Fate/√knight  【ムラサキノウエ】   作:わが立つ杣

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後書き ~登場人物総括~ マスター編②

 登場人物総括マスター編の第2部です。

「あいうえお」順で並べていますので、4人中3人が間桐家の人々です・・・

 

 

 

 5.遠坂凛

 

 ●概要

 会話シーンではとめどなく勝手に話してくれるので非常に楽なキャラクターです。キャスター、綺礼も楽ですが、No.1は間違いなく彼女です。

 実は流れ次第では途中で死亡させてもいいと思いながら書いていました。本作は決して彼女を中心とした物語ではないので。ですが、結局のところ最後まで死ぬ気配もなく、コンスタントに出番がありました。強いて言えば、14日目後半に登場シーンがなかったのが本作での彼女のポジションを端的に表していたわけですが、それでも存在感がありましたね。

 戦闘シーンでも彼女は決して目立っていなくて、関与したのは、

 1日目 バーサーカー戦

 6日目 慎二をいじめるところ

 6日目 ランサー戦

 12日目 アーチャー戦

 などですが、左程活躍してはいません。

 彼女の真骨頂は会話シーンです。結局のところ、誰もが彼女を精神的に屈服させることができないため、みんな彼女を蔑ろにできません。慎二、桜、ライダーの嫉妬の対象であり、キャスターは負い目を感じる相手ですが、当の凛は歯牙にもかけていません。

 また、エピソードの後書きでも書きましたが、他者が彼女をどう表現するかによって、表現者側の度量が滲み出ます。そういう意味ではライダーが凛を自分より上だと初めから認めていたことで、今作のライダーのしなやかさを表現できたような気がします。

 

 ●ツッコミどころ

 完全に結果論ですが、宝石剣を作る必要はなかったですね。その隙を突かれて、魔術回路を奪われてしまいましたし。

 

 ●印象深いシーン

 綺礼同様コンスタントなので、選び辛いのですが・・・

 ①13日目

「ありふれた存在だって卑下することなんてない」ときっぱり言ってのけた凛。魔術回路を消されてしまったことで桜に「ありふれた存在」と嘲られた際に返したセリフです。凛としては、「魔術師であること」そのものに価値を見出してはいないのです。

 

 ②9日目

「召喚したのがあなたで良かった」。アーチャーとの別れシーンです。この二人の間には長い会話は必要ないですね。

 

 ③14日目

「何やってるのよ、あなた達!」綺礼VS葛木戦で綺礼にとって致命的になった闖入シーン。6日目にライダーが士郎を演技で殴って慎二をだまくらかそうとした場面でも、凛がぶち壊しにしました。彼女は何気に間が悪いです。

 

 

 

 6.間桐桜

 ●概要

 本作で最も悩ましかったのが、桜の救済でした。ライダーが士郎とくっつくことは確定事項でしたので、桜が嫉妬で黒化するのは当然の流れなんですが、落ちっ放しで、救済なしではいくら何でも酷い(桜ファンからのバッシングが怖い・・・)。

 考え抜いた結果として、アーチャーが桜を拾ってあげる形に落ち着きました。原作などではアーチャーと桜の絡みは殆ど記憶にないのですが、終わってみればすんなりと収まった気がします。

 抑えたままのいい子の桜は、書いててもどかしいというか筆も進まない。だけど、黒い桜やキレた桜は俄然生き生きとして、書いていて楽しかったです。

 前半は危険な香りを発散しまくり、めでたくアーチャーをゲットした後は、もうノリノリです。

 戦闘面では、ヘヴンズフィールで凛に勝ちきれなかったことを踏まえ、いざ黒桜になってしまうと不意をつかない限り英霊相手には太刀打ちできないという状態と解釈して表現しました。

 

 ●ツッコミどころ

 9日目に士郎が慎二にいたぶられますが、あの場面を見てて士郎がハラキリするまで桜が気配を消し通せたとは思えないんです・・・慎二が魔術で士郎を攻撃したあたりで悲鳴をあげますよね。

 

 ●印象深いシーン

 ①9日目

 黒桜になって、みんなを詰るところ。溜まりに溜まったあらゆるものへの不満を一斉にぶちまけているわけで。今、見返すとこれでは足りないくらいだったなと思えます。

 

 ②6日目

 眼鏡をかけたライダーに対しての「あなたって本当に綺麗ね」・・・それは刃物です。

 

 ③15日目

「本当にダメな先輩」。アーチャーとの別れのシーン。愁嘆場になると鬱陶しいので、こんな感じにしました。最後にボケたアーチャーのファインプレイです。

 

 

 

 7.間桐慎二

 ●概要

 慎二は、展開次第ではいい人や、格好いい人にもしようがあると思うのですが、本作ではダメ人間を貫くことを決めていました。必ずライダーとの主従関係にはっきりした決着をつけて、終わらせたかったからです。生き死にはどちらでもいいと思って書き進めました。結果的に生き残っていますが、彼のその後の人生は惨憺たるものでしょう。

 非常に微妙な機微のあるキャラクターで、筆者の解釈としては、士郎のことが本来好きなのですが、同時に士郎には勝てないということをわかっている。聖杯戦争なんてものがなければ、それを認めたまま、そのままの距離感で大過なく終わった筈の関係ですが、残念ながら士郎が魔術師という自身が最も特別視する存在だということがわかり、正面(?)衝突することになりました。

 物語的には超重要キャラの割に扱いがぞんざいになるのが彼の持ち味と言えるのかもしれませんが、登場人物の中でもっとも表現しきれなかった人物が彼でした。正直、心残りで、もう少しはっちゃけさせたかったです。特に12日目の凛との会話や、13日目のライダーとのやり取りはもっと振り切れた表現ができなかったかなと反省しています・・・

 

 ●ツッコミどころ

 6日目と9日目に士郎への脅迫状を投函しているわけですが、いずれもかなりの早朝です。目覚ましかけて早起きしたのか完徹したのか・・・地道に頑張りますね。 

 

 ●印象深いシーン

 ①1日目

「はあっ!?何でそんな必要があるんだよ!?」。この時まではツンデレ気味の面白い人で済んでいたのですが。

 

 ②13日目

「セイバーには一撃でやられたんだ。まるで相手にならなかった」。ライダーも驚いていましたが、ちゃんと事実を捉えてはいるんですよ。この人。ただの阿呆ではないのです。

 

 ③13日目

「こんな理不尽な戦いに巻き込まれたばかりにね」。凛は、慎二が自らの意思でこの戦いに参加したくせに、と否定していますが、ある意味では慎二の嘆きも真実です。同情の余地はないですが、彼もまた道具に過ぎなかったわけで。

 

 

 ⑧間桐臓硯

 ●概要

 桜が闇落ちする9日目迄は登場シーンは1回だけ。完全に黒幕に徹しました(士郎なんて13日目まで会っていません)。「臓硯が暗躍している」のは、読者の皆様には既知のことなので敢えて描写する必要もないかと思いまして。決して手抜きではないんです・・・

 性格などは、HFと殆ど変えていません。慎二と同様かそれ以上に救いようのない、そして救う必要もないキャラクターとして貫き通しました。 HFではそもそも聖杯戦争が生まれた背景などを説明するためにも、彼のかつての志を掘り下げていたと思いますが、本作ではそれらの事情は読者の皆様にとっては既知のものという前提です。そのため、彼の矮小さを際立たせることで、どうしようもない人という個性を強調したつもりです。

 とは言え、純粋に出番が少ないため、インパクトはあまり残せませんでした。元のイケメンに若返って大活躍するような展開にしたら、インパクトはあったんだろうな~と妄想だけはするのですが。

 

 ●ツッコミどころ

 桜を闇落ちさせた後のことが杜撰すぎるとか、蟲蔵を冬木市外にも作っておけよとか、13日目に夜襲掛けた時も油断しすぎだろとか色々ありますね・・・

 

 ●印象深いシーン

「特になし」ですね・・・

 

 







後半二人の振り返りはあまり筆が進みませんでした。
やはりメインはサーヴァントなんです。

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