Fate/√knight 【ムラサキノウエ】 作:わが立つ杣
E turn
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これは夢だ。
夢の中で古い記憶が無理やり引っ張り出されている。
そんなことが何故だかわかる。
遠くて、しかし、大事な記憶。
衛宮切嗣、すなわち自分の父親に関する記憶だ。
最初に目にした光景は、鮮烈に心に刻み込まれたものだった。
「良かった・・・生きている・・・生きていてくれて・・・ありがとう・・・」
オレ【衛宮士郎】を助けて、自分【衛宮切嗣】が助けられたという顔。オレ自身がついこの間まで、一番大切にしてきたこの上もなく綺麗で、憧れた最高の表情だ。
さらに続くのは、この家の縁側でした何気ない会話。
「正義の味方は期間限定で、大人になると名乗るのが難しくなるんだ・・・」
「なら、オレが爺さんの代わりに正義の味方になってやる」
それは、オレが決意を固めた決定的な言葉だった。
今なら、この時の自分が如何に無邪気だったかがよくわかる。そう、今のオレのように誰かの絶対的な味方になってしまえば、大事だったはずの誰かの敵になることもあるのだ。
こんな具合に、記憶の連鎖が映画のフィルムが流れるようにして、自分の横を通り過ぎていく。
そんな中で、ふと、忘れていた映像を見る。
何年前になるのだろうか?
今よりも断然若い藤ねえと幼いオレが横に並んで、波止場に立っている。
二人とも遠ざかっていく船を見送っているようだった。
「切嗣さん。また、行っちゃったね。本当にどこに何をしに行ってるんだろ?」
藤ねえはその船から目を外すことができないようだった。
いつも明るい彼女からは想像できない程、憂いに満ちた表情だ。
「遠い外国なんだろ?」
「うん。大事な人がいるんだって。でも、その相手にはいつも会えないんだって」
「何でなんだろうな?」
「わからないわ。教えてくれないんだもの。でも、いつも帰ってくるときはボロボロなんだよね。死んじゃうんじゃないかってくらい」
藤ねえは、さらに遠くを見るようにして潤んだ目を細めた。
「オレ達切嗣の家族なのにな。それをほっぽり出して行って、それでボロボロになるなんてな」
「きっと家族と同じくらい大事な誰かなんじゃないかな。もしかしたら、本当の家族なのかもね」
「何を言うんだ、藤ねえ。オレ達だって本当の家族だぜ」
「うん。そうだよね、士郎」
彼女の冷たい手がオレの頭を撫でていた。
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目が覚めると、銀髪の少女がオレの布団に突っ伏すようにして寝ているのが視界に入った。掛布団の上に彼女の上半身が乗っており、さながら看病していた家族がそのまま眠ってしまったという具合に見えなくもなかった。
ぼんやりした頭で、なぜこの状況になっているのかを考えたが、よくわからなかった。
「士郎、目が覚めたようですね。体の具合はいかがですか?」
女性にしては少し低めの落ち着いた声音が、耳に心地よく響いた。
その声の主は、自らの命を賭して助けた相手であることをすぐに思い出す。
「・・・ああ、ライダー・・・良かった・・・無事だったんだな・・・」
布団に入っているオレを挟んで、銀髪の少女とは反対側に彼女は綺麗に正座していた。ハイネックセーターにロングパンツというシンプルな装いであり、薄紫色の長い髪は後ろで結わえられている。
「それはこちらのセリフです。あなたは自分がどれだけ無茶をしたかわかっているのですか?」
ライダーは、眼鏡の奥の双眸から涙を流しながら、震える声で詰ってきた。
「えっと・・・ああ・・・そうか。血を流し過ぎたんだな。まあ、なんとかなったんだし、ライダーも助けられたし・・・本当に良かった」
パンッ!
乾いた音が室内に木霊した。
「っ!?」
その音は、オレの頬と彼女の手の平が奏でたものだった。
「・・・いいわけないでしょう・・・いいわけ・・・」
正座を解いたライダーがオレの胸に縋りついてきた。
オレの服を固く握りながら、胸元に縋り付くようにして嗚咽した。
「すまない。ライダー。めちゃくちゃ心配してくれたんだな。ありがとう」
こういう場面でどうすればいいかオレにはわからなかったが、自然と彼女の頭に手を乗せて言った。
「・・・はい」
「でも、オレはライダーも自分も大事だと思っている。あの場面では二人とも助かる最善の方法を選んだつもりなんだ。ギリギリではあったけどな」
「・・・そうですね。確かに無茶ではありましたが、無謀ではなかった」
ライダーは何とか居住まいを正した。
「私が敵の手に落ちたことがそもそもの問題だったわけですし」
彼女が顔を伏せる。
「ライダー、今おかしな事を考えているだろう?」
「え?いいえ・・・」
ライダーは驚いたように再び顔を上げた。
明らかに図星を刺された表情だった。
「いいやわかる。次に同じ状況になりそうだったら、その前に死ぬつもりだろう?」
「・・・・・・」
「それはダメだ。それじゃあ、前のオレと変わらない。いいか。お前もオレも生き残るんだ。そのための方法を考えるのを最後まで諦めないでくれ。生き残るためにとことん足掻いてくれ」
「・・・・・・はい。士郎」
彼女は頷いて、涙を溜めた双眸を細めて微かに微笑んだ。
「・・・お取込み中のところ悪いんですけど・・・」
突然、ライダーとは反対の方向から声が届いてきた。
そちらに首を捻ると、寝ていたイリヤスフィールがいつの間にか起きており、少し非難するように目を細めていた。
「それを間近で見せつけられる身にもなって欲しいわ」
うつ伏せになっていた布団から少し顔を上げて不服そうに続ける。
「イリヤスフィール!?いつから起きていたのですか?」
ライダーが慌てて目に溜まった涙を拭きながら聞いた。
「綺麗な平手打ちの音がしたところからかしら。こういうのを日本の言葉で濡れ場って言うんでしょう?」
「ぬ・・・濡れ・・・」
オレは真っ赤になりながら、返す言葉を失ってしまった。
ライダーはキョトンとしている。どうやら全く意味がわからないようだ。
ザッ
「全然違うわ。こんなのただの痴話喧嘩よ。もしくはノロケの類かしら」
そう言いながら障子を開けて入ってきたのはキャスターだった。
眉間を片手で押さえながら、呆れたような目でオレ、ライダー、イリヤスフィールの三人を順に見回していく。
「やっと目が覚めたようね、坊や。とにもかくにも無事で何よりだったわ」
だいぶ、記憶がはっきりしてきた。
オレは、自分で自分を刺した後、キャスターの助けもあって、なんとか間桐邸からライダーを救い出してきたのだ。
だが、この家に戻る途中で力尽きて意識を失ったはずだ。
だとすると、
「たぶん、キャスターに治療してもらったんだろうな。ありがとう。先に礼を言っておく」
治療にはかなりの労力と時間を要した事は想像に難くない。先程のライダーの様子から想像すると、瀕死に近い状態、というか、まあ概ね死んでいたんだろう・・・
「色々と聞きたいんだけど、なぜここにイリヤスフィールがいるんだ?教会に保護してもらった筈だろう?」
「それは、直接本人に聞いてもらいたいところだけれど、もう少し心の整理が必要なんじゃないかしら」
キャスターがちらりとイリヤスフィールに視線を送る。
「お気遣いいただかなくて大丈夫よ。とりあえず、さっきの甘い濡れ場を見せつけられて、毒気を抜かれてしまったわ」
「相変わらず言葉の使い方を間違えているけれど、そういうことならいいわ。嘘は言っていないようだし。夕食の準備ができているから、いらっしゃい」
あっさりとそう告げて、キャスターは廊下へと出て行った。
R turn
私と士郎のほか、キャスター、葛木、凛、イリヤスフィールの6人が卓を囲んで夕食をとった。
概ね和やかな食事になったが、途中でイリヤスフィールが、
「前に食べた時より味が落ちてるわね」
と評した時には、キャスターのこめかみからプチッという音がして、険悪な空気が流れたが・・・
食事中の会話で、士郎には彼が眠り続けていた昨日から今日にかけての出来事を概ね共有している。
風呂から上がった私は、士郎がいるはずの土蔵に向かおうとしていた。
「・・・そう言えば、結局、イリヤスフィールがこの家に自ら向かった理由を確認していませんでしたね」
夕食時にその事が話題にならなかったのを思い出しながら廊下を進むと、縁側にキャスターとイリヤスフィールが腰掛けているのを見つけた。
二人は私には気付かない様子で、月を眺めながら何事かをポツポツと話しているようだった。
「・・・そう・・・桜は変わってしまったのね。やっぱり人間ではとても耐えられなかったのでしょうね」
気になる内容だったので、私は廊下の曲がり角に留まり、二人の会話を聞き続けることした。
「あなたは、気付いていたのね?彼女が聖杯であることを」
「ええ。はっきりとではないけれど最初見た時にね。ああ、同類だなってわかったわ」
イリヤスフィールは縁側から出した足をぶらぶらと揺らしながら溜息をついた。
「そう」
イリヤスフィールの言葉に大きな反応を示さず、キャスターは小さく応える。
「そもそもランサーが消えた時、私に魂が流れてこなかったのよ。それで、おかしいなって思っていたわ」
「あなた・・・いいえ、あなた達なのかしら。英霊の魂を集める役割があるのよね」
「ええ。だけれど私が取り込んだのは、バーサーカーだけ。今のところ他に消滅したのは、ランサーとあの金色のサーヴァントだと思うけど、桜はその二騎を取り込んでいるはずよ」
「そうするとあなた達には相当な負担がかかりそうね」
「そうね。私はそのために作られた存在だけど、桜はそうではない筈。英霊を取り込めば、少しずつ人としては壊れていくでしょうね」
「だとすると、桜ちゃんが体調を崩すようになったのはそのせいでもあるのかしら」
キャスターのその言葉で、ランサーが消えた日から桜が熱を出すことが多くなっていたことを私は思い出す。
「そうかもしれないわね」
「彼女はもう元には戻らない?」
「桜の変貌に関するあなた達の推測は概ね正しいと思うの。今、彼女は生まれようとしているアンリマユの影響を強く受けているのでしょう。それを断ち切れれば、可能性がないわけじゃないと思うわ」
「坊やは、間違いなく彼女を救おうとするでしょうね」
「なぜかしら?士郎はライダーが好きなんでしょう?」
その言葉にちょっと面映ゆい気持ちになる。
他人が自分のことを話しているのを聞くのは、少し恥ずかしかった。
「そうね。でも、その『好き』とは少し別の感情があると思うわ」
「それはなに?」
「坊やにとっては、彼女は家族みたいなものなのよ。妹のように思っているわ」
「妹・・・」
「あなたも坊やの妹になるのかしら?それとも姉?」
「生まれたのは、たぶん私が先。だから、私が姉になるわ」
「なぜ、殺そうとしたの?」
「それが私がこの冬木に来た理由の一つだもの。衛宮切嗣と衛宮士郎を殺すことがね」
この言葉で初めて私はイリヤスフィールがこの家に向かっていたのは、士郎を殺す為だったことを知った。
「それはなぜ?」
「私達アインツベルンを衛宮切嗣は裏切った。そして、衛宮士郎はその子供だからよ。そう教わって私は育ったわ」
「なるほどね」
少女が士郎を殺そうとした理由を聞いたキャスターが、ふわりと立ち上がり外に出た。
月明かりに照らされた彼女の、私よりも青みの強い紫色の髪が夜風になびく。
「私は弟を殺したわ」
彼女は振り向く。
「本当に大事なものが何なのかなど、わからないままに」
女の私から見ても充分に美しいその顔には、うっすらと笑みが浮かんでいた。
「あの時の私は熱にうかされていたようなものだったわ。その熱が冷め、そして目が覚めた時、私はもう取り戻す権利がないことを思い知った」
裏切りの魔女と呼ばれた
「私にあの夢を見せたのは、あなたね?」
「ええ、そうよ。でも、何を見たのかは知らないわ。坊やの古い記憶を、夢であなたと繋げただけ。私、眠りの魔術が得意なのよ」
「・・・そう。後悔してるのね。だから、私を止めるだけじゃなくて、夢を見せたり、こんな話をするのね?」
「言ったでしょう。後悔する権利も私にはないわ。狂っていても自分の意思でしたことなの。だから、狂い続けるしかなくなったわ。私はもう魔女としてしか生きられなくなっていた」
「衛宮士郎に肩入れしているのは、そのせいなのかしら?」
その問いにキャスターは考え込んだ。
「・・・・・・そのつもりはなかったわ。私は坊やに賭けたの。だから、助けてきた」
けれど、と小さく呟いた。
「あなたが坊やを殺そうとしているのを止めた時、少しだけ殺した弟と坊やを重ねていたのかもしれないと思ったわ」
自嘲気味に彼女は笑って続けた。
「・・・全然似ていないけれどね」
だから、これはただの自分勝手な
「ねえ、あなたは聖杯として誰かの願いを叶えるとどうなってしまうのかしら?」
「想像はついているのでしょう?私は道具に過ぎないのよ・・・」
二人の会話は続く。
私は、静かにこの場を離れることにした。
キャスターは弟を殺した。
イリヤスフィールは弟を殺そうとした。
「私も姉を殺しました・・・」
私もまた、狂って姉達を殺し、そして狂い続けたまま怪物として殺された。
身内殺しなんて決して珍しくはない世界だったけれど、だからと言って傷が浅くなるわけではない。
士郎にそんなことをさせるつもりはない。
「・・・それにしても・・・」
イリヤスフィールは士郎を殺そうとして、それをキャスターが止めたということだった。確かに教会から急いで戻ってきた時、士郎が寝ている布団にイリヤスフィールが突っ伏している状態だったことを思い出す。
「士郎は危うく殺されるところだったんじゃないですか・・・」
結果的に無事だったとは言え、その点はキャスターを責めたいところだった。
Interlude in
ビチッ!
窓の無い一室に有機物を潰した音が響き渡る。
「ふん。外見がグロテスクな食材は美味いというが、これを調理する気にはならないな」
闇の中で黒いアーチャーは、その手で握り潰した蟲を放り投げる。
「これで、あの妖怪の蟲蔵を一つ潰したわけか。呆気ないものだな」
黒いセイバーがつまらなそうに独白した。
「桜が待っている店まで戻るとしよう。セイバーも何か食べるなら、私が腕を振るうぞ。ジャンクフードが好きなのだろう?絶妙なハンバーガーを作ってやるぞ」
「余計な気遣いは無用です。お二人だけでどうぞ」
そう言って、部屋のドアを開けたセイバーは闇へと消えていった。
「つれないな」
取り残されたアーチャーは、無表情のまま嘆息した。
「アーチャー。お帰りなさい。ご飯できていますよ」
落ち着いた雰囲気の小ぢんまりとしたイタリアンレストラン。
その厨房に桜がいた。
「あれ?セイバーは一緒に戻ってきてないんですか?」
「桜でもどこに行ったかわからないのか・・・食事に誘ったが断られた。どこかへ消えてしまったよ」
「気を遣ってくれたのかもしれないですよ・・・先輩」
「どうだかな。あれは、単に関与したくないという態度にしか見えなかったが・・・」
そう応えながらアーチャーは厨房内を見回すと、手近にあった業務用冷蔵庫のドアを開けた。
「さすがに小さいとは言えレストランだ。食材が揃っているな」
「ええ。腕によりをかけちゃいました」
桜は業務用キッチンの上に置かれた料理の数々を披露するように、その手で指し示した。
「掃除もしてもらった上、食事まで作ってもらえるとは光栄の極みだ」
「適材適所ってやつです。特にお掃除は断然私向きですからね」
「そうだな。ここを無人にするのは私よりも、桜のほうが断然向いている」
そう言いながらアーチャーはキッチンに置かれた料理を手に取ろうとした。
「あ、つまみ食いはダメです。私が運びますから、先輩は席で待っていてください」
「そのうえ、給仕までしてもらえるとは。普通は逆なのだがな。今は桜が私のマスターなのだから」
そう言いながらも厨房を出たアーチャーは店内へと移動した。そして近くの椅子に座るとテーブルの上で手を組んだ。
「それでは、先生として弟子の腕前を品評させてもらうとしようか」
「あ、そういう態度とるのは良くないですよ」
アーチャーの後に続いた桜は料理を並べていく。
サーモンのマリネ、シーフードグラタン、ポタージュといった品々である。
「どうですか?」
アーチャーは並べられた料理に一通り手をつける。
「うん。やはり桜の洋食は安定感があるな。合格だ」
「ふふ。ありがとうございます。先輩」
「私だけが食事をするのは、恐縮だ。キミ自身も食べるがいい」
その言葉に桜は僅かに身じろぎし、顔を俯かせた。
「・・・ダメなんです。先輩」
「どういうことだ?」
「・・・・・・もう味を感じないんです、私。実は、三日前からです」
それは、まだ桜が今のように変貌する前からということだった。
「そうだったのか。ではあの時、私達が作った料理も味を感じられなかったわけか」
アーチャーが言っているのは、衛宮邸で過ごした最後の日にキャスターも含む三人で作った料理の事だった。
アーチャーはあの時の桜の蒼白い顔色を思い出した。
「はい」
「・・・そうか。配慮が足りず済まなかったなマスター」
「いいえ。いいんです」
そう言って桜はにこりと笑った。
「先輩の料理を美味しく食べられないのは本当に残念だけど、おかげで私は先輩を手に入れられました。その代償だと思えば我慢できます」
アーチャーは席から立ちあがると、桜の肩に手を乗せた。
「桜。思う存分、この世界に復讐してやるといい。私はお前の望むように振る舞い、望みを叶えるのに全力を尽くそう」
「ありがとうございます。先輩」
桜はアーチャーを見上げると、少し目を潤ませた。
「私もまた、この世界にも、自分にも、自分の任務にもうんざりしていたところだった。お前によって解放されたこの機会、存分に活かさせてもらうさ」
「・・・それじゃあ、先輩。早速ですけど、一つお願いしてもいいですか?」
「勿論だ」
「・・・・・・・・・」
桜は俯き、しばし沈黙した。
「・・・・・・抱いてください」
「・・・・・・・・・」
微かにアーチャーが身じろぎした。
「それが、私の夢だったんです」
少女のある種、ありふれた小さな願い。
その意味と、それを叶えることの意義を、男はほんの僅かな時間だけ考えた。
「・・・桜。今では廃れてしまったが、私のいた世界では大事な教えがあってな」
身を固くして返答を待つ少女に、男は唇の片端を吊り上げてにやりと笑って見せた。
「え?・・・・・・それはどういう・・・??」
「略すと『据え膳』と呼ばれる戒律だ。これに背くと男として使い物にならないと見做される極めて危険なしきたりなのだ」
私はそれに忠実に従うとしよう、とアーチャーは続けた。
「オレもお前が欲しかった」
未だにその言葉の意味を理解できないままキョトンとしている少女の頭に、男はぽんとその手を乗せる。
その手は、やがて少女の背中へと回されていき・・・そして、主のいない空間の中で二人の影が重なっていった。
Interlude out
こんな展開になりました。
お姫様抱っこや、料理シーンなどそれなりに前振りはしたつもりですが、読んでいる方々は「やっぱりな」となるのか、「そうくるのか」となるのか、どちらなんでしょうか?