颯Side。
織田の象徴とでもいえる信奈が狙撃された。
この凶報に続き、もう一つの最悪の報せが織田軍にもたらされたのであった。
では、どうぞ♪
「良晴が……良晴が死んだ。…よ~し~~は~~~~る!!!」
「姫様!?」
「落ち着いてください姫様!!」
「…良晴が死んだ?」
「さきほど物見から報告が入りましたわ。朝倉の陰陽師と対峙して窮地に追い込まれた時に、隣にいた服部半蔵が良晴を木端微塵にしたというらしいですわ…」
なんということだ。あの良晴が死んだだと? 逃げのヨシとかあだ名つけられていたあいつがとうとう逃げきれなくなって護衛と共に死んだとか嘘だろおい。
「半蔵は一体なにをやっていたのですか~護衛の意味がないです~」
自分の直属の部下を責める元康。
「もう一度出陣よ。良晴の弔い合戦。いくわよ!!」
誰一人として有無を言わせない迫力。いや、全員の気持ちがこの時ばかりは一致していたのかもしれない。このあふれんばかりの良晴への愛は一致団結を生み、そしてまたオレが出陣できない団結さも生んでしまった。
「颯さん、留守を頼みますです。わたしたちは先輩の恨みを!!」
「…行ってくる」
「任せましたわ颯さん」
おかしい。オレだって行きたいのに。もう言える雰囲気じゃない。ここまできたら彼女らに任せるしかないというのか。怒りに任せての突撃だけは避けてほしい旨を長秀さんと久秀には伝えておいた。彼女らですらあの信奈を止めれるかは分からない。
それほどまでに今の信奈は鬼気迫っていた。
☆
「半兵衛どの~起きるですぞ~~起きてくだされ~」
半兵衛ちゃんの臥せっている隣でねねがずっとわめいていた。良晴が死んだという報告を受けてからも一向に信じようとはしなかった義理の妹である。
「殿を助けに行くために知恵をおかしください!!」
堀尾吉晴、彼女もそのクチだ。まあそう簡単に信じれるものかよ。オレだってまだ自分の目で確かめない限り信じてねえからな。
良晴を助けに行きたいのはやまやまだが、半兵衛ちゃんが復活しない限りここを離れるわけにはいかない。だからはやく回復してくれ。
「は、颯さん?」
「半兵衛ちゃん! 大丈夫か!?」
寝言なのか、意識が戻ったのか確かめるために半兵衛ちゃんに聞き返してみる。いかんせん今まで結構こういった寝言は多かったからな。
「大丈夫です。それより織田軍のみなさんは?」
「良晴が死んだという報を受け、弔い合戦へ」
「良晴さんは死んでなんかいません! 前鬼さんが身代わりに ー 」
「やっぱヤツは生きてやがるんだな!!」
流石半兵衛ちゃん。式神と召喚獣の違いはここだよな。式神は自分の意志で動くことが出来る。前鬼には良晴の身代わりになれとでも言っておいたのか。ありがとう。
「怒りに任せて戦争に向かうなど……どうして颯さんは止めなかったのでしょう?」
「あの時はオレだって判断力がどうかしてたさ。良晴が死んだと聞かされれば、みんな頭に血が上って復讐する以外考えが出なかったんだよ」
「颯さん……………わかりました。わたしたちも後を追いましょう」
「え?」
オレらは京の留守居役を頼まれているんだぞ?
「わたしも体は万全です。颯さんは」
「オレだって大丈夫だ」
「それならば結論は一つでしょう」
「兄様が生きておられるのですな!! すぐにでも帰ってきてほしいですぞ!!」
「わたしも行きます!!」
「ねねちゃんはここで留守番しておいてな。絶対良晴連れて帰ってくるからな」
「わかりましたですぞ!!」
俄然元気が出たオレたち。いざ、近江へ!!
「颯さん………あ、半兵衛様回復なさったのですねよかったです」
病室にやってきたのは半兵衛ちゃんの古参の家臣だった。確か彼は今門番をしていたはずなんだが?
「どうかしましたか?」
「颯さんにご客人です。斎藤道三様にございます」
「はあっ? 美濃のマムシ!?」
「え、ええ。そうです。尾張美濃は他の人物に任せたとかでこちらに」
何やってんだあのジジイは。武田の抑えがいなくなるってどうなるかわかってんのかよ。
「隣の部屋に通してくれ。今更追っ払うのもおかしいだろう」
「わかりました」
「半兵衛ちゃんはこちらにまだいてくれ。マムシは怖いだろう」
「そ、そうですけど……」
それにそんな恰好でマムシの前に出せるかよ。今のうちに着替えておいてくれ。すぐに行ける準備をな。
「ねねと吉晴は半兵衛ちゃんの準備のお手伝いを頼んだよ」
オレはそう告げて隣の部屋、要するにマムシとの面会場所に移動した。
「おうおう久しぶりじゃのうお主」
「何しにやってきたんだ?」
「信奈ちゃんが危機に陥っていると聞いてな」
「それが美濃尾張を放ったらかしにしておいた言い訳かよ」
「織田は信奈ちゃんで持っている。信奈ちゃんの危機には全員が助け合うのが当たり前じゃろう」
確かにそうだ。信奈が死んだら何が美濃尾張だろう。全員散り散りになってもおかしくはない。でも、信奈は生きている。
「あのボウズも命が危ないんじゃろう。わしにも手伝わせるのじゃ」
「今から近江に向かうところだった。ついてくるというか」
「もちろんじゃ。それよりじゃな」
「なんだ?」
「わしがここに来た理由はもう一つあるのじゃ」
それ必要なのか? オレらはさっさと近江へ行きたいんだが。でも、半兵衛ちゃんの準備も終わってないだろうし、話を引き延ばしても構わないか……オレが返事を言わないでいるとマムシは勝手にしゃべりだした。
「実はのう。岐阜城に松平の家臣が来たのじゃ」
「ほう」
「姫様が危険だから近江に行きたい。案内してほしいと」
「ここは京だが?」
「そやつらは、その前に京にいる佐々木颯に会いたいと言っていた」
なに? やつらか。
「連れてきているのか」
「もちろんじゃ。人手は多くあったほうがよいからのう」
なるほど。雄二がやってきたのか。オレらには願ってもない話だ。
「そいつらはどこにいる」
オレがそう声をかけると扉が開き続々と入ってきた。やつらだ。真剣な顔してでも笑顔も見られて再会を祝いたいんだが、今はそんな時じゃない。
「久しぶりだな。早速だがオレたちとともに近江に来てもらうぞ」
「もちろんだよ颯!!」
オレがこちらの世界に来て実際に会ったことあるのは雄二だけじゃなかったか? こんなにも揃えていたのかよ。
明久・雄二・ムッツリーニ・秀吉・代表・木下・工藤の7人か。
これでほとんど揃ったな。後は姫路と島田だけだな。
「半兵衛ちゃん! 準備できた?」
隣にいる半兵衛ちゃんに声をかけてみる。すると出来たとの声が聞こえてきた。よし、ようやく近江に向かうことが出来る。
『佐々木~準備揃えたぞ~!!』
遠くから聞こえてくる久保の声。おそらく清水もそこにはいるのだろう。さて、オレの準備も整ったことだし。
「さて、出陣だ~!!!」
久保やら清水やらが明久の顔を見ると発狂していた(おそらく2人は別の意味)んだが、そんな暇もないので黙らせてさっさと進軍することにした。
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