吉井明久の野望R   作:いくや

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 新キャラSide。

 サブタイトルだけで分かる気がする?

 男の娘はもう1人いるぞ。

 では、どうぞ♪



第26話 将軍と逃亡と男の娘

 

 日当たりもよく風が心地よい…………

 ついつい布団から起き上がりベランダのようなところへ出てきてしもうた。

 ぼーっと景色を見渡すと時間の経過がゆっくり感じられていいのう。

 このような平穏な世界であればいいものじゃが。

 

 いかんせんこの世は乱世。

 この地に降り立った時にはどうなることじゃろうと思っておったが……

 Fクラスで鍛えた生命力の強さは想像以上にすごいものじゃ。

 

 学園長による実験のミスでこんな世界に飛ばされたのにも関わらずまだ生きておる。わしが生きているのじゃから明久や雄二はもちろんのことムッツリーニなども生きておるじゃろうの。姉上らが心配じゃ……

 

 「っとと……もうこのような時間かの」

 いつしか夜は明け日が昇り始めていた。

 いよいよ出立の時じゃが……十兵衛がいまだに帰って来ぬ。

 十兵衛とは明智十兵衛光秀。わしがこの世界にやってきたときにはじめてであった女子じゃ。空腹で耐えられそうに無かったがこの女子が助けてくれたゆえ、それ以降は付き従っておる。急ぐと言うておったのじゃが大丈夫じゃろうか。

 

 その十兵衛がこの城にて隠居しておった竹中半兵衛の部屋に向かったまま昨夜から帰って来ぬのじゃ……いささか心配じゃが、十兵衛なら大丈夫じゃろう。

 

 

 『秀吉~いくですよ~』

 噂をすればなんとやら。遠くから十兵衛の声が聞こえてきた。わしはすぐに出立の準備をし声のするほうへ向かう。

 

 「十兵衛よ、半兵衛とやらと話は出来たのじゃな」

 「有意義な話が出来たです!」

 「みたいじゃのう。テンションも高いようじゃし」

 「天試四?」

 そうじゃ。この世界で外来語は通じぬのであったの。うっかりじゃ。

 わしらは2人して、一晩お世話になった長亭軒城の廊下を歩き、城主にお礼を言うて城外へ出た。

 

 「何を待ってるのじゃ?」

 城の外に出たのはよいのじゃが一向に進む気配がない。急いでいると言うたは十兵衛じゃったが…それ以上に重要なことがあるようじゃ。

 

 「竹中半兵衛」

 「なんじゃと?」

 「半兵衛を織田に連れていくです」

 なんでも天才軍師とまで言われたご仁とかで、十兵衛が尊敬しておると言うておったの。

 その隠居なされたご仁を味方に引き入れておったというのじゃな。

 

 山から吹き下ろす風が強くなったその時に、十兵衛が待ちわびたと思われる人影が城内から出てきた。その数は2人。

 

 「出てきたです」

 「女子と男子みたいじゃが……」

 「小娘のほうが半兵衛です」 

 なんじゃと……? 十兵衛があれほど言うておったご仁は小娘じゃったと。なれば隣の男は何者じゃ? 付き人かの。

 秋のにおいがする風がしきりに吹く中、長亭軒を出てきた竹中半兵衛主従と思われる2人はわしらのもとにやってきた。

 

 「十兵衛さん」

 「半兵衛。いくですよ!」

 わしは半兵衛よりも隣の男が気になった。気になったのレベルで済む話ではあるまい。

 

 「…お主、よく見えぬが……颯かの?」

 「やはりオレの気のせいでなかったか……秀吉」

 なんとAクラスの佐々木颯がいたのじゃ! 彼は歴史に関しては学内1位の実力じゃから生き延びるのも当然というわけじゃな。

 

 「颯さん、お知り合いですか?」

 「ん? ああ。そうだ。前紹介した良晴や雄二と一緒だな」

 「あやつらもおるのかの」

 「今から会いに行く」

 なるほどのう。わしらは織田に向かう途中じゃったから、あやつらも織田におるのじゃな。

 4頭の馬は少しスピードを上げながらも騎手は会話を続ける。

 

 「秀吉、お前はどういう経緯で十兵衛ちゃんの元へ?」

 「うむ。迷子になっておったのじゃ」

 「秀吉は、飛騨方面から1人歩いてきて体調がすぐれなかった故、わたしが保護しました!」

 「なるほど」

 そう。飛騨という場所にまず降り立ち、美濃に行ったとされ(ここまでは十兵衛の推理)そのあとは、十兵衛が京に向かうのについていったのじゃ。

 

 「颯さん、あなたのお知り合いは何人いらっしゃるのでしょう」

 「秀吉、わたしも半兵衛と同じこと聞くです」

 わしはそんなこと気にしてもいなかったのう。あの場におったのが何人かも覚えておらぬ。ここは颯に任せるのじゃ。

 

 「さあな。織田に2人いるのは確実だ」

 こやつも確定じゃないのかの!? その衝撃と相成って危うく強風に乗って飛ばされるところじゃった。

 

 「急ぐですよ! 美濃稲葉山城もすぐです!」

 「あ、稲葉山城なんて城はもうないぞ」

 「正しくは岐阜城、ですね」

 「なんですかそれは!?」

 「わしらが京に行っておる間にずいぶんと変わったのう」

 十兵衛もわしもそんなことを感じさせる会話だった。

 その後、愚直なまでに馬を走らせ稲葉山改め岐阜の城が見えたのは日も西に傾きつつあるときだった。

 

 

   ☆

 

 

 「な、なにが起こってるんだ!?」

 「落ち着け良晴。まず信奈に話をさせろ」

 わしら4人が岐阜城の大広間に通されたのはよいのじゃが……

 颯の言うた通り、良晴と雄二がその場にはおった。他にも織田の家臣と見える武将が並んでおる。この世は姫武将が中心なのであろうな。

 

 「十兵衛よ。旅は済んだのかの?」

 懐かしき、十兵衛の元主の斎藤道三じゃな。マムシと呼ばれておったの。今は織田にて余生を過ごしておったのじゃな。

 

 「道三様。お久しゅうございます。京にて将軍足利義輝公にお仕えしておりました」

 「ほう。それはそれは」 

 「で、その将軍様の家臣がどうしてわたしの元へ?」

 「申し上げます。室町幕府13代将軍足利義輝公は ー 」

 十兵衛が京であった出来事を伝えようとしたとき。

 

 「松永久秀や三好三人衆らに暗殺されたんだな」

 良晴が横入りをした。

 

 「暗殺!?」

 「そうなの十兵衛!?」

 「いえ。違います。義輝公は健在におられます。妹君の義昭公共々御所を脱出なされ、若狭の敦賀より明へと渡りました」

 淡々と事実を述べる十兵衛じゃが、一方で良晴の顔は青ざめてくばかり。あやつは歴史オタクではなかったのかのう。

 失言をした良晴にこぞって責め立てる。

 

 「ふーんサルもあてにならないわね」 

 「おかしいな。俺の知っている歴史じゃそうだったはずなんだが」

 「思ったより早かったな」

 「雄二よ。何がじゃ?」

 「俺らが知っている歴史とこの世界で起こっていること微妙にずれが生じているんだ」

 ふむ。よくわからぬので放っておくとするかの。そういうのは雄二や姉上などの仕事じゃ。

 

 「ともかく…その話をわたしに伝えるってことは何かあるんでしょ」

 「はっ。織田家にてかくまわれておられる今川義元様を次期将軍にと思いましてまかり越しました」

 「ふ~んお歯黒将軍ね。わかったわ。わたしがそれを担いで京に入るのね」

 「仰せのとおり」 

 わしは説明されたところで何一つわからなかったのじゃが、この女子すごいのじゃ。Aクラス並の学力はあるのじゃろうの。

 

 「十兵衛、今後わたしに仕えなさい」

 「御意。もとよりそのつもり」

 「そっちの人は?」 

 「こちら竹中半兵衛殿にございます」

 「竹中半兵衛!? サル、あんた説得失敗したんじゃなかったの?」

 「成功しているからこの場にいるんじゃないのか?」

 「た、竹中半兵衛にございます」

 「サルあんた男って言ってなかったっけ?」

 「き、気のせいだろ」

 どうやらこの良晴は織田信奈にサルと呼ばれておるようじゃの。えらく気に入ってもらっておるようじゃし。

 なんとも心地よい風じゃ。わしには彼らの話の内容がさっぱりわからぬ。この気持ちの良い風を浴び続けたいのう。

 

 「竹中半兵衛がわたしのものになれば天下も取れるわね! わたしのもとで ー 」

 「信奈ちゃん、ここはわしのもとじゃろう」

 「この六めにお申し付けくださいませ」

 「ひぃっ………」

 「こらお前ら。半兵衛ちゃんが怖がってるだろ。落ち着けよ」

 ここの人たちはFクラス並みに会話が乱立することもわかったのじゃ。

 

 「颯、どういうつもりだ?」

 「どうもこうもない」

 「………信奈。彼女らを俺のもとに」

 「何調子に乗ってるわけ?」

 「い~や調子には乗ってない。いたって真面目な回答だ!」

 なにやら眠いのじゃ。ほどよい気温で心地よくての。夏も過ぎ、秋になっていくこの時期もまた格別じゃ。

 

 「…………わかったわ。サル、あんたの美濃攻めの功績に免じて許しましょう。ただし、十兵衛だけはわたしの直臣よ。わかったわね」

 「くっ……仕方ない」

 「失礼ですが、相良良晴どのですか?」

 「ん? あ、ああ……」

 「墨俣一夜城や稲葉山城陥としに絶大な貢献をしたあの良晴どのでしたか。お会いできて光栄ですぞ!」

 「あ、ありがとう。明智光秀ともあろう人から褒められて嬉しいよ」

 「先輩、とお呼びいたします。先輩。同じ織田家臣としてよろしくお願いしますです」

 「お、おお十兵衛ちゃん」

 良晴はこんなに女子の扱いが上手であったかのう。初対面の女子にちゃん付けで呼ぶなどあの奥手な良晴からすれば考えられぬのじゃが。歴史がからむとまた違うのかのう。

 

 「って、あんた竹千代の元にいたんじゃなかったの? 十兵衛のもとにいるなんて」

 「わ、わしかの?」

 どうみてもわしのほうに向かって話しかけてきたのじゃ。ケンカ腰に。

 

 「信奈。そいつは違うぞ。瓜二つの別人だ」

 「わしは木下秀吉じゃ」

 「あっちにいるのはこいつの双子の姉だ。そっくりだから見わけもつかねえだろうが」

 姉上もこちらの世界にいるのじゃな。雄二も居場所を知っておるようじゃしの。

 

 「で、そっちは?」

 「オレか? 佐々木颯。竹中半兵衛の付き人だ」

 「良晴、あんたの知り合いでしょ。新しい人来たわね」

 「そ、そうだな。で、この後どうするんだっけか?」

 なにやらわしらの来る前に話し合いが決められていたようじゃ。

 

 「俺は約束通り松平の元へ帰るぞ。ただ、この2人は知らんな」

 「2人も連れて竹千代の元行くわけじゃないわけ?」

 「オレは半兵衛と共に」

 状況がつかめぬのじゃ。何を話しておる。

 

 「秀吉は俺が連れていく。織田は人員豊富だろ。半兵衛も十兵衛も入って」 

 「そうね。竹千代によろしく伝えておいてちょうだい」

 「承知した」

 「半兵衛、良晴のもとね。良晴を助けなさいよ。くっつきすぎるのもダメ。颯だかなんだか知らないけどきっちり見張ってなさいよ」

 「了解」

 ふむ。わしが今日感じたことを述べるとするかの。こやつら頭が良すぎて話についていけぬのじゃ。

 

 「万千代、そういえばあれの準備出来てる?」

 「はい。いつでも」 

 「今日、長政に使いを送るわよ。お市と共に」

 「承知しました」

 「よくわからんが……妹いなかったのではなかったか?」

 「何言ってるのサル。いたわよ。お市。あんたが言ったじゃない」

 「お市様の登場にございます」

 「って、お前は信澄!?」

 「何言ってんの? 彼女はお市。わたしの妹よ」

 「ひでえ……弟を変装させて嫁がせるとか……でもそこらの女より普通に可愛いという」

 「あんたまさかそっちの ー 」

 「ないからないから!! いいから嫁がせろ!!」

 「ひどいよサルくん!!」

 わしの胸も痛むのじゃ……あやつ男じゃったか。あまりの美しさに女子かと思うておったのじゃが……わしも同じようなものなのかの。

 

 

  





 まあ、ひねりもなく木下秀吉Sideだったわけですけども。
 もう1人の男の娘は姉の強引な手段によって政略結婚へと……

 これでようやく織田が上洛する準備が整った。
 織田信奈を主とし、柴田勝家・丹羽長秀の両重臣に、前田犬千代や相良良晴、明智十兵衛光秀に竹中半兵衛重治といった新参の家臣が控える。

 未来人はこれで何人目かな。
 明久・雄二・優子・康太・秀吉・颯・良晴……7人か。
 後は、姫路・島田・清水・霧島・愛子・久保の6人。
 次は誰が出てくるのやら。

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