吉井明久の野望R   作:いくや

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 続きまして、今話も颯Side。

 京で留守を任されている数少ない織田勢は、主力が美濃からやってくるまで時間を稼ごうとしているところである。
 だが、そんな彼らの前には強敵が立ちはだかる。
 三大梟雄の1人にも数えられる、あの人物だ。

 では、どうぞ♪




第30話 梟雄と防衛と清水寺攻防戦

 

 「先輩、そろそろ限界です!!」

 「十兵衛ちゃんよくやってくれた!!」

 着ているものもボロボロになって帰ってきた十兵衛ちゃん。隣にいるこの美人さんはおそらく細川藤孝であろう。しっかりと合流して戦ってくれたんだ。

 

 「ふう……今からは相良軍団の戦いですね」

 良晴の隣に少しばかり傷を負った堀尾吉晴もやってきた。

 

 「ああ、そうだな。吉晴ちゃんありがと。しっかり役目果たしてくれたんだな」

 「い、いえ……そんなことは!! 当然のことをしたまで」

 「難しい役回りだったが……後は休んでてくれ」 

 「そんな! 私も相良軍団の一員。戦わせてください!!」

 「十兵衛ちゃん、休んでてくれ。義元ちゃんの身の回りを頼む。吉晴ちゃんは相良軍団を代表して十兵衛ちゃんのお手伝いを頼む」

 「あ……ずるいです。そんなこと言われたら断れないじゃないですか……」

 頬をぷくっと膨らませてむくれる堀尾吉晴。ちょっとばっかり可愛いと思ったけど、すぐに決意の表情へと変わっていった。十兵衛ちゃんもしぶしぶ納得といった形で良晴の言を受け入れた。

 

 「さて、颯。半兵衛ちゃん」

 「おう。防衛戦なら負けるわけにはいかねえ」

 オレは文月学園で使っていた召喚獣での戦いももっぱら守備に専念するタイプだった。なんか知らねえけど、こっちから攻撃するより攻撃した相手をいなしてやっつけるほうが性に合っているんだよな。ボクサーでいうとカウンター狙い?

 

 「陣を構築します」

 京都一面にめぐっている龍脈の力を利用して半兵衛ちゃんが陰陽術を用いる。

 

 

 「三好三人衆・松永久秀現れました。その数我が軍の5倍!!」

 「5倍だとさ。負け戦だな」

 「ははっ。こういう時こそ逆に燃えるんじゃねえか?」

 5倍の相手に野戦で戦っていた十兵衛のすごさが伝わってきた。

 

 『攻めかかれ~!!』

 何やら騒がしくなってきたな。もう乱入してきたのかよ。落ち着きのないやつらだ。オレらも何か武器を取らねばならんだろうな。拳か。その手もある。ともかく、この一番上までたどり着くのに時間を稼がないとな。十兵衛が野戦でやってのけたことをオレらはこの狭い範囲でやる。難易度としては下がる、少数のほうがやりやすいからな。後は……オレの戦争経験がカギを握る、か。

 

 「半兵衛ちゃん。ここで良晴と共に待機だ。オレは時間を稼いでくる」

 「颯さん!?」

 「大丈夫だ。心配いらねえ。このままだとそのまま飲み込まれてしまう」

 「…分かりました。あの美濃で見せた私の影武者の時の颯さんの決断力、素晴らしいものでした。けほ……今でもそれは残っているはずですから」

 言いたいことはわかったよ。死ぬな、ということだな。心配しすぎだ。そう簡単に死ぬようなタマじゃねえよ。それに半兵衛ちゃんを残して先にそんなこと出来るかよ。オレがいなかったら自分の病気を顧みずにほいほい飛び出すなんてすぐに死んじまうぞ。

 

 「皆の者、踏ん張り時ぞ!! 相手を追い返した暁には織田の姫様からたんまり恩賞をいただこうではないか~!!!」

 『『おおぉぉおおおぉぉ---!!!!』』』

 野郎共の士気が上がった。これでしばらくはやれる。さあ、戦だ。オレも前線に立って仕事をしないとな。

 

 

 「颯どの! こちらは危のう ー 」

 下に向かおうとするものの、竹中軍団の顔を見知っている人が止めに入る。でも。

 

 「心配するな。お前らは半兵衛ちゃんを頼む」

 「はっ!! ご武運を!」

 オレもいつの間にか竹中家の一員になっていたんだな。感慨深い。なおさら死ねねえ。下で戦っている男たちもあまり死なせるわけにはいかねえな。

 

 急いで向かう。三好三人衆や松永久秀と戦ってるであろう、戦地へ。

 

 

 

 「何故このような最前線へ!?」

 一番下まで行くと戦いながらもこのような声が聞こえてきた。

 

 

 「お前ら、織田の姫様の援軍は近いそうだ!! やつらを追い払うぞ!!」

 『『『おおおおおぉおぉぉぉぉーーーーー!!!!』』』

 「京を襲う不埒な輩、成敗してくれようぞ!!」

 思いっきり中二病発言じゃねえか? ただ、そんなことを言わないといけないような感じがしたんだよ。うん。オレは誰に言い訳しているんだろうか。

 冷静に分析している暇はねえよ。迫ってくる敵を追い払う。なかなか難しい。なんといっても5倍だ。ここの局地戦だけでいうともっと差は広がっているだろう。

 ただ、やつらはここからしか攻めあがってくることは出来ない。この一点を破られれば、すなわち敵は本陣まで続く。ここを何としてもしのがねば。

 

 

 

 

 「てめえら一旦ひくぞ!!」

 相手が少し疲れ、攻撃の手が緩んだ瞬間を狙った。

 今がチャンス。退いて人を入れ替える。ずっと戦い続けるのは難しいからな。

 

 『おい、お前ら追え~!!』

 少ししてから追ってくるものの、相手の最前線はずっと戦い続けているやつら。そんなやつらに新戦力の攻撃が耐えられるかな。充分にひきつけ、今まで戦っていたやつを後ろにまわし待機していたやつらを最前線へ送り込んだ、局地戦その2。

 

 「かかれ~!! 敵は疲れている。追い立てろ!!」

 オレの号令一つで突っ込んでいく。オレも弓で遠距離支援。敵が近づいてきたら近距離戦に変更。剣をふるう。

 それを何回繰り返しただろうか。いくら戦力を入れ替えているとはいえ、相手のほうが絶対的な数が上。相手は屍の上を乗り越えどんどんやってくる。らちが明かない。こちらはというと、入れ替わりしていたのはいいがその時間も短くなりやがて犠牲者もたくさん出てきて、全員が一気に戦わねばならないことに。

 

 「はあっ……はあはあはあ……」

 「みなさん、敵は疲れ果ててます。まずはあの大将から狙いましょう」

 「おおおおおおおおお!!!!」

 まずい。大将ってどうみてもオレじゃん。流石にやばい。

 

 

 「お前ら、本陣まで全員戻れ!! しんがりはオレがやる。良晴に伝えろ。援軍は不要。迫ってくるやつらへの対策を怠るな、と」

 「は、颯様!?」

 「いいから早く!!」

 そういいながら3人の男を1つの剣で器用に止める。あぶねえ。殺されるところだった。

 安心する間もなく次の攻撃が。オレはもう他の野郎に構ってる暇はねえ。ここが踏ん張りどころだ。

 

 「ふふっ。若い男っていいわね。みんな下がりなさい。私が相手するわ」

 「久秀様……」

 「久秀、だと?」

 松永弾正久秀。やはりこいつも女だったか。半兵衛ちゃんやら五右衛門と違って女の子、ではなく、かといって信奈や吉晴のように女子中高生というわけでもない。丹羽長秀や柴田勝家のような若いお姉さんでもない。その上。ぜってー戦場馴れしてやがる。言っておくがおばさんという意味でもない。

 

 「そう頑張る男の子、私大好きなの。殺したくなるくらい!」

 そういうと刹那、槍を繰り出してきた。オレは一歩後れを取り避けるのに失敗し、傷を負ってしまった。

 

 「ふっ……槍か。リーチの長さが違いすぎる」

 あの間合いを見抜き、相手が繰り出したところを避け、瞬間迫り攻撃するしかない。

 

 「戦場に出てるならいくら女とはいえ容赦はしねえぞ」

 「当然ですわ。そのようなこと」

 ちっ。攪乱作戦失敗。だが、時間稼ぎにはなっているはずだ。

 

 「良晴はバカに優しいから女の子だったら見境なく助けるだろうがな~」

 「戦地は命のやりとり。そのような甘いこと」

 「同感さ。問題はそこじゃねえ!!」

 オレは気合一発いれ、次の久秀の攻撃に備えた……

 その瞬間、オレは思ってもみなかった事態に遭遇してしまう。

 

 





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