ワタシは悪いゾンビじゃないよ!   作:ディアズ・R

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次回でロックス編は最終話。
そしたら投稿がしばらく空くと思います。
まだ書いてないから!
すみません!


始まりの終わり

私がロックス海賊団に合流してから四ヶ月後。

バッキンとシャクヤクは予定通り船を降り、リンリンの子供達も留守番だ。

そして今、私達はゴッドバレー近くの上空にある雲の中だ。

複数の電伝虫からインペルダウンとマリンフォードの情報が伝えられる。

あえて襲撃の情報を流しているので、普段より警備が厳重だろう。

 

『こちらインペルダウン。軍艦は多いが大将は見当たらない。これより交戦に入る』

『こちらマリンフォード。すでに交戦中。大将が出てくる気配はないが、中将と少将が多い』

「了解。そのまま2、3時間遊んでなさい。そこから先は自由にしていいわ」

『『了解』』

 

大将が見当たらないのは気になるけど、陽動としては充分かな。

てか何故私がこんな指揮官みたいなことしなくちゃいけないんだか。

船長はどこや船長は!

 

「そろそろ始めるから降下及び戦闘準備しときなさい」

「あいよ」

「ロックスは?」

「ジハハハ!まだ部屋で寝てんじゃねぇか?」

「あの野郎……引き摺ってくる!!」

「これからって時までいつも通りだねぇ」

「船長殿がいねぇと始めらんねぇから早く連れてきてくれよ副船長殿!」

「後でお前を海軍に投げてやるからな新入り!」

「ウォロロロ!せめて見習いって言ってくれよ副船長殿!」

 

船内を走って、船長室のドアを叩く。

 

「ロックス!ロックス!!もう始めないと!寝てんのかゴラァ!!」

「うるせぇな……今行くから先行ってろ」

「遅れといてなんだそれ!すぐ来なかったら待たずに始めちゃうからな!」

 

怒り足で船上に戻る。

数分でロックスも出てきて、皆を見渡す。

私はなんとなくロックスの隣に立ちドヤ顔。

 

「さて……準備は良いな野郎共!なら、派手にブチかませぇ!!」

『ウォォォォォ!!!』

 

雲から一気に島へ降下。

船ごと島へ上陸し、全員下船。

 

「グララララ!!」

「ハーハハハ!!」

 

エドワードが能力で津波を起こし、リンリンの能力で先程までいた雲から落雷が落ち海軍の軍艦5隻を全て沈める。

この島の住人、警備をしていた海軍、鎖に繋がれた奴隷達、天竜人であろう奴等、その全てがいきなりの出来事に慌てふためく。

今日襲撃を決行したのは、海軍の通信を傍受して天竜人が団体で泊まると知ったからだ。

 

「よし、俺様はこのまま奥に行って天竜人共をぶっ殺してくる。お前等は俺様の邪魔が入らないようにしろよ」

「良いからさっさと行ってこい!」

「クハハハ!死ぬ馬鹿が出ねぇように注意しろよ!」

 

そう言ってロックスは島の奥へと走っていく。

私はそれを見送り、周囲を見渡す。

そこで違和感に気が付く。

 

「……少な過ぎる」

 

そう、警備をしていた海軍が異常に少ないのだ。

島の奥にいるにしても少な過ぎ、私達が来てから数分とは言え中将クラスならもう来てもおかしくはないはず。

私は嫌な予感にシキが斬った海軍を確認する。

 

「……ッ!?全員集合!!」

 

私の言葉にすぐに反応し全員が集まる。

誰かが何かを言う前に調べていた海軍の首輪(・・)を掴んで、服を剥いで背中を見せる。

その背中には天竜人の奴隷の証(・・・・・・・・)

 

「ジョン……あなたが海軍の通信を傍受したから今日襲撃したんだよね?」

「あぁ……まあ、これ見るかぎり罠、だよな」

「……今日、天竜人が来てるのも確認した。海軍の動きからも通信自体は事実だったはず」

 

考えられるとすれば、天竜人にも秘密にした罠の可能性。

もう一つは、この中に裏切り者がいる可能性。

もし裏切り者がいるなら、一番可能性が高いのは───

 

───海軍の通信を唯一直接聞いた、キャプテン・ジョン。

 

ジョンの方を振り替えると、胸元に軽い衝撃。

覚えのある脱力感。

視線を下ろすと、心臓に(・・・)海楼石製の杭が刺さっていた。

 

「ジョン!?テメェ!」

「エヴァ!!」

 

周囲の反応にニヤケ面を晒すボケの首を掴む。

 

「ッ!?な、なぜ!?」

「心臓に刺したのが間違いだったね」

 

そう、能力を封じられようと私の心臓はもう動かない。

脳天だったらどうなるかわからないけど、それは私以外も即死だろうから気にしてもしょうがない。

そして、心臓を刺しただけのこいつは知らなすぎる(・・・・・・)

 

「ジョン……あの野郎(・・・・)金で私達を売ったな」

 

ムカつく笑顔で「HAHAHAHA!!」と笑う姿が幻視された。

皆もそんなイメージが思い浮かんだのか渋い顔だ。

 

「なるほどな……俺等なら首も一緒に斬り落とすわな」

 

そう、この船に乗っているなら私の不死性を知っている。

海楼石を刺しただけで安心するバカはいない。

つまり───

 

「マネマネの実の能力者だね」

「ッ!?」

「あ、これ返すね」

 

海楼石の杭を抜き、ジョンもどきの脳天に突き刺す。

絶命したからか能力が解除され、見知らぬ男に変わる。

まあ、私についての情報を流さなかったから許す……訳がないだろうが!!

 

「あのボケは見つけ次第ブッコロだとして……これ三大将、いるか来るよね」

「まあ、来ない方が可笑しいだろ」

「どうやら噂をすればってヤツだねぇ……おでましみたいだよ」

 

軍艦が三隻、それぞれに大将、中将3人、少将以下50人以上。

普通の海賊なら泣いて許しを乞いながら逃げるしかない相手。

だけど、ウチは悪名高いロックス海賊団。

まあ、私のいない間に上がった悪名だけども。

 

「エドワード、リンリン、カイドウは大将と。シキはいざという時の為に船の防衛と大将の援護封じ。他は数の多い雑魚で」

「まあ、それ以外ないか」

「大将とサシでやれるなら文句ねぇ」

「俺が支援ってのは納得いかねぇが、この状況じゃ船は大事か」

「エヴァ副船長はどうすんだい?」

「私は───」

 

面倒だけどやるしかないよね。

 

「───中将全員」

「グララララ!!」

「ジハハハハ!!」

「ハーハハハマママ!!」

「ウォロロロロ!!」

『それでこそだ!』

 

そして、今までで最高に、最悪な、戦闘が始まる。

 

 

 

・・・

・・

 

 

 

「うぎゃ!?」

「子供を殴るのは胸が痛むが、全く死なないな」

「見た目は子供でも謎の多い能力者だ。油断だけはするな」

「ぐぬぬ……そう言えばアンタ等いつも三人じゃなかった?闇の吹雪!」

「【ガープ】は出張中だ」

「アンタ等も行けよ!奈落の業火!」

「お前等を捕まえたら行くさ!てか攻撃の種類が多いな!」

 

中将全員強いし、その中でもこの二人【仏のセンゴク】と【黒腕のゼファー】がヤバイ。

強化して殴ろうにもセンゴクの衝撃波で近寄れず、武装色の覇気の純度と近接戦闘技術はゼファーの方が上。

未だロクに使えない刀は出すだけ無駄。

 

「て、普通に勝てるか!?」

 

赤黒い霧を広げる。

予想通り避けようとするのを見て魔法を放とうとした時、両腕が斬り落とされた。

 

「なん!?」

「エヴァ、邪魔させてもらうぞ」

「お前は【冥王レイリー】!?海賊が我々を助けたつもりか!!」

「利害の一致と言うやつだよ、センゴク」

 

ロジャー海賊団のシルバーだ。

腕を治して睨む。

 

「シルバー……そっちなの?既にいっぱいいっぱいなんだけど?」

「悪いな、船長命令だ」

「あの野郎!」

 

てかどんな理由で海軍側なのよ?

納得いく説明プリーズ!

 

「ロックスが今回のことを上手くやったら、世界はロックスを海の王と認めることになる。そうなると今までのような自由な航海が出来なくなりそうで、ウチの船長がロックスとの敵対を選んだ。そういう顛末だ」

「最悪だわ」

「海軍諸君。彼女の霧は触れれば灰にされる。だが、覇気を纏えば気にする必要はない」

「フッ……そ、そそそそんな簡単に防げるわけないじゃない!?なに言ってるのバカなの死ぬのむしろ殺す!ブッコロ!!」

 

雷の暴風をシルバーに放つが、真っ二つにされる。

シルバーの対処法に半信半疑だった中将達も、覇気を纏って霧に触れられるとわかれば今までのように攻め立ててくる。

唯一の救いは海楼石製の武器が無いこと。

ただ、無能力者は海楼石の手枷を持っているから注意が必要。

エドワード達も大将相手は中々手こずっている。

魔力温存の為に強い魔法を使わないようにしているぐらいで、ほぼ全力だが未だに一人も倒せない。

後先考えなきゃなんとかできるかもしれないけど、まだ大将も残ってるのにそんなことできない。

 

 

 

そして、硬直する戦場に、その声は響いた。

 

「ガープ中将がロックスを討ち取りましたぁぁぁ!!」

『ッ!?』

 

その一言に、海軍は士気が上昇し、ロックス海賊団の面々は動揺する。

 

「そうか……なら私の仕事は終わりだな。逃げさせてもらおうか」

 

シルバーはあっさりと撤退していく。

ロックスが討たれたのなら、海軍に味方する理由も、ロックス海賊団に敵対する理由もないのだから。

そんななか、私は呆然と立ち尽くす。

 

「……うそ」

「どうするエヴァ!?嘘かホントかわからんが今のでこっちは士気がもたんぞ!?」

「……」

「エヴァ!?エヴァンジェリン!!クソ!!」

 

エドワードがなにか言ってる。

でも、今私の頭の中はグチャグチャだ。

 

ロックスは私が殺す、そう約束した。

 

ロックスは最強だ、負ける筈がない。

 

行かなきゃ、きっとまだ生きてる。

 

私は副船長、皆をまとめて……どうする?

 

もう、ロックスは……いない?

 

……嘘だ、私が殺すんだ。

 

あのロックスが初めて約束したんだ。

 

どうすればこの場を切り抜けられる?

 

死ぬときは私に殺されるって。

 

瀕死かもしれないけど、まだ生きてるはず。

 

なら、行かないと……私が、ロックスを、殺す。

 

その為には……

 

此処ニイル奴等ハ───

 

 

 

 

 

───ジャマダ。

 

 

 

・・・

・・

 

 

 

「全員真っ直ぐ船に向かえぇ!!」

 

エヴァンジェリンのその声を聞いたロックス海賊団の面々は驚愕する。

今までにも命令することはあった。

だが、それは断られるのが前提、もしくはそれ以外ないお遊びの命令だけだった。

しかし今回のそれは、逆らうことを許さぬ重みがあった。

 

「シキ!私とロックス以外が乗ったら直ぐにハチノスへ向かえ!!あそこなら海軍は近付けない!!」

 

その身から発される殺気は、あのカイドウですら一歩下がる程の凄味があった。

普段の殺意とは別のそれ。

 

「エドワード!リンリン!カイドウ!ハチノスに着くまで邪魔する奴は海軍だろうが海賊だろうが皆殺しにしろ!!どんな手段を使ってもだ!!」

 

堂々と晒される行動に罠を警戒する海軍。

しかし、海軍で唯一その命令が本物だと理解した者……センゴクとゼファーだ。

戦って理解した……無駄な嘘はつかないタイプだと。

センゴクは船を破壊する命令をしようとしたが、全てが遅かった。

 

「船までの道は私が抉じ開ける!!」

 

その瞬間、化け物と呼ばれた少女は……本物の化け物に変貌する。

数秒で少女の肉体は腐り落ち、人骨となる。

その小さな骨が膨れ上がり、巨大な骨へ変化していく。

エヴァの食べた悪魔の実の力は、アンデッドとして出来る全てが能力の延長。

アンデッドならこれが出来る、そう思っていたなら使える。

 

そして、彼女は知っている……その身を変貌させられる死人がいるのを。

 

そして、彼女は知っている……ゾンビのように人型だけがアンデッドではないと。

 

そして、彼女は受け入れる……人間である必要はない、と。

 

今まで、通常の姿として無意識に人間の形を維持していた。

しかし今、自らの意思で人間の形を捨て去る。

巨人族並みの巨大な骨の体、胴体の倍はあろう巨大な骨の翼、人のソレではない頭蓋骨。

その見た目からボーンドラゴン……またの名を、ドラゴンゾンビ。

その性能は、再生能力を弱める代わりに霧の純度を上げる。

 

「キエウセロ」

 

その口から放たれるドス黒い霧を見て、海軍達は先程と同じ対処法として覇気を纏うが、その霧を見たゼファーは反射的に叫ぶ。

 

「ソレに触れるなぁぁぁ!!!」

 

その叫びに反応できたのは、大将、中将クラスのみ。

少将以下の海軍はその黒い霧に触れ、先程と同じと思ったことを後悔する。

この黒い霧には、普段の灰にする霧、魔法の石の吐息、ドラゴンゾンビとして腐蝕のブレスが混ざりあっていた。

 

「うわぁぁぁ!?」

「な、なんで!?」

「誰か助け───」

 

黒い霧に触れた部分は石化し、その部分に覇気が纏えなくなり、灰となって崩れていく。

足元からどんどん侵食され、膝をつき、手をつき、全身が霧に包まれる。

黒い霧に触れて生きているものは、いない。

 

「な、なんという……ッ!?」

 

センゴクは視線を黒い霧からエヴァに向け自身のミスを悟る。

骨の翼を広げ、羽に当たる鋭く尖った数十の大小の骨が覇気を纏いこちらを向いていた。

この黒い霧はただの牽制。

本命は───

 

「防御しろぉ!!」

 

センゴクは自身の能力を使い衝撃波の壁を作る。

ゼファーは両腕に武装色の覇気を纏い構える。

残っている大将、中将達もセンゴクの声でエヴァの様子に気付きすぐに防御体勢をとる。

無駄とも知らずに。

 

「ガァッ!?」

「グォッ!?」

 

先程までのエヴァの強化は1200%。

今放たれた強化率は6000%。

実に限界の五倍である。

放たれた、そう思ったときには既に当たっている。

センゴクは脇腹を抉られ、ゼファーは肩に突き刺さっていた。

二人は運が良かったのだろう。

三大将は一人が頭を飛ばされ、一人は下半身を失い、一人は利き腕を千切られていた。

他の中将達も、死亡している者もいれば重軽傷の者もいる。

だが、総じて満身創痍だ。

 

しかし、そんな攻撃をしたエヴァも無事ではない。

原作主人公のように無理をすれば弱体化する。

元の人間の状態に戻ったエヴァの姿は痛々しいどころか生きているのが不思議なレベルだ。

今のエヴァは再生能力が機能していなく、左目が潰れ、右腕と右足の骨が砕け、内臓もグシャグシャ、肩や背中から骨が突き出して、血が止めどなく流れていく。

それでも今までの経験から動くことができた。

エドワード達が船に向かい、海軍が動けなくなっているのを見て、ロックスの向かった島の奥へ向かう。

 

「エヴァ!10分は待つ!」

 

シキのその言葉にまだ動く左腕を上げて答える。

 

血の道を作りながら進む。

 

そして、広く開けた場所についた。

 

そこには、ロジャーが寝転がり───

 

ガープが座り込み───

 

ロックスが……倒れていた。

 

「……ロックス?」

「む、ロックス海賊団副船長のエヴァンジェリンか?」

「エヴァだと?レイリーの奴先に帰りやがったな?」

 

エヴァは、ゆっくりと倒れるロックスの隣に座る。

 

ロックスは、死んでいた。

 

満足げな顔をしていた。

心残りなどない、そんな顔だ。

その顔を見て、俯く。

 

「……ロックス、何か言ってた?」

「『約束は無しで』だそうだ」

「……そう」

 

ロジャーは頭をかき、立ち上がる。

 

「ロックスは強かったぜ。最初で最後の強敵だろうな」

「……悔しいが、ワシも一人では勝てなかった」

「……そう」

 

二人は今のエヴァの様子を見て、何か思うところがあったのだろう。

エヴァは使えるようになった霧で身体を治す。

ロックスを霧で補助しつつ持ち上げる。

 

「……ロックス、貰ってく」

「好きにせい……ワシが持って帰ってもクズ共の玩具にされるだけだからな」

「俺に使い道はないな」

 

エヴァはぼんやりとした顔で浮かび、船へ向かう。

 

「エヴァ!ロックスからだ!渡し忘れるところだったぜ」

 

ロジャーがそう言って投げ渡したのは【音貝(トーンダイヤル)】。

エヴァはそれを落とさないようにしつつ、二人に小さく頭を下げる。

そうしてギリギリで船に乗れたエヴァを乗せ、ハチノスへ向かう。

この日、ロックス海賊団は初めての敗北を経験し、船長の死亡によって解散することとなる。

 

 

 

TO BE CONTINUED




自分、戦闘描写ざっくりの方が向いてるのかな?
なんか、他の作品よりスムーズに書けてる。

それはさておき、落ち込みエヴァちゃんは立ち直ることができるのかー
ロックスからのトーンダイヤルにはいったい何がー
次回をお楽しみに?
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