24歳、剣聖です。   作:100000

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やっぱりネタって分かってると筆がススムゥ!


襲来!!ONDISK!!

時刻は朝、都心の人々が自分の一日を生きるために右往左往と行き来する中、その男もまた自分の使命を全うするために歩を進めていた。

 

(やれやれ、久々の要請かと思えば殺しの依頼ですか)

 

『トバし』用のスマホに送られてきた自身のスポンサーからの依頼。正直気は進まないが、()()()()()()なので肩慣らしにはちょうどいいと自分に言い聞かせる。

 

(しかし困りましたねぇ・・・これが私だってバレたら国際指名手配モノですからねぇ)

 

俳優と見違う程の美顔を持ち、スーツを着た男はエリートを彷彿させる佇まいをしている。

 

そんな男が顔を歪めるのは『依頼』の難易度の話ではない。殺す対象が()()()()()()だからだ。

 

(たしか今は破軍学園・・・でしたか?)

 

留学をニュースに取り上げられる程度には有名で、伐刀者でも『紅蓮の皇女』としての二つ名で有名だ。加えて破軍学園には世界的にも有名な伐刀者が2人もいる。

 

(『世界時計(ワールドクロック)』に『夜叉姫(やしゃひめ)』ですか・・・まぁ()()()()()()()()()()())

 

男は踵を返し、そのまま破軍学園へと向かう。準備はいらない。そもそも伐刀者である自分に殺しの準備なぞ必要ない。なにより・・・

 

(誰にも気づかれずに死ぬ・・・可哀想ですねぇ)

 

男は、怪しく微笑む。

 

────────────────────

 

 

 

 

 

「帰ってきたぞ、破軍学園!Foooo↑↑」

 

某海賊王のように両腕を上げて喜ぶ男、田所浩二。それに合わせて一気に影を薄くする同行者2人。どうやら同じグループの人間だと思われたくないようだ。

 

ここは、破軍学園。日本有数の伐刀者養成学校であり、テロを鎮圧してから約一週間後、いつもの3人は秋吉からの連絡で本来なら接点などあるはずのない学び舎に足を踏み入れていた。

 

「なんだよ、木村、三浦!お前らなんか暗いぞ!」

 

「(子どもみたいにはしゃぐの)やめてくれよ・・・」

 

「正直関係者って思われたくないゾ」

 

「ファ!?そんな薄情な奴だとは思わなかったぞ!」

 

「すいません、近づかないでください」

 

「臭いゾ」

 

「ああああああああ!!!」

 

意味不明な雄叫びをあげる田所にそれからすすーっと遠ざかる2人、傍から見れば3人とも奇異な目で見られているが当人たちは気づくことは無い。

 

「おい、お前たちそんなところで何してるんだ」

 

「お、秋吉さん!聞いてくれよ〜、コイツらがさっきから──」

 

「田所、お前はさっきからうるせぇ。少しは落ち着け」

 

「・・・あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

まさか上司から言われるとは思ってなかったのか、田所は頭を抱えてゴロゴロと転がり出す。もはや恥も何も無いという様子だ。

 

「なにしてんだ、こいつ」

 

「言ってやるな、一応こいつも()()()だ」

 

そう言うのは秋吉に続いてやってきた2人の女性だ。1人は着物を着崩し、下駄を履いた小学生あるいは中学生を思わせる背丈をした『夜叉姫(やしゃひめ)』西京寧々、そしてスーツを着こなし、タバコをくわえたこの学園の長、『世界時計(ワールドクロック)』神宮寺黒乃だ。

 

「あれ、秋吉さん、その2人は?」

 

「一応、教師だ」

 

問いかける木村に秋吉はやや尖った言い方で返答する。無論、その言葉を聞いて黙ってる2人ではない。

 

「おいおい、()()()()。これでも元は一緒に戦場を駆け抜けた仲なのにつれないね〜」

 

「柄ではないのは分かってる。言ってくれるな。それよりもこの男をどうにかしてくれ、このままでは警備員を呼ぶ羽目になる」

 

「あぁ」

 

黒乃の言葉に同意を示した秋吉は、

 

田所を蹴り飛ばした。

 

「「な!?」」

 

西京と黒乃が絶句したのはいくら部下でも蹴るのはやりすぎ、だからではない。問題はその威力だ。時にして一瞬。一般人からしたら蹴り始めと蹴り終わりがコマ送りに見えてしまうほどの刹那。その速度ゆえにその威力も計り知れない。下手したら骨の1本2本では済まないかもしれない。

 

だが、

 

「んああああああぁぁぁ・・・着地!」

 

その蹴り飛ばされた男、田所浩二は空高く舞い上がった体を上手くひねり何事も無かったかのように着地をする。

 

「ちょっと、秋吉さん!蹴ることないじゃないですか!」

 

「「チッ・・・」」

 

秋吉に抗議をする田所の後ろで、木村と三浦が舌打ちをしたが、田所は気づかない。

 

「公衆の面前で目立つようなことをするからだ、自業自得」

 

「・・・ンニャピ」

 

正論を言われ、すごすごと下がる田所。奇怪な行動をとる割には常識は知ってるらしい(わかるとは言ってない)

 

「まぁ、お前の弟子だから当然か・・・」

 

「くーちゃん、とんでもないのと再会しちゃったな」

 

「いつものことだ。それよりも、お前らなんでここに呼ばれたか知ってるか?」

 

「え、思い出巡りっしょ?」

 

「・・・依頼ゾ」

 

「今さら思い出に浸るとかしないでしょ、先輩」

 

唖然とする2人を差し置いて、秋吉はいつもの3人に問いかける。2人は察しているようだが、残り1人はこの調子だ。だがそれもいつもの事なので秋吉は続ける。

 

「まだ不確かな情報だが、『ONDISK(オンディスク)』が日本に来ているらしい」

 

「『霧の暗殺者』ですか・・・」

 

「・・・なるほどゾ」

 

秋吉の言葉に何故自分たちがここに呼ばれたのか察した()()。そのONDISKなる者の実力を知っているからか木村と三浦に緊張が走る。

 

「・・・誰?」

 

一方このステハゲはいまいちピンと来ないというふうに首を傾げていた。

 

「・・・ONDISK、霧の暗殺者と呼ばれる殺し屋ゾ」

 

若干1名分かっていない人のために三浦が説明を始める。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()、狙われた人物はごく一部を除いていつの間にか死んでいた、目を離した隙に死んでいた、と口々に語られる凄腕の暗殺者ゾ」

 

「はえ〜、気づけば死んでるって暗殺者みたい」

 

「だから暗殺者ゾ。唯一の生き残りが『周りを霧に囲まれた』という証言をしたことから霧の暗殺者と呼ばれるようになったゾ」

 

「ONDISKは?」

 

「コードネーム、暗殺者の芸名みたいなやつゾ」

 

「言いづらいっすね。そういえばその生き残った人、よくそいつから逃げきれたっすね」

 

「・・・その時は護衛が秋吉さんだったからだゾ」

 

「秋吉さん?・・・あっ(察し)」

 

「だから呼ばれんたんだゾ」

 

三浦の説明で全ての点と点が繋がったかのような顔をする田所。だが、木村と三浦は随分前から理解してたため余計にバカを丸出ししているに過ぎない。

 

つまるところ一度この霧の暗殺者なる者を退けた経験のある秋吉が護衛として呼ばれたということだ。

 

「そういうわけだ。だが、今回俺は別件で用がある」

 

「それで僕達ですか?」

 

「そうだ、今回の依頼は──」

 

ヴァーミリオン皇国皇女の暗殺阻止、だ。

 

──────────────────

 

 

「一輝、お疲れ様!」

 

「あぁ、ありがとうステラ」

 

一輝にスポーツドリンクを渡すステラ。時間は夕暮れ、もはや日課となりつつある一輝とステラの1VS1の訓練。実力が拮抗した両者がこうして毎日のように刃を交えることで2人は着実に腕を上げていた。

 

しかしそんな中、ステラの方は一輝のちょっとした変化に敏感に反応する。

 

「ねぇ、一輝。もしかして何か考え事してない?」

 

「・・・ステラにはわかる?」

 

「と、当然よ!」

 

どこか自慢げにステラは言うが、一輝はそんなステラに笑を零しながらその内容を告げる。

 

 

 

「そうね・・・たしかにあの3人はとても・・・うんうん、とんでもない強さだったわ」

 

ステラが思い出すのは1週間前、突如として現れたテロリストをあっという間に鎮圧した謎の3人。伐刀者かどうかは分からないが、少なくともその時の動きは自分は目で追うことができず、そもそもどんな技を使ったのかも見抜けなかった。

 

「うん、僕もあの時のことを何度も思い返してるんだけどあの人たちの動き、どうやっても真似出来ないんだ・・・」

 

一輝は事件後、当時の3人の動きを再現しようとしたが全く出来なかった、というよりあの動作の(ことわり)をあばけなかった。

 

それはつまり、あの3人と自分の実力がそれほどまでに乖離しすぎているということだ。

 

さらに言えばそのうちの1人は過去に七星剣王まで登りつめた人物だっただけにそこを目指す一輝には尊敬とともに焦りも見えていた。七星剣王になるためにはあれくらい強くないといけない。だがこのままではあの人の足元にも及ばないと。

 

「一輝なら大丈夫よ!どんな困難な状況も切り伏せてきたんでしょ?きっと今回も乗り越えられるわよ!」

 

「ステラ・・・」

 

少し暗い雰囲気を醸し出す一輝をステラが励ます。そして思い直す、ステラの言う通り、自分は前に進むしかないんだと。

 

「その通りだね。・・・よし。ステラ、もう少し特訓に付き合ってくれないか?」

 

「もちろん!」

 

一輝のお願いを快諾し、一輝とステラは模擬戦をするために距離を取ろうとする。

 

そんな2人の周囲を()()()()()()

 

「・・・なに、これ?」

 

「・・・・・・気をつけて、ステラ。・・・陰鉄(いんてつ)

 

こんな急に、しかも周りの景色が見えなくなるレベルの霧が出るなんてまず普通じゃないと思い、一輝は固有霊装(デバイス)を顕現させ、念の為ステラの傍に寄る。

 

おかしいと一輝は思う。それは何も急に霧が濃くなったことだけではない。

 

何故か周りから人の気配も無くなり、加えて空気の流れもどこか閉鎖的な、まるで自分たちがいた空間だけ世界から切り取られたような錯覚に陥る。

 

「ちょっと、どうなってんの?」

 

「・・・」

 

ステラの問いかけには応えず、否、応える余裕が一輝にはなかった。一輝自身理解は出来てはいないが、とてつもない何かがどこかにいる気がし、それを感じ取るために全身の感覚を鋭敏にし、周囲を警戒しているからだ。

 

それが幸運にもステラを救うことに繋がった。

 

「!!危ない!」

 

「え・・・きゃっ!」

 

ステラの頭を掴み、その場に伏せさせる一輝。

 

そしてさっきまでステラの首があった場所を鋭い刃が通過する。

 

「おや?まさか避けられるなんて・・・君は結構凄いんですねぇ」

 

「!」

 

気配はなかった、ただそうしないと自分にとってとても危ない何かが起こるという本能の警鐘が一輝の身体を動かしただけのこと。しかし一輝には自身が周囲に神経を張り巡らせても、この男を感じとることが出来なかった。

 

「敵!」

 

ステラが男の声に反応し、自身の霊装を構える。隣の一輝は既に抜刀しており、いつ戦いになってもいいように体勢を整えていた。

 

(この人、強い・・・)

 

一輝は既に目の前の男の強さに気づいていた。なぜならこの男からは()()()()()()()()だ。

 

(気配も、剣気も感じない。それは僕の目にも捉えられない程巧妙に実力を隠してる証拠だ)

 

ある一定の実力者は見ただけで相手の実力を測ることはできる。無論それを隠すこともできる。しかしどんなにその実力を隠すことができてもその片鱗は見えるものだ。だが、目の前の男には何も見えない。

 

「一輝、こいつなんかおかしいわ!」

 

「そうだね、ここまで実力を測れないのは初めてだ」

 

ステラもその異常性に気づいたのか、一輝に警告する。

 

「ふむ、やはり実力を隠すことはできても偽るのは難しいですねぇ・・・」

 

その言葉を聞いてか、顎に手を当て、考える仕草をする襲撃者の男。しかしその佇まいは襲撃というにはあまりにも乖離している。

 

「はぁ!」

 

ステラが炎を上に放つ。撃ちあげればそれだけで気づく人が現れる。学園長である玄野などはすぐにやってくるだろうという考えだ。しかし・・・

 

「魔力が・・・かき消された!?」

 

「私の霧には魔力を打ち消す効果があります。オマケに音や光も遮断しますので暴れるだけ無駄ですよ?」

 

「くっ!」

 

襲撃者がそう言い、一輝は心の中で納得する。なるほど、だから学園という人の目がつく場所だろうとお構い無しこんなことができるのか、と。

 

(光も通さないということはもう他の人には僕たちは写っていないということかな)

 

一輝の予想は正しく、ここら一帯は文字通り隔離されたということになる。

 

「まぁいいです。突然でしたが名前を名乗らないことをお許しください。私はあなたを殺しに来ただけですので、ステラさぁん」

 

「!!!」

 

敵の狙いがステラと分かった瞬間、駆け出す一輝。元々一輝は優しい人間ではあったが、自分のルームメイトに、ましてやそれ以上に大切な存在に手をかけるものに情をかけられるほど甘い人間でもない。

 

(敵の実力が分からない以上、迂闊に勝負は仕掛けられない・・・。なら!)

 

一輝が襲撃者へ急速に距離を詰めるも、対して襲撃者は顔色一つ変えず、それどころか一向に構えもしない。

 

(凄い余裕だ、いや、それだけの実力があるのか・・・)

 

一輝と襲撃者の距離が縮まり、その体が互いの射程距離(クロスレンジ)に入る。

 

おもむろに襲撃者の男が刀を振る。速くはあるが脅威を感じるほどではない。パワーも感じない。

 

しかし一輝はその攻撃を()()()()()()

 

第四秘剣 蜃気狼(しんきろう)

 

その技は瞬間的に止まり、また素早く動くことでそこに極端な静と動を生み出し残像を残す、一輝が持つ秘技の一つである。

 

襲撃者が放つ斬撃はそのまま一輝の身体へ吸い込まれ、通過する。それもそのはず、その一輝は既に残像と化したものなのだから。

 

本物の一輝は既に襲撃者の背後に回っており、刀を振り上げていた。

 

「はぁ!」

 

背後からの渾身の一撃、本来なら不可避の一撃で勝負はここで決するのだが・・・

 

ガキィ!!!

 

金属の擦れる音が辺りに響く。それは一輝の一撃が防がれたことを意味していた。

 

(やっぱり、()()()()()())

 

だが、それは一輝には想定できたことだった。

 

(この人、蜃気楼の残像ではなく、ちゃんと僕を目で追っていた。あえて、引っかかったということか)

 

向こうが一筋縄ではいかない相手だというのは分かった。おそらく自分の実力だけでの撃破は難しいと一輝は自分の中で結論付ける。

 

()()()()()()()()()()()()()

 

「はああああ!!」

 

気合いを発しながら、ステラが霊装『妃竜の罪剣(レーヴァテイン)』を振り上げながら接近する。

 

「!」

 

襲撃者が避けるために行動を起こそうとするが剣が動かない。見れば、一輝が自身の陰鉄の刀の鍔を引っ掛けていた。

 

これが一輝の本当の目的。最初の秘剣で実力を測るのは第二の目的で本命はその後のステラの追撃にあった。

 

「消し炭になりなさい!」

 

大剣に炎を纏わせたステラの一撃が襲撃者へと迫る。

 

(・・・まだ余裕が崩れてない!)

 

そんな危機的状況にありながらも未だに取り乱した様子のない襲撃者に一輝は危機感を覚える。・・・まだ何かあるはずだと。

 

そしてその予想は的中する。

 

「はぁ!?」

 

なんと今度はステラの攻撃が襲撃者を()()()()()

 

「・・・!そこだ!」

 

その現象を目の当たりにすると同時に一輝が行った行動は突き、それもステラの頬、数センチ左を狙った一撃だ。

 

ステラから見れば突然、一輝が自身に攻撃してきたかのように見えるがステラに焦りの表情はない。なぜなら彼女はそれほどまでに一輝を信頼しているからだ。

 

そして一輝が放った突きで刀に返ってきた感触は、やはり硬いものを打った感触。

 

「・・・へぇ」

 

その突きはいつの間にかステラの背後へ回った襲撃者に向けられており、その襲撃者もまた自身の刀で一輝の突きを危なげなく受け止めていた。

 

襲撃者がやったのは至極単純、一輝がやったことと同じことだ。静と動の使い分け、一輝が為した絶技を目の前の男は子どもが見様見真似でする感覚で再現してみせた。

 

(もしくは始めから知っていたか・・・)

 

技の種類も数千、数万とあれば被ることもある。もしくは相手が自分が使ったような技を使う敵と相対したことがあるならそういうことも対策も立てているだろうと一輝は思う。

 

「まさか私が二回も殺し損ねるなんて・・・」

 

「ありがとう、一輝!」

 

「あぁ。相手はかなり強いけど二人ならなんとかなりそうだ」

 

自分を助けてくれた一輝に満面の笑みを浮かべるステラだが、一輝の表情が未だに険しいのを見て、直ぐに戦闘態勢に入る。

 

(なんだ・・・この危機感は・・・・・・?)

 

一輝が感じている危機感はこの戦いの中で、常に感じていながらもそこまで脅威に感じない不思議なものだった。例えるなら目の前に圧倒的に強い存在がいるがその存在は自分に対して害にならない、そんな感じだ。

 

おそらくこの危機感は相手が自分を敵と認めてないからこそ、そして実力を完全に隠してるからこそ、ここまで表面化してないものだと一輝は結論づける。

 

なら、もしそれが表面化したら・・・?

 

そんな一輝の『もしも』は───

 

「これって・・・勲章ですよ?」

 

現実のものとなる。

 

 

 

「・・・・・・グッ!」

 

「ひ・・・・・・んんっ!」

 

突如として襲撃者から放たれる圧倒的剣気。殺気で感じる鋭いものよりもさらに鋭敏な、それこそ見えない刃を喉元に突きつけられているような壮絶な恐怖。

 

それを直に当てられた2人は例外なく恐怖を覚えた。

 

一輝は足が完全にすくんでしまい、足が地面に括り付けられたかのように動かなくなった。

 

ステラは、恐怖に屈してしまったのか悲鳴のようなものを零すがそれを形になる前に呑み込んだ。しかしその目は完全に戦意を失っている。

 

「怖がらないでください、死は一瞬です。それに私は無益な殺人はしませんので貴方は何も感じることはありません。大丈夫ですよ?」

 

相変わらず無形の構えだが、今ではこの襲撃者は2人には鎌を携えた死神にしか見えない。

 

(このままだとステラが殺されてしまう・・・仕方ない)

 

一輝は目を閉じ、集中し始める。それは精神統一ではなくもっと高次元の覚醒への入口。一輝の中に眠る、本来起動するべきではないスイッチがはいる。

 

「一刀修羅ァ!」

 

「・・・ほぉ?」

 

一刀修羅、理不尽な立場にありながらも決して諦めず己を高め続けた一輝が持つ唯一無二の最強。その正体はただの身体強化だが、一輝はそれを身体のキャパを超えて、行使することで本来数倍程度の身体強化が、一刀修羅の間は身体能力が数十倍にまで跳ね上がる。

 

「ステラ、今すぐ逃げて助けを呼んでくるんだ」

 

「え?」

 

そんな状態の一輝からステラに伝えられたのは逃げろという提案。それは一輝の中でもうこの男には勝てないという結論が出ていることを暗に示しており、それに気づいたステラも相対したこともない実力にその結論を否定できなかった。だが、

 

「じ、冗談じゃないわ!」

 

大切な人を置いて自分だけ逃げる?そんなバカバカしいことができるか、一輝のある意味合理的な判断はステラの我儘により却下され、またそれによって自身を奮い立たせることになった。

 

「一輝が逃げるなら私も逃げる。でも一輝が逃げないなら私は絶対に逃げない!」

 

「ステラ・・・。うん、わかった」

 

ステラの言葉にそんな話をしてる場合じゃないと思う反面、自分が逆だったら間違いなくステラと同じことを言ってるだろうと容易く想像できてしまったため、一輝もステラの意志を尊重するほかなかった。

 

「一輝、勝つわよ」

 

「あぁ、勝って・・・生きる!」

 

一輝が地面を蹴り出す、数十倍に引き上げられた脚力はたったそれだけで地面に抉れる程の衝撃を与え、一輝に爆発的な加速をもたらす。

 

「第七秘剣 雷光!!!」

 

その加速の中で生み出される斬撃は当然、通常の攻撃とは桁違いの速度、威力を持つ。音の壁すらも突き破りそうな不可視の一撃と言っても過言ではないその一撃を・・・

 

(やはり止めるか・・・!)

 

襲撃者は容易く受け止める、否、衝突させた。一輝の会心の一撃は襲撃者は全く同威力の一撃を当てることで刀が弾かれることなくそのまま鍔迫り合いへと移行させた。

 

ここまで芸当をされても一輝は動じない。むしろ、自分より強いのだからそういうこともすると、想定の内に入れていた。

 

ゆえに、次の行動も早かった。

 

鍔迫り合いのまま一瞬、脱力し後方に引く。そして、後方に引いたことによって生じた小さな隙間を使い、足のバネ、腰の回転、肘の伸ばしと全身を使って剣を前に押し出す。

 

第二秘剣 裂甲

 

それいわゆる剣で放つ、寸勁と呼ばれるゼロインチから放たれる攻撃だ。本来拳で放つものを剣で扱うためスイングする必要があるが、そうすることなく相手にダメージを与えることが可能な体術に長けた一輝ならではの技だ。

 

一輝はそれをダメージを与えるのではなくその衝撃によって相手の体勢を崩すことに使った。

 

一刀修羅で強化された身体能力から放たれる技は例え至近距離であっても絶大であり、襲撃者の体を簡単に吹き飛ばす。

 

「芸達者ですねぇ・・・」

 

()()()吹き飛ばされた襲撃者は一輝の技に賞賛の言葉を口にする。

 

(それを見抜いて後方に飛んだのによく言う)

 

「くらいなさい!」

 

ステラの声とともに一輝の後ろから襲撃者を覆うようにして炎が飛び出す。

 

(なるほど目くらましですか・・・)

 

一輝の全力の攻撃を囮に使い、本命はステラの圧倒的魔力から放たれる炎攻撃だったのだ。そのために一輝は巻き添えを避けるため裂甲で襲撃者との距離をとったのだ。

 

「くっ!」

 

死角からの炎の接近に思わず顔をしかめる襲撃者。

 

だが、一輝油断なく、むしろ最大限に神経を研ぎ澄ませて次の一手に備えていた。

 

(多分、この人は次にこちらに向かって飛び込んでくる。それを、迎え撃つ!)

 

一輝は既に襲撃者の次の一手を完全掌握(パーフェクトビジョン)によって予測していた。相手の剣の理は掴めていないが、思考を読み取るのはそれとはまた別の話。一輝の常識を逸脱した観察眼は相手の絶対観念(アイデンティティ)さえも読み解く。

 

炎が当たる直前、襲撃者が構える。

 

(来る・・・!)

 

 

 

 

「え・・・?」

 

ステラが驚愕するのも無理はない。さっきまで目の前で一輝が戦っていたのに今目の前には自分を殺しに来た男が瞬間移動でもしたのか一瞬で現れたからだ。

 

「く・・・!?」

 

そして一輝の方でも自分の身に起こったことに驚きを隠せないでいた。

 

全力で、僅かな動きも見逃さない程集中していたにも関わらず()()()()()()()()・・・と思えば、自分の身体が切り裂かれていたなど驚かない方が無理がある。

 

(そうか、この人の能力は・・・)

 

一輝は攻撃を受けたことで襲撃者の能力がなんなのか理解したが、それを伝える前に出血により意識を失ってしまった。

 

「一輝!?」

 

一輝が倒れた、その事実がステラを硬直から解き放つ。

 

「どけええええええ!」

 

ステラは一輝を助けるために襲撃者へ霊装を振り上げる。だが、ステラの全力の一撃はその刀で容易く受け流されてしまう。

 

「ガッ・・・!?」

 

そして受け流されて無防備となった胴体に襲撃者は蹴りをいれる。ふっとぶステラだが、すぐに体勢を立て直し攻撃に転ずる。一刻も早く一輝を助けるために。

 

「この、一輝さぁんと違って貴方は随分・・・実力不足ですねぇ」

 

「・・・!黙れぇぇええええ!!」

 

襲撃者の言葉に頭が血が上るステラ。分かっている、一輝がやられたのは自分が弱かったから、自分がもっと強ければこんなことにはならなかった、そう分かっているからこそ否定することができなかった。

 

霊装を後ろに突き出し、そこから炎を吹き出すことでジェットのように加速する。

 

「はああああああ!!!」

 

その勢いを身体ごと回転させることで剣に乗せて、攻撃する。威力はさっき流された攻撃よりも高い、受け流すことは容易ではない。

 

そう、()()()()()()()()()()()()()

 

「な・・・!?」

 

ステラの一撃はまたも空振りに終わる、今度は襲撃者の身体をすり抜けるという結果で。

 

大きい攻撃はそれを放った後の隙もそれだけ大きくなる。つまりステラはこの瞬間、致命的な隙を生み出してしまった。

 

「さようなら」

 

後ろから声がかかる。素早く振り返るが襲撃者を視界に入れる時には目の前に刃が迫っている。

 

(きた・・・!)

 

しかしステラはそれを想定していた。していたからこそ身体の外側に魔力を纏わせ、堅固な鎧と化す伐刀絶技妃竜の羽衣(エンプレスドレス)を事前に発動させていた、それも通常よりもさらに高濃度の魔力で包んだ特別製だ。

 

通常の攻撃ならまずこのドレスを切り裂くことは出来ない。ましてや全力の魔力で編んでるのだからこの男の攻撃もきっと防げる、ステラはそう確信していた。

 

(・・・え?)

 

周りがスローモーションのように流れていく中、ステラの目には自身の魔力のベールを何事もなく進んでくる一迅の刃。

 

なぜ・・・そんな疑問が思い浮かんだ時に戦闘が始まる前に男が言っていたことを思い出す。

 

『私の霧には魔力を打ち消す効果があります』

 

(刀に霧を纏わせた・・・?)

 

よく見れば、刀から何かモヤのようなものが放出している。なぜ、霧を展開するだけでなく纏うことができると思わなかったのか、瞬時に己を恥じるがもう遅い。

 

(ごめん、一輝・・・)

 

もう自分にはこの凶刃を防ぐ術がない。そう思い、自身のパートナーへ謝罪を思うステラ。

 

 

 

 

 

「お ま た せ、Foooo!!!」

 

「なに!?」

 

 

 

 

「え!?」

 

思わず目を開くステラ。突然目の前には見知らぬ、いや、いつぞや見た男が襲撃者の男に飛び蹴りをかましている光景が目に入った。

 

「あ、あんたは!?」

 

そしてステラは思い出す。あの時、ショッピングモールで見た、あのよく分からない一団の1人ということを思い出した。

 

「よっ、お前怪我してない?」

 

「えぇ、大丈夫・・・そうだ、一輝!」

 

怪我、その単語で一輝を思い出したステラは一輝の状態を確認するために振り返る。すると一輝の傍にまた同じ時に見た男2人が一輝の容態を確認していた。

 

「急所は外れてるゾ。だが、出血も酷い・・・木村いけるか?」

 

「幸い、血はまだ周りにありますし、傷も浅い方です。ナオキです(問題ありません)

 

「あ、あんたたち・・・!一輝は大丈夫なの!」

 

「木村が大丈夫と言ってるから安心していいゾ」

 

「そ、そう」

 

三浦の言葉に安心するステラ。ホッと息を吐き出すと同時に緊張が解けたせいかその場にストンと腰を下ろしてしまう。

 

「あんた達何者なの?」

 

「俺たちはあんた達のところの学園長に言われて護衛しに来た傭兵だゾ。・・・もっとも護衛につくのが遅れてしまったがな、すまんゾ」

 

「すいません、まさか霧が魔力を無効化する能力を持っているなんて思いませんでした」

 

────────────────────

 

「き、消えた?」

 

「感知に反応無し、転移されたかもしれません。辺りを探してみましょう」

 

「・・・・・・なんか引っかかるゾ」

 

「?」

 

────────────────────

 

「三浦さんが気づくのが遅かったらおそらく助けられませんでした。本当に申しわけないです」

 

「いいの、これは私が弱くて招いたことだから」

 

「そう言って貰えると助かるが、アレ相手にここまで持ちこたえたあんたは決して弱くないゾ」

 

「・・・ありがとう」

 

三浦の言葉に落ち込んでいた気持ちを少し持ち直すステラ。何はともあれ一輝も自分も無事だった、今はそれでよしとしようと自身を納得させた。

 

ガガガガガガガガッッッッ!!!

 

「きゃっ!」

 

後方から鉄と鉄が激しくぶつかり合う音と衝撃が響く。田所と襲撃者の2人が鮮烈にお互いの刀身をぶつけ合っている音だ。

 

「まったくしつこいですねぇ・・・!」

 

「ほらほらほらほらほらほら・・・!」

 

「・・・凄い」

 

それ以外に表現する言葉をステラは持てなかった。その刀身が霞む程の速度でぶつけ合い、見たことも無い体術で高速に移動する2人。

 

まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そうだ、気をつけて!そいつ、魔力を無効化するわ!」

 

「し っ て た」

 

戦う田所に助言をするステラ。どうやら田所は既に気づいているようで高速移動するなかでもステラの声に反応する。

 

「しかし、ONDISKに狙われるなんて皇女様も大変ゾ」

 

「お、おんでぃすく?・・・もしかしてあいつの名前?」

 

あまりにも聞きなれない名前にステラの顔も懐疑的になる。それも無理はないだろう。なぜならONDISKとは彼の名前の音を文字ったものに過ぎず・・・

 

小野大輔(おのだいすけ)・・・それがアイツの本名、いやONDISKの正式名称ゾ」

 

 

 

 

 

 

(はぁ、今日は厄日ですねぇ)

 

ONDISK、小野大輔は今日という日を本当に怨んでしまう。暗殺者なのに殺しを何度もミスってしまうし、終いには邪魔者まで入ってきてしまうしまつ。それも()()()()()()()()()()()()()()()という凶運。

 

その無視できない脅威の1人である元七星剣王、『野獣(ビースト)』田所浩二を相手取り、かつ、『殺し屋(ザ・キラー)』木村ナオキ、『流王(るおう)』三浦知将もいる状況で暗殺対象、ステラ・ヴァーミリオンを殺さなくてはいけない。

 

(しつこい・・・!)

 

そして現在、どうにか目の前の脅威、田所浩二を排除するべく剣を振るっているがいっこうに倒せない。それどころかこちらが放つ初見のはずの攻撃を驚異的反応速度で全て対応しきっている。

 

霧を纏い、透明化しての奇襲、失敗。

 

その霧を刀に纏わせて、霊装ごと切断、失敗。

 

霧を扱うのにも魔力がいる、このままではジリ貧なのは本人もよく分かっていた。

 

(しょうがない、()()()・・・使わせていただきますよぉ?)

 

(ん?今笑った・・・なんだコイツ、案外情緒豊かかもな)

 

不敵に笑う小野をどう解釈すればそうなるのか、このステハゲは意外と面白い奴なのかと思っていた。

 

「はぁ!」

 

小野が仕掛ける。しかしいままでの読みにくい太刀筋と違い、大きく上段に振りかぶる単調なものだ。

 

田所も突然の挙動に訝しげな表情を浮かべるが、それも一瞬、すぐに全身の筋肉をフル稼働させ、横薙ぎの一線を放つ。

 

だが

 

「ふぁ!?」

 

田所の攻撃は空振りに終わる。残像を捉えたのかと思うが今も切ったはずの小野は動きを続けている。

 

「はああああああああ!!!」

 

くそデカい声とともに筋肉を再び再起動させ、横薙ぎした回転力をさらに加速させ、大上段の一撃を防御する。

 

「捉えましたよ、偽者(うつしみ)

 

しかし田所が防御しようとした上段からの振り下ろしは霞のように消え、代わりに脇腹を鋭い痛みが襲う。

 

「なん・・・だと・・・!?」

 

田所が視線を移すとさっきまで上段で振り下ろそうとしていた小野が切り払いの姿勢から刀を納めようとしていた。

 

偽者(うつしみ)』、それは霧による透明化ではなく、そもそも霧が持つ光を反射する能力を利用し自身の偽者を写し出す伐刀絶技。一見強力には聞こえないが、分身を写し、自身は透明化することで相手を騙し、確実に一撃を入れることができる。

 

「奥の手、です。あまり多用はできませんですがねぇ」

 

「ぐっ・・・」

 

小野のその言葉を最後に崩れ落ちる田所。ふぅ・・・と息を吐き安堵し、少し条件が違えば自分が負けていたかもしれないと同時に田所への賞賛を思う。

 

(さて、まずは1人。殺すのは皇女1人、木村さぁんは一輝さぁんの治療で動けないとすると・・・三浦さぁんですか)

 

気持ちを切り替えて、三浦の方へと歩き出す。隣のステラも構えるが、既に小野の眼中にはない。それがステラに伝わったのか、魔力を荒らげる。

 

「ん?もう終わりかゾ」

 

そんななか三浦が妙なことを口にする。はたしてそれは何を示しているのか、小野には掴みかねた。

 

「終わり・・・まぁそこの皇女様を殺せば私の仕事は終わりですが・・・?」

 

「そうじゃないゾ、田所との勝負はもう終わりでいいのか聞いてるゾ」

 

三浦が言葉の真意を説明するが、その言葉に小野はさらに顔に困惑を浮かべる。

 

「何を言ってるんですか?見ていなかったんですか、私はこの刀で田所さぁんを斬りました。致命傷ではありませんが、治療は必──

 

「嘘つけ、()()()()()()()

 

三浦の言葉に何かを感じ取ったかのように振り返る小野。なんと、目の前には確かに斬ったはずの田所浩二が刀を構えてこちらに突進してきていた。

 

「バカな!?」

 

瞬時に抜刀、田所の突きを受け止める小野。しかし咄嗟のことで威力を殺し切れず後ろに飛ばされる。

 

「ちょっと三浦さ、もう少しで騙し討ちできたのになんで言うかな〜」

 

奇襲に失敗した田所は三浦に対して不満を露わにする。というよりサラッと騙し討ちという最低な手段に出ていたことを告白する。

 

「当たり前ゾ、死んだフリから掴んだ勝利とか秋吉さんに殺されるゾ」

 

「勝てばいいんだよ、勝てば〜」

 

三浦の言葉に反省の色を見せない田所。もっとも暗殺者に対して卑怯もクソもないが何故かステラには田所も小野も同じ部類に見えてしまった。

 

(斬ってなかった?ありえません・・・確かに捉えた・・・・・・はずです)

 

なぜ斬れなかったのか考える小野、確かに田所の下腹部から血が出てる・・・しかし、あることに気づく。

 

(出血が少ない・・・まさか!?)

 

小野は1つの考えにたどり着く。しかしあまりにも人間離れしすぎて不可能と思ってしまうが、この男ならあるいは・・・と。

 

「私が斬る速度に合わせて腰を捻じることで斬撃を避けましたね?だから切り口のところしか出血していない」

 

「お、正解!あったまいいな!」

 

正解を導き出した小野に賞賛の声をあげる田所。口にするは簡単だがそれがどれほどの御業か、この男は分かっているのだろうか。太刀筋に合わせて腰を捻るということはその一撃が速ければ速いほどそれに合わせるのも難しくなる、しかしこの男、田所浩二は完全に不意をつかれた状況ながらも小野の一撃に対応してみせた。

 

「まったく、本当に今日は厄日だ・・・」

 

(想像以上に・・・強い。今日は引くべきですねぇ)

 

小野にとって想定外だったのは3つ、()()()の弟子がいたこと、そしてその実力が想像以上だったこと、そして

 

(一輝さぁんにも、私の奥の手を防がれてしまったことですかねぇ。やれやれ、私も腕が鈍ってしまいましたか)

 

2回斬ったはずなのに、一撃しか貰っていない、黒鉄一輝の底力だ。

 

「今日はここまでにします。というよりしばらくお会いすることはないでしょう」

 

刀を納め、背を向けて歩き出す小野。それを三浦が呼び止める。

 

「お、待てい。逃がすと思うかゾ?」

 

「私の能力が逃走向けなのは分かったでしょ?」

 

小野の姿がすぅーっと周囲の風景と同化する。

 

「それでは、私はここで失礼させてもらいます」

 

その言葉とともに小野の気配と周囲の霧が消えていき、辺りにはさっきまでの戦場が嘘のようにいつもの破軍学園が広がっていた。

 

「・・・あ!これ取り逃したら怒られるやつ?」

 

「いや、護衛は出来てる。負傷者も治療(証拠隠滅)したから多分問題ないゾ・・・ゾ」

 

小野を取り逃したことよりその後の秋吉からの折檻をどう回避するか思案する2人。

 

(・・・なにしてるんだ、この人たち)

 

そんなしょうもない先輩たちを見ながら、木村は一輝の治療に集中するのだった。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

『あぁ、私です。残念ながら、目標は達成できませんでした』

 

『・・・はい?要因としては向こうが予想以上に強かっただけです。もっとも私の落ち度もありますがね』

 

『もういいんですか?いえ、私としては国際指名手配とかうんざりなんで構いませんが』

 

『次の依頼?・・・まったく貴方も人使いが荒いですねぇ』




戦闘描写難しすぎるっピ!

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