颯Side。
明久を中心とした松平勢が颯のもとに援軍に駆け付けた。
その軍勢を率い、出せるだけのスピードを出して、復讐に燃える織田軍の後を追う。
では、どうぞ♪
「半兵衛ちゃん。全速力で馬を飛ばすから、オレのに乗りな」
「えっ?」
正直に言って半兵衛ちゃんは軍略・陰陽師の力としてはものすごいものがあるが、普通の兵としての力は1人前以下だ。馬に乗っても遅い。こういう時には致命的だ。スピードが肝心。
「吉晴はついてこれるか?」
「もちろんです!」
「マムシは!?」
「わしを誰じゃと思っておる」
じいさん。でもしっかり鍛えているみたいだから心配はしねえ。
「お前らは馬のものすごいスピードについてこられるか?」
「翔子と工藤はどうなんだ?」
「………心配いらない」
「ボクだって運動神経はいいからね~ちょっと練習すれば簡単だよ♪」
雄二が他のメンバーを聞かなかったということは、大丈夫なんだろう。よくよく見ると、秀吉以外全員運動神経抜群じゃねえか。秀吉が悪いってわけじゃねえが。でもあいつは演劇などで馬に乗る機会があるとか言っておけばずっとそればっかり練習しているはずだから、雄二はそうさせたんだろうな。
「わかった。ついてこい」
「その前に……その子は?」
「あ? 竹中半兵衛だ。馬のスピードが遅いからオレの後ろに乗せる」
オレは1人乗せたところでスピードはそんなに落ちない自信がある。それに半兵衛ちゃんだろ。軽いもんな~
「くだらん与太話は馬上でする。いくぞ!!」
有無を言わせず、オレは本能寺を飛び出し、北東の方角へ向かっていく。近江おそらく坂本あたりだろうか。まさか比叡山焼き討ちなどではあるまい。浅井・朝倉との決戦といえば姉川の戦いだろうが、姉川は琵琶湖東だから違う。なるほど。今回のこの戦は史実にはないことだな。暴走するであろう信奈を何としてでも止めているだろうか長秀さんは。
本来ならば、後ろで半兵衛ちゃんがギュッとオレをつかんでいるのにドキドキしたりするんだろうけど今はそんなこと考えていられる余裕なんてなかった。ある意味もったいない。
良晴が生きているとの報告をするために。
織田の暴走を止めるために。
一刻でも早く辿り着かねばならない。
「何で京には颯たちしかいないわけ? まだ織田軍は帰ってきてないの!?」
「いや違う。帰ってきて再び出陣したんだ。相良良晴が死んだということを聞いてな」
「良晴が死んだ!?」
「生きているんだよ。それを伝えに今向かっている。あ、元康は無事だぞ」
こいつらは一応、松平を代表してきているんだから伝えないわけにはいかない。
「おい、後ろから結構な軍がやってきているがあれはなんだ!?」
オレたち以上のスピードで迫ってくる。敵だったらまずい。てか、京さっきでたばっかで何で敵なんかに襲われるんだよ。
「あ、心配しないでいいよ。あの人たちも松平から助けに来た軍だから」
「多いな!?」
「7割くらい連れてきたからね」
「松平を崩壊させる気かよ」
だがよくよく考えてみると、オレたちも変わらない。大将がいなくなればそれでおしまいと思っているんだろう。思わぬ援軍にオレは活気が出た。
「良晴が生きていることを伝え、浅井・朝倉が油断しているようなら、このままの勢いでつぶす」
「颯さん、今回はそこまでしなくても、急な出陣で織田は体制が整っていません」
背後から半兵衛ちゃんにたしなめられた。気がはやって落ち着かない。
「とりあえず急ごう」
馬が出せる最大のスピードを。兵力などより時間を大切にした秀吉(豊臣のほうな)が天下を取ったのもわかる気がするぜ。何とか食い止めておいてくれよ。
☆
「なんということだ………」
オレたちが着いたときには、織田軍は壊滅寸前だった。
「なにがあったんだよ!! おい長秀さん!!」
織田軍きっての冷静な判断を出来る人物を見つけた。オレらは下馬して近づいて理由を聞いた。
「どうしてあなたがここに……?」
「そんなのはいいからこれはなにがあった」
「信奈様を止めることが出来ず、突撃しあえなく返り討ちに。勝家さんと犬千代さんが2人で浅井と朝倉と戦ってるような………姫様はずっと突撃とわめくばかりで久秀さんと十兵衛さんにそちらは任せています。わたしは残りの本隊をまとめている状況ですが……戦況が悪すぎます。0点です」
遅かったのか…………でも、まだ将が死んでいないなら復活の時はある。今すぐにでも、信奈の元へ伝えに行かねば。
「長秀さん。半兵衛ちゃんたちを信奈の元へ案内してくれ。織田軍はオレが采配する」
「わかりました。颯さん。それより、後ろの方々は?」
「松平からの援軍だ。それより元康は?」
「半蔵さんと共に良晴さんを探しに。もう亡くなっているというのに……」
長秀さんまでここまで弱気なのか。こっちは半兵衛ちゃんに任せよう。オレらは迫ってくる浅井・朝倉をつぶす。
「わたしも戦います!」
「吉晴は半兵衛ちゃんについて、必死に説得して。久保と清水も頼む」
「わかった。行こうか」
「マムシもよろしく」
「承知した」
「颯さんもご無事で」
半兵衛ちゃんたちと長秀さんが急いで信奈の元へ向かうのを見届けた後、オレたちは文月生を集めて軍議を行う。
「ムッツリーニ、相良良晴を ー 元康を探してこい。霧島・木下・工藤はそれの補佐だ」
出来るだけ戦場にはかり出したくはない。良晴を探すのにも危険がつきものだが、戦場におられるよりまだマシだろ。本当なら秀吉も怪しいんだが……
「…………承知した」
「仕方ないわね……秀吉、ちょっと来なさい」
「む? なんじゃ姉上」
木下が秀吉を連れてオレたちの目のつかない場所に行った。愛する弟と離れ離れになるのがいやというのは絶対にないだろうが……
「相良良晴って、どんな人だっけ? よく覚えていないや」
「…私もよく話したことはない」
そっか。こいつらはあんまり面識がなかったんだっけか。でも、1人だけこの世界と浮いているから大丈夫だろう。
「秀吉、頼んだわよ」
「わかったのじゃ!!!」
2人が帰ってきた。相変わらず見分けがつかないったらありゃしない。
「…………早速行ってくる」
ムッツリーニが3人を連れて走り去っていった。なんか前よりか走るスピード速くなってないか?
「明久~!!」
「姫様はどこにおられるのか?」
「見つけ出すぞ~!」
松平の援軍が揃ったと思われる。足並みを気にしていたからなのか少しばかりオレたちよりも遅かったが、それでも十分に速い。
「颯、説明して。この人たちと僕とで松平四天王と呼ばれているらしい」
「意味わからねえ。お前が四天王に入る意味が」
さっぱりわからんな。このバカが。雄二ならまだそうかもしれんと思うが。
「みんなこっちに来て! 僕の友人で今は休んでいる信奈さんの代わりに指揮を執っている、佐々木颯だよ!」
「お初にお目にかかる。本多忠勝だ」
「酒井忠次です」
「姫様はどこなんだ!! わたしは榊原康政という」
おいおい。井伊直政はどうした。代わりに明久が四天王に入っているってか? 許せんな。とまあそのような主観はいいから、オレは彼女らに作戦を伝える。
「元康さんは、半蔵さんと共に将を探しに行った。どこにいるか分からない。だから、みなさんは迫ってくる浅井・朝倉の軍を返り討ちにしてほしい。オレはその間に敗残兵の織田をまとめ上げる」
「姫様は無事だろうな」
「先に助け出さないと!」
「お前なんかの言うことなんか聞いてられるか!!」
久しぶりにカチンときたね。このガキがと言いたくなったがそこは大人の対応。オレ落ち着け。
「まず浅井朝倉を退けないと元康さんも見つけ出せねえぞ。この戦場のありさまだ」
「承知した。三河武士の力見せつける」
本多忠勝と名乗った少女が立ち上がり、自分の軍のほうへ戻る。他の2人もそれに従い、松平の軍を動かす。
「で、お前らはオレと共に行動するってことでいいな」
「もちろん。軍持ってきてないからね」
「さて、じゃあ勝家さんと犬千代を探しに行きますかね」
長秀さんの証言通りなら、前線で2人奮闘していると聞いているが。彼女らをまず信奈の元へ向かわせ、残りの兵をまとめ上げ追ってくる浅井朝倉を適当にあしらい、松平軍に任せる。これでいこう。
待ってろ良晴。てめえばっかりかっこつけさせるわけにはいかねえからな。
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