悪鬼羅刹こと坂本雄二。
出会った少女は名のある人物だった。
さてさて、どうなることやら。
では、どうぞ♪
「ハチは、本多忠勝! 元康様の家臣だ!」
これは驚いた。この少女があの猛将本多忠勝とは。ゲームで最強キャラ。三国志でいう呂布に匹敵する。ったく…どこぞの誰かとゲームをしてればいやが上にも覚えてしまってる。今回ばかりはそれに感謝。
「俺は坂本雄二。正直、ここがどこかすら分からん」
「屈強で知られてる松平軍の兵士3人を1人でやっつけるとは面白い。ついてまいれ」
「何で?」
「俺は女の子と戦うなんて趣味ないぞ」
いくら強かろうと女子に手を挙げるまで俺は落ちぶれていない。
「面白い。お主ら、今日のことは他言無用。この5人でしか知りえぬ」
「はっ」
「承知しました」
「去れ。屈強で知る三河の軍勢が涙目とは情けない。鍛えてまいれ」
『ははっ!』
少女とはいえこの圧倒的な威圧感。本多忠勝の名は伊達じゃないな。あの雑魚共が去っていった後で、真相を聞き出そう。
「で、名前は?」
「先ほどの話聞いてなかったのか?」
「本多忠勝、か。女の子だとは信じられないがな」
「何を言ってる? 本多忠勝の名を知りながら、女と信じられないとは不思議な奴。この世は女であろうと男であろうと関係なく大名や武将になってるのは当たり前であろう。このハチとて同じ」
ふむ。タイムスリップというよりは別世界、パラレルワールドか。この言い草だと本多忠勝以外にもたくさんの女子の大名、武将がいるに違いない。
「ということは、あんたの主君は?」
「松平元康様、女子だ」
「ほう……面白い。ひとまずあんたの世話になっていいか? 行く当てもない」
「構わない。元康様には内緒にしておく」
それは好都合。松平元康といえばのちの徳川家康。腹黒い狸とよく言われるんなら、無理に疑われるようなことはしないほうがいい。
「そういえば、あんた最初に来た時やけに殺気立っていたが……」
「…そろそろ今川のお館が西上をしていらっしゃるころだと思い様子をうかがいに参ったのじゃ」
「今川義元が西上?」
「何か心当たりがあるのか?」
「特に。あ、その戦とやらに参加するのか?」
「先鋒じゃ。尾張の砦をいくつか落とさねばなるまい」
少女は少しばかり遠い目をしていった。いやいやながら従っているというのがわかる。
今川の属国松平の宿命とやらか。というと、これは桶狭間の戦い?
「何やらあちらのほうから馬がやってきたな」
「何やつじゃ?」
俺はこの少女とともに東のほうを向いて馬が単騎でこちらに来るのを待ち構えていた。
「あ、本多様。お久しぶりです」
「……すまぬ。お主の顔が思い出せぬ」
「遠江は井伊谷の者です」
「思い出した。あのばあさまのところの側近じゃな! こんなところでなにをしておる?」
「使いを。元康公に」
「何用じゃ?」
「わが井伊谷の直虎様は隠居なさり、新しく吉井明久という好青年に家督を譲りました」
俺は耳を疑った。吉井明久という好青年?
「ほう。そやつはどういった?」
「何でも、直虎様直々のおめがねにかなった人物だとか。あ、ちょうどこのようなお召し物でした」
間違いない。あのバカだ。どういう経緯で大名になったかは想像もつかないが……俺だけがこの世界に来ているわけじゃなさそうだな。
「その吉井明久なる人物が元康様に何か用が?」
「本多様から伝えておいてもらえまするか?」
「承知した」
「我が軍は正式に決まってはおらぬが、今川の本隊ではなく三河松平の軍と行動を共にする、と」
「何故じゃ!? 想像もつかぬ」
明久のやろう。あいつも桶狭間の戦いと気づいてやがったな。その判断は正解だ。もしくは誰か強力なブレーンがいるのか? その詮索ももう少ししたら正解がわかるだろう。
「わかった。ただし、帰っても俺の存在を言うな。明久と同じ服を着ていた人物がいたとか言うなよ」
「ははっ」
「勝手に話を進めるな坂本雄二とやら」
「後で教える。まずはこいつを返してやろう」
「ご苦労だった。元康様には伝えておく」
明久の使いが馬に乗って戻っていく。姿が見えなくなるまで見送っていたが、見えなくなると同時に反対の方角へ歩き出した。
「教えてもらおうか。えーっと」
「坂本だ」
「坂本よ。そちの知り合いか? 井伊谷の新たな城主は」
「おそらくな。あいつの考えることなんて簡単にわかる」
歩いていくうちにこの少女の屋敷らしきところについた。いったん中に入れさせてもらって会話を続ける。
「松平は今川の属国となって長いが……それはどう思うか」
「定め。元康様に従うまで」
「その今川の属国から離れる時が来るということだが」
「何っ!?」
「このたびの西上でおそらく今川義元は死ぬ」
これが桶狭間ならな。
「その時松平軍は別の場所にいるだろう。明久の野郎はそちらに賭けたのだ」
「意味が分からぬ。そちにそのようなことが何故わかる」
「俺らが未来から来たからだ」
「みらい?」
「ああ数百年後から来た。この戦いも未来の人間はほとんど知っている。そして、松平元康が今川義元の手を離れ一気に名を挙げる」
俺の話を疑いの眼差しで聞いてたこの少女は、やはり信じることができないようだ。そりゃあ俺だって突然未来人がやってきて、私未来人ですとか言ったら嘘つけって思う。
「信じなくてもいい。ただ、俺と明久はそう信じて自分のために行動する」
「ハチは元康様にどうお伝えすればよいのだ?」
「今回の戦いで、井伊谷の軍勢が共に行動するとだけ言っておけ。あまり余計なことをいうものではない」
「承知した。この戦いが終わった後にはじっくり話を聞かせてもらうからな」
「ああ」
そういうと、ハチと自分でいう少女は部屋から出ていった。おそらく松平元康のもとへ駈けていったのだろう。俺はちょっくら昼寝でもさせてもらいますかね。
はい、ハチこと本多忠勝登場!
想像できねえ……忠勝の女バージョン。
自分の中では、イメージCV:井口裕香さんでしています。
別に誰でも構いませんが……
さあ、そろそろ桶狭間かな。
いつになったら合流するのか。その他の人間は何をしているのか。
気になりますが、先は長そうです。
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