吉井明久の野望R   作:いくや

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 美濃颯Sideです。

 隠居した半兵衛に付き添っている颯。

 では、どうぞ♪




第22話 演技と再会と三顧の礼

 

 「半兵衛様、織田方の武将がやって参られましたが」

 「会ってはいかがか?」

 長亭軒城にやってきてからしばらく経つ竹中半兵衛とオレ。

 浅井からもしきりに士官の話が出ているが全て断っている。あくまで主君は斎藤家のみだったらしく、もはや隠居した今何もしないそうだ。

 

 「…また、ですか」

 「また…なのですか」

 オレが知る限り織田方の武将がやってきたのは初めてだ。

 

 「ちょうど颯さんが席を外している際に2度ほど」

 「2度も! 今回で3度目ということですか」

 「そうなります」

 「どのようなお方なので?」

 「会ったことありません」

 は? 3度目なのでは……?

 

 「居留守を使いました。卑怯だとは思いますが…それが一番手っ取り早いと思ったので」

 三顧の礼。史実の半兵衛は木下藤吉郎秀吉に、そして三国志の諸葛亮孔明も劉備にされたとされる、家臣を手に入れるための最高の方法。

 

 「今回ばかりは会ったほうがよろしいのでは?」

 「けほけほ…そのつもりです。相手方にも悪いので」

 「半兵衛ちゃんは隣の部屋で待っていたら? 最初はオレが応対するよ。そこでどのような人物か見極めたら? いじめそうでなかったら出てくるとか」

 元来、いじめられっ子性質が身に染みている上に、人見知り。初めての人と会うのはやはり気が引けるだろう。

 

 「お願いしてもよろしいでしょうか。くすん」

 「ああ、任せておくれ」

 長亭軒の世話人に通すように言うと、オレと半兵衛ちゃんはまず隣の部屋に入る。

 しばらくして足音が聞こえてきた。

 

 『半兵衛様、織田の武将が見えましたよ』

 隣の部屋から世話人の声が聞こえてきた。オレはそれを確認して、部屋に入る。

 半兵衛ちゃんはこの部屋で待機だ。

 

 「こほこほ…遅くなりました」

 病弱の半兵衛を装い、適当に客人をあしらう。つもりだったのだが。

 

 「お目通りが叶い光栄です。俺は織田方の相良良晴と申す!」

 そうはいかない事態が。まさかの良晴。これは想定外にもほどがあった。オレはそれを表情に出さずに次の策を思案する。

 このまま竹中半兵衛のまま通すか、旧友との再会に喜ぶか。

 

 「俺は坂本雄二。こいつの連れだ」

 度肝を抜かれた。野郎が2人。知り合いじゃすまないレベルのやつ2人。まだ平伏しているらしくオレのほうには気づいていないらしい。手を打つなら今か。

 

 「ごほっごほっ……少々待たれい。席を外す」

 2人が顔を上げないうちに急いで半兵衛ちゃんのいる部屋の方へ。

 

 

 「半兵衛ちゃん……」

 「どうかしました?」 

 「オレの知り合いだった」

 「そんな方がいらっしゃったんですね」

 地味にひどい言い方に聞こえるが半兵衛ちゃんに悪意はない。それにオレは未来から来たと言っていたのでそれがそう何人もいるとは思わないだろう。

 

 「悪い奴らじゃないんだ……だからオレが合図したら出てきてくれない?」

 「颯さんのお知り合いなら今すぐにでも」

 「いや、一芝居打つ」

 「そう、ですか……?」 

 こいつらオレを驚かせやがったから逆に驚かしてやろう。そう決意して2人の待つ部屋に入った。

 

 「失礼……竹中半兵衛です。お2方はどのようなご用件で参られた」

 「それは ー え?」

 「颯じゃねえか」

 「だよね、颯だよね!?」

 流石に顔までは忘れていないらしい。だが、今のオレは竹中半兵衛だ。

 

 「わたくしは竹中半兵衛と申したではないか」

 「何を言って ー 」

 「用件をお話にならないならわたくしは失礼させていただく」

 「ああちょっと待って待って、待ってください」

 良晴は面白いように慌てていた。雄二は最初に連れと言ったように本当に何もしない。

 

 「颯が竹中半兵衛だなんてびっくりした」

 「そこまでの智謀だとは思わなかったな良晴」

 「ああ、織田軍を壊滅寸前に追い込んだのがこいつだったなんて」

 「お前と同じで生まれ変わりとかではないか?」

 同じ? 生まれ変わり? 何を言ってんだ雄二のバカは。

 

 「颯、俺たちと一緒に織田軍に来ないか」

 「颯とはどなたのことで」

 「ああもういい! 竹中半兵衛殿、率直に言う。織田軍に仕えないか」

 「断る。わたくしはどなたにもお仕えせぬと。2度お訪ねなった時に人を介してお伝えしたはずですが」

 ここはオレがしたのではないからちょっと怖いけど、半兵衛ちゃんが言ってたし。

 

 「何度断られようが俺たちは舞い戻ってくる」

 「何故」

 「この日の本を平和にするため ー 」

 「わたくし見ての通り、病弱故、お仕えすることは出来かねます」

 「でもっ!」

 「良晴、そのくらいにしとけ。日を改めるぞ」

 流石は雄二。状況判断がいい。

 

 「わかった……あきらめない」 

 「仕えよとは言わんが、ちょいとばかし手を貸してほしい」

 「なんでしょう」

 「美濃を落とすにはどうすればよいと思う」

 つい先ほどまで美濃斎藤家の家臣だった男にそんな質問普通できるか。

 

 「墨俣にも城を築いたみたいだな。そのくらいの智謀があるならばあなたたちだけでも美濃を落とせる案は出来ているはず」

 「竹中半兵衛を味方に引き入れる」

 「お断りしたはずです」

 「美濃三人衆を味方に引き入れる」

 「いいのではないでしょうか」

 今の斎藤義龍が一番嫌うものの2つを見事についてきている。

 

 「わたくしはここを動くつもりはありません。わたくしの主は斎藤家ただ一つ」

 「なるほど。それならば次は美濃を落とした折にまたお伺いします」

 「ご随意に」

 「失礼する」

 雄二が良晴を引っ張って出ていった。

 本物の半兵衛ちゃん出すつもりだったけど……最後まで貫き通してしまったな。

 

 「よかったのですか」

 「あいつらオレを見抜いておったが、つい遊び心が」

 「でも、颯さんのお知り合いなら協力したほうがいいでしょうか」

 「それは半兵衛ちゃんが決めること。オレはあくまで竹中半兵衛は誰にも仕えないというのを忠実に再現しただけ。あいつらの言葉を聞いて気が変わったんなら次来たときに言えばいい」

 もっとも、このまま竹中半兵衛を野においておくわけがない。

 

 「颯さんはわたしがいなかったら織田家にお仕えするつもりでしたか?」

 「どうかな……仕えるってのは嫌だけど仲間がいるならその手伝いくらいはしたいね」

 「分かりました。考えておきます」 

 じっくり考えて結論出してくれよ。

 

 この世界にはオレだけじゃなく他のやつらも来ていることが分かった。

 それならばあの2人だけじゃなくまだまだいるってことだよな。

 早いうち全員集結したほうがいいよな。この乱世いつ流れ弾とかにあたって死ぬとも限らん。元の世界に戻れる鍵が全員揃うこととかなら、そうなってしまった場合後の祭りだからな。

 





 まさかの合流しない。

 何をやってるんだか(笑)

 三顧の礼にすら答えないって強情すぎるだろ!

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