吉井明久の野望R   作:いくや

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 明久Side。

 動き回る明久は、今度は美濃に向かっていた。

 では、どうぞ♪



第27話 上洛と防衛とご褒美

 

 風が涼しくなってきたというのに汗が止まんない。

 あのたぬき娘、人をこき使うのが得意だよ。この前相模まで命懸けで行ったかと思うと、もう美濃に向かってるんだもん。周りが田畑や山ばかりで風景として変化がないからつまらないし……心地いいんだけどね。 

 そんな道中、優子さんやムッツリーニと話をするものの話が尽きる。相も変わらず両隣の2人はポーカーフェースで馬に乗って進むだけだし。僕だけいろいろしてて変みたいじゃないか。

 

 

   ☆

 

 

 「信奈様、松平元康様よりご使者が」

 「竹千代から? 通していいわよ」

 ようやく美濃について、さっさと用件を終わらせるべく稲葉山城改め岐阜城に入った。

 簡単に通され、大広間に向かうとそこには前回見た時の家臣に加えて増えていた。

 

 「颯に秀吉!? 仲間が増えてる~流石雄二!」

 「明久に木下さんにムッツリーニも無事だったか」

 「流石じゃのう」

 「俺の尽力を忘れるな」

 「良晴? あ、そういえば……こっちはムッツリーニが増えたよ!」

 「大事な戦力だな」

 「よくもまあどんどん仲間が増えていくこと。あんたたち何人仲間がいるのよ」

 さあ? あの場にいた人間だったならざっと10人は超えていたよね。そんなことを思ってると、隣の優子さんから早く用を伝えなさいとの指示が来たので話を進める。

 

 「えーっと、早速本題ですが……」

 「さっさと伝えなさい。忙しいのよ」

 「我が松平は相模の北条と手を結び、駿河に侵攻してきた甲斐の武田信玄を牽制します」

 「勝手に何やってくれてんのよ……わたしたち織田も武田と戦わなければならないじゃない」

 そんなこと言われてもいつ攻めてくるかわからない相手に対策を練るのが当然だよね。後は優子さん頼む!

 

 「それに加え、松平と北条は上杉とも手を組むことに決め、武田包囲網を完成させる所存です」

 「ずいぶんと大がかりなことをやってくれたわね」

 「上杉の返答はまだですが、おそらく乗ってくるかと」

 「武田が大きくなるのを黙って手をこまねいて見てるわけないでしょうね」

 問題は、いつこの内密に交わした協定が武田にバレるかだよね。バレたらソッコー一番弱い松平を狙うのは当たりまえだから、その前にしっかりと固めておかないと。

 

 「言っておくけど、織田は武田と同盟を組んでるのよ」

 優子さんと僕は凍り付いた。ここにきて予想だにしない出来事が。おろおろする僕に優子さんが何とか収めようとするも、優子さん本人も動揺しているのがわかる。

 

 「その事実を知ったら北条と上杉はどう思うか……」

 「知らないわよ。あんたたちが勝手にしたことでしょ」

 「姫様、その言い方は20点です」

 「なんだなんだ~なにやら大変そうだな」

 「…おなかすいた」

 ものすごくマイペースな織田家臣団。自分たちにあまり関係ないからって……

 

 「織田がさっさと上洛することだな」

 「それを知ったら武田は自ら同盟を切るだろう」

 「そうなったときようやく武田包囲網が動き出す時」

 良晴、雄二、颯が次々と言葉を述べる。

 

 「颯さんたちの言うとおりかもしれません。ここは一刻も早く上洛をし、武田に時間を与えないようにしましょう」 

 「半兵衛の言う通りです! 信奈様、南近江の六角など相手にもなりませんです。すぐにでも出立を!」

 お初にお目にかかる2人。新たに織田軍に加わった2人なんだろうなあ。こちらの世界の主戦力はやっぱり姫武将なんだなあと思ってしまう。

 

 「わかったわ! 六、万千代準備よ!」 

 「承知!」

 「了解しました」

 「十兵衛、あんた上洛戦の時はわたしたち本隊についてなさい」

 「御意です」

 「良晴、あんたは半兵衛の言を取り入れ、しっかりとついてきなさい」

 「わかったぜ!」

 「あんたたちは竹千代の元に帰って、守りを固めておきなさい」

 いざとなった時に行動が早いな織田軍は。慌ただしく動き出したね。僕たちはそろそろ邪魔にならないうちに帰ろうか。

 

 「明久。俺と秀吉もそっちに帰るところだった。織田はもう心配いらないだろう。明智光秀に竹中半兵衛も加わったことだし。念のため颯もおいていく」

 「明智光秀に竹中半兵衛!?」

 「ああ。あの2人だ」 

 新参者2人はとてつもなく高スペックじゃないか!! 良晴はしかも半兵衛を家臣にしてるんだよね。すごすぎるよ!!

 

 「万千代! お市を忘れないようにしなさいよ!」

 「もちろんです。浅井長政との同盟に欠かせませんもの」

 「お市か~さぞかし美少女なんだろうなあ」

 「明久……お前というやつは」

 「何というかのう。残念じゃの」

 「………天下一の美少女じゃないのか」

 「知らぬが仏ということもある」

 何が言いたいんだこの雄二と秀吉は。少しくらいみたいと思うのは当然だよ。後世にまで伝わる、戦国時代1の美少女なんだからね。

 

 「明久くん。早く帰りましょう」

 「っ!? わ、わかった優子さん」

 久しぶりにみた黒のオーラ。何でそんなに怖い表情をするんだよ~

 

 「ほう。明久よ。お主もなかなか隅におけぬのう」

 「どういう意味?」

 「姉上もじゃ」

 「ひ・で・よ・し?」

 「何でもないのじゃ」

 うん。やはり優子さんは闇落ちするんじゃないのかと思う。全力で止めないと。

 

 

   ☆

 

 

 「なあ、考えが1つあるんだがいいか?」

 美濃から尾張そして三河・遠江と向かう道中、ふと雄二がつぶやいた。

 突然だったけど、雄二の考えを聞いてみるのも悪くはない。この涼しい風にあたりながらね。

 

 「今後、さらにハードになるだろう。そこでだ」

 「何をするつもり?」

 「秀吉の存在をあのたぬき娘には伝えない」

 「意味が分からないんだけど」

 さっぱりもって話の先が見えない。秀吉がいないってことにしてもハードさは変わらないと思うんだけどな。

 

 「秀吉は、これからずっと木下の影武者としていてもらう」

 「「「影武者!?」」」 

 なんかすごい発想だね。いまだにどっちがどっちか見分けつかないくらいだからバレる心配はしないけど。

 

 「あのたぬき娘も木下のことは結構買ってる。それならばいつか明久とは別に軍を指揮することがあるかもしれん。だが、明久から木下をとると明久の軍は壊滅的になるだろう。だから、明久には木下が今後とも補佐をし、秀吉は木下の代わりとして一軍を率い、俺が補佐をする。すると効率がよくなることわかるだろ。俺と木下が一緒の場所にいても無駄だ。簡単に言うと1×1=1だろ。ただ、1+1=2だ。意味わかるか?」

 

 「坂本君、考え自体はすごくいいと思うわ。でも、戦争の時、アタシの軍に行くとアタシがいて、明久君の軍にいてもアタシがいるっておかしくはないかしら?」

 「そんなもんどうにでもなる。使い番に事情を知っているムッツリーニを使えばいいだけだ」

 「なるほどね。じゃあ松平の軍議は前と同じようにアタシたち3人が出ればいいのね?」

 「そういうことだ。秀吉という存在はいないのだからな。ムッツリーニには軍議は不要だろう」

 だから、2人の悪い癖。いつも僕とかを置いて話を進めないで。まったく……秀吉やムッツリーニに関しては考えるのを放棄して、馬を走らせながら景色を楽しんでるじゃないか。

 

 「わかったわ。秀吉」

 「……なんじゃ?」

 「アタシになりなさい。しくじったら承知しないわよ」

 「わ、わかったのじゃ」

 なにを怯えているのだろう。こっちから見る限りあのオーラは出てないけど。

 

 「ムッツリーニは俺たちの伝言係。よく偵察とかに出させるだろう」

 「………………得意分野」

 「明久。お前はいつも通りにしておけ」

 「なにその期待は全くしてませんみたいな」

 「期待? なにそれオイシイの?」

 いつかぶっ殺す。この赤ゴリラ。今に見ていろ。

 

 「というわけだから、遠江の浜松だっけか今の本城は?」

 「そう」

 「そこについたら秀吉とムッツリーニは身を潜めてもらう。俺たち3人で報告に行く」

 『了解!』

 僕たちは遠江に入るまで世間話をしたりぼーっと景色を眺めたりしながら馬を走らせるのだった。

 

 

 

   ☆

 

 「あ、お帰りなさいです~」

 浜松城に帰ると、今度は主だった家臣が全員そろってた。

 

 「織田は今川義元を担いで上洛を開始した。松平はしっかりと足場を固めて武田が侵攻してくるのを防ぐように、とのことだ」

 「わかったです~お疲れ様でした~」

 「姫様、何か褒美を」

 「わたしたちが領内を固めてる間、見事仕事を果たしました」

 「明久様に、何か」

 え? ええっ? 僕にご褒美? くれるの? もらえるの!? 嬉しい~!!

 

 「明久さんには~どうしましょう~井伊谷周辺の領地を少し増やしましょう~後は、家臣も分けないと行動出来ませんからね~みなさんの家臣を少しずつ分け与えてください~」

 「分かりました。それぞれ20人ずつですね」

 「これで明久さんも200人の侍大将に」

 「あ、ありがとうございます!」

 何がなんだかわからないけど。今の僕の家臣と言えるのが、100人井伊谷にいるから、100人増えたんだね。

 

 「わたしの直属の家臣から20名、忠次さんから20名、忠勝さんから20名、康政さんから20名、元忠さんから20名です。今後ともお願いします~」

 すげえ。まだ戦争に出てもないのにこの加増っぷりは。

 

 「疲れたでしょう~休んでてください。一時招集しませんので~」

 それは本当に助かる。ゆっくりという時間を忘れたような感じがするからさ。

 僕たちはその声と同時に下がらせてもらうことに。井伊谷に帰るときには後ろから100名の武士が。なんかすげー。すげーとしかいいようがないね。

 

 「調子に乗らないようにしなさいよ」

 「どのみち、この100人はお前の直属じゃなくなるから」

 「ええっ!?」

 「言ったろ。軍を2分するって。ちょうどいい機会じゃないか」

 くっ……せっかくのご褒美が。いいもんね~僕には井伊谷の優しい人たちがついてるもん!

 

 

 





 個人的にようやく一区切りがついたかなと思う今話。
 次話からせっかくゆっくりしたいですね~
 でも、多分織田方と松平方で1話ずつ交代していくでしょう。

 織田は上洛戦で忙しい。
 松平は休息をとりましょう。

 みなさんにはこの差を楽しんでもらいたいです。

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