吉井明久の野望R   作:いくや

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 お久しぶりです。←約40日ぶりの更新。

 今話は、久しぶりの颯Sideで。
 てか一時舞台を移しましょうか。

 では、どうぞ!!




第29話 龍脈と侵入と文武両道

 昼と夜の温度差が大きくなってきた。

 吹く風は秋を知らせてくれる。清水の舞台から月を見ながら物思いにふけるオレ。

 らしくねえ。

 

 織田は美濃を制圧するとすぐさま上洛を始めた。

 主:半兵衛は病身を押してまで平和な世の中をつくるお手伝いをすると決め、織田信奈に従っている。当然オレもそれに従う。

 北近江の浅井長政と同盟を組み、南近江の六角をあっという間に滅ぼし将軍候補今川義元を担いで京に入った。いつの世の中でも、上洛すると目的を果たしたとばかりに乱暴狼藉を働くものだが、織田信奈だけは違った。規律を守らせ内部崩壊をさせない強い意志。まさしく天下を治める器なのかもしれない。

 信奈は武田が気になるからと主力を引き連れ一度岐阜へと戻った。オレは半兵衛ちゃんと共に友人の相良良晴の与力となっており、その良晴が新参の明智十兵衛光秀と共に京を守護することになったので京にいる。

 

 「半兵衛ちゃん、体の調子はどうなんだ?」

 「はい、だいぶ良くなりました。晴明神社で龍脈から力を分け与えてもらいました」

 兵法家にして陰陽師。なるほどこれはチートだ。ただ、寿命がおそらく短い。パッと見でもわかるくらいの病弱さ。無理をさせるわけにはいかない。その無理はオレがいつでも引き受けるつもりだ。

 

 「おい颯!! 半兵衛ちゃん!!」

 「どうしたそんなに大声を出して」

 ドタバタとうるさい足音を立てながら、ゆったりしていたオレたちの空間に割り込んでくる良晴。騒がしいのはいつものことだから心配はいらないと思っていたが、隣にはちびっこ忍者の蜂須賀五右衛門が。彼女はおそらく史実でいう蜂須賀小六に当たるような人物だから将来的に家老レベルになるんだろうが……想像もつかない。

 とまあ、それはいいとして。他にも美濃で仲間にした同じ名前の堀尾吉晴も後ろに付き従い、そのまた後ろからねね(良晴の妹らしい)も小さい歩幅で走ってきていた。

 

 「落ち着いて聞け、いいか」

 「まずはお前が落ち着け」

 大きく肩で息を整え、いざしゃべろうとした頃にねねも追いつき、相良軍団での話が始まる。

 

 「この京都に乱入者が!」

 「ほう。相手は三好だな」

 「流石。松永久秀も含まれているそうだ。五右衛門ちゃんが直々に情報つかんだから間違いはねえ」

 なるほど。確かに慌てるのも無理はない。この京都に残っている織田軍団と言えば、相良軍団と新参の明智軍団しか残っていない。

 

 「颯さん、よくわかりましたね」

 「信奈が岐阜に帰ってから何も行動を起こさない近畿のやつら何て警戒するだけ無駄」

 「そうですね。早速対策を練らないと」

 「良晴、既に岐阜と小谷には援軍要請を送ったか?」

 「もちろんだ」

 岐阜というのは織田の総大将信奈のこと、小谷というのは同盟国浅井長政の本城。つまりオレたちの判断としては独力でこの京都を守るのは厳しいということだ。

 

 「おーっほっほっほ。何をみなさん慌てておいでです」

 「義元ちゃん!?」

 そう、運悪くも? この京都清水寺には15代将軍となった今川義元も控えていたのだ。オレらは京都のダメージを最小限に抑えたうえで、この将軍を守り抜かねばならない。

 

 「話は聞きましたです。とりあえずはわたしたちだけで何とかするしかないですよ先輩」

 きんかんの髪飾りが目につく長髪美人、明智十兵衛光秀。今日は将軍のお相手をしてもらっていた。

 

 「よし。3日だ。時間稼ぎをしよう」

 「この清水を中心として、御所も守らなければなりません」

 「御所、ね。あそこにいる近衛前久(このえさきひさ)が胡散臭い」

 「敵にまわっているとでも?」

 「だから、おそらく敵は御所には攻めてこねえ」

 「そうはいっても御所に兵を送らないわけには……」 

 半兵衛ちゃんの言うとおりだ。御所を戦地にするわけにはいかない、かといって清水寺も戦地にするのは忍びないが、今から場所を移している暇はない。

 

 「御所には気持ちばかりの兵を送り込もう」

 「それがいい。後は……」

 「野戦でうまくあしらい、この清水に誘いこむってのがよさそうだな」

 「そんなことお前に出来るとは思えねえぞ良晴」

 「うるせ。十兵衛ちゃん、頼まれてくれるかな」

 「わかりました。三好をひきつけ、適度に戦っては退き戦っては退きとこの清水まで迎え入れるのですね」

 おそらく心配はいらない。織田信奈並のチート能力者のはずだ。半兵衛ちゃんとは違って、自身でも戦える。剣は鹿島新当流免許皆伝、鉄砲は百発百中の腕、という。そういった戦の駆け引きもたやすいもんだろう。

 

 「五右衛門、引き続き三好の動向を頼む!」

 「承知したでごじゃる!!」

 「ねねは危ないから義元ちゃんのお話し相手でもよろしくね」

 「お手の物です!」

 次々と命を下す良晴の姿をみて少しほっとした。共に働くのはこれが初めてだから少しは心配していたが、オレが口出しするまではなかったな。

 

 「私はどうすればいいですか!」

 堀尾吉晴。どれほどの実力をもつのか未知数。

 

 「先輩、その子借りていいですか?」

 「どうするの?」

 「私の知己に援軍を頼みたいのです」

 「誰?」

 「細川藤孝です。私の歌仲間とでもいいましょうか」

 出た。文武両道さん。史実では牛を素手で倒したとも言われる一方当代一の歌人だったとも言われている。さて、こちらの世界ではどうなっている?

 

 「今はどこにいるの」

 「勝竜寺城ですが、おそらく手勢が少ないのでどこかに場所を移して三好の攻撃を真正面から受けようとはしていないはずです。私のもとに合流できれば」

 「わかった! 頼まれてくれるかな」

 「もちろんです。その細川藤孝さんを光秀さんのもとへお連れすればよいのですね」

 金華山のような峻険な山で鍛えられた足が役に立つのではないか。適任だと思う。ただ一つ、京の地理に暗いというのが難点。案内人が誰かいる。

 

 「さあみんな、ぐずぐずしている暇はない! それぞれ持ち場に!!」

 「「「わかりました!!!!」」」

 こちらの世界に来て最大の危機かな。史実でいう本圀寺の変に当たるんだろうけど。

 援軍が来るまでの辛抱だ!! みんなそれを信じて自分の仕事を果たしにいった。

 

 

 

 





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