吉井明久の野望R   作:いくや

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 読者の方気づいているかもしれませんが……
 作者、本多忠勝大好きなんですよね~
 歴史上の人物で一番。

 語りだしたら止まらないのでここらへんで(笑)
 だから、ハチちゃんもかっこよく! そしてかわいく仕上げたいものです。

 では、どうぞ♪



第9話 サルと我慢と三河武士

 

 『三河の大将が来たぞ』

 『あんな手勢しか連れてきていないとは降伏の手勢か?』

 『今川が負けたから織田に移り変わろうって魂胆だろ』

 尾張に入り清州に近づくにつれて、このような声がちらほらと聞こえてきた。

 たぬきの元康さんはニコニコしながらただ歩くのみ。反論の一つもしようとしない。数正さんは我慢している様子がすぐにわかる。半蔵さんもいつでも武器を使えるように準備しているし。

 

 『情けねえね。三河武士とやらも』

 『大国の陰に隠れて生きるしかないとはな』

 もう充分だろ。いい加減に ー 。

 

 「殿への悪口はそれっきりか? それならばすぐにでも天国へ送り届けてやろう」

 ハチちゃんが先に我慢できずにキレていた。

 

 『何言ってんだ小娘が』

 『それに清州の市民を殺したら松平はすぐに滅ぼされるぞ』

 だからと言って罵声を浴びせられているのに我慢が出来るか。

 

 「それがどうした。織田がその気ならいつでも迎え撃とう。われら松平が清州に来たは、同盟を組むためだ。決して降伏ではない」

 『そのような口が ー 』

 「いいだろう。元康様が元に仕える、この本多忠勝が貴様らの息の根を止めて見せよう」

 『ほ、ほんだただかつだと!? あの小娘がか?』

 『逃げるぞ!』

 ふぅー危うく乱闘になりかけるところだった。みんな落ち着いているのはなんでだよ。

 

 「お騒がせしまして申し訳ありません、殿」

 「ハチさん、穏やかにやっていただけるともっと嬉しかったです~」

 「失礼しました」

 この松平軍の信頼関係はなんだろう。全員が今のハチちゃんの行動をわかっていたのか。

 

 「吉井さん、一つだけいいことをお伝えしておきましょう」

 数正さんが僕の疑問に気付いたのか、近寄ってきてこう告げた。

 

 「松平軍は一心同体。元康様にいつでも命を捨てる覚悟は出来ているのです。その元康様をコケにされて黙っていては三河武士の名折れ。忠勝さんは私たちを代表して行動に移しなさいました。ですから、私たちが動じることはないのです」

 すっげ~! 三河武士ってすごいんだなあ。

 

 「殿、城のほうから出迎えが見えました」

 半蔵さんが言った方向を見てみると、騒動の少し後には集団が向こうから歩いてきた。

 この距離で出迎えってわかるって目がいいなあ。

 

 「竹千代~!! いらっしゃい!! いつぶりかしら~懐かしいわね!! ともかくこっちよ!」

 「は、はい~信奈様~」 

 竹千代ってのは元康様の幼名だったっけ。そっか、小さいころにあったことがあるとか、聞いたことあるような。

 

 「竹千代、そこにいる3人はどうしたのかしら?」

 「何でも未来から来たそうです~」

 「なんですって!?」 

 「そこまで驚いて~」

 「あんたたち、サルの知り合いなのかしら?」

 すげーきれいな子だ~僕たちと同じ年頃のようだけど……これが織田信長 ー じゃなくて織田信奈か。

 

 「サル? ああ、あいつか。知ってるぞ」

 雄二サルに知り合いがいるの? 流石は赤ゴリ ー 。

 

 「殺すぞ」 

 「なんで!?」

 地獄耳 ー いや違う。エスパーかこいつは。

 

 「そう。あんたたちもついてきなさい」

 「へーい」

 雄二……いつでも自分を変えないよね。偉い人の前でも変わらずその態度をとれるのはすごいと思う。

 

 「坂本君、知り合いにサルがいるのかしら?」

 「バカ言え。俺は人間以外に知り合いはいねえ。バカはいるが」

 「そこでなぜこちらを向くんだね? 雄二君」

 「お前のそのキャラはなんだ。黙ってろバカ」

 結局誰がバカか暴露するのかよ! って、僕はバカじゃないぞ!

 

 「おそらく、良晴のことだろう」

 「良晴? なんでサルなの?」

 「さあな。見た目か?」

 「坂本君、ひどいこと言うわね」

 まあ似てなくも ー いや、似てないから! ちゃんと人間だよ。

 

 「まあ、着いたらわかるだろう」

 それもそうだね。

 

 「みなさん、私は信奈様と話してまいります~ゆっくり休んでいてくださいね~」

 家臣全員連れて行かないの? せっかくの連れなのに。

 

 「なんだかんだ言ってもまだ同盟を組む前だ。屈強で知られる三河武士をたぬき娘のそばに置いていくわけにはいくまい。だからわざわざ俺たちを名指しして来いって言われたんだ」

 「要するに、信奈様に会えるのは元康様とアタシたち3人」

 そうなんだ……大変だなあ。そんなとこまでよく気が回るよ。

 

 「明久さん~いきますよ~」

 いよいよ清州城内へ。岡崎城より派手だなあ。流石は織田の城だよ。

 

 

     ☆

 

 「桶狭間に勝って、次は松平との同盟イベントか。順調順調」

 「何ぶつぶつ言ってるのでしょう。30点」

 「あ、長秀さんすいません」

 信奈がわざわざ城外まで松平元康を迎えに行っている間、俺相良良晴は織田の重臣の丹羽長秀さんと留守番していた。長秀さんは大人の女性という感じで、点数をつけたがるのが特徴。

 

 「それにしても城内で待てばよかったのに」

 「待てなかったのでしょう。楽しみにしておられたご様子でしたから」

 「危険はないだろうけどさ~勝家がいるから」

 あの織田が誇るデカ乳もとい猛将:柴田勝家が護衛についているからその面は大丈夫。

 

 「まったく……織田の当主として自覚が足りませぬな」

 「左様。姫様にも困ったものじゃ」

 こちらは古くから信奈に仕えている佐久間信盛と林秀貞。よくは知らんがこの2人のおっさん、なんか気に食わねえんだよな。

 

 「…良晴、食べる?」

 「何でういろう持ってるんだよ犬千代」

 「…非常食」

 この食べ盛りの虎の被り物しているちびっこは、前田犬千代。俺がこっちの世界に来て大変だった生活面でサポートをしてくれたお隣さん、ちなみに一応かぶきものらしい。後の名は前田利家。あの加賀百万石の礎を築いた人だよ。全くそんな感じしねえ。

 

 「本当に姉上は困ったお方だよ。でもそれが姉上だからね」

 「何で勘十郎までいるんだよ」

 「ボクだって姉上の家臣だからな」

 織田勘十郎信勝。数度謀反を起こすが、姉の信奈が許し今回は心から臣従。一応男だが……

 

 「帰ったわよ。もうすぐ竹千代が来るから」

 信奈が帰ってきた。それと同時に勝家も後ろからついてきている。

 ようやく松平元康と会えるのか。

 

 「松平元康様が参られました」

 「入れて」

 数分後やってきた。少ない家臣を連れて。

 

 「まつだい ー 」 

 「ああーーー!!!! 何でお前らがここにいるんだよ!!!」

 「サルうるさい。あんたは黙ってて」

 「でも - 」

 「いいから。後にしなさい」

 何で……何で明久と雄二がいるんだ! 隣にいるのはひでよ - スカート履いているから双子の姉のほうなのか? でもどうして。俺だけじゃなかったんだこっちの世界に来てるの。

 

 「信奈様おひさし ー 」

 「竹千代、そんな堅苦しい挨拶抜きよ」 

 「はあ……」

 「子どものころの約束覚えてるわよね!」

 「信奈様が尾張より西を、私が三河より東を治めるということです~」

 「そうよ。ようやくその時が来たわ。いいわね元康!」

 「はい~任せてください~」

 え、会話終了? はえええ!! てか暗殺するかもとか言ってたくせに全くそんなそぶりも見せなかったぞ。

 暗殺とかいうのは頭の固い重臣を納得させるためだけの口実だったのか。流石は信奈。

 

 「お待ちください信奈様!」

 「松平は今川の ー 」

 「だからどうしたっていうのよ。これからは織田と松平は同盟を組むの。私は美濃や伊勢に手を伸ばすわ。竹千代、あんたは今川の旧領をまず確保しなさい」

 「わかりました~今家臣たちが遠江を抑えに行っています~」

 「仕事が早いわね竹千代!」

 重臣の意見はスルーということで、この同盟の会議は終了、したのかな。

 

 「林と佐久間は退っていいわ」

 「はっ……しかし」

 「何故われらだけが?」

 「そのくらい察しなさいよ。いいから出ていきなさい」

 理由くらいは言えばいいのに信奈……またあの2人が謀反を起こすかもしれないぞ……

 2人が退室して、場が落ち着きを取り戻したことで俺も思い出した。3人も俺の前に現れたのだ。いろいろと聞きたいことは山ほどあるぜ。

 

 





 前半はハチちゃんの活躍ぶり、後半はサルの失態ぶり(笑)

 ようやく織田のほうとも絡んできました。

 そうでもしないと……

 話が進まない!
 
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