尾張雄二Side。
良晴が出奔(墨俣に築城に行った)したちょっと後の話。
では、どうぞ♪
「なんですって!?」
「はっ。美濃稲葉山城、陥落」
良晴がいない間に小牧山に城が完成したため、清州から引っ越した。
そこで信奈をはじめ織田家臣団は使いの者の言葉に衝撃を覚えていた。
「誰が陥としたの!?」
「斎藤義龍が家臣、竹中半兵衛にござる」
「竹中、半兵衛!?」
「美濃の天才軍師じゃないか」
「義の武将として名高いのではなかったのか?」
今から美濃を落としに行こうというときにその本城が陥落したとなれば動揺も隠せない。
「竹中半兵衛は今、何をしているの!!」
「それが……即座に斎藤義龍に城を返したのち、隠居なされたそうです」
『隠居!?』
全員の声がシンクロしていた。
「じゃあ美濃は?」
「大きな衝撃を与え、竹中半兵衛を失った以外は変わりありません」
これはチャンスかもな。わざわざ右腕とまで言える人物を向こうから切り捨ててくれた。
「それで良晴の墨俣築城はどうなったの!?」
「今朝方、一夜にして作り上げてござる!」
『一夜!?』
やりおったか。偽秀吉め。墨俣一夜城は伝説として名高いからな。
「みんな、墨俣へ向かうわよ! この機会に美濃を落とすの!」
『承知!!』
当主織田信奈をはじめ、弟の津田信澄、重臣柴田勝家・丹羽長秀、前田犬千代といった武将が出陣した。
☆
墨俣へ進軍していると、そちらのほうから音が聞こえてきた。音は音でも、刀と刀がぶつかる音、銃が鳴る音、どうみても戦が行われている。
「みんな、急ぐのよ!! 良晴が確保した墨俣を何としても守りきるの」
「一番槍は織田家きっての猛将柴田勝家が貰い受ける!」
『信奈~遅いぞ!』
墨俣が見えたあたりからバカな声が聞こえてきた。良晴だ。戦の指揮を執りながらも織田の援軍を待ち構えていたらしい。織田家を出奔したはずなのにな。
「斎藤軍を蹴散らすのよ!!」
信奈の号令ひとつで織田軍は壊滅寸前の良晴軍を救援し、逆襲をかけ始めた。
『織田の本隊が来たか!』
『はっ。主力が墨俣に到着しましてござる』
『やむをえん。引き上げるぞ』
『撤退じゃー!!』
『くっ……竹中半兵衛……わしには使えぬというのか……』
「斎藤が引いていくわ!」
「っしゃあ信奈、織田軍の勝利だ!!」
「勝どきを上げるわよ。えい、えい」
『おおぉぉぉーーーー!!!』
「えい、えい」
『おおぉぉぉーーーー!!!』
「えい、えい」
『おおぉぉぉーーーーーーーー!!!』
斎藤軍は想像通り、動揺が隠せないらしい。この場所は美濃でも重要拠点。いわゆる、のど元に刀を突き付けられた格好となった。これならば力攻めをせずとも徐々に内部から崩すことも可能となる。
「五右衛門、五右衛門ーー!!」
「良晴……その忍者、死んじゃったの?」
「俺をかばって……死んじまった」
「………そう。そいつのためにもわたしたちは天下をとらないとね」
見たことのある忍者が……あのかみかみの何言ってるかわからない良晴の懐刀ともいうべき存在の死。代償は意外にも大きかった。
「ふにゅう」
『ぎゃああああっっっっ!!!!』
「ご、五右衛門!?」
死んだと思われていたちびっこ忍者が良晴の腕の中で起き上がった。
「忍者は鎖帷子を着こむのが基本でしゅ。気絶はしたでしゅが」
「五右衛門~~!!」
「苦しいでごじゃる!! 離すで ー 」
生き返った ー というよりは、俺たちが勝手に死と決めつけてしまっていた。
「相良氏は欲張りでござるから、全ての実を拾うことは出来ないということをつたえておきたかったのでごじゃる」
こいつやあの
「犠牲は最小限で抑えられ、かつ墨俣に城を築けたこと、90点です」
「後は稲葉山城を落とすだけだな~今からでもひねりつぶすか!」
「六、落ち着きなさい。いくら斎藤義龍といってもあの城はマムシが丹精こめて作った要害堅固な城なのよ。生半可な犠牲じゃすまないわ」
「…どうする?」
時間もあまりかけられないはずだ。遅いと浅井長政との結婚が待ってるんだろ?
「出陣は2日後。そして1日で落とすわよ」
「この2日間の猶予は?」
「出来るだけ美濃の戦力を落としなさい」
「俺は竹中半兵衛を味方に引き込んでくるぞ」
このバカ、隠居したの知らないのか知ってか。
「そのついでに美濃三人衆も落としてくる。信奈たちは墨俣でゆっくり休んでてくれ」
「あんた…………そんなこと出来るわけ?」
「心配するな。任せろ!」
「わかったわ。今回の手柄に免じて、出奔の件は見逃してあげる」
「五右衛門、もう大丈夫なのか?」
「大丈夫でごじゃる」
「美濃の案内任せたよ」
「承知」
「良晴、今度は俺も行く」
特にこっちにいても何もないだろうが、俺は竹中半兵衛とやらに一目会ってみたい。
どのような知恵者なのか。
「川並衆の療養を頼んだ」
「無事で帰ってきなさいよ!」
「おう!!」
先の戦いで負傷した川並衆は、本陣に迎えられ手厚く治療を受けさせることに。
「さあ、行こう!」
「合点!」
お前が仕切るなよ、と言おうとしたがそれは無粋なのでやめた。
久しぶりに俺も働くかな。
墨俣一夜城、伝説か史実か。
そんな無粋なあらさがしはどうでもいい。
そこに魅力を感じればそれでよし。
この頃雄二が陰に隠れ始めたような気がするんだよな~
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