尾張良晴Side。
半兵衛調略が失敗に終わった彼。
では、どうぞ♪
「あームカつく!! 絶対あれ颯だよな!!」
「落ち着けサル」
「お前に言われたくないゴリラ」
「なんだと?」
「やるか?」
「かかってこい」
やめておこう。1vs1のケンカでこいつに勝てるわけもない。
「美濃三人衆を切り崩しに行こう」
「その意気だ」
こいつに褒められるのはムカつくが、行くしかないだろ。
☆
「よくやったわサル!!」
「これで美濃攻めだ。美濃三人衆も稲葉山城下で反旗を翻すことになってる」
結論から言うと、案外簡単に寝返りの手引きは成功した。罠かとは思ったが、そんなこと心配している暇はない。斎藤家に終止符を打たねば。
もたもたしていると明日にはあのにっくき浅井長政がまたやってくる。それが約束だからな。今日中に美濃を落とせない場合は婚約、と。
「出陣の準備は出来てるわね!」
「はっ」
竹中半兵衛のことを聞かれなくてよかった。まだ口説いてないからな。
「全軍、出陣!!」
『おおぉぉーーー!!!』
墨俣城を出立し、稲葉山城に向かう。美濃三人衆を失ったとはいえ、腐っても斎藤家は要害堅固な城稲葉山城に立てこもってるわけだ。簡単に落とせるものではない。
「万千代、近江からやってくるであろう浅井長政を足止めするのよ!」
「承知しました」
「六は稲葉山城下 ー 井ノ口の街を焼き払いなさい」
「はっ」
民は殺しはしないが、城攻めではいたって普通のことだ。
「信奈、俺に搦め手を任せてくれ」
「搦め手? どこから攻め入るつもりなの」
「稲葉山城に隠された間道だ。じいさん、いまだに隠しているがあるんだろ?」
「ふぉっふぉっふぉ…忘れたわい」
この耄碌ジジイめ。てめえは前城主だろうが。
「俺が探す。無事成功したらこのひょうたんを振り回すから、その時全軍で攻め入る」
「…わかったわ。サルを信じましょう」
「……犬も連れていく」
「サルと犬、2人で頼んだわよ」
「ありがたい」
俺は急いで五右衛門以下川並衆を集め、犬千代と共に稲葉山城の間道を探すことに。
☆
「…ここは?」
何時間探しただろうか、もう陽は南を通り越していた。
疲れ果てながら探していると、一軒の山小屋を見つけた。
「……くんくん。人が住んでいる気配」
「お前は本当に犬並に鼻が利くな」
「良晴、行って来い」
「了解」
雄二の野郎、命令するばかりで自分が動きもしない。ま、信奈から頼りにされているのは俺だから仕方ないけど。
「あの~すいません~誰か住んでいるんですか~?」
扉の前に立ってちゃんとノックもして呼びかけてみる。
奥のほうで物音が聞こえた。確実に誰か住んでいる。
『はい…どちらさまでしょうか?』
徐々に大きくなる女の子の声、こちらに近づいているのだろう。
そして、扉が開いた。そこにいたのは中学生くらいの女の子。色白で華奢で髪が長く、はしゃぎまわるよりどちらかというと勉強が出来そうな子だ。
「俺、織田の相良良晴って言うんだけど」
「相良良晴!? あの墨俣城を作ったっていう」
「そんなことまで伝わってるんだ」
『仁王~どなたなの~』
また奥から声が聞こえてきた。今度は少し年が言った方の声だったから、お母さんなのかな。
「織田方の武将さん。相良良晴どの」
『ぼろ家だけど入ってもらいなさい』
「わかりました。相良どの、どうぞこちらへ」
「あ、ありがとう。雄二、犬千代ちゃんちょっと待っててね」
「さっさとケリつけてこいよ」
「……そんなに待てない」
2人の言葉を適当に流して家に入る。
ぼろ家とは言ったものの、俺の部屋よりかは十分に広い。
「お茶でもどうぞ」
「ありがとうございます。いただきます」
座ると同時にのど乾いていたので一気に飲み干す。
「剛毅な。どこの誰ともわからない人の茶を飲むとは。流石は織田の武将」
「はあ……」
「仁王、ご挨拶なさい」
「
「そりゃどうも」
なんかちょっと照れるな……
「早速だけど、稲葉山城の間道を探しているんだ知らないですか?」
「仁王、案内して差し上げなさい。今こそ父上の恩を返す時です」
「父上?」
「ええ。夫は織田信秀様にお仕えしており、可愛がられておりました。ですが、今川との戦いで戦死をしてしまい、幼かった仁王と共にここでひっそりと暮らしていたのです」
そんなことが……
「堀尾吉晴って言ったよね」
「はい」
「俺と一緒の”よしはる”だよ。自然とこの家に来るようになってたのかも」
「そうでしょうか」
「お母さん、明日にもこの美濃は織田家のものとなります。その際、この子を俺の家臣にしてはいけないでしょうか」
よしはる繋がりでとは言わないけど。これは何かの縁だからな。
「仁王、どうですか?」
「憧れの相良どののもとに行けるとは何とも嬉しい限りです」
「それはよかった! お母さんも是非来てくださいね」
「私はひっそりと」
「我が家に幼子の妹がいます。その面倒を見ていただけると助かります」
「まあ、なんと。私にそのような」
「お願いします」
「頭を下げられては困ります。こちらこそお願いいたします」
よし。これでいい。今から本題の稲葉山城の間道だ。
「早速、稲葉山城に」
「ウチは支度を済ませますので」
「わかった。外で待ってるよ」
「ご武運をお祈りします」
お母さんの言葉を胸に抱き、俺は外に出た。
「遅かったな」
「案内してくれるって」
「それはよかった」
「……案内人は?」
「準備してくるって」
既に出かける準備は出来ていたのか時間はそんなにかからなかった。
「相良どの ー 」
「その言い方堅苦しいよ。吉晴ちゃん」
「よ、良晴さん」
なんかおかしいけど、いっか。
「その子も”よしはる”って言うんだな」
「そう。思わず家臣にならないかって言ったよ」
「家臣が多いことに異論はないが……まあいい。今更だな」
「何が」
「(そりゃお前の周りの女子の多さだろ)何でもない」
雄二が何か言ってるが、そして犬千代ちゃんが何かを言いたそうな目でこちらを見るが両方をスルーして先導してくれる吉晴ちゃんについていく。
☆
「かかれー!!!」
「おおおおお!!!!」
吉晴ちゃんの先導のおかげで無事、稲葉山城に潜入することが出来た。しかも本丸付近。これはやるしかないだろ。
『何事じゃ?』
『敵襲。道三様がこしらえたとされる秘密の隠し道を通ってきました~!!』
『マムシの親父殿め~!!』
「斎藤義龍どの、お覚悟めされい!!」
川並衆の素早い行動により、斎藤義龍を捕まえることに成功した。
本来ならば、織田軍を入れるつもりだったがそんな余裕もなく……後で信奈に怒られるかもな。これでチャラということにしてほしいものだぜ。
「斎藤義龍、相良良晴が捕えたり~!!」
『な、なんだって!?』
「斎藤家の兵はおとなしく刀をひけ!」
こういう時に雄二の大声は役に立つ。無用な戦をしないのも武将として大切だ。
☆
「サル~!! 何勝手に城落としちゃってんのよ!」
「つい……でもいいだろ。義龍は捕えたぞ」
「ふん。それはそれ、これはこれよ!」
「理不尽な」
融通がきかない女だ。少しはまけろよ。
「やっと稲葉山を美濃をとれたのね……勝どきを上げるわよ」
えいえいおーを3回繰り返し、織田による美濃侵攻は終わりを告げた。
☆
「さて、この男をどうしたものかしら」
織田軍の主だった武将が稲葉山城本丸に介して、斎藤義龍の処遇を考えていた。
「信奈どの、この男斬るがいい」
「マムシ?」
「放てばたちまち信奈どのに牙を剥けるであろう」
「あっそ。この男をどこへでも放ちなさい」
信奈は、マムシのじじいが言ったことと正反対のことをしてのけた。
「何を言うておる! こやつは ー 」
「意見は聞いたけど、最終決定するのはわたし」
「織田信奈、貴様も甘いの。親父殿の言うとおりひとたび野に放てばたちまち牙を剥けるであろう」
「やれるもんならやってみなさいよ」
めっちゃ強気じゃねえか……殺すって言ったら俺が引き止めてたけど。
「ふん。その言葉後悔するがよい」
「早く、この場から立ち去りなさい」
斎藤義龍の姿が見えなくなった時、美濃のマムシ、道三が怒り出した。
「信奈どの、甘い。甘すぎる。そのようなことでは乱世は治められぬ。お主を見込んだわしがバカじゃったわ」
それだけ言うと、この席から立ってどこへともなく姿を消した。
「信奈……ちゃんと言ったほうがよかったんじゃないか?」
「何をかしら」
「それは……」
俺は言いよどんだが、隣にいた雄二が続きを言った。
「マムシが殺せと言って本当に殺したら、マムシは子殺しの汚名を着ることになる。あんたはそれをあのジジイに着せるのが嫌だったんだろ」
「そそそんなんじゃないわよ!!」
「美濃のマムシも衰えたものだ。少し考えればわかるってのに自分のことが絡むとてんでわかりゃしねえ」
相変わらず口が悪いが、こいつのおかげで俺や犬千代、勝家のような人にも信奈の真意がわかった。
「もうそれはいいの。次は……」
「浅井長政がやってきておりますよ姫様。うふ……」
長秀さんの黒い部分が初めて見えたような。妖艶というか……
「信奈殿! わたしと結婚するのはそんなにお嫌か!」
「長政殿落ち着きなさい。我が姫はお好きな方と結婚したい模様。諦めなさい」
「し、しかし我が浅井との同盟はどうなる!?」
「組んであげてもいいわよ~あんたが頼み込めば」
尾張一国だったときと大違い。今じゃ立場は逆転。美濃尾張の2国を持ってすれば近江なんてひねりつぶせるからな。それを分かってる長政も気が気でならない。
「同盟を組まねば父上になんとお伝えすれば ー 」
「そんなに組みたいなら考えなくもないわ」
「本当ですか!?」
「わたしの妹をあんたの嫁にやるわ」
「い、妹君ですか。まさか信奈殿に妹がおられたとは初耳ですな」
「そ、そう? ま、そういうことだからまた近江には連絡するわ」
「ありがたい」
長政はほっとした様子でこの広間から出ていった。
「姫様……」
「何よ」
「30点です」
「分かってるわよ」
信奈の結婚話が取り消しになったのに点数が低い?
「姫様、妹君はどちらに?」
「そんなのいないわ」
「じゃあどうすんだよ! それはあまりに長政が不憫だぞ!」
あの野郎とはいえ、流石にやりすぎ。
「そうね。どうしようかしら」
「姉上~この城は広い。道がわかりませぬぞ」
信奈の弟の、織田信勝改め、津田信澄が現れた。
「……ねえ、みんな、どう思う?」
「ふふっ……よいのでは。80点」
「万千代、すぐに支度に取り掛かりなさい」
「はっ」
信奈と長秀さんの間だけで会話が進んでいて、俺たちは一向にわからない。
「今日からこの城を岐阜城とするわ。城下町は岐阜の町」
何を突然……あ、そっか。そうだよな。ゲームのイベントでもあったぜ。
稲葉山城を岐阜城に、井ノ口の町を岐阜の町に。
「遅いわね…万千代」
たった10秒ほど前に信澄を連れて出ていっただけなのに、気が早いものだ。
☆
「まだぼーっとしてんのかよマムシ」
「なんだボウズか」
戦後の話し合いも終わって、城を探索していると道三を見つけた。
「信奈にも考えがあってのことだ」
「その決断が乱世では命とりなのよ」
「ほっとけ。そんなことは」
「わしは耄碌したのかの~信奈ちゃんを跡取りにすると言ったのは」
「マムシ、この稲葉山城のそして井ノ口の町の新しい名前を言ってみな」
ぎふの城、ぎふの町。
「それが信奈からの答えだ」
「の、信奈ちゃん……」
義父の城、義父の町。
あんた、信奈は最高の娘じゃねえか。
まさかのオリキャラ。
どんどん良晴や明久の周りを女の子で固めないと。
タグの意味がなくなる(汗)
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