子供のころに私が、もっとも好んだ食べものは、やはりカツレツ、シチュー、カレーライスなどで、それにポテト・フライが好きであった。
いまも、肉屋で副業にしているコロッケやカツレツ、種々のフライなどの中に、ポテト・フライがあって、子供が買いに行くと二銭から売ってくれた。二銭で十くらいはあったろう。私は甘いものやせんべいを買うくらいなら、どんどん焼かポテト・フライを買って来た。
むろん揚げたてではないから、買って来たポテト・フライを火鉢にのせた金網の上でこんがりと焼く。それを小皿のソースへジュッとつけて食べる。実に、これがたまらなかったものだ。
いまも私は、ビールやウィスキーをのむとき、親ゆびの先ほどに小さく切ったじゃがいもをパン粉につけてからりと揚げ、ウスターソースで食べる。ことにビールにはよく合う。
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実に美味しそうな一節である。私の住んでいる近くでは、肉屋に「ポテト・フライ」が置いてあるところなどまだであったことがないが、昔の肉屋は「ポテト・フライ」を置いていたとは羨ましい限りである。
今回のおかずはこの「ポテト・フライ」にしよう。
しかし、残念ながらあの一節のような「じゃがいも」を小さくきって「パン粉」をつけて揚げるという手間はかけたくない。一人暮らしで揚げ物はなかなか骨が折れる。
ということで、今回は買ってきた「ポテト・フライ」を火鉢(のかわりにオーブン)で暖め「ウスターソース」でいただくことにする。
そうなると主役の「ポテト・フライ」はどの店から調達するのがベストであろうか?
真っ先に思い付くのは、出店数1番のあのハンバーガー屋さんだが、昭和の肉屋で売っていた「ポテト・フライ」のイメージにあの整形ポテトは合わない。やはり皮が付いたままゴロゴロとした形のほうが「ポテト・フライ」にはピッタリだ。
そうなると、どこで売っているだろう?たしか、「フライドチキン」を売りにしたあの店は数年前に変わってしまったし、大体のファストフード店では思い付く節がない。さて、どうしたものか?
そんなくだらないことを考えつつ、近所のショッピングセンターでイメージ通りの「ポテト・フライ」を物色するも中々みつからない。やはり、フードコートに出展しているファストフードの「ポテト・フライ」は綺麗に形が揃えられているものばかりだ。
もうどこにも理想の「ポテト・フライ」は売っていないのだろう。諦めかけたその時それを以外な所で見つけた。そこは、どんなフードコートにでも必ず一つは存在する食べ物の「何でも屋さん」だ。
文字通り「鯛焼き」・「かき氷」・「たこ焼き」・「ラーメン」・「丼物」何でも売っていて、まあそれなりには旨い。勿論「ポテト・フライ」もだ。
手のひらサイズの容器にこれでもかと詰められた皮つきのゴロゴロとした「ポテト・フライ」が400円。某チェーン店のLサイズ二つ分以上が入ってこれは安い。
早速購入した「ポテト・フライ」を持ち帰り、半分程度をアルミを敷いたオーブンにばらまく。そして、ダイヤルを5分にセットし加熱開始。次第に赤くなっていく加熱部の蛍光灯を眺めているうちに、タイマーが0を示す。
ピーンという音と同時に蓋を開けると、ふわりと香る油といもの「ぱちぱち」というなんとも旨そうな音が迎えてくれる。
早速小皿に、「ウスターソース」をたらし焼きたてホヤホヤの「ポテト・フライ」を箸でとる。小皿のソースへジュッとつけ先ず一口・・・
当たり前だが旨い。シナシナだった「ポテト・フライ」がいい塩梅に外はカリカリ、中はホクホクになっている。それにウスターソース独特の酸味が以外にポテトにあう。
いままで、「ポテト・フライ」は塩かケチャップだったがこれは新発見だ。
某チェーンでなぜ「ウスターソース」がポテトの備えつけで販売しないのか不思議なくらいである。
店で食べる揚げたて「ポテト・フライ」も確かに旨い。しかし、このシナシナになったものを暖め直し「ウスターソース」でいただく「ポテト・フライ」も揚げたて同様、いやそれ以上に旨いかもしれない。是非お試しあれ
皮つき「ポテト・フライ」なぜチェーン店ではうっていないのか?