ワタシは悪いゾンビじゃないよ!   作:ディアズ・R

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なんとなく書いてたらこんなことに……あと、ちょっと短い。
原作ロックスが出てこないことを祈ってます。


二人の想いは並び合う

ロックスが死んだ。

ハチノスへ帰ってきたロックス海賊団にロックスがいない。

あのロックスが海軍に負けた。

その事実が、驚愕と嘲笑をもって広がる。

 

あのロックスでも勝てない───

所詮その程度だった───

身の程を弁えないから───

 

ロックスに勝てなかった海賊達ほど好き勝手言う。

死人に口無しとばかりに。

 

そして、ゴッドバレーの戦いから一週間。

 

「ケッ!何時までも何もしなかった奴等が偉そうに!」

「……アイツ等からすればやった事そのものが無駄な事だった、それだけだ」

 

何時もの場所に、何時もの様に停められた船の上で酒を飲みながらハチノスの海賊達へ文句を言うシキと、内心はシキと同様憤りつつも、結果的に言ってることは事実だと受け入れるエドワード。

 

「副船長殿は今日もあそこか?」

「あん?そりゃそうだろ。吹っ切れたならここに戻ってくるさ」

 

カイドウはいつも通り樽で酒を飲み、リンリンは甘味多めの食事をしている。

この四人は既に独立して海賊団の旗揚げの準備ができている。

船の建造依頼を別々の島でしてるし、船員も集まっている。

他のロックス海賊団の面々は、あの戦いで海賊を辞めた者もいれば、同じように海賊団の旗揚げをしたり、裏切ったジョンを探してたり、色々だ。

 

そんななか、未だにハチノスにいるのはエヴァが動かないからだ。

ハチノスから少し離れた小島に、石を積み上げただけの簡素な墓の前でずっと座っている。

最初はそれがエヴァの選択ならと放置するつもりだったが、ロックスの財宝目当てやエヴァ個人を狙うバカが予想以上に多く、せめてあの場から動くまではと見守り続けている。

なんだかんだ言いつつも副船長として認め、あの戦いで見せた強さに敬意を払ったからの行為だ。

カイドウは特にその思いが強い。

あの状態のエヴァと殺し合いたいと思うぐらいに。

 

「たく……さっさと立ち直れ副船長」

「……アイツは、海賊にならない方が良かったのかもな」

 

彼等は今日もその小島を見守る。

何時もの騒がしい声が聴こえるまで。

 

 

 

・・・

・・

 

 

 

簡素な墓の前にロックスの灰の詰まった壺を見つめながら体育座り。

ここに墓を作ってから一週間、ずっと考えてた。

 

ゴールから告げられたロックスの遺言。

たった一つだけの破られた約束。

満足げな死に顔。

 

ロックスにとって私は、なんだったのか。

………私にとってのロックスは?

 

師?

友人?

兄?

父親?

好きな者?

愛する者?

 

……どれも違う。

私は自分が壊れているとわかってる。

 

殺すことに躊躇いがない。

奪うことに躊躇いもない。

死ぬことに躊躇いはない。

 

いつか、死にたくないと考えてた。

でも、どこかで死んでもいいと思ってた。

だから、殺されるとわかっていても強者に挑んでいた。

だから、不利な状況でも戦った。

ロックスは、そんな私を傍に置いてくれた。

こんな私が隣を歩いても、それが当たり前のように感じさせた。

ロックスは、私にとって、仲間だった。

ずっと隣を歩ける同類だった。

一緒にいて、一人じゃないと、安心できた。

 

でも、ロックスにとって私は……どうでもよかったんだ。

 

たった一つだけの約束を反故にしておいて、満足して死んでいった。

 

死ぬその時まで隣にいてくれる……そう信じてたのは、私だけだった。

 

ロックスの灰壺の隣においてある音貝。

ロックスからの最後のメッセージ。

ずっと聞く勇気が持てなかった。

拒絶を言葉にされるのが怖かった。

 

そこまで考えて、段々腹が立ってきた。

 

無理矢理海賊にして───

散々面倒事押し付けて───

自分は満足して死にました?

何で私がこんな悩んでるの!?

 

灰壺を睨み付けながら、音貝を動かした。

 

 

 

・・・

・・

 

 

 

カチッと小さな音を立てて、音貝が起動する。

 

『あーあーこれで録音されんのか?んん!これを聞いていると言うことは、俺様は死んでいるのだろう……あ、この録音はエヴァンジェリンに当てたものだ。エヴァ以外の奴は聞くな!あと、一回再生したらすぐ壊すように!何回も聞くんじゃないぞ!』

 

その声を聞きながら、なんとなく顔を伏せる。

 

『さて、俺様はお前以外の誰かに殺されたんじゃないのか?当然だ。俺様は元々お前に殺されるつもりなんかなかったからな』

 

肩が少し震える。

 

『死ぬ時はお前に殺される、そんな約束守るわけないだろ。少なくとも、俺様はお前にだけは何があろうと殺されるつもりはなかった』

 

爪が皮膚に食い込むほど拳を強く握る。

 

『何故か、それは……あれだ。いいか!一回だけだからな?ホントに一回聞いたら壊せよ?』

 

妙な念押しに流石に視線を上げる。

 

『俺は生まれてこの方誰も信じたことがない。家族でさえだ……そんな俺がお前だけは信じられた』

 

唐突な発言に首をかしげる。

 

『初めて会った時、一人なのに海賊団なのかって聞いてきたよな?実は仲間として信じてもいいんじゃないかって、そう思ってた奴等がいたんだ。でも、あっさり死んだよ。だから俺はあの時、「裏切るし弱いし」そう言った。仲間として信じようとした俺を死んで裏切ったから』

 

ジッと音貝を見つめる。

 

『正直、お前を海賊に引きずり込んだ最初の頃はいつ逃げるかな?と思ってた。でも、お前は逃げなかった。何をしても勝てない俺に何度も向かってきた。ぶっちゃけ、磨り減らない盾役のつもりだったわ』

 

ジト目で見る。

 

『だけど、ハチノスで一緒に歩いた時に、しっくりきた。まだまだ弱い癖に俺の隣を我が物顔で歩いてた。その時からか、こいつは信じてもいいんじゃないかって思い始めた。こいつなら死なずに俺の隣にずっと居座ってくれるんじゃないかって』

 

ただ見つめる。

 

『ワノ国に一人で行かせたのは、生きて帰ってくるのか試したかったからだ。そしたらあっさり戻ってきた、どころか殺そうとしてきた。それで確信が持てた。エヴァは俺と共に歩いても死なない仲間だってな』

 

顔を伏せる。

 

『……エヴァ、俺がお前にだけは殺されたくなかったのは、大した理由じゃねぇんだわ。お前が俺を殺す時、お前が仲間じゃ無くなる、それが怖かったんだ。俺が死ぬまでお前には仲間でいて欲しい、だからお前には殺されたくなかった……それだけだ』

 

地面にポタポタと雫が落ちる。

 

『お前だけを残すのはある意味裏切り行為だろう。だから先に死んだ俺が後悔するようなデカイ事をやってくれよ?じゃないと俺は──』

『ロックス!ロックス!!もう始めないと!寝てんのかゴラァ!!』

『うるせぇな……今行くから先行ってろ』

『遅れといてなんだそれ!すぐ来なかったら待たずに始めちゃうからな!』

『たく、お前は本当煩いよ……もうちょい話しておきたかったが、此処までだな……………なぁ、エヴァンジェリン』

 

涙に濡れた顔を上げる。

 

『俺様は最後、笑ってたか?』

 

カチッという音で録音の再生が止まる。

エヴァは灰壺と音貝を抱え込み、声を殺して涙を流す。

数分間涙し、顔を上げて音貝を砕き灰壺に入れる。

そして、墓に向かって叫ぶ。

 

「勝手に全部始めて!勝手に全部終わらせて!自分は悠々と高みの見物か!バカ!アホ!クズ!絶対に、今よりもっと強くなってお前より凄い事じでやる!!」

 

ポロポロと涙が溢れる。

 

「グスッ……あの世で先に死んだこと後悔しながら指くわえて眺めてろ!絶対絶対絶対!世界中で一番有名になるぐらいのことしてやるからな!!」

 

涙を拭い、墓に背を向ける。

 

「だから……ちゃんと見てろよ、クソ野郎」

 

エヴァは振り返らず、島から浮かんで船に向かう。

船の上にエドワード達を見つけ苦笑いする。

随分待たせてしまったと。

エドワード達の元へ向かう前に、ロックスの墓をこのままにしとくと馬鹿が寄ってくると思い至る。

なので、復活祝いは派手にやろう。

 

「凍てつく氷柩!!」

 

その魔法を発動した瞬間、小島がまるごと氷柱に封じ込められる。

満足!

船に降り、エドワード達の前に立ち、胸を張って一言。

 

「御苦労」

「アホか」

「いやバカだろ」

「元気そうで何よりだよ」

「その力使って戦おうぜ!俺も能力者になったから楽しめそうだ!」

「リンリン以外嫌い」

 

そして、皆で笑いあいながら小島に籠ってた一週間のことを聞いた。

四人もだが、船員のほとんどが新たな海賊団を旗揚げしてるとのこと。

船員全員に言えることだが、ジョンを見つけたら捕まえてロックスの墓の前で男のアレを切り落とすらしい。

ロックスもジョンのナニなんかいらないだろ……あ、だからか。

特に一番気になるのは、リンリンがカイドウに【ウオウオの実・幻獣種・モデル青龍】とかいう悪魔の実をあげたらしい事だ。

 

「レア物なんだ、一生の恩としてもらわないとねぇ」

「ウォロロロ!知ったことかよ!」

 

睨み合って一触即発の状況。

船壊れそうだから止めるか。

 

「新入り~」

「もう新入りでも見習いでもないんだがな……なんだ副船長殿?」

「そういうのは適当にお礼を渡して、知らぬ存ぜぬでいいんだよ!」

「そういうもんか?じゃあそうしよう!」

「リンリン、私ワノ国拠点にしようかと思ってるから、甘味とか融通してあげる。それで新入りは許してやってよ」

「まったく、エヴァ副船長はなんだかんだでカイドウに甘いねぇ」

「カカッ!これで新入りは私に足を向けて寝れない!愉悦!」

「ふん!」

「げぺっ!?」

 

カイドウに踏まれ、私グチャる。

この野郎……

 

「そうだ!全員に言っておくね!何時になるか分かんないけど、何時かロックス以上の事やって世界にロックス抜きでロックス海賊団の名を轟かせる予定だから、その時は協力ヨロ!」

「グラララ!その時はハチノス集合か?」

「何するか楽しみにさせてもらうぜ!ジハハハハ!」

「ハーハハハマママ!鈍る前に頼むぜエヴァ副船長!」

「ウォロロロ!そんな楽しそうなことすんなら簡単に死ぬ訳にはいかねぇな!」

 

そして、ロックスが羨ましがるぐらい五人で食べて飲んで喧嘩して、翌日自分達の船がある島へ向かっていった。

私は船を影に沈め、小島に引き籠ってた時に調子乗ってたボケ共を半殺しにして回り、やっとワノ国へ向かう。

ただ、将来の為に悪魔の実を集めるのを優先する。

ワノ国に行く途中、何個か悪魔の実を手に入れられた。

出来ればもっと欲しいけど、まあ、ゆっくり集めればいい。

 

そして寄り道をしつつ一年後、ワノ国へ辿り着いた。

 

 

 

・・・

・・

 

 

 

「ワノ国よ!我が目的の為に!私は帰ってきたぁ!!」

 

九里の上空に浮かび、おでん城を向いて楽し気に言い放った。

 

「お~い!」

「ん?」

 

下を向くとおでんが手を振ってた。

その周辺には倒れ伏したチンピラ達。

理解した。

 

「お前は、何を、やっとん、じゃい!!」

「なんか久しぶりぃ!?」

 

おでんの脳天に踵落としを決め、着地。

周囲の人達から拍手と挨拶をされながら、おでんを引き摺っておでん城に向かう。

さて、未来の為に頑張るぞい!

 

 

 

TO BE CONTINUED




というわけで、ロックス編なんとか終了です。
一旦更新お休みです。
続きは考えてるんで、書きます。
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