使いたい技があった。
意味があったかどうかはともかく、使えて満足。
あとがきに能力の霧についての補足説明あり。
ゆっくりしていってね!
私だ、エヴァンジェリンだ。
ワノ国に来て一ヶ月が経った。
野郎共の依頼の品のみだと悔しいので、私のコレクションにしようと色々頼んだら製作時間二ヶ月だったのが半年になってしまった。
ちなみに、頼んだ刀鍛冶は天狗の面を被ってる人で、何故か化け物を見る目でした。
だからなのか、スキヤキ様からの要請で内政補助及びおでんの相手を頼まれてしまった。
何故内政補助を頼まれたのか、それは半月ほど前に連作障害が起きていた村が幾つかあったので、適当に「二毛作したら?」と言ってしまったのが運の尽き。
治水やらなんやらの意見をそれとなく求められ、世話になってるしと答えてしまった結果だ。
おでんの相手に関しては、国の金を使い込んだり、チンピラやヤクザと喧嘩したり、私の楽しみにしていた羊羮を勝手に食べたりとつい我慢できずに鉄拳制裁してたら、
最低でも三日に一回殴り飛ばしてる。
あと海賊団の方だが、一年後ぐらいに何かするらしく三か月前に帰ってこれるなら自由にして良いとのことだ。
今のところ海軍と追いかけっこしつつ戦力集め中らしい。
シキとカイドウは早く武器持ってこいとありがたい言葉をくれたのでシネと返しておいた。
エドワードは黒炭の二人の目撃情報をくれた。
半年以内にワノ国に着きそうとのことだ。
やっぱり早く来すぎたんだね。
女性陣とは近況報告をした後、甘味と着物をお土産にすると約束をした。
自己鍛練も欠かしていない。
ロックスをブッコロするため、町の裏の顔役の【花のヒョウ五郎】に覇気の【流桜】なる技術を学んでいる。
見聞色?アレは完全に諦めてる。
まあ、私オリ主だしーピンチに覚醒するっしょー
それはそれとして、ついに海楼石に手を出したよ。
結論、死ななかった。
ただし海楼石に触れている間は、瞬間再生も封じられてしまう。
痛みを感じないのはそのままだけど、再生しないので斬られたり、引きちぎられたり、弾け飛んだりして血を流しすぎると動けなくなる。
ので、海楼石に慣れるため腕輪を常時身に付けてる。
付け初めて三日ぐらいから、切り傷程度なら治るようになってきた。
ちなみにその三日間は純ゾンビ化してた。
呻きつつ俯いてよろよろ歩きだ。
「おぉ!エヴァじゃないか!」
「じゃないわボケ」
「あ痛たぁ!?」
堂々と道の真ん中を歩いていたおでんの頭をひっぱたく。
先程まで飲み友の葬儀に参加していたのは知ってる。
火葬中にその火でおでんを食べてたのも知ってる。
おでん流の最後の飲み会のつもりなのも知ってる。
だがしかし、私の三日間漬け込んだ大根を使いやがったのだ。
今日の晩御飯用として楽しみにしていたしみじみ大根。
「おでん……貴方のことはバカだけど尊敬できる奴だと思ってる」
「そ、そうか?いや~照れるなぁ~」
「だが私の大根を盗ったことは許さん」
「あ、いや、その、う、美味そうだったから、つい……」
「歯ぁ食いしばれ」
「誰か助けボゲェ!?」
200%のビンタ炸裂である。
スッキリしたので茶屋に行こうと歩くと、綺麗な紅葉腫れを作ったおでんがフラフラしながら隣に並ぶ。
「金がないから奢ってくれ」
「恥は無いの?」
「無いな!」
清々しいほど速答。
溜め息をついて勝手にしろと手をヒラヒラ。
おでんと共に羊羮をパクついていたら、都中が俄かに騒がしくなる。
火事かな?と思っていたらおでんがいなくなってた。
悲鳴も聞こえるので、とりあえず物見台の上に跳ぶ。
ざっと見渡し、都に向かってデカい何かが向かって来ているのが見えた。
山と見紛う巨大な白猪だ。
アレ止めないとヤバいよね~でも私だと重量不足で飛ばされそう。
殺すだけなら能力の霧を使って灰にすれば済むけど、腹の中にまだ生きた人がいる感じがするんだよね。
ちなみにこれは見聞色の覇気じゃなくて、ファンタジーアンデッドの生命探知だよ。
視界の端、おでんが路地裏でチンピラだろう小童達と何か話してる。
とりあえず、解決はおでんに任せて避難を優先することにする。
全力越え強化で一番早く白猪が到達する場所に移動する。
「きゃぁぁぁ!!」
「助けてくれぇぇぇ!!」
「うわぁぁぁ!!」
案の定身体が粉々に砕け散ったけどすぐに治し、大声出しても聞こえなさそうな騒ぎなので、今の私の全力800%で高速強制避難を敢行。
「「「ぎゃぁぁぁぁぁ!?」」」
なんか、悲鳴の質が変わった気がするけど、気のせい気のせい。
きっとジェットコースター感覚だよ。
進路上の避難が完了したが、白猪が家屋を飲み込みながら突き進んでくるので、おでんが来るまで足止めしようと思う。
いざ突貫!と一歩踏み出そうとしたら、さっきおでんと話してたチンピラの一人が私の横を抜けて白猪に挑み始めた。
普通の侍より強いみたいだけど、白猪に勝てるほどではない。
案の定、刀を一度突き刺しはしたが振り落とされ、今まさに家屋と白猪に潰されるところだ。
放置するつもりはないので、チンピラの前に行き片足を前にする少し変わったクラウチングスタート。
「な、なにを―――」
チンピラが何か言っているが、今は無視。
とある必殺技の再現をするため集中。
体術において、リスペクトするなら【NARUTO】のあの人!
見た目の為に紅い霧をあの形に!
まだまだ未完成だけどいざゆかん!!
「夜ガイ!!」
派手な跳び蹴りが白猪と正面からぶつかり、衝撃波が無人にした周囲を粉砕する。
私は都の端から端に吹き飛ばされたが、白猪もその巨体が浮かび上がり都の外へ弾かれる。
目を回して地面にめり込んでた私は、その後の展開を知らない。
気が付いて助け出された時、スキヤキ様の使いの人が私が吹っ飛んでからのことを教えてくれた。
なんでも、白猪は子供を連れていかれたから襲い掛かってきたらしく、その子供はおでんが連れてきたとか。
で、おでんが白猪を横に一刀両断してなんとかしたが、スキヤキ様も流石に今回のことは見逃せず、おでんに対し絶縁と都追放を言い渡したそうだ。
それが一時間前のことで、これから都からおでんが出ていくそうだ。
それで、まあ、スキヤキ様からの要請でおでんについていってほしいとのことだ。
もちろん、黒炭の情報が入ったらすぐに知らせてくれるらしい。
ちなみに私は今回のことで、夜ガイを見ていた人達から龍の化身と崇められるようになってしまっていた。
物凄く居辛くなったので、渋々おでんについていくことに。
「エヴァ!一緒に行ってくれるのか!?」
「ん」
「ワハハハ!心強いな!」
二人で並んで歩いていると、ロックスとハチノスにいたころを思い出す。
なんだかちょっと懐かしい。
まだ死んでないよね?
「そういえばあの時の技、俺にも教えてくれ」
「ヤダ」
「そう言わずに!」
「ヤ」
「「待ってください御二方ー!」」
そんなやり取りをしていると、後ろから走って追いかけてくるチンピラ二人。
多分、いつものおでん節に惚れ込んだ奴らだろう。
こういうチンピラは後先考えずに行動するから、ついていきたくてもついていけない奴らは羨ましいだろうな~。
おでんは嫌そうな顔してるし、スルー推奨で。
「それで、どこに行く?」
「んぁ?そうだな……とりあえず、【白舞】のオジキの所に行こう!」
「【霜月康イエ】様。オジキって呼んでるとまた怒られる」
「良いんだ!オジキはオジキだ!」
そして白舞に辿り着き、康イエ様への目通りを願う。
おでんに任せると勝手に侵入するので、私が対応。
なんで私はおでんの右腕みたいなポジションなんだろう。
案内をかって出たのは、腰の低い小物っぽい若者。
そして康イエ様と面会。
「都を追放されたこんなバカの供とは、エヴァンジェリン殿も大変だな!」
「そうですね。まあ、こんな馬鹿でも友人ですので」
「二人してバカバカ酷いぜ……」
「「うるさいバカ」」
色々話し合った結果、おでんを下手に自由にさせると何をするかわからないので、康イエ様の下にしばらく泊めてもらうことになった。
その際、案内してくれた若者も紹介してくれた。
「新入りのコマ使いだ。なんでも家族が病に倒れてしまったそうでな」
「ヘェヘェ!康イエ様に拾って頂きました、オロチと申すコマ使いでございやす」
「オロチ?」
「ヘェヘェ!そうでございやす」
……メタかもしれないけど、こいつ黒炭やろ。
絶対盗まれた悪魔の実食べる奴じゃん。
康イエ様とおでん達は何やら話していてこちらを見ていない。
なので私は、
「えっと、何か?」
「……別に」
違うなら違うで放置すればいいしね。
これ単体なら何もできやしない。
・・・
・・
・
そんなこんなで、白舞に留まること一週間。
ひたすら問題を起こしたおでんが言い放つ。
「【九里】に怪物が住んでるらしい。【アシュラ童子】という鬼との噂だ。だから行くぞ!」
おでんのその提案で、ワノ国巡りをすることになった。
白舞を出る前に康イエ様とおでんの使ってた部屋の確認。
どう使ったらこうなるんだという壊れた部屋がそこにあった。
「ホント申し訳ない」
「いやいや、エヴァンジェリン殿が謝ることではない。天災が通ったと思って諦めるさ」
「……この国の偉い人、おでんに甘い」
「嫌いになれる奴の方が少ない、ということであろう」
そろそろおでんが待ち草臥れてるだろうし、城内が少し騒がしくなってきたので御暇することに。
康イエ様に部屋の修繕費と諸々の迷惑費を渡して、おでん達と合流する。
城を出る時、おでんが金を盗んだとかなんとか。
おでんなら堂々と正面から持って行って派手に使うと思うけど。
「おでん」
「なんだ?」
「康イエ様の所から金盗った?」
「いや?今はエヴァがいるから必要ならエヴァに頼むぞ?」
「それはそれで問題。改めるべき」
「俺より金の管理が上手いから無理だ!ワハハハ!!」
駄目だこいつ、早くなんとかしないと。
チンピラ含め四人で騒ぎなから九里へ向かう。
ちなみに、白猪に突っ込んだチンピラは【錦えもん】、妙におでんを尊敬しているのは【傳ジロー】だ。
何故か私を姉御と呼ぶ。
ついてくる二人を見て、おでんはやっぱり嫌そうな顔をする。
白舞を出て数日、【鈴後】で私特製おでんを四人でパクついてたら、可愛らしい二人の子供が食べたそうにしてたので誘った。
おでんは嫌そうだったが、食材の金を出したのは私だ。
おでんの口に熱々の卵をねじ込み黙らせる。
唐突な熱さに悶え転がるおでんを見て鼻で笑う。
女の子のように可愛いが、兄弟らしく兄が【イゾウ】、弟が【菊の丞】というそうだ。
このまま鈴後に居座る気がない様で、おでん一行に参加した。
おでんは凄く嫌そうだった。
鈴後を出てまた数日、【希美】で髪の毛を狙う変態がいたので裏蓮華でノした。
名を【カン十郎】と言うそうで、日銭稼ぎに髪で筆を作っていたとか。
昔迫害されてたらしい、ので一思いに殺してやろうとしたら皆に止められた。
なんだかんだでついてくることになったが、私の髪に触れたら首を捩じ切るつもりだ。
この後しばらく皆が視線を合わせてくれなくなった。
希美を出てさらに数日、【兎丼】でおでんの知り合いの忍者【雷ぞう】が泣きついてきた。
ついでに私に求婚してきたので、丁重にお断りした。
自分よりデカい男は、ロックス達のせいで嫌いです。
結局この忍者もついてくることに。
忍術らしい忍術を見ることができ、大変興奮しました。
思わずハグしたら、凄い顔で鼻血を出して気絶した。
・・・
・・
・
そして都から出て約一ヶ月、九里へ辿り着いた。
入口が見えないぐらいの位置で、一旦休息をとっていた。
「で?」
「ん?どうするかか?」
「そう」
おでんがトイレと言って九里の方へ向かったので、私も他の皆に気づかれないように来た。
正直、イゾウと菊の丞にこの先は無理だからね。
「特に考えてない!当たって砕ける!」
「頭沸いてる?」
「ワハハハ!かもしれんが、煮えてなんぼのおでんに候!!」
二人で並んで、入口の門を蹴破る。
門の先にはずらりと囲むように大量のゴキブ、チンピラ侍がいた。
「おいおい、まだガキだが女じゃねぇか」
「ひひひ、楽しめそうじゃん」
「へへへ……お前、光月おでんだな?」
さて、殺すか。
いやいや、落ち着け私。
確かに気持ち悪い視線だけど、おでんに殺意が無いからなるべく殺さない方が良いはず。
でもめんどくさいな~。
「絶縁につき名乗るが名がない……ボスに伝えろ、『侍が来た』と」
「ついでに『化け物がいる』も」
次の瞬間、おでんがまっすぐ正面から突っ込んだ。
私は脚力強化し弓を持ってる奴等の隣に移動して、居合拳で殴り飛ばす。
見聞色を使える奴も居るらしく、たまに矢が刺さったり斬られたりする。
とりあえず、おでんに矢が刺さらないようにしてる。
そうやっておでんが派手に、私が地道に半日蹴散らし続けていたら、とうとうアシュラ童子が現れた。
「調子に乗ってんじゃねぇぞ……おいどんが直接その首刎ねてくれるわ!!」
おでんが『手出し無用』と視線を送ってきたので、『どうぞご自由に』と手を振る。
おでんとアシュラ童子の一騎討ちを邪魔しようとするのが結構いたので、ひたすら殴り飛ばす。
そして約一時間後、おでんが倒れるアシュラ童子の上に座る。
「エヴァがいなかったらもっと時間がかかってたな」
「結論ボロボロ」
「そう言うエヴァは矢だらけだろ」
おでんは傷と血だらけ、私は矢が十数本刺さった状態だ。
邪魔なので全部引っこ抜く。
おでんの傷は、なんか誇らしげなので放置。
私は無傷の状態に。
今更だが、私の霧による再生は服にも適用可能だ。
「さっさと殺せ!どうせ見えすいた未来……未練はねぇ」
「……そうかい」
アシュラ童子を見て、おでんはなにか考えてる。
その顔を見てると、なるほどと思ってしまう。
おでんはまさしく、王の器だ。
「おでんさーん!!姉御ー!!加勢に来た!!」
錦えもん達がやっと私達がいないことに気がついたのか、急いでやってきた。
倒れるアシュラ童子と五体満足の私達を見て驚愕している。
「なぁ、エヴァ」
「なに?」
「あまり滞在できる時間はねぇかもしれんが、頼めるか?」
「……好きにして」
「おう!好きにするぜ!……おい!お前ら!まだ、俺の事大好きか?」
面倒だけど、まあ、友の頼みだものね。
「お前らの知恵と力を貸せ……俺はこのどうしようもねぇクズ共の王になる事にした!!」
ロックスに合流がギリギリになるって言わないと。
後でどんな無茶ぶりされるか……今から恐ろしい。
・・・
・・
・
九里への討ち入りから三ヶ月。
チンピラ共を馬車馬のように働かせ、ワノ国の地獄と呼ばれた土地は郷と呼べる場所になった。
その情報はワノ国中に瞬く間に広まった。
この快挙に、将軍スキヤキ様はおでんとの絶縁を解き、おでんを【九里大名】に任命した。
その情報もすぐに広まり、九里の元チンピラ達も喜びあってる。
「だがしかし!まだまだ復興途中、サボらず働けぃ!!」
「エ、エヴァの姉御!?」
「悪鬼羅刹すら凌駕する修羅のエヴァンジェリン殿!?」
「ち、違うんです!決してサボってた訳では!」
「問答無用!成・敗!!」
「「「ギャァァァ!?」」」
最近知り合いから性格違くない?と言われるエヴァンジェリンです。
バカなチンピラ達相手に今まで通りだと嘗められるので、自分に暗示をかけて多重人格にしています。
今日も今日とて、超強気エヴァは絶好調です。
サボりをしばき倒し、【おでん城】に帰宅。
こんな感じで、おでんを補佐したり、順次出来上がる私用の刀の扱いの練習をしたり、休む間もない毎日です。
まあ、休む必要ないんですけど。
「―――大名には家臣がつく!どこぞの立派な堅物がなるより、俺はお前らがいい!俺の侍になれ!」
『ッ!?ばい!おでんざま!!』
「おいおい、泣くなよ」
どうやらやっと、おでんも錦えもん達を部下として認めたみたいだね。
えがったえがった。
「おう!エヴァか!いつもの巡回ご苦労!」
「私がいかないとおでんが自分でやり始めるからでしょ。大名になったんだからもっと自覚持ちなさい!」
「ワハハハ!出来る限り前向きに善処する!」
「……ブッコロ」
「ギャァァァ!?」
・・・
・・
・
さらに一か月後。
スキヤキ様の使いがおでん城にやってきた。
内容は、黒炭と思われる二人組が白舞付近で確認された、と。
その報告を聞き、おでんと顔を見合わせる。
「残念だが、エヴァの後顧の憂いを断つ為にもしっかり始末つけねぇとな」
「……これから忙しいのに、ごめん」
「気にすんな!できれば外へ行く時俺も連れて行って欲しいが、船で行くわけじゃないんだろ?用事が終わったら、また来てくれればいいさ」
「……ん」
そんな私とおでんのやりとりを見ていた使者殿が言い放つ。
「お二人は、良い仲なので?」
「「こいつとだけはお断りだ」」
こんなバカと夫婦なんか死んでもお断りだね!
おでんと罵り合いながら、もうすぐワノ国での活動も終わりだと実感する。
海賊生活に戻る……あれ?私、あんまり海賊らしいことしてなくない?なくなくない?
……深く考えるのは、やめます。
TO BE CONTINUED
主人公の霧についての補足説明
そのうち本編でも詳しく書くと思うのでざっくり。
灰にする赤黒い霧は基本即死だと思ってください。
ただ、覇気で防御できます。
現状の主人公より強い武装色、武装色と見聞色の二種持ち、覇王色含み、このどれかを持っている相手には効きません。
武装色依存の即死魔法だと思えば良いです。