戦してくれなかったんだ」

 俺の隣にいるくせして、一言も発さなかった。口を開かせばこいつに叶うやつはいないだろうに。何でだよ。俺とお前同じ意見だろ?

 

 「最初からこの軍議には期待してなかったさ」

 「どうして」

 「墨俣なんかに城が築けるわけないってみんなが思わないといけないだろ」

 「意味わかんねえ」

 「要するにだ。斎藤も織田も欺かないといけないってわけだ」

 誰もが出来やしないと思う時に最後の綱として俺らが墨俣に城を建てるってわけか。つくづくお前はすごいとまで考えてやがる。

 

 「お前は、川並衆にいつでも城を作れるように声かけとけ」

 「了解」

 雄二の言った通り、川並衆に城建築の件を伝えておいたが、それが役に立つのはそう遠い先のことではなかった。

 雄二のもくろみ通り、勝家は築城に失敗したのであった。

 

  

 さらにショッキングな出来事が。北近江の浅井長政の口車に乗って、信奈がつまらないかけをしてしまったのだ。

 

 「はあっ? 結婚する!?」

 「そうよ。そうでもしないと美濃は手に入らないでしょ」

 後数日で美濃を落とせない場合、同盟を組む(浅井長政と結婚をする)らしい。

 

 「だから俺が墨俣に城を建てるって言ってるだろうが!!」

 「あんたなんか ー 」

 「そうかよ。わかった。結婚でも何でもするがいい。俺はここを出ていく! 行き先は教えねえ」

 「あんた何を言って ー 」

 「もう決めたことだ。じゃあな」 

 信奈の制止を振り切り俺はこの尾張の城を出ていくことにした。

 

 

   ☆

 

 「なによあれ!!」

 「姫様、落ち着いてください。0点です」

 「良晴が出ていくってことはただ事じゃないな。私たち織田軍の情報も筒抜けだ」

 「何としても引き止めるのよ!!」

 「待て。あいつの考えがわからないのか」

 「なによ! あんたが止めに行きなさいよ。親友なんでしょ!!」

 「話を聞け。良晴がここを出ていくっていうのはな。織田方を出奔するって意味じゃない。少し考えたらわかるだろ。こんな連中を残して出ていけるタマかよ」 

 「…じゃあ良晴はどこに?」

 「これ以上口論しても無駄だということに気づいて本当に勝手に墨俣に城を作りに行った」

 「主君の許可もなしに!? あたしがあんな男と結婚してもいいわけ!?」

 「それがあんたのことを助けると思っているからな。これ以上の詮索は無駄だ。一度決意した男を止めることは出来ないぜ。おとなしく見守ることだな」

 

  

   ☆

 

 「五右衛門ちゃん、準備は出来てるだろうな」

 「もちろんでごじゃる!」

 「よしっ。これが一世一代の勝負だ。皆の者、墨俣に城を作るぞ!!」

 『おおー!!!』

 秀吉さん。あんたの夢、確実に俺が果たしてやる。

 モテモテになることだったな。これで一躍出世して城持ちになって……

 いかんこれは役目を果たしてからの考えだな。

 信奈とあんな男の結婚なんかやめさせてやる。

 

 





 雄二も地味にかっこいいのかな。
 やっぱり良晴のほうが?
 まあそこはわからん。

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