ARIA The PIACERE 3 その素敵な出会いの先に   作:neo venetiatti

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第24話

「そんなことがあったの?フフフフ」

「アサカさん、ご存知なんですか?」

アサカは改めて、娘のアンナの結婚のことで、ARIAカンパニーを訪ねていた。

「アラトリアは、私がお世話になっている方のお孫さんで、小さい頃からよく知っているの」

「そうだったんですか」

「彼女は、思ったら行動に移さないと、いてもたってもいられない性分で。その事が時として周りの誤解を生んでしまうこともあるんだけど、決して悪意はないのよ」

アサカは何かを思い出すような、穏やかな笑みをたたえた。

「ただ、今回はちょっとやり過ぎたかもね」

そういって、今度は困ったような苦笑いの表情を灯里に向けた。

灯里は、そんなアサカの話を、やさしい笑みを浮かべて聞いていた。

「なんか、アリスちゃんのためならということだったらしいです」

「オレンジぷらねっとのアリスさんね?私も聞いてる、そのはなし」

「ストーカーとかなんとか・・・」

「えっ?ストーカー?」

「私も最近そんな人に会ってたような、ないような・・・」

「灯里さん、大丈夫?」

「ああ~~私は~~大丈夫なんですぅ~~」

「そうなの?それならそれでいいのだけど」

「ただですね」

「ただ、ナニ?」

「ただ、話がですね、私の予想を越えて、ちょっと大きくなってきてしまったような・・・」

「どういうこと?」

「その、アリスちゃんがティンカーベルで魔法の粉をかける予定だったアンドレさんも、サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会の存在を知って、それなら自分たちもそこで結婚式を挙げられないかって。そんな話になったようなんです」

「そうなんだ」

「ただそれには、そのアラトリアさんという方が、それはいいんじゃないかと、かなりプッシュされたということのようで」

「ああ、なるほど。アラトリアね」

アサカは、腕組をして、う~んとうなるように目を閉じた。

だが、軽く微笑むと、ふっと息を吐いた。

「彼女は彼女で、罪悪感を感じてるんだと思う。それに、アリスさんの信頼を損なったことは、アラトリアにとって、本当に落ち込むような出来事だったと思うの。あの子、ああ見えて、根は純粋だから」

「はあ」

「ちょっとね、伝わりづらいところがあるのよ」

「そうなんですか」

「そうなの。大目に見てやってくれない?」

「いえ、私は、まだ、そんなに存じ上げていないので」

「そうね。でも多分だけど、これからあるかもしれないので」

「ええ~!どういうことがあるんですか?」

「フフフフ。冗談よ、灯里さん!」

「アサカさ~~ん」

 

「それで灯里さんとしては、どう考えてるの?」

「それなんです」

灯里はちょっと難しそうな表情でアサカの顔を見た。

「最初は、このネオ・ヴェネツィアで結婚式だなんて、とても素敵なことだと思っていたんです。でもまさか、こんなふうに、続けて結婚式の話が出てくるなんて、考えもしなくて」

「それはそうでしょうね。私も話を聞いていて、そんな珍しいことがあるんだなって思った。灯里さんが困惑するのも無理もないと思う。ただ・・・」

「なんですか、アサカさん?」

「なんか、もう、答えが出てるような気もするんだけど」

「どういうことですか?」

「これまでの話、全て灯里さんがその中心にいるように、私には見える」

「私が?」

「そうじゃない?」

「ただの偶然かと・・・」

「こんなにも続く偶然てあるの?それってもう、必然といってもいいんじゃない?」

「必然・・・」

「そう。起こるべくして起こった、といったら言い過ぎかしら」

「でもアサカさん?さっき、答えが出てるって言ってましたけど、それってどういうことですか?」

「すべては灯里さんを指し示しているとしたら、灯里さんが思うことを、そのままやればいいんじゃないかってこと」

「私が思うこと」

「灯里さんが描いていた風景は、どんな風景なの?」

灯里はアサカの問いかけに、キョトンとした表情でアサカの顔を見返していた。

「その風景を、私にも見せてくれない?」

 

午後からの予約客のことを聞いたアサカは、ARIAカンパニーをあとにすることにした。

灯里の困った顔に対して、どんな結果になっても、アンナなら理解してくれるはずだと、灯里を安心させようと言葉をかけて店を出てきた。

そして、桟橋を渡ったところで振り返った。

明るい日射しの下、ARIAカンパニーは、いつもと変わらない姿をしていた。

その光景を見たアサカは、ARIAカンパニーが、これまでも、そしてこれからも、変わらずにARIAカンパニーであり続けていくのだろうと感じずにはいられなかった。

その時だった。

「あの、失礼ですが」

アサカは、不意に背後から声をかけられ、驚いて振り返った。

「あの、もしかして・・・」

目の前に現れたその女性は、かけていたメガネをはずしながら、アサカに改めて視線を向けた。

その、一層磨きがかった美貌と、落ち着いた物腰、眩しさに目を細める表情の中にたたえた優しさは、見るものを魅了せずにはいられない輝きを放っていた。

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