廃品回収   作:恵比寿酒

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色々
幻想の空想樹


 ───幼い頃から、いつも同じ夢を見ていた。

 

 人が、妖が、神が、あらゆる幻想が暮らす最後の楽園。

 少女たちが色とりどりの美しい弾幕を放ち、大空を縦横無尽に駆ける幻の世界。()()()()()()()()()()()

 

 白昼夢のようにはっきりとしている夢で、いつも自由に動けるのに、いつも何もできずに見ているだけで覚める夢。

 

 私と同じように夢を経由して来ているらしい少女もいたが、その少女はその世界でも自由に動き回ることができたし、彼女たちと交流もできた。やはり私に気づくことも無かった。

 

 そしていつしか、私のみが異物なのだと気がついた。

 

 だからだろう。あの世界に憧れるようになったのは。あの世界があると確信していたのは。あの世界に行きたいと願ったのは。

 

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 吾輩は転生者である。名前はもうある。前世がどんな人物だったのか大体しか見当がつかぬ。何でも平凡な人間だったことぐらいしか記憶していない。

 吾輩はこの世界で初めて魔術というものを見た。神童などと言われはしたが、いまいち理解が及ばぬ。しかしながら重大なことに気がついた。

 

 口調を戻すが、私は前世で趣味は読書やゲームでバリバリのインドア派だった。そして今世は魔術師の家に生まれ、この世界がFate世界だと早々に気づいた。つまり死亡する可能性が前世よりも高いことにも早々に気づいてしまった。

 なにせ今世の実家はそこそこ古い魔術師であり、私は才能に恵まれていた。おかげで周囲からの期待が怖い。こちとらは根源になんか興味はない。あと生贄か何かにされそうで怖い。キャスターとか超怖い。

 なので自衛のため一通りの魔術を覚えた後に親兄弟を説得し、将来的な家長は兄弟に譲ることにした。幸いにして皆理解を示してくれる人ばかりだったし、兄弟も喜んでいた。これで少しは危険性は減ったと思いたい。それでも死にそうではあるのだが。

 

 危険が危ないと言いたくなるFate世界だが、実はこの世界に生まれて良いこともある。この世界は前世よりも幻想が近い。さらに魔術もある。もしかしたら文字通り夢に見たあの世界に行けるのかもしれない。

 しかも今世の家系は遠い先祖に竜種、しかも龍と交わったと語られていて、それが誇りの1つらしい。あの世界で龍は特に重要な存在だ。本当に可能性がある。

 根源に興味はないが、魔術的アプローチからでもあの世界への行き方を探求するのも良いのかもしれない。何せどうすればあの世界に行けるのかも分からないし、そもそもあの世界がどこにあるのかも私は知らないのだ。少しでも手は多い方がいいに決まっている。

 

 ───などと考えていた過去の自分を殴ってやりたい。

 成人後、一人暮らしにであの世界への行き方を探しつつ数年。ある日とある機関からの使いが来た。機関の名は『人理継続保障機関 フィニス・カルデア』。

 なんと今世はよりにもよってFGOの世界であった。可能性どころか死亡確定である。泣きたい。さらに示された待遇は、有難いことにAチーム。もっと泣きたい。

 

 FGO世界なら行っても死。行かなくても死。ならば行かないよりはマシだと思い、私はカルデアに参加することにした。

 ちなみに、なぜ私のところに来たのかと使いに問うとなんと兄弟からの推薦であった。確認したところ、私は魔術師をやめるのではなく、自己流で根源に至ろうとしているのだと勘違いされていた。誤魔化して説得しようとしたツケである。

 

 なお、カルデアでの生活はなんやかんやと快適で有意義だったと感じている。様々な知識が集まっていたし、同じAチーム内で良き友人もできた。世界の裏側や幻想種、サーヴァントの知名度などの議論もできた。あの世界へ行くことへ以前よりも大分前進した。……と思う。

 ちなみにカルデア破壊への妨害工作は全て失敗に終わったと伝えておく。節穴などと言われていても、魔神柱の一柱。天才だの言われていても一般魔術師にはどうすることもできない。むしろこちらの身が危なかったことが何度もあった。

 

──────────────────────────

 

 ───目が覚めると、そこには夢に見た幻想がある。

 

 何度見ても素晴らしい世界だ。ここにいる全てが愛おしい。この世界全てが美しい。あの世界に今、私はいるのだ。

 

 けれど、この世界は空想だ。空想樹により成り立っている異聞帯。本来ならば消えていく世界線。そんなのは嫌だ。救いがあったとしてもこの世界が消えることには変わりないのだ。許容などできない。

 

「分かってるわよね?『龍司』。貴方が今しようとしているのは間違いなく『悪』よ」

 

 隣に佇む博麗の巫女が問いかけてくる。

 

「分かってるよ。でも、私はこの世界が大好きなんだ。

だから世界を滅ぼす。この世界のために人類の敵となる。恥などいくらでも上塗りするし、この世界にも嫌われよう」

 

「分かってるならいいわよ。私は巫女として貴方の命令に応えるだけ」

 

「───ありがとう。『霊夢』」

 

 俺はこの世界を残したいんだ。俺の愛する幻想を。彼の愛した幻想を。そのために彼から託されたんだ。

 だから、必ず守るのだ。この───『幻想郷』を。

 

──────────────────────────

 

 それは、異聞帯ながら過去の世界。

 博麗大結界が張られず、妖怪たちが忘れ去られなかった、人と妖と神が共存する楽園。

 主人公たちが対峙するは幻想の世界。

 今、龍神が目を覚ます。

 

「改めまして自己紹介を。カルデアの皆様。私───

いや、俺は『博遠 龍司』元Aチームにして現クリプター。そして幻想郷の龍神だ」

 

「博麗の巫女。ルーラー『博麗 霊夢』よ。初めまして。

そして───さようなら」

 

Lostbelt No.?

AD.1884?

無現空想結界 幻想郷

幻想の龍神

異聞深度:A

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