「・・・幽を除けば、生き残ったのは俺たち二人か」
「・・・アレはやっぱり強すぎたわね」
外国からの転生者である
神浜市を襲ったワルプルギスの夜に対し、転生者は必死に戦った。
転生したとはいえ、彼らにとっては第二の故郷だったからだ。
いや、本来であればモブである少年も加わって戦った。
結果は、そのモブの少年と二人の転生者だけが生き残ったという凄惨なものだった。
「右腕落ちてた・・・誰のだ?」
「さあ?」
ヴォルカとののかはボランティアとして瓦礫撤去に参加していた。
原作ではあまりピックアップされなかったが、死者も意外と出ていた。
女性のものと思われる右手はコンクリートとかのせいで彫刻と間違うほど白かった。
ヴォルカは拾い上げたそれを側溝に蹴り落とした。
「ひどいわね」
「あまり見たくねえんだ。人が死ぬのはいつ見てもぞっとする。
俺自身が、ぞっとするような死に方をしたからな」
その時、ヴォルカの携帯に電話がかかってきた。
モブでありながら、転生者が現れた影響からか
「ああ、幽か・・・それはよかったな・・・えっ・・・ああ、そりゃ最悪だ」
ヴォルカの表情はまた暗くなった。
「・・・良い知らせが一つと、悪い知らせが二つ」
「もう何を聞いても驚かないわ」
「良い知らせはあいつが想いを寄せていたかこが生きていたこと」
「あら、良かったじゃない」
「悪い知らせは、かこが失明したのと、かこの両親が行方不明ということだ」
「前言撤回ね」
ののかは溜息をついた。
「いや、悪い知らせだけじゃないな・・・もとから知ってると思うけど」
「まだ何かあるの?」
「幽が意外とタフで抜け目ないことだ。どんだけ悲しんでも、アイツは復活する。
というか、またいつものように復活しそうな気しかしないぞ」
「そうだったわね。あの子、シリアスの中のギャグのような存在だから」
二人はそのまま瓦礫撤去に精を出す。
「・・・何はともあれ、生きていかないとね。
ワルプルギスを倒した先も、人生は続くんだから」
「そうだな・・・でも、生きていくなら、どうしてこんな世界に?」
「神様からベルセルクとまどマギ本編とマギレコを提示されたら、どうする?」
「そりゃ明るいマギレコ選ぶに決まってるだろうな」
「逆にどうしてヴォルカくんはマギレコに?」
「当時は俺も相当イキってたからな・・・。
リリなのとマギレコを転生先に提示されたんだ」
「それで?」
「百合豚しかいなかった界隈に一石投じたかったんだ。だからマギレコを選んだ。
ヒロインが多いから、転生者同士で争わなくていいのもあったな」
「確かに、私たち意外と団結してたわよね」
ののかは先立ってしまった仲間たちを思い出した。
皆、愉快でいい奴ばかりだったのに死んでしまった。
「・・・アイツらの分まで生きていかなきゃな」
「そうね・・・八百年くらい?」
「一人百年生きる前提かよ」
「それに、他の死んだ人たちも合わせれば数万年かもよ」
「どうせまた転生するから大丈夫だな」